約9割が自社の企業文化のアップデートを必要と認識。最大の課題は「経営層と従業員の意識の乖離」。
~総務には文化の鍵となるコミュニケーションを創出する役割が求められる~
日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の企業を対象に「企業文化に関するアンケート調査」を実施し、136名から回答を得ました。
【調査結果 概要】
約9割が自社の企業文化をアップデートする必要性を実感
企業文化アップデートにおける総務の役割は「社内コミュニケーションの促進」が最多
企業文化アップデートのために取り組んでいる施策は「社内表彰制度」が最多。効果実感が高いのは「定期的な全社ミーティング」
企業文化アップデートの課題は「経営層と従業員の意識の乖離」
総務に求められるスキルは「コミュニケーション能力」「変革推進力」「分析力」
■9割以上が企業文化のアップデートは重要だと回答
企業文化のアップデートの重要性について尋ねたところ、「とても重要」と「やや重要」が合わせて94.8%で、9割以上がアップデートの意義を認識していることが明らかになりました(n=136)。

■約9割が自社の企業文化をアップデートする必要性を実感
自社の企業文化のアップデートの必要性について尋ねたところ、「とても必要」と「やや必要」が合わせて88.9%で、約9割がアップデートの必要性を感じていることがわかりました(n=136)。

<必要だと思う理由/一部抜粋>
・必要以上に伝統を重視しすぎることで、現代社会から置いていかれる懸念があるから。
・若い人にも魅力ある企業であると認識してもらう必要があるから。
・環境に合わせて変化・進化できない企業は衰退すると思うから。
・変化の激しい時代では、社員が迷うことが多くなるので、常に社内に求心力を働かせる必要があるから
・軸となる部分を大きく変える必要はないが、社会の変化や時代の流れに合わせてより腹落ちする内容にするための見直しは必要であり、それが社員の意欲にもつながると感じるから
<会社の文化でよいと思うところ/一部抜粋>
・経営層と従業員とのコミュニケーションは円滑にかつ遅滞なく行われて、情報共有ができているところ。
・従業員に何かあった際、親身になってくれるところ。
・社員のスキルアップやキャリア成長を支援するためのトレーニングや研修プログラムが充実していて、自己啓発を奨励し、学び続ける文化が根付いているところ。
・頑張りがきちんと評価されるところ。
<会社の文化で悪いと思うところ/一部抜粋>
・残業することが一義的に善とされているところ。
・理念に基づいた経営・事業計画立案・業務遂行がされていないところ。
・各役職における権限と責任があいまいで、権限移譲のしくみも進んでいないため、的確な意志決定をする管理職が少ない。
・実力はないが上に気に入られる人が昇進して、本当に努力している縁の下の力持ちが評価されない。
・ビジネスチャットツールやWEB会議システム、AI等の新しいITツールに対して、抵抗感を示す者が多いこと。
■創業10年以上の企業の4割近くが、ミッション・ビジョン・バリューを見直したことがない
創業10年以上の企業に対して、ミッション・ビジョン・バリューの見直しを行なったか尋ねたところ、38.3%が見直したことがないと回答しました(n=120/創業10年以上の企業)

■ミッション・バリューの浸透施策は「企業理念・ビジョンの見直し」が最多。約3割は何も実施したことがない
ミッション・ビジョン・バリューの浸透施策について尋ねたところ、「企業理念・ビジョンの見直し」38.2%が最多、次いで「社内イベント・ミーティングの強化」31.6%、「価値観や行動指針の策定」30.1%となりました。一方で、「実施したことはない」との回答も27.9%あり、実施の有無にばらつきが見られました(n=136)。

■企業文化の影響は「エンゲージメント向上」が最多
企業文化が組織運営に与える影響について尋ねたところ、「従業員のエンゲージメント向上」が75.0%で最多、次いで「会社のブランド力の強化」53.7%、「離職率の低下」41.2%が続きました(n=136)。

■企業文化アップデートにおける総務の役割は「社内コミュニケーションの促進」が最多
企業文化のアップデートにおいて総務部門が果たすべき役割について尋ねたところ、「社内コミュニケーションの促進」が71.3%で最多、次いで「人材育成の支援」43.4%、「企業理念の浸透」39.7%が続きました(n=136)。

■企業文化アップデートのために取り組んでいる施策は「社内表彰制度」が最多、3割近くは未実施
企業文化アップデートのために現在実施している施策について尋ねたところ、「社内表彰制度」が41.2%で最多、「社内報の発行」34.6%、「従業員満足度調査の実施」27.9%が続きました。「取り組みをしていない」と回答した人は27.2%でした(n=136)。

■効果実感が高いのは「定期的な全社ミーティング」
実施している施策の効果について尋ねたところ、「定期的な全社ミーティング」が最も効果を実感していることがわかりました。

■企業文化アップデートの課題は「経営層と従業員の意識の乖離」
企業文化アップデートにおける課題について尋ねたところ、「経営層と従業員の意識の乖離」が68.4%で最多、次いで「部門間の連携不足」52.9%、「施策の効果測定の難しさ」39.7%が続きました(n=136)。

■評価指標として最も多いのは「従業員満足度」。36.0%は評価指標なし
企業文化に関する評価指標について尋ねたところ、「従業員満足度」が38.2%で最多、「離職率」31.6%、「業績指標」21.3%が続きました。一方で、「指標はない」と回答した人も36.0%おり、評価軸の不在が課題であることも伺えます(n=136)。

■総務に求められるスキルは「コミュニケーション能力」「変革推進力」「分析力」
企業文化のアップデートを成功させるために総務部門に必要なスキルについて尋ねたところ、「コミュニケーション能力」が64.0%で最多、次いで「変革推進力」58.8%、「分析力」51.5%と続きました(n=136)。

■企業文化醸成のためのツールは「社内報」「従業員満足度調査ツール」など
企業文化醸成に用いている手法・ツールについて尋ねたところ、「社内報」が33.8%、「従業員満足度調査ツール」が31.6%で上位を占めました。一方、「使用しているものはない」との回答も28.7%に上っており、活用に温度差が見られました(n=136)。
社内報:33.8%
従業員満足度調査ツール:31.6%
社内SNS:22.8%
オンライン会議システム:17.6%
eラーニングプラットフォーム:16.9%
カルチャーブック:12.5%
ピアボーナス:5.9%
その他:2.2%
使用しているものはない:28.7%
■総評
今回の調査では、約9割の企業が「自社の企業文化のアップデートが必要」と回答し、その重要性が多くの企業に広く認識されていることが明らかになりました。背景には、価値観や働き方の多様化に加え、「このままでは時代に取り残される」「若手人材に選ばれなくなる」といった危機感も見られました。しかし一方で、浸透施策の実施状況にはばらつきがあり、「何も実施していない」「評価指標がない」といった課題も依然として存在します。
特に注目すべきは、企業文化のアップデートが「エンゲージメント向上」や「離職率低下」などの経営成果と密接に結びついていると多くの企業が捉えている点です。これは、企業文化が単なる“雰囲気”ではなく、戦略的な資産として捉えられ始めている兆しともいえるでしょう。しかしながら、「経営層と従業員の意識の乖離」や「部門間の連携不足」など、構造的な課題がアップデートの阻害要因となっており、継続的な対話と可視化を通じた文化形成が今後の鍵となります。
総務部門は、組織横断的な存在として企業文化の“担い手”となることが求められます。現場の温度感を把握しながら、社内報や満足度調査といった従来型の手法にとどまらず、デジタルツールの活用やリアルなコミュニケーションの場を通じて、文化の浸透を図る工夫が必要です。従業員一人ひとりが、自らが企業文化の一部であると実感できる仕掛けづくりが、これからの総務に期待されます。
■株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール

株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSCの代表理事、(一社)ワークDX推進機構理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。
※「戦略総務」は株式会社月刊総務の登録商標です。
▼メディア実績はこちら
https://www.g-soumu.com/company/message
【調査概要】
調査名称:企業文化についての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年3月11日〜2025年3月18日
有効回答数:136件
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
■「総務アワード」について
企業の総務部門が推進する優れた施策を表彰する「総務アワード」を初開催いたします。
エントリー開始日の6月2日には応募者向けのオンラインイベントを実施し、応募方法の解説や、資料作成のヒントとなる審査員によるパネルディスカッションを行います。ふるってご参加ください。
特設サイト:https://award.g-soumu.com/
■『月刊総務』について
創刊61年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)
■株式会社月刊総務 会社概要
社名:株式会社月刊総務
代表:代表取締役 豊田健一
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立:2018年8月
事業内容:
・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行
・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営
・「総務セミナー」「総務サロン」の主催
・働き方改革関連コンサルティング 等
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