「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」を発表 スキマバイトの現在の推計人口は452万人、潜在人口は約3倍となる1431万人

新たな働き方のポテンシャルと複雑化するマネジメントの課題が明らかに

株式会社パーソル総合研究所

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」の結果を発表いたします。

 

少子高齢化や働き方の多様化が進む現代日本において、柔軟な働き方の一つであるスキマバイト/スポットワーク(以下「スキマバイト」)が注目を集めています。特に、サービス産業などにおいて、短時間・単発のアルバイトを活用することで労働力不足を補う動きが広がり、副業解禁やテクノロジーの進化がこのトレンドを後押ししています。一方で、現場では労働者の多様化に伴い、マネジメントの複雑化や働きやすい環境の整備といった新たな課題が顕在化しています。

 

本調査では、スキマバイトの現状と潜在力を明らかにし、働く側と雇用する側双方の視点から、メリットと課題を分析しました。さらに、現場でのマネジメントの複雑化に対応するための解決策を提示し、新たな働き方の可能性を探ることを目的としています。

 

スキマバイトの実態・課題・ポテンシャルまとめ

■主なトピックス ※トピックスの詳細については「主なトピックス(詳細)」をご確認ください

<スキマバイトの実態・ポテンシャル 【働く個人】>

1. 現状、全国男女15~69歳の6.5%が3年以内にスキマバイトを行った経験があり、そのうち約8割が直近1年以内に経験。それらの数値を元に、全国のスキマバイト人口を簡易推計したところ、452万人であった。

 

2. 1年以内のスキマバイト未経験者のうち、スキマバイト意向があるのは21.8%。また全国の潜在スキマバイト人口を簡易推計したところ、1431万人であった。

 

3. スキマバイト意向率は、男女ともに若年層が高い。その他、派遣社員、高校生・専門学校、短大生・大学生の意向率が高い。

 

4. スキマバイトで多い仕事内容は「軽作業系職種(16.4%)」、「接客・サービス系職種(14.9%)」、「配送・物流・運輸職(9.4%)」

 

5. スキマバイトへの応募は、「スキマバイト専用の求人アプリ・サイト」からの応募が約6割を占める。次いで、「バイト全般の求人アプリ・サイト」や「家族や友人・知人の話」が続く。

 

6. スキマバイト経験者を類型化したところ、隙間時間を有効に活用したい「隙間活用タイプ」、娯楽や趣味に充てる資金がほしい「小遣い稼ぎタイプ」、生活費を稼ぎたい「生計維持タイプ」、興味のある仕事を経験したい「経験投資タイプ」、手軽に働きたい「簡便志向タイプ」の5つのタイプに分けられた。

 

7. スキマバイト経験のある社会人の半数以上が「スキマバイト経験が本業の役に立った」と実感している

 

<スキマバイトの課題 【働く個人】>

8. スキマバイトで働く個人の困りごとは、「従業員の仕事の教え方がわかりにくい」「マニュアルがない」「職場の従業員の態度が冷たい」などが15%前後で上位。一方、35.1%は「あてはまるものはない」と回答。レギュラーバイトで働く個人の困りごとと比較すると、「職場の従業員の態度が冷たい」が8割増と顕著に多い

 

<スキマバイトの実態・課題 【企業・マネジメント】

9. レギュラーバイトのマネジメントを経験した店長・管理者のうち、スキマバイト人材を現在マネジメントしている者は21.3%。経験ありが40.7%。 スキマバイト人材をレギュラー化(長期雇用化)したことがあるのは、店長・管理者の7割弱

 

10. 現在スキマバイト人材をマネジメントしている店長・管理者の63.0%が、今後も活用したいと回答。レギュラーバイトしかマネジメントした経験のない層も、45.0%が活用したいと回答

 

11. 店長・管理者側が感じるスキマバイト活用の課題としては、「仕事を教えるのが大変」が最上位。2位以下に「人物像やスキルが事前にわかりにくい」「業務範囲が限定的」「スケジュールやシフト調整が難しい」が続く。 

 

12. ワーク・エンゲイジメントと再就職意向を見ると、学生はレギュラーバイトのほうがワーク・エンゲイジメントが高く、社会人はスキマバイトのほうがワーク・エンゲイジメントが高い傾向が見られた。スキマバイト人材の再就業意向(もう一度その職場で働きたい)は、学生・社会人ともに5割弱

 

13. スキマバイト人材のワーク・エンゲイジメント向上には、適切なジョブアサインと明確な指示がプラスに影響していた。

 

14. スキマバイト人材にもう一度働きたいと思ってもらうには、仕事を任せ、承認していくマネジメント行動がプラスに影響していた。

■主なトピックス(詳細)

 

<スキマバイトの実態・ポテンシャル 【働く個人】>

 

1. 全国男女15~69歳の6.5%が3年以内にスキマバイトを行った経験がある。そのうち、82.0%は直近1年以内にスキマバイト経験があると回答。

1年以内のスキマバイト経験率の数値を基に、全国のスキマバイト人口を簡易推計した結果、452万人であった。内訳を見ると、東京をはじめとする都市圏で多い傾向。

2. スキマバイトの意向率をみると、1年以内のスキマバイト未経験者の意向率は21.8%。潜在スキマバイト人口を簡易推計したところ、1431万人であった。

3. スキマバイトの意向率を性年代別でみると、男女ともに若年層のスキマバイト意向率が高い。属性別では、社会人層では派遣社員、学生層では「高校生・専門学校」「短大生・大学生」の意向率が高い。また、学生を就職活動状況別に見ると、「就職活動前」の学生で高い。

4. スキマバイトの仕事内容で最も多いのは「軽作業系職種」で16.4%。次いで、「接客・サービス系職種(14.9%)」、「配送・物流・運輸職(9.4%)」と続く。レギュラーバイトとの比較で見ると、「軽作業系職種」や「配送・物流・運輸職」、「イベント・キャンペーン系職種」などは、スキマバイトの方が高い。一方で、「接客・サービス系職種」や「販売職」、「専門・技術職」などは、レギュラーバイトの方が高い。

5. 直近のスキマバイトの応募媒体を見ると、学生・社会人ともに、「スキマバイト専用の求人アプリ・サイト」が6割前後を占める。次いで、「バイト全般の求人アプリ・サイト」や「家族や友人・知人の話」が続く。

6. 1年以内のスキマバイト経験者を、スキマバイトとして働くメリットや理由の傾向※1に基づいて類型化したところ、以下の5タイプに分けられた。※1 「スキマバイトとして働くメリット」「直近でスキマバイトを行った理由」の詳細については、報告書のP28、29を参照

5つのスキマバイトタイプ

各スキマバイトタイプの特徴

7. 社会人に対して、スキマバイト経験が本業に与える影響実感を聞いた。半数以上の社会人が「スキマバイト経験が本業の役に立った」と感じており、強く感じている効果は「視野の拡大」や「チャレンジ意欲の高まり」、「学びへの抵抗感の低下」など。こうした効果実感の傾向は、スキマバイトタイプごとに異なる。

<スキマバイトの課題 【働く個人】>

 

8. スキマバイトで働く個人の困りごとは、「従業員の仕事の教え方がわかりにくい」「マニュアルがない」「職場の従業員の態度が冷たい」などが15%前後で上位。一方、35.1%は「あてはまるものはない」と回答(左下図)。レギュラーバイトで働く個人の困りごとと比較すると、「職場の従業員の態度が冷たい」が8割増と顕著に多い(右下図)。

<スキマバイトの実態・課題 【企業・マネジメント】>

 

9. 店長・管理者におけるスキマバイトのマネジメント実態を見た。レギュラーバイトのマネジメント経験者のうち、スキマバイト人材を現在マネジメントしている者は21.3%。経験ありが40.7%。マネジメントしたことのあるスキマバイトの人数は平均10人弱。スキマバイトをマネジメントした店長・管理者の7割弱がスキマバイト人材をレギュラー化(長期雇用化)したことがある。

10. 店長・管理者に、スキマバイトを今後活用したいかを尋ねた。現在、スキマバイト人材をマネジメントしている層は、63.0%が肯定的。レギュラーバイトしかマネジメントした経験のない店長・管理者も、45.0%が活用したいと回答した。

11. 店長・管理者側が感じるスキマバイト活用のデメリット(課題)としては、「仕事を教えるのが大変」が最上位。2位以下に「人物像やスキルが事前にわかりにくい」「業務範囲が限定的」「スケジュールやシフト調整が難しい」が続く。

12. スキマバイトとレギュラーバイトのワーク・エンゲイジメント・再就職意向を見ると、学生はレギュラーバイトのほうがワーク・エンゲイジメントが高く、社会人はスキマバイトのほうがワーク・エンゲイジメントが高い傾向が見られた。スキマバイト人材の再就業意向(もう一度その職場で働きたい)は、学生・社会人ともに5割弱。

13. スキマバイト人材のワーク・エンゲイジメントを高めるには、適切なジョブアサインと明確な指示がプラスに影響。

14. スキマバイト人材にもう一度働きたいと思ってもらうには、仕事を任せ、承認していくマネジメント行動がプラスに影響。


■調査結果からの提言

近年、スキマバイトの働き方が急速に広がり、世間の注目も集まっている。サービス産業を中心に企業のスキマバイト活用のニーズは高く、現場からは「もはやスキマバイトでしか人が埋まらない」という声もしばしば聞かれる。スキマバイトからのスカウト・レギュラー化も広がっており、旧来の求人媒体からの転換も進む。

 

今回、働く人の意向をベースに潜在的なスキマバイト人口を推計すると、現状の3倍程度のポテンシャルが確認された。学生だけでなく、社会人の副業選択肢としても今後広がっていくだろう。

 

一方で、利用が拡大するほど、人材獲得の競争もまた激しくなる。スキマバイト人材も確保も、いずれ間違いなく容易ではなくなってくるだろう。

同時に現場では、人材の多様化とマネジメントの複雑化が起こる。すでにスキマバイト人材からは、「教え方がわかりにくい」「マニュアルがない」「既存従業員の態度が冷たい」といった現場でのハレーションが多く報告されている。分析からも、店長・管理者は、スキマバイト/レギュラーバイト/レギュラー候補の3方向に対して異なるマネジメントが求められることが明らかになった。今後の課題は、このマネジメントの複雑化・高度化に対して現場管理者が対応できるかどうかだ。

 

「穴埋め的なお手伝い」という感覚でその場しのぎのマネジメントを続けても、また働きたいとは思ってもらえず、人材確保は早晩難しくなる。企業は、新たな働き方としてのポテンシャルを活かすと同時に、現場支援やマネジメントの訓練に対し先手を打った対応が求められる。

本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。

●調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。

 URL: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work.html

●構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

 

 

■調査概要

■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について

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■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について

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業種
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本社所在地
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代表者名
萱野博行
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1989年09月