総務が利用を推奨する福利厚生と実際の利用率にギャップ。「リスキリング」や「ウェルビーイング」に関する制度の利用に伸び悩む。約3割は制度の見直しを実施せず
~導入の課題は「コストの増大」や「利用の偏り」~
日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「福利厚生についての調査」を実施し、231名から回答を得ました。
【調査結果 概要】
・総務が利用促進したい福利厚生は「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「ウェルビーイング・健康経営」
・利用率の高い福利厚生は「休暇」「両立支援(育児・介護)」「余暇・レクリエーション」
・福利厚生の見直し理由は「働き方の変化」「社会情勢の変化」など
・福利厚生の導入における課題は「コストの増大」「利用制度の偏り」「利用率の低さ」
前回調査(2021年4月):https://www.g-soumu.com/articles/linkage-2021-04-welfarequestionnaire
【調査結果 詳細】
■福利厚生導入の目的は「離職率の低下」が最多
福利厚生を導入する目的について尋ねたところ、70.1%が「離職率の低下」を挙げ、次いで「採用力の向上」が56.7%、「企業イメージの向上」が47.2%と続きました(n=231)。企業が福利厚生を通じて、従業員の定着率や採用活動への影響を重視していることがわかりました。
■総務が利用促進したい福利厚生は「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「ウェルビーイング・健康経営」
総務として利用を推奨したい福利厚生制度について尋ねたところ、「両立支援(育児・介護)」が34.2%で最多となりました。続いて「リスキリング・キャリア開発」が29.4%、「ウェルビーイング・健康経営」が26.8%と続きました(n=231)。総務として、従業員の生活やキャリアをサポートする取り組みが重視されていることがわかります。
■利用率の高い福利厚生は「休暇」「両立支援(育児・介護)」「余暇・レクリエーション」
利用率の高い福利厚生制度については、「休暇」が32.5%で最も多く、「両立支援(育児・介護)」が30.7%、「余暇・レクリエーション」が24.7%と続きました(n=231)。従業員は時間的なゆとりを重視する傾向がうかがえます。
■総務が利用を推奨する福利厚生と実際の利用率にギャップ
総務が使用を推奨するものと実際の利用率にギャップが見られました。「両立支援(育児・介護)」は推奨度が34.2%と最も高い一方で、実際の利用率は30.7%にとどまっています。同様に「リスキリング・キャリア開発」は29.4%が推奨するものの、利用率は13.9%と大きく差が開いています。また、「ウェルビーイング・健康経営」も推奨度26.8%に対して利用率は8.7%と低く、推奨される施策が必ずしも高い利用率を実現していない現状が浮き彫りになりました。
■約3割が福利厚生の見直しを行っていない
福利厚生制度の見直し頻度について尋ねたところ、「毎年」見直している企業が23.8%で最も多く、続いて「2〜3年に一度」が20.3%、「4〜5年に一度」が19.9%となりました。一方で、「見直しをしていない」と回答した企業は29.0%で、見直しを行っていない企業も一定数存在していることがわかります(n=231)。
■福利厚生の見直し理由は「働き方の変化」「社会情勢の変化」など
福利厚生制度の見直しのきっかけは、「働き方の変化」が61.0%で最多、次いで「社会情勢の変化」が51.2%、「従業員からの要望」が46.3%と続きました(n=164/福利厚生の見直しを行っている企業)。近年のリモートワーク普及などが見直しに影響していると考えられます。
■福利厚生制度の満足度やニーズは「従業員アンケート」で把握
福利厚生制度の満足度やニーズの把握方法は、「従業員アンケート」が45.5%で最も多く、次いで「利用率の分析」が35.9%、「1on1」が13.9%と続きました(n=231)。
従業員アンケート:45.5%
利用率の分析:35.9%
1on1:13.9%
把握できていない:31.2%
■福利厚生制度の利用促進方法は「イントラネットや社内報での周知」が最多
福利厚生制度の利用促進に向けた取り組みについては、「イントラネットや社内報での周知」が45.9%で最多、次いで「全社会議での周知」が33.8%、「チャットツールでの周知」が23.4%と続きました(n=231)。
■過去3年の法定外福利費の予算は半数以上が「変わらない」
過去3年間の法定外福利費の予算の変化について尋ねたところ、55.4%が「変わらない」と回答し、次いで34.6%が「増加した」と答えました(n=231)。一方、「減少した」と答えた企業は10.0%にとどまりました。
■福利厚生の導入における課題は「コストの増大」「利用制度の偏り」「利用率の低さ」
福利厚生制度の導入や運用において直面している課題として、「コストの増大」が45.9%で最も多く挙げられました。次いで「利用制度の偏り」が36.8%、「利用率の低さ」が34.2%、と、福利厚生の効果的な運用にはコスト面や利用状況に課題があることが明らかになりました(n=231)。
■総評
今回の調査結果から、福利厚生制度が企業の人材戦略において重要な要素となっていることが明らかになりました。利用を促進したい施策としては「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「自己啓発」が上位に挙がっており、かつて主流だった「余暇・レクリエーション」「住宅」といった、いわゆる「ハコモノ」から従業員のライフスタイルに合わせた「ヒトモノ」にシフトしています。特に両立支援は利用率も高く、今後注力する企業が増えるでしょう。
さらに、福利厚生制度におけるコストの増大や利用率の偏りが課題として挙げられており、持続的な制度運用を目指すためには、コスト面での最適化と従業員ニーズに即した施策の見直しが不可欠です。総務がコンダクターとなり、経営の意図や従業員のニーズを吸い上げてバランスの良い制度設計をすることで、従業員の満足度と生産性の向上が期待され、企業の成長を支える重要な基盤となるでしょう。
■株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール
株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSCの代表理事、(一社)ワークDX推進機構理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。
▼メディア実績はこちら
https://www.g-soumu.com/company/message
【調査概要】
調査名称:福利厚生についての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年8月7日〜2024年8月19日
有効回答数:231件
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
■『月刊総務』について
創刊61年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)
■株式会社月刊総務 会社概要
社名:株式会社月刊総務
代表:代表取締役 豊田健一
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立:2018年8月
事業内容:
・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行
・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営
・「総務セミナー」「総務サロン」の主催
・働き方改革関連コンサルティング 等
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