【2020年度 新入社員3,128名のキャリアに対する意識調査】 「今の会社で働き続けたい」が5年ぶりに上昇
新型コロナウイルスによる先行きの不透明感が新入社員の意識に影響か
背景
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政府が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令してから約3週間。いまだ、外出自粛、物流の混乱、株価の乱高下、原油価格の暴落など、企業活動にとって先行きが不透明な状況が続いています。実際に、民間の信用調査会社、帝国データバンクが4月23日に発表した調査によると、上場企業259社が新型コロナウイルスの影響を受けたとして業績予想を下方修正したほか、同ウイルスによる影響で販売不振に陥るなどした企業が85社倒産したことが判明しています。また、日本経済団体連合会(経団連)が4月14日から17日に会員企業1,470社を対象に実施した調査によると、97.8%(回答社数406社)がテレワーク・在宅勤務を実施しており、多くの企業で働き方に急速な変化が起きています。企業経営に対しても働き方に対しても、非常に大きな影響が出ていることは明らかです。
ラーニングエージェンシーでは、こうした事態が新入社員の意識にどのように影響しているのか、2020年度に入社した新入社員3,128名を対象に意識調査を実施し、過去の調査結果との比較分析を行いました。
なお本調査は、当社がトーマツ イノベーション(2019年4月にラーニングエージェンシーに社名変更)として活動していた2014年から毎年実施しており、前回調査(2019年4月発表)に続いて今年で7回目となります。
調査結果の概要
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1.「今の会社で働き続けたい」新入社員の割合が59.1%と5年ぶりに上昇
2.「いざというときのために」専門性を高めたい新入社員の割合が調査開始以来最高の54.6%
3.「上司に相談する機会」を求める新入社員の割合が調査開始以来最高の48.8%
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調査結果の詳細
1. 「今の会社で働き続けたい」新入社員の割合が59.1%と5年ぶりに上昇
今の会社での勤続意向について聞いたところ、59.1%の新入社員が「できれば今の会社で働き続けたい」と答え、5年ぶりに上昇しました(図1)。2016年度以降、新入社員の就社意識は年々低下し、昨年は全体の半数ほどに低下していましたが、今年は一転、6割近くまで上昇しました。
当社が実施した新入社員研修の参加者からは、「社会人生活が在宅勤務からスタートし、社会人らしさを感じられず不安」「新入社員研修後から自宅待機となり、いつまで続くか不安」といった声が上がっています。こうした先行きへの不安の裏返しからか、今の会社で働き続けたいと思う新入社員の割合が大きく増加しています。
2. 「いざというときのために」専門性を高めたい新入社員の割合が調査開始以来最高の54.6%
また、「将来会社で担いたい役割」を問う質問に対して、組織を率いる管理職や経営者などではなく、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」と答えた31.1%の新入社員に、その理由を聞きました(図2-1)。
「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」が54.6%となり、調査開始以来、最も高い割合となりました。新型コロナウイルスの感染拡大の中、不安を抱えながら、もしものときに備えて専門性を磨いておきたいと志向する新入社員が増えたと考えられます。
「今後どのような仕事をしていきたいか」という質問に対しては(図2-2)、昨年同様、「楽しくてやりがいのある仕事(73.1%)」が最多となりました。伸び率で見ると、「広範囲なスキル・知識が求められる仕事(21.2%)」が昨年の約2倍に。「いざというとき」のために専門性を高めておきたいと考えるのと同様、広範囲なスキル・知識を身につけることで環境の変化に対応できるようにしておきたいという意識がうかがえます。
3. 「上司に相談する機会」を求める新入社員の割合が調査開始以来最高の48.8%
「キャリア形成支援について会社に期待することは何か」という質問(図3-1)では、「上司に相談できる機会をつくってほしい」が48.8%と昨年から10ポイント近く伸び、過去最高を記録しました。また「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい」も29.7%と、調査開始以来最も高い割合となりました。在宅勤務や自宅待機によって対面でのコミュニケーションを取る機会が少なく、今後に対する不安も抱えていることから、上司や先輩社員に相談できる場を求める新入社員が増えたのではないかと推測できます。
また、どのような状況なら今の会社で働き続けようと思うか聞いたところ(図3-2)、「職場の人間関係が良い」状況なら働き続けたいと答えた新入社員が66.6%と最多でした。在宅勤務や自宅待機、プライベートでは外出の自粛など、職場に限らず人と接する機会が減っていることもあり、人間関係を重視する傾向が表れたのではないかと考えられます。
4. 就職活動については変化が見られず
なお、就職活動に関する質問については、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前の時期に就職活動を行っていたためか、過去の結果と大きな変化は見られませんでした(図4-1、図4-2)。状況が激変したことで、新入社員の意識に変化が起きた可能性が高いと推測されます。
まとめ
今回の調査から、今年度の新入社員の就社意識は例年と比べて高く、また、万が一の場合に備えて専門性を高めておきたいと考える新入社員が増えていることが明らかとなりました。さらに、会社に対して、上司などに相談する機会をつくってほしいと答える新入社員も増えています。このような新入社員の意識変化には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入社直後の在宅勤務や自宅待機のほか、景気の急速な悪化などによる様々な不安が大きく影響していると考えられます。こういった状況の中で新入社員を迎え入れた会社側には、上司に相談できる場の設定など新入社員の不安を払拭するような取り組みが求められているといえそうです。
調査概要 2020年度新入社員のキャリアに対する意識調査(速報値)
調査対象者 | 当社が提供する新入社員向け研修の受講者(会場型・オンライン型) |
調査時期 | 2020年4月2日~2020年4月22日 |
調査方法 | 自記式またはWEBでのアンケート調査 |
サンプル数 | 3,128名 |
属性 |
(1)性別 (2)所属企業の従業員数規模 ⑤不明:6.3%(198名) |
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「2020年度新入社員のキャリアに対する意識調査」】と明記ください
株式会社ラーニングエージェンシーについて 当社は、設立以来、公開型定額制ビジネス研修 「Biz CAMPUS Basic」、モバイル活用 反転学習アプリ「Mobile Knowledge」、ビジネス基礎力診断テスト 「Biz SCORE Basic」など、人と組織の学びを支援するサービスを開発・提供することで、これまでに延べ13,000 社以上の企業を支援しています。 |
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