〈中小企業経営に関する実態調査 第2弾〉「骨太方針2024」の認知度に課題約6割の中小企業が「知らない」と回答
物価上昇を上回る賃上げを実現できている企業は2割 未満一方、賃上げの実施背景1位は「従業員満足度の向上」 賃上げ政策の認知拡大と効果的な実施が今後の課題に
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者851人に「中小企業経営に関する実態調査 」を実施しました。
インフレや賃上げに関する政策の推進が企業経営に大きな影響を与える中、実際の賃上げ状況には課題が見受けられます。企業が賃上げをどのように実施し、どのような課題が在るのかを明らかにするため、今回は中小企業経営における賃上げの実態について調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
①物価上昇を上回る賃上げを実現できている企業は2割未満
約4割の企業が「賃上げを実施していない」と回答
中小企業が物価上昇を上回る賃上げを実現できていない現状が明らかに
②約6割の企業が賃上げの背景は「従業員満足度の向上のため」と回答
一方、物価上昇への対応など「防衛的賃上げ理由」が上位を占める結果に
③「骨太方針2024」について約6割の企業が「知らない」と回答
内容を理解している人はわずか1割未満にとどまる
賃上げ政策の認知拡大と効果的な実施の必要性が浮き彫りに
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間:2024年7月8日~2024年8月10日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数:851
①物価上昇を上回る賃上げを実現できている企業は約2割未満
約4割の企業が「賃上げを実施していない」と回答
中小企業が物価上昇を上回る賃上げを実現できていない現状が明らかに
Q1.昨年11月に、公正取引委員会等による「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が策定され、物価上昇を上回る所得の増加にむけた取り組みが推進されています。
貴社では「物価上昇を上回る賃上げ」を実現できていますか。
「物価上昇を上回る賃上げ」の状況について、「実現できている」と回答した企業は14.3%、次いで「物価上昇を上回るほどではないが、賃上げは実施した」が41.7%、「賃上げを実施していない」が43.9%という結果となりました。この結果から、 「物価上昇を上回る賃上げ」を実現できている企業は2割未満で少数であることが明らかになっており、物価上昇を上回る賃上げの実現には課題があることがわかります。
②約6割の企業が賃上げの背景は「従業員満足度の向上のため」と回答
一方、物価上昇への対応など「防衛的賃上げ理由」が上位を占める結果に
Q2.賃上げを実施していると回答した方に伺います。貴社が賃上げを実施した背景として当てはまるものを教えてください。(複数回答)
賃上げを実施した背景について、「従業員満足度の向上のため」と回答した企業が66.7%と最も多い結果となりました。次いで「物価上昇を受けて」が41.7%、「人材確保のため」が39.8%、「最低賃金の上昇を受けて」が30.6%、そして「業績がアップした、または業績アップが見込めるため」が22.9%、「賃上げ促進税制が施行されたため」は4.4%という結果となりました。この結果から、従業員満足度の向上を目的とした積極的賃上げを実施している中小企業は多いものの、実際は防衛的賃上げ理由が背景にあることが推測されます。
③「骨太方針2024」について約6割の企業が「知らない」と回答
内容を理解している人はわずか1割未満にとどまる
賃上げ政策の認知拡大と効果的な実施の必要性が浮き彫りに
Q3.令和6年6月21日に、「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)が閣議決定されましたが、どの程度把握していますか。
「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)に関する認知度について、「知っており、内容を理解している」が4.3%、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」が35.5%、そして「知らない」が60.2%という結果となりました。この結果では、全体の約6割が「骨太方針2024」について「知らない」と回答しており、政策の認知度が低いことが示されており、賃上げ政策の認知拡大と効果的な実施の必要性が高まっていること浮き彫りになりました。
Q1では物価上昇を上回る賃上げを実現している企業が少数であり、中小企業での物価上昇を上回る賃上げ実施には課題があることが浮き彫りとなりました。Q2では、従業員満足度の向上を背景としつつ、防衛的な賃上げの実施となっている現状がわかりました。また、Q3の結果が示すように、「骨太方針2024」の認知度は低く、約6割の企業が認知していない状況です。
これらの結果から、中小企業の賃上げ実施の支援や、政策の認知拡大が今後の重要な課題であると言えます。
【有識者のコメント】骨太の方針2024と中小企業の賃上げの現状について
フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサルティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバル GDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。
■コメント
今回の調査結果から、物価上昇を上回る賃上げを実現できている中小企業が2割未満であること、また、約4割の企業が賃上げを実施していない状況であり、賃上げによる物価上昇への対応には大きな課題が存在することが明らかになりました。賃上げを実施した理由として「従業員満足度の向上」が最も多く挙げられましたが、「物価上昇を受けて」や「最低賃金の上昇を受けて」などの「防衛的賃上げ」も見受けられ、企業が外部環境の変化に対抗するために賃上げを行っているケースが多いことを示しています。また、政府の「骨太方針2024」に関する認知度の調査も実施し、約6割の企業が「知らない」と回答しており、国や政府の声が中小企業に届いていない現状も露呈しました。
今回の賃上げのような国を挙げての施策を実施する場合、国や政府は企業への情報、支援策などを発信、提供します。まずはそのような国や政府の声が中小企業に確実に届くような状態になることが重要と言えるでしょう。そして、それらを中小企業が活用できるようになれば、今の状況は改善へと向かうでしょう。今後も国や政府と中小企業の橋渡しとなるべく、フォーバル GDXリサーチ研究所は調査・発信を続けてまいります。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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