〈中小企業の次世代戦略への対応調査 第2弾〉事業承継に向けた後継者の育成を行っていない中小企業が約7割 次期後継者育成のために行っていること1位は「経営者との共同作業やプロジェクトへの参加」
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、全国の中小企業経営者934人に「中小企業の次世代戦略への対応調査」を実施しました。
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超高齢化社会の日本において、中小企業経営者の高齢化もまた課題となっています。東京商工リサーチの調査によると、中小企業の経営者の70代以上、60代が3割ずつとなっています。人的リソースが不足している中小企業では、次期後継者のサポートができる人材もあまりいないケースが多く、また世代交代がスムーズでないと休廃業にも繋がってしまう可能性があるため、事業承継に向けて早めに育成を行う必要があります。
このような背景から、今回は中小企業経営者に事業承継に向けた後継者の選定・育成状況を調査しました。
【調査結果サマリー】
①事業承継に向けた次期後継者が決まっている中小企業は2割以下
候補者もいない企業が半数以上
②後継者の育成として行っていること1位は「経営者との共同作業やプロジェクトへの参加」
育成に対する課題1位は「経営者の経験やノウハウの伝承」
③後継者の育成を行っていない理由1位は「まだ育成には早いから」
存続させず、廃業予定が約2割、売却予定が約1割
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2024年11月11日~2024年12月13日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :934人
(注)本リリースでは小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100%とならない場合があります。
①事業承継に向けた次期後継者が決まっている中小企業は2割以下
候補者もいない企業が半数以上
Q1.貴社では事業承継に向けた次期後継者は決まっていますか。(N=934)
中小企業の経営者に対して、事業承継に向けた次期後継者が決まっているか聞いたところ、「決まっている」が19.0%、「決まっていないが候補者はいる」が25.2%、「決まっておらず候補者もいない」が55.9%という結果となり、多くの企業で事業承継が進んでいないという状況が明らかになりました。
Q2.Q1で「決まっている」「決まっていないが候補者はいる」と回答した人に伺います。
貴社では事業承継に向けた後継者の育成をしてますか。(N=412)
また、事業承継に向けた後継者の育成について聞いたところ、「している」が62.6%、「していない」が37.4%という結果となりました。
後継者やその候補が決まっていなければ、育成もできません。スムーズな世代交代のために、まずは次期後継者やその候補者を決める段階の企業が多いことが分かります。
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②後継者の育成として行っていること1位は「経営者との共同作業やプロジェクトへの参加」
育成に対する課題1位は「経営者の情報やノウハウの伝承」
Q3. Q2で後継者の育成をしていると回答した方に伺います。
具体的な取り組みとして当てはまるものをすべてお選びください。(N=258)※複数回答可
後継者の育成を行っている中小企業の経営者に具体的な取り組みを聞いたところ、「経営者との共同作業やプロジェクトへの参加」が44.8%と1位、次いで「経営者との定期的な1on1の設定」が38.1%で2位、「パートナー企業や取引先への後継者紹介」が21.7%で3位となりました。経営者の近くで一緒に仕事をしながら伝えていく、コミュニケーションで考えやマインドを伝えるといった経営者が多いと推察されます。
Q4. Q2で後継者の育成をしていると回答した方に伺います。
育成に対する課題として当てはまるものをすべてお選びください。(N=258)※複数回答可
また、育成の課題について聞くと、「経営者の経験やノウハウの伝承」が53.4%と1位、「承継すべき情報の整理」が49.8%と2位、「経営スキルの伝承」42.3%と3位に挙がりました。
Q3で挙がったように、一緒に共同作業やプロジェクトを行う、コミュニケーションを増やすなどの機会創出は行っても、経験、ノウハウ、スキルといった目に見えないものをどう伝えるかや、そもそも何を伝えるべきかの整理は一朝一夕にはできません。事業承継は誰もが初めてであることが多いため分からないことが多いのも当たり前であるため、外部の専門家やコンサルタンを活用しながら進めることもおすすめです。
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③後継者の育成を行っていない理由1位は「まだ育成には早いから」
存続させず、廃業予定が約2割、売却予定が約1割
Q5. Q2で後継者の育成をしていないと回答した人に伺います。
育成していない理由をすべてお選びください。(N=154) ※複数回答可
後継者の育成をしていない中小企業の経営者に理由を聞いたところ、「まだ育成には早いから」が52.6%と1位、「育成の必要性を感じていないから」が18.2%と2位になりました。
Q6. Q2で後継者の育成をしていないと回答した人に伺います。
今後事業をどのようにする予定ですか。(N=154)
事業をどのようにする予定か聞いたところ、「後継者を決めて存続する予定」が67.0%、 「他社に売却する予定」が4.2%、「後継者は決めず廃業する予定」が1.6%となりました。
廃業や売却を考えていることも多いことから、育成をしていないという人も多いようですが、存続する予定の方も半数近くいらっしゃり、そういった企業では早めに動き出す必要があります。また。廃業を考えているという方も、会社経営の目的は「存続」であるため今一度検討できると良いかと思われます。
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有識者のコメント】中小企業の次世代成長戦略への対応の現状について
フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサルティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバル GDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。
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■コメント
今回、中小企業の事業承継についての調査結果を報告しました。
次期後継者が決まっている企業はわずか19.0%、候補者さえいない企業が55.9%にのぼり、多くの中小企業で次期後継者が不在、候補もいない状況が明らかになりました。
後継者育成の課題としては、「経営者の情報やノウハウの伝承」が最も多く、正解の形がない課題に悩む経営者も多いことが推察されます。この課題解決のために、まずは、経営者が自社の経営理念、ビジョンを明確に定め、次の世代にバトンを渡すために、中長期的な育成を見据えて取り組むこと。また、次期後継者育成の具体的な取り組みでも多く挙がった、「経営者と候補者との共同作業やプロジェクトへの参加」、「定期的な1on1の設定」など、実践的な経験を共有する機会を設けることが重要です。
また、事業を存続させず廃業で終わらせようと考えている経営者も一定数存在します。
しかし、会社経営の目的は存続です。自社に関わる全てのステークホルダーのためにも、後継者の育成だけでなく、M&Aといった自社以外の企業との連携を含めたあらゆる選択肢を持ち、持続可能な企業として今後も存続させるために何ができるか、今一度考えていただきたいと考えます。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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