Beyondgeのシニアマネージャー 佐藤洋平(千葉大学 客員起業家)が、欧州の国際学会ECIE 2026 で研究発表
「経験豊富なミドルキャリア人材は、なぜ起業に踏み出せないのか」。新概念「静的不確実性」で構造的な参入障壁を説明。大学発スタートアップの創出に取り組む実務の知見を、学術の場から発信

スタートアップの創出・育成・エグジット支援と大企業のグロースハックを手がけるBeyondge株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:野上 隆徳、以下、当社)は、当社シニアマネージャーの佐藤洋平(千葉大学 客員起業家/Entrepreneur-in-Residence)が、2026年9月17日・18日にポルトガル・リスボンで開催された国際学会「第21回 European Conference on Innovation and Entrepreneurship(ECIE 2026)」において、論文 "Designing Entrepreneurial Viability for Mid-Career Entry under Static Uncertainty" を発表したことをお知らせします。本論文は査読を経て採択され、ISSN 2049-1050をもつ国際学会プロシーディングスに掲載されています。
当社は、大学の研究シーズをM&Aによる出口から逆算して事業化する「M&Axion for Academia」を2026年10月に開始するなど、大学・企業・人材をつなぎ、新たな会社と事業を生み出す取り組みを進めています。事業創出の現場に立つメンバーが、実践から生まれた問いを学術の場で検証・発信することで、実務と研究の両輪で知見を深めてまいります。
■発表の概要
経験・人脈・経営スキルを備えたミドルキャリア(30代後半〜50代)の人材は、地域のイノベーションの担い手として期待される一方、起業する割合が低いことが知られています。従来は機会費用の高さや年齢に伴うリスク回避など、個人の選好の問題として説明されてきました。
本論文は、ミドルキャリアの非参入は個人の心理ではなく構造に起因すると論じ、その原因を「静的不確実性(static uncertainty)」という概念で説明します。市場や技術の不確実性は実験と学習によって減らせますが、収入の途絶、キャリアの不可逆性、再就職の困難、家族への責任といった不確実性は、事業をどれだけ検証しても直接には減りません。論文は、こうした状況で人は期待リターンではなく「生活が破綻しないこと」を基準に判断する(破滅制約)と指摘し、これを臆病さではなく合理的な判断として位置づけています。
静的不確実性の定義:個人のライフコースに埋め込まれ、事業の行動によって変化せず、起業参入の前に作用する不確実性。
その上で、生活の制約を整理してから事業を探索するという二段構造の枠組み(LAEF)と、制度側が失敗の不可逆性を下げる三つの仕組み――①起業休職・出向起業・復職保証による身分とキャリアの継続、②所得の下限保証や段階的な移行による収入の安定、③起業経験を資格・ネットワーク・社内評価として生かす仕組み――を「静的不確実性の設計(SUD)」として提案しています。本論文は、既存の起業理論が十分に扱ってこなかった、起業参入以前の構造的な制約に焦点を当てるものです。
地方自治体のミドルキャリア向け起業支援プログラム参加者8名を4か月間追跡した探索的事例研究では、参加者がまず生活上の制約を整理し、失敗時の下限が見えてから事業に取り組む順序が観察されました(単一プログラムに基づく探索的な概念提案であり、今後の検証を要すると論文に明記)。
■企業にとっての含意
論文は、ミドルキャリア人材にとって静的不確実性の最大の源泉は「雇用を離れること」そのものであり、企業の人事制度が起業の実現可能性を大きく左右すると論じています。起業休職やサバティカル制度、社内外を組み合わせたハイブリッドな働き方、復帰時に起業経験を評価する仕組みを企業が担い得る取り組みとして挙げ、社員の起業支援を人材の流出ではなく人的資本への投資と捉える視点を示しています。社内起業や出向起業の制度があっても応募が集まらないという実務課題に対し、「制度が破滅制約を解いていない可能性」という一つの説明を与えるものです。
本研究の知見は、企業における社内起業制度や出向起業制度の再設計、自治体による起業支援プログラムの高度化、大学発スタートアップにおける経営人材の参入促進などへの応用が期待されます。当社では、こうした制度設計や事業創出に関する知見を、企業・大学・自治体との実践的な取り組みに展開していきます。
■発表者コメント
Beyondge株式会社 シニアマネージャー/千葉大学 客員起業家 佐藤 洋平
「地方自治体が実施した起業塾で制度設計とメンターを務め、また私自身が千葉大学の客員起業家として起業に取り組む中で、力も準備もある人ほど最後の一歩の手前で立ち止まってしまう現実を、身をもって感じてきました。そこで必要とされているのは、勇気よりも『失敗しても生活は続けられる』という見通しなのだと考えています。本論文では、その見通しを個人の努力に委ねるのではなく、制度の設計によってつくるという考え方を提示しました。Beyondgeでは、大学の研究シーズから会社を創る『M&Axion for Academia』をはじめ、経営人材の組成や出口の設計まで含めて事業創出を支援しています。挑戦する人が安心して一歩を踏み出せる仕組みを、研究と現場の両方からつくっていきたいと考えています。」
■当社の取り組みとの関わり
当社は、経営に深く入り込み、成果が出るまで伴走するスタイルで、大学の研究シーズや大企業の戦略テーマを起点とした会社・事業の創出を支援しています。その中核が、M&Aによる出口を事業の最初に設計する「M&Axion」シリーズです。出口や買収条件をあらかじめ設計し、当社のCxOプールから経営人材を供給するアプローチは、挑戦する人にとっての見通しを構造としてつくるという点で、「制度の設計によって挑戦を可能にする」という本論文の視点と通じるものです。
佐藤は、千葉大学の客員起業家として大学発スタートアップの創業に取り組むとともに、当社で企業向けの事業開発・M&A支援に従事しています。当社は今後も、研究と事業創出の現場を行き来するメンバーの知見を、大学発スタートアップの経営チーム組成や、企業の新規事業・人材の仕組みづくりに生かしてまいります。
なお、本研究は佐藤が千葉大学の客員起業家として個人で行ったものであり、当社は研究の実施・資金提供・監修には関与していません。
■「M&Axion for Academia」について
「M&Axion for Academia」は、当社とグループ会社のBeyondge M&Aパートナーズ株式会社が提供する、大学・研究機関の研究シーズをM&Aによる出口から逆算して事業化するサービスです。「誰が・なぜ買うのか」という買い手の定義から事業・技術要件を逆算し、シーズの探索・評価、経営チームの組成と資本政策の設計、M&Aによる出口の実現までを一貫して支援します。経営人材は当社のCxOプールから供給し、研究者が研究に集中できる環境をつくります。
▼詳しくはこちら
https://maxion-academia.beyondge.com/
■「M&Axion for Enterprise」について
「M&Axion for Enterprise」は、大企業の戦略テーマを起点に新規事業を外部で組成・育成し、事前に合意した条件の達成時にグループインさせる、M&A駆動型のカンパニークリエーションプログラムです。買収条件・バリュエーション・ロックアップ条件を株主間契約で事前に設計することで、起業家マインドを持つ経営人材の獲得と、規律あるM&Aを両立します。
▼詳しくはこちら
■論文情報
題名:Designing Entrepreneurial Viability for Mid-Career Entry under Static Uncertainty
著者:Yohei Sato(Chiba University)
発表:第21回 European Conference on Innovation and Entrepreneurship(ECIE 2026)、2026年9月17日・18日、ISCTE-IUL(リスボン、ポルトガル)、主催:Academic Conferences International
掲載:Proceedings of the 21st European Conference on Innovation and Entrepreneurship, pp. 630–638(ISSN 2049-1050)
▼論文(英文・PDF)はこちら
https://papers.academic-conferences.org/index.php/ecie/article/view/5187/4758
■発表者プロフィール
佐藤 洋平(さとう ようへい)
Beyondge株式会社 シニアマネージャー。千葉大学 客員起業家(Entrepreneur-in-Residence)。当社では企業向けの事業開発・M&A支援に従事。千葉大学では大学発スタートアップの創業に取り組む。地方自治体が実施した起業塾で制度設計を行うとともに、メンターを務めた。研究関心は構造的起業論、制度設計、ベンチャー・アーキテクチャ。
■Beyondge株式会社について
当社は「あたらしい世界のその先へ」をビジョンに、スタートアップの創出・育成・エグジット支援と大企業のグロースハックを手がけています。事業創出、採用、投資、M&A、AI・DXの領域で、レポート納品にとどまらず経営に入り込み、成果が出るまで伴走します。
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会社名 |
Beyondge株式会社(読み|ビヨンジ) |
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代表者 |
代表取締役CEO 野上 隆徳 |
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所在地 |
東京都渋谷区渋谷1-1-3 アミーホール |
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設立 |
2022年8月 |
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事業内容 |
スタートアップの創出・育成及び大企業のグロースハック |
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