【人的資本理論の実証化研究会】「賃上げは、能力が反映された結果か」を2024年度は研究。参画企業を募集開始 -無料勉強会を1月~2月に開催(取材可)-
一橋大学大学院 小野浩教授と、一橋大学大学院 特任教授 兼 Institution for a Global Society 株式会社(以下、IGS) 代表取締役社長 福原正大が、共同座長を務める「人的資本理論の実証化研究会」(以下、本研究会)は、2024年度(2024年6月~2025年3月)の参画企業の募集を開始しました。
本研究会は、能力・エンゲージメント・コンプライアンスなどの人的資本に関わるファクターが企業価値にどう寄与するのかを明らかにし、効果的な人的資本投資と企業価値向上を促すために2022年に設立されました。ノーベル経済学者のゲーリー・ベッカー氏の人的資本理論に基づき、企業の実データで研究している点が特徴です。
2024年度の研究テーマは、「賃金と人的資本(能力)の関係」です。持続的な経済成長のためには、従業員の能力向上に向けた人的資本投資を行い、生産性が向上した結果、賃金が上がるという循環が必要です。多くの日本企業では年功序列型の賃金制度が導入され、賃金が実際の能力を十分に反映していないことで生産性向上の妨げになり、人的資本の投資対効果を下げている可能性があります。そこで、能力が賃金にどの程度反映されているかを、企業の実データを分析し明らかにします。
会員企業は、経営戦略上重要な職種のスキル保有状況を可視化したうえで、自社の賃金に対して能力がどのように影響しているのかを明らかにすることができます。また、ゲーリー・ベッカーの人的資本理論を学ぶとともに、人的資本に関わるファクター(能力、エンゲージメント、リスクなど)が企業価値にどう結びついているのかを可視化することができます。
2024年度参画企業募集に伴い、無料の勉強会を開催いたします。(メディアも見学・取材可能)
【ダイジェスト勉強会(無料)概要】
「『言われて賃上げ』は人的資本投資にならない。人的資本と賃金の関係とは?(仮)」
小野浩共同座長 講演付
2024年1月18日(木)11時30分~13時、2月7日(水)11時30分~13時
「投資家は定量データで見ている― 人的資本の投資対効果を探る研究会の成果(仮)」
欧州最大級の運用会社アムンディ・ジャパン 岩永泰典氏 ご講演付
2024年2月2日(金)11時30分~13時
場所:如水会館(東京都千代田区一ッ橋2-1-1)※遠隔地の場合、オンライン可
■研究会の活動概要
〇人的資本と企業価値のフレームワーク
本研究会は人的資本に関わる様々なファクターをデータで測定し、どの人事施策が企業価値に寄与しているか、その投資対効果を明らかにするため、産学連携で研究を進めています。(2023年度は33社が参画:https://hc-cv-research.jp/member)
各ファクターは、下図の通り整理しています。
ゲーリー・ベッカーの理論に基づき、「人的資本(能力)」を企業価値の源泉と位置づけた。人的資本(能力)は、「経営戦略上重視するスキル」ならびに「スキルを習得・活用する力」の2段構成。スキル研修を実施しても、実際にスキルを習得する力や活用する力が無ければ生産性に繋がらないため。
エンゲージメントやダイバーシティは、能力を企業価値に効果的に繋ぐ条件とし、「人的資本(能力)の発揮度」と名付けた。人的資本(能力)は、発揮度と掛け合わさることで、企業価値に影響を与える構造。
人権意識向上やコンプライアンス遵守は、企業価値を損ねる可能性をはらむ重要なテーマであり、「人的資本(能力)起因のリスク」として整理。
〇研究活動実績
2022年度は、人的資本(能力)が高い企業(従業員の能力が高い企業)が、株式銘柄として優位である示唆を得ました。(プレスリリース:https://hc-cv-research.jp/news/press_230323)
2023年度は、人的資本(能力)(「経営戦略上重視するスキル」ならびに「スキルを習得・活用する力」)を測定・数値化し、発揮度・リスクに関連するファクターのデータも併せて、企業パフォーマンスとの関連性を分析中です。また個別支援として、大手IT企業が、企業のパフォーマンス指標(営業利益等)に対して、能力や発揮度がどのように影響しているのかを定量的に検証しています。更に大手金融企業も、経営戦略上重要となる複数の職種について、スキルマップを作成して、スキルの現状を可視化する取り組みをおこなっています。
■2024年度研究テーマ
日本の政府、連合、経団連は持続的な賃金上昇を目指していますが、賃上げ=人的資本投資と混同されることがあります。人的資本理論に基づくと、人的資本(能力)への投資を伴わない賃上げは、人的資本(能力)のストックを増やさないため、生産性向上につながりません。
2024年度の研究では、「能力と賃金の関係」に焦点を当て、ベッカー理論を応用した「ミンサー型賃金関数※1」を使用して、賃金に能力がどの程度反映されているかを具体的に検証します。これまでの研究では、教育・経験・勤続の年数などが能力の代用として使われてきました。本研究では、IGSが独自開発した手法(以下参照)を使って個人の能力を測定、そしてこの能力データを「ミンサー型賃金関数」に入れ込むことで、能力と賃金の関係をより詳細に検証することができます。説明力の高い賃金関数を生み出すことにより、能力、個人属性、企業特性など異なるスペックを取り入れた賃金のシミュレーションも可能になります。
(※1 労働経済学の父と呼ばれる経済学者ジェイコブ・ミンサーが提唱。50年後の今でも広く使われ、すでに多くの研究機関等で実データを使った実証が行われている)
■会員内容(詳細:https://hc-cv-research.jp/news/plan )
人的資本(能力)への投資対効果を検証にするためには、まず経営上重要なスキルを定義し測定する必要があります。一方、多くの参画企業の皆様からは、そのファーストステップとなるスキル定義のハードルが高いといったお声もお聞きしております。そこで2024年度は、IGSが提供する、人的資本の測定及び投資対効果の検証を行う新サービス「GROW Flag(グロー・フラッグ)※2」を活用し、企業間を超えて横比較可能な評価基準に基づいたスキルマップの作成支援から、能力(スキル及びスキルの習得・活用力)の測定まで実施いたします。(※2:2023年度会員企業実施中)
2024年度は、スタンダード(500万円)とライト(200万円)のいずれかのプランでご入会可能です。
スタンダードプランがお勧めの企業
人的資本データの蓄積・分析を行い、企業価値向上に活きる人事施策をおこなっていきたい
ライトプランがお勧めの企業
まずは人的資本データを可視化することで、どのようなインサイトがあるか体験してみたい
■研究会 概要 HP:https://hc-cv-research.jp/
〇発足背景
2023年3月期決算から義務化された「人的資本の情報開示」に向けて、多様な人的資本の指標に関する議論が行われています。本研究会は、日本企業がこれらの開示にとどまらず、「そもそも人的資本が企業価値にどれだけ寄与するものか(人的資本の投資対効果)」を明らかにすることで、経営者へデータに基づいた人材施策の投資判断を促し、かつ投資家への戦略的な情報開示を実現するために発足しました。2023年度は33社の企業が参画しています。(2023年10月末時点)
本研究会では、ゲーリー・ベッカーのもとで学んだ小野教授の人的資本理論に基づきながら、人材能力データ・財務データ等を含めた企業の実データを分析し、研究を進めています。
2022年度の研究成果:https://hc-cv-research.jp/news/press_230323
『人的資本の投資対効果』開示レーティング~有価証券報告書 日経225版~:https://hc-cv-research.jp/news/rating202303
■本件の問い合わせ先
〇研究会へのお問い合わせ:「人的資本理論の実証化研究会」運営事務局
E-mail: hc-cv-research@i-globalsociety.com
〇取材に関するお問い合わせ:メディア関係者限定公開情報欄に記載
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