「フォロワーシップに関する定量調査」を発表 5つのフォロワーシップ行動が組織成果に関連することが判明 一方で、組織成果にプラスの一部行動は、職場で十分に実践されていない
フォロワーシップ行動における、影響度×実施度×上司評価とのズレを可視化
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田 亮)は、全国の職場で働くメンバー層を対象に実施した「フォロワーシップに関する定量調査」の結果を発表いたします。
近年、マネジメントへの負荷や難度が増す中で、組織運営をリーダー個人の力量のみに依存する体制には限界が指摘されています。組織のパフォーマンスを高めるには、リーダーと対になる存在である部下(フォロワー)が、職場や組織にどのように関与し、行動しているかが重要となります。
本調査では、部下の5つのフォロワーシップ行動が、組織の成果と関連が高いことが明らかになりました。一方で、組織成果との関連が高い行動の一部は、職場での実施度合いが低く、上司からも重視(評価)されにくい傾向が確認されています。また、フォロワーシップが育つ組織の特徴や、職場における条件についても明らかにしています。
本調査は、現代の職場においてメンバー層に求められる有効なフォロワーシップ行動を明らかにし、それを引き出すための実践的なヒントを得ることを目的として実施いたしました。
上司の「評価が高い」フォロワーシップ行動(左図)
組織成果にプラスの一部フォロワーシップ行動は、上司に見過ごされやすい実態(右図)

本調査における「フォロワー」の定義:
職場において部下の立場で業務遂行する者であり、正規雇用者における係長未満の一般職層
フォロワーシップとは:
組織の目標達成のために、フォロワーが自律的かつ主体的に考え、行動すること
■主なトピックス ※トピックスの詳細については「主なトピックス(詳細)」をご確認ください

【フォロワーシップの実態】
1. 部下の積極的なフォロワーシップと消極的なフォロワーシップ:部下のフォロワーシップとして、「指示がなくても必要な行動を自ら見つけて実行する」「感謝や労いの言葉をかける」といった積極的行動は3割超で見られる一方、「できるだけ労力をかけずに仕事を終わらせたい」「最終判断は上司の責任と考える」といった消極的行動も5割超で確認された。
2. 部下のフォロワーシップ行動は5タイプ:フォロワーシップ行動を基に分析すると、部下は「職人」「気づかい」「まとめ役」「自己成長」「批判者」の5タイプに分類された。タイプごとに得意な行動・苦手な行動(消極性)があり、万能なタイプは存在しないことが明らかになった。
【組織の成果につながるフォロワーシップ行動】
3. 組織の成果にプラスの影響が見られたフォロワーシップ行動は5つ:フォロワーシップ行動の中でも、「場づくり」「本音発言」「学び共有」「寄り添い」「踏み出し」の5行動が、組織のパフォーマンスにプラスの影響が見られた。
4. 組織成果にプラスの一部フォロワーシップ行動は、職場では十分に実践されていない:「学び共有」「本音発言」は組織の成果との関連が高い一方で、実施度合いが低く、十分に実践されていない実態が明らかになった。
【上司評価・マネジメントとのズレ】
5. 71.7%の上司層が職場に「信頼できる優秀な部下」がいると回答:信頼できる部下の人数は平均で2.88人。年代では、30₋40代の部下を挙げる上司が多い。
6. 上司が重視する行動と、組織に効く行動にはズレがある:上司は「先回り行動」や冷静な判断を重視(評価)する一方、「学び共有」「本音発言」は評価されにくく、組織への影響度とのズレ(盲点)が示された。
【フォロワーシップを育てる条件】
7. フォロワーシップを育てるのは ①「ヨコの感情交流×タテの対話」:感謝や笑いといったヨコ(同僚)の感情交流と、意見の言いやすいタテ(上司)の対話の両立が、フォロワーシップ行動と組織パフォーマンスを高めていた。
8. フォロワーシップを育てるのは ②「役割の自律性×組織的な余白」:個人の役割の自律性が高いほど、そして組織からの指示に現場で埋められる余白があるほど、フォロワーシップ行動全体にプラスの影響が見られた。
9. 日本的雇用の「無限定性」がフォロワーシップを縮小:労働時間・異動・職務範囲の無限定性が、フォロワーシップ行動を縮小させていることが示された。
■主なトピックス(詳細)

【フォロワーシップの実態】
1. 部下の積極的なフォロワーシップと消極的なフォロワーシップ:部下のフォロワーシップとして、「指示がなくても必要な行動を自ら見つけて実行する」「感謝や労いの言葉をかける」といった積極的行動は3割超で見られる一方、「できるだけ労力をかけずに仕事を終わらせたい」「最終判断は上司の責任と考える」といった消極的行動も5割超で確認された。

2. 部下のフォロワーシップ行動は5タイプ:フォロワーシップ行動を基にクラスター分析でタイプ分けすると、行動全体が積極的な「職人」「気づかい」「まとめ役」な3タイプと、消極的な「自己成長」「批判者」の2タイプに分類された。万能なタイプは存在しないことが明らかになった。

タイプごとに得意な行動・苦手な行動(消極性)が異なる:フォロワーのタイプ別に「多い属性」「フォロワーシップ行動・マインド」「消極性」をまとめた。全体として万能はタイプはおらず、積極的タイプ・消極的タイプのいずれにも、特徴的な得意行動と消極的行動が見られた。

【組織の成果につながるフォロワーシップ行動】
3. 組織の成果にプラスの影響が見られたフォロワーシップ行動は5つ:組織のパフォーマンスにつながっているフォロワーシップ行動を見た。フォロワーシップ行動の中でも、「場づくり」「本音発言」「学び共有」「寄り添い」「踏み出し」の5行動が、組織のパフォーマンスにプラスの影響が見られた。

4. 組織成果にプラスの一部フォロワーシップ行動は、職場では十分に実践されていない:フォロワーシップ行動の実施率を見ると、全体的に「寄り添い」行動は実施度合いが高く、「本音発言」「学び共有」行動は低く、あまり実践されていない。それを組織パフォーマンスとの関連度とマッピングすると、「学び共有」と「本音発言」は、組織に良い影響を与えるにもかかわらず、あまり実施されていない行動であることがわかる。

フォロワーシップ行動の年代別の特徴:男女ともに20代から40代にかけてフォロワーシップ行動全体が減少していく傾向が見られた。一方で、男女ともに60代の行動全体がかなり高い傾向にあるが、今回調査は、正規雇用社員を対象としており、一般的な60歳以上の中でもそもそも意欲や能力の高いメンバーが相対的に多く含まれている可能性がある。

【上司評価・マネジメントとのズレ】
5. 71.7%の上司層が職場に「信頼できる優秀な部下」がいると回答:信頼できる部下の人数は平均で2.88人。年代では、30₋40代の部下を挙げる上司が多い。

6. 上司が重視する行動と、組織に効く行動にはズレがある:上司から見た信頼できる部下(フォロワー)の行動を聴取した。「指示がなくても、必要な行動を自分で見つけて実行する」が最上位。以下、「問題を見つけたら、自分から改善策を提案する」「トラブルや混乱時にも落ち着いて行動できる」が続く。上司層は、主にフォロワーの先回り行動と冷静な業務判断を重視している傾向がみられる。

上司から見た優秀なフォロワーの行動と、その行動が組織パフォーマンスに与える影響度をマッピングした。右下の象限に入る「学び共有」と「本音発言」は、組織に良い影響を与えているものの、あまり上司からは重視されていない。フォロワーシップ行動には、上司からの「盲点」が存在することが示唆される。

フォロワーのタイプ別成果・評価と幸せ実感:フォロワーのタイプ別に各種成果指標の違いを見た。組織パフォーマンスが高い「「職人」「気づかい」「まとめ役」タイプは人事評価が低めで、組織パフォーマンスが低めの「自己成長」「批判者」タイプは人事評価が高いという逆転した関係がみられる。
「自己成長」タイプははたらく幸せ実感と不幸せ実感がともに高いという特徴もある。

【フォロワーシップを育てる条件】
7. フォロワーシップを育てるのは ①「ヨコの感情交流×タテの対話」:フォロワーシップ行動にプラスの影響を与える組織の要素を多変量解析で分析した。チームメンバーや同僚同士の水平的な関係において、感謝や笑いといった感情レベルの交流があることと、上司や上位層に対する意見の言いやすさ、風通しの良さがフォロワーシップ行動全体にプラスの影響を及ぼしていた。

タテの対話関係とヨコの感情交流という2つの要素の高低をもとに、4つの類型に分類して分析した。ヨコの感情交流だけが強い職場は、寄り添いは盛んだが本音の意見がでず、いわば「仲の良いだけの組織」である。タテの対話関係だけが強い職場は、批判的意見はでるものの、感情的な寄り添いが広がっていない。2つの要素がともに高い組織が、圧倒的にパフォーマンスが高い(回帰分析の結果、2要素間に交互作用あり)。

8. フォロワーシップを育てるのは ②「役割の自律性×組織的な余白」:フォロワーシップ行動に紐づいている組織の特徴を見た。個人の役割の自律性が高いほど、そして組織からの指示に現場で埋められる余白(組織的な余白)があるほど、フォロワーシップ行動全体にプラスの影響が見られた。

2つの特徴(「組織的余白」「役割の自律性」)は、ともに高い組織のほうがパフォーマンスが高い。組織的な余白のみが高い組織は、必要以上の労力をかけず、建設的意見がでにくい傾向にある。役割の自律性のみ強い職場は、上司の目線を気にした行動がやや出やすい傾向にある。

9. 日本的雇用の「無限定性」がフォロワーシップを縮小:フォロワーシップ行動を「縮める」人材マネジメントを分析した。
「労働時間の無限定性」「会社都合の異動の多さ」「職務範囲の無限定性」という、いわゆる日本的な雇用習慣がフォロワーシップ行動を縮小させていることが示された。

フォロワーシップ行動を縮小させる各人材マネジメント要素について深堀りすると、「労働時間の無限定性」は消極的フォロワーシップ行動全体を助長。「会社都合の異動の多さ」は、ネガティブ拡散行動を助長し、「職務範囲の無限定性」は先述のポジティブな組織要素全体を低下させている。こうしたいわゆる日本的雇用の要素が総合的に高い場合、フォロワーシップ行動全体が縮小している傾向があった。

■調査結果からの提言

人材マネジメントの世界には、いまだに「組織は管理職のリーダーシップで強くなる」という発想が根強く残っている。リーダーシップに過度に期待し続け、研修訓練のような施策も管理職に偏り続けているし、フォロワーシップに関しては学術研究も極めて少ないままだ。しかし、マネジメントの負荷や難度が上昇する中で、上司任せの組織運営はすでに限界に来ている。今こそ部下=フォロワーに求められる行動と期待役割を明確に示す必要がある。
本調査が示すのは、組織パフォーマンスを左右するのは一部の優秀人材ではなく、様々なタイプの「普通の部下たち」による具体的な行動の積み重ねであるということだ。そこで必要なのは、フォロワーシップ行動を「余裕があればやること」「意識の高い人がやること」といった特別なものにせず、コミュニケーションと役割設計の面から、意図的に醸成していくことである。

また本調査からは、いわゆる日本的な雇用慣行に見られる「時間・仕事・異動」の無限定性が、かえって部下の役割認識を曖昧にし、フォロワーシップを縮小させていることも示された。現場での助け合いや調整が伝統的に重視されてきた日本企業において、むしろフォロワーの行動が引き出されていないという点は、重大な気付きを与えてくれる。
管理職任せの発想から転換しながら、メンバー層の行動をいかにして引き出し全員で組織を強くしていけるかが、これからの人材マネジメント全体を考える上での鍵になるだろう。
フォロワーシップが育つ職場の特徴

フォロワーシップを育てるための人材マネジメントの具体策

●本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
●調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/followership/
●構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要

■【株式会社パーソル総合研究所】< https://rc.persol-group.co.jp/ >について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】< https://www.persol-group.co.jp/ >について
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
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