2020年春の新人看護師「病棟勤務が早まった」3割/新人研修の短縮・中止に不安も
新型コロナウイルス影響アンケート
株式会社クイック(本社:大阪市、代表取締役社長:川口一郎)が運営する看護師専用コミュニティサイト『看護roo!(カンゴルー)』(https://www.kango-roo.com/)は、2020年春入職の新人看護師約1,200人を対象に「入職に関する新型コロナウイルスの影響」についてアンケートを実施、調査結果をまとめました。
■アンケート調査の背景
全国の医療機関が新型コロナウイルス対応に追われる中、まさに渦中の2020年4月に入職した新人看護師は、医療現場のマンパワー不足などのあおりを受け、例年であれば行われるはずの新人研修・教育を受けられないまま、臨床での業務を開始せざるを得ない状況も起きています。
そこで、今春の新人看護師を取り巻く現状についてアンケートを実施。その実態と新人看護師の声をまとめました。
▼▼詳細レポート▼▼
https://www.kango-roo.com/work/7551/
■アンケート調査の概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年5月15日~5月21日
調査対象:全国の新人看護師(2020年4月の新規入職者)。有効回答数は1242人。勤務先の内訳は、病院(500床以上)45.4%、病院(300~499床)29.3%、病院(100~299床)19.4%、病院(100床未満)・有床クリニック3.3%、その他2.6%。
■アンケート調査の結果とポイント
1) 「初出勤日」多くは予定通りだが、一部で遅れも
一般企業ではリモートワーク移行に伴い、未出社のままの新入社員も少なくありませんが、医療職という性質上、新人看護師の多くは本来の予定通り(主に4月1日)に初出勤し、勤務をスタートさせています。
その一方で、新型コロナウイルスの影響で「本来の予定より遅れた」(13.2%)、「現在まで出勤せず、自宅待機や自己学習等になっている」(0.9%)という回答も見られました。
新人看護師アンケート(1)初出勤日への影響
「遅れた」と回答した人にその期間を尋ねたところ、「8日~14日」(31.7%)が最多で、大半が4月中旬までに出勤をスタートさせていましたが、「およそ1カ月」との回答(14.0%)もありました。
2)新人研修は短縮・変更・中止が多数
新人看護師は、入職してしばらくは新人研修の期間が設けられるのが通例ですが、今年は、多数の病院で研修の日程を短縮・変更・中止するなどの対応を余儀なくされていました。
新人看護師アンケート(2)新人研修への影響
短縮・変更になった研修は、「オリエンテーション研修」「座学の講義」「(採血などの)技術演習」「マナー接遇研修」などが多く、大人数が集まって「3密」が発生するのを避けるためだったり、院内外の講師の確保が難しかったりしたためとみられます。
新人看護師のコメントでは、「研修が中止になり、必要な技術はすべて現場で覚えることになった」など、技術習得に不安を感じている様子が多く見受けられました。
【自由記述コメント(抜粋)】
- 研修がすべて中止、必要な技術は現場で学ぶ形になっており、不安
- 研修が受けられなかったので、去年の先輩が今の時期にできていたことができない
- 十分な研修を受けずに日々業務を行なっていることがつらい
- 行われる予定だった研修会が行われておらず、すぐに業務についているため、実務に必要な知識に抜けがある
3)新人ナースの配属先に「影響あり」3割
新人看護師アンケート(3)配属先への影響
新人看護師の配属先にも新型コロナウイルスの影響が生じています。
具体的な影響の多くは、「経験のない新人看護師を新型コロナウイルス感染症対応病棟から別病棟に異動させる」などでした。
その結果、新人看護師の配属先が限定されることになり、配属病棟では「新人に対して教育担当の看護師が足りない」といった事態も起きています。
新人への教育・フォロー体制が手薄になることで、新人看護師の早期離職リスクが高まることも懸念されます。
【自由記述コメント(抜粋)】
- 第一希望の配属だったのに、いざ配属の前日に突然、変更になってしまって気持ちが折れてしまった
- (配属から1カ月で異動になり)また新たに人間関係を築いたり、異なる仕事内容を覚えたり勉強したりする必要があり大変
- 新任者の数に対して先輩看護師が足りない
- 先輩看護師が対応に追われていて、しっかりと仕事を教えてもらえていない
- 新型コロナウイルスに対応するため経験ある看護師が各病棟から抜かれていったりして、新人教育にあたる先輩方の負担が凄まじい
- 人手が足りてないため、教育まで手が回っていない
4)新人看護師の病棟配属「予定より早まった」3割
新人看護師アンケート(4)病棟勤務の開始時期
新人看護師が実際に病棟での業務を開始する時期を尋ねたところ、4月のうちから業務を開始したとの回答が9割超を占めました。この時期について「入職前に予定されていたより早めになった」とする回答は約3割に上りました。
「新人研修が短縮や中止となった分、病棟への配属が早まる」「研修で技術演習を行う余裕がなく、技術は現場で直接習得する」「新型コロナウイルス対応で病棟の人員が足りず、新人を早めに配置する」といった医療機関の厳しい事情がうかがえます。
【自由記述コメント(抜粋)】
- 研修に人員が足らず予定より早く病棟勤務となった。また、忙しいので本来より早く仕事に慣れるよう伝えられた。
- 座学がなくなり入職2日目の午後から病棟勤務になったので、心の準備ができていなくて全てにおいて不安が多かった
- 研修がなくなったため、すぐ病棟に配属された。研修で学ぶはずだった基礎を学べなかったため、手探りで業務しないといけない
- 研修が全くないまま、入職して2日目から病棟での勤務が始まりました。研修していないので何をどこまでやっていいのかわからない
5)その他
上記のほか、「働く上で、新型コロナウイルスの影響を感じていること・不安なこと」についての質問(自由記述)では、「院内感染防止のため、職場の内外で同期や先輩とのコミュニケーションが制限され、相談・情報共有・交流の機会が持てず、孤独感に陥っている」という訴えや、「マスクなどの個人防護具が不足しており、自ら感染する・患者さんや家族にうつすのではないか」という不安の声が多く寄せられました。
【自由記述コメント(抜粋)】
- マスクなしでの会話や複数人で休憩室などにいることが禁止なので、休憩中に先輩とコミュニケーションが取れない
- 歓迎会も中止になったのでなかなか病棟に馴染めない。孤独感があり不安です
- 同期と集まって話す機会が取れず、情報共有や絆を深めることが出来なくて困っている
- 相談したり交流する場が少なく孤独に感じることがあります
- 防護具が足りない。自分がかかるかもしれないという不安感
- 防護具が少なくなっている、自分がコロナに知らずにかかってしまい病棟内で院内感染おこしたらどうしようという不安
- どんどん病棟のマスクや感染予防具の在庫が底をついていく不安感や恐怖
■まとめ
今回の新人看護師アンケートの結果から、新型コロナウイルス感染拡大がまさに医療現場の新人教育にも大きな影響を及ぼしていることが明らかになりました。
研修や教育機会の不足は新人の離職リスクを高める一方、指導する側の業務過多もやはり離職やインシデントの発生リスクにつながりかねず、新型コロナウイルス対応で増した現場の負担が看護師不足にさらなる悪循環を引き起こすことが危惧されます。
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