【人事・教育担当者395人に調査】51.6%の企業が新卒採用の目標達成度8割以上 内定式は6割弱が実施未定
コロナ禍の新卒採用に関する調査
背景
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの企業が働き方や事業運営の変化を迫られました。特に3月頃を境に外出自粛やテレワーク推奨が広まり、説明会や面接が例年通りに行えないなど、企業の新卒採用活動においても大きな影響が出ています。
その中で新卒採用が具体的にどのような影響を受け、また企業は今後どのような課題に対処していく必要があるのか、アンケート調査をもとに考察しました。
調査結果の概要
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1. 8割が新卒採用に「影響あり」と回答するも、「説明会参加者/エントリー数の減少」を感じている企業は2割以下
2. 半数強の企業が採用予定人数に対する達成度80%以上。達成度0%の企業は1割にとどまる
3. 新卒採用の課題1位は「応募者との接点確保」で半数超え。次いで「説明会の実施方法」、「内定後のフォロー」
4. 内定式は約6割が実施未定。中止を決めた企業は5.9%
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調査結果の詳細
1. 8割が新卒採用に「影響あり」と回答するも、「説明会参加者/エントリー数の減少」を感じている企業は2割以下
新型コロナにより「やり方の変更」あるいは「新たな対応が必要」となった人事業務を複数回答で尋ねたところ、最も多かった回答は「採用(69.1%)」となりました(図1-1)。加えて、新卒採用への影響の有無については全体の約8割(79.7%)が「影響があった」と回答しています(図1-2)。
具体的な影響については、「採用スケジュールの変更(68.2%)」が最も多く、「合同説明会、外部イベントの中止(56.9%)」、「選考方法の変更(40.0%)」と続きます。
一方、「説明会参加者の減少(18.0%)」や「エントリー数の減少(14.9%)」と回答した企業は10%台にとどまり、採用母集団形成に関するネガティブな影響は少ない傾向となりました。また、「新卒採用の中止」を余儀なくされた企業は全ての選択肢の中で最も少なく、6.7%となりました(図1-3)。
2. 半数強の企業が採用予定人数に対する達成度80%以上。達成度0%の企業は1割にとどまる
次に、採用予定人数に対する現在の達成度を尋ねると、「100%、100%以上(31.3%)」が最多で、「80~90%(20.3%)」と合わせて、全体の半数以上(51.6%)が達成度80%以上という結果になりました。対して達成度が「0%」の企業の割合は10.7%でした。この設問の結果に従業員数による傾向の差は見られず、企業規模にかかわらず一定の達成度を保てていることがわかりました(図2)。
3. 新卒採用の課題1位は「応募者との接点確保」で半数超え。次いで「説明会の実施方法」、「内定後のフォロー」
新卒採用活動における今の課題は、「応募者との接点を持つ場の確保(51.6%)」が最も多く、次いで「説明会の実施方法(Web/対面など)(45.6%)」、「内定後のフォロー(41.3%)」となりました(図3)。
また、「Web説明会のノウハウ(33.1%)」「Web面接のノウハウ(31.9%)」などオンライン対応に伴うノウハウの必要性を感じている傾向がうかがえます。
4. 内定式は約6割が実施未定。中止を決めた企業は5.9%
今年の内定式の実施については、「実施する」と回答した企業が35.3%、「中止する」と回答した企業が5.9%となった中で、「検討中(43.1%)」が最多となり、「わからない(15.7%)」と合わせて全体の約6割(58.8%)の企業が、実施有無を悩んでいることが明らかになりました(図4)。
考察
ラーニングエージェンシー ジェネラルマネジャー(コンサルタント) 根本博之 総合人材サービス会社にて営業を経験した後、ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション)に入社。企業の人材育成などに携わり、年間100回以上のビジネス研修に講師として登壇。現在は、中堅・大企業の人材開発を支援する傍ら、社内コンサルタント育成の責任者を務める。 |
今回の調査を通じ、新型コロナ対応により様々な影響を受けながらも、多くの企業が未来への投資である新卒採用を止めることなく、また企業規模によらず一定の成果を得ていることがわかりました。
大きな変化の1つとして、採用活動のオンライン化が挙げられますが、Webの面接や説明会のノウハウを課題とする企業はともに30%台にとどまりました。しかし、コロナ禍前に説明会・面接フェーズを終え、今年度はオンライン化の必要がなかった企業も、今後はオンライン化を進めざるを得ない可能性が高く、来年度以降はさらに多くの企業の課題となりそうです。採用活動を早く終えた企業は、オンライン対応の経験値不足を補うため、来年度に向け早めの準備と業務フローの見直しが必要になります。
また、例年多くの企業で10月1日に実施される内定式については、本調査を行った8月初旬時点でも半数以上の企業が実施するか否かを決定しておらず、人事の苦悩が見て取れます。人材開発という観点から見ると、内定式は学生の意識を切り替え、スムーズな組織社会化*1を促す場でもあります。新入社員の早期戦力化を促進するためにも、もし内定式を中止するならば、内定式に代わる組織社会化のための手段を講ずることが求められます。
*1 組織社会化:新入社員が入社して「新しい組織に適応していくプロセス」のこと
調査概要
調査対象者 | 人事・教育担当者 |
調査時期 | 2020年8月3日~2020年8月7日 |
調査方法 | Webでのアンケート調査 |
サンプル数 | 395人 |
属性 | (1)業種 ①IT・インターネット:19.7%(78人) ②製造:18.7%(74人) ③流通・小売・サービス:15.9%(63人) ④建設・不動産:10.1%(40人) ⑤商社:9.4%(37人) ⑥金融:3.3%(13人) ⑦マスコミ・広告:3.3%(13人) ⑧医療・福祉:2.5%(10人) ⑨その他:16.9%(67人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1~50人:11.4%(45人) ②51~100人:23.5%(93人) ③101~300人:37.2%(147人) ④301~500人:10.4%(41人) ⑤501人以上:17.5%(69人) |
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「コロナ禍の新卒採用に関する調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
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