【レポート】X世代はあらゆるものの板挟み状態? 多重負担に直面する「サンドイッチライフ」の実情

~自分時間が欲しいX世代は“タイパ”がキーワード~

株式会社ミンテルジャパン

 市場調査会社「Mintel Group」の日本法人である株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、先月発刊したミンテルジャパンレポート「X世代へのマーケティング - 日本 - 2025年」の中で、1965-80年生まれ(2025年時点で45-60歳) のX世代特有の課題から、時間を創出するビジネスに注目が集まっていることについて明らかにしました。

 X世代は、子供と親のケア、経済状況の影響を受けながらの家庭での役割、加齢に伴う体調変化など、多重の負担に板挟みになる「サンドイッチライフ」を送っています。そこには、家族を大切にしたいという強い想いがありますが、満足できる自分の時間が確保できていないという現実が浮き彫りになっています。本リリースでは、X世代の消費行動や心理、課題解決へと導くビジネスチャンスについて解説します。

※ミンテルは、ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構え、美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。2021年より日本市場向けにミンテルジャパンレポートを発刊。

※本リリースの調査結果をご利用いただく際には、必ず【ミンテルジャパンレポート『X世代へのマーケティング - 日本 - 2025年』より】とご明記ください。

ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら: https://www.mintel.com/jp/jr-mar-2025-1

 1965-80年生まれのX世代が直面する「サンドイッチ」状態が、世界的な社会現象として注目を集めています。第一に「教育と介護のサンドイッチ」として、子どもの教育費負担と親の介護の間で自由な時間を失い、最近では、継続的な経済不安のために、以前に比べると18歳以上の子どもたちが長期間にわたって家にとどまっていると見られ、世界的に子どもとの同居率も高まっています。第二に「経済のサンドイッチ」として、収入はあっても自由な支出が制限され、インフレ下での家計維持に追われる実態が浮かび上がってきます。第三に「仕事と健康のサンドイッチ」として、40~50代の働き盛りの世代は、職場では重要な役職を任されて奮闘する一方で、自身の健康に不安を抱える状況に直面しています。同年代の親世代と比べて、現代の40~50代の健康状態が悪化傾向にあることも調査でわかっています。こうした時間的・経済的制約の中で効率的な生活を求めるX世代に対し、家事代行や時短サービスなど、「時間を創出する」ビジネスを展開するという新たな市場開拓の可能性が見えてきました。

経済的余裕はあるも自分のために使えるお金は少ない?

子どもの世話と親の介護を担うX世代

 日本において、X世代の男性で「経済的に余裕がある」と回答した人の婚姻状況を見ると、既婚者が約7割を占めます。一方、毎月自由に使える金額を見ると、既婚者は価格帯の低いところに集中していて、その他の人はやや価格帯の高いところに多く見られます。つまり、男性既婚者は経済的にゆとりがあっても自分のために使えるお金は比較的少ないようです。

調査対象: X世代の男性インターネットユーザー500人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月(経済的に余裕がある毎月自由に使える金額

 このように、X世代男性既婚者が経済的ゆとりはあるのに自分で自由に使えるお金が比較的少ないのは、彼らが主に家族のためにお金を使うからです。ミンテルが行った調査によると、X世代男性既婚者は「普段以上の支出をする理由」において、半数以上が「家族と過ごすため」と回答しています。

調査対象: X世代のインターネットユーザー664人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月

 そして、X世代の出費は家族構成が大きく影響しています。X世代の5割は夫婦と子の世帯ですが、子どもと同居する人では「家での飲食」の次に「子どもへの教育費」が優先され、子どもが18歳未満の場合は「子への教育費」が最優先されます。子どものいるX世代にとっては、見た目のおしゃれなどより子どもの教育費の方がはるかに重要なのです。

調査対象: X世代のインターネットユーザー1,000人;X世代の子どもと同居するインターネットユーザー367人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月(子の有無別子の年齢別

 さらに、人生の後半戦に突入したX世代の親は当然高齢で、誰かが世話をしなくてはなりません。ドイツのX世代の4割は何らかの形で親の生活を支援していて、特に買い物や家事を手伝う人が多く見られます。このように、X世代は子どもの世話も親の世話もしています。X世代が「サンドイッチ世代」と言われる所以(ゆえん)です。

調査対象: ドイツ:X世代のインターネットユーザー592人

出典: Lightspeed/Mintel、2021年2月

 日本のX世代もいろいろな面で親を支援しています。サンドイッチ世代と言われるX世代ですが、親の介護費に優先的に出費する人の割合は小さく、子どもの教育費だけで手一杯なのかもしれません。しかし、ドイツと同様、日本のX世代も親の支援はいろいろな面でしており、半数は何らかの支援をしています。特に親と同居の場合、7割は親を支援しています。

調査対象: X世代のインターネットユーザー1,000人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月(X世代全体X世代親との同居状況別

インフレによる家計への圧迫も深刻

出費の最優先事項は、家での飲食に

 家庭における経済的負担の大きいX世代にとって、インフレは生活に打撃を与えているようです。アメリカのX世代は、インフレを懸念する人の割合が若い世代より高く、1年前より経済状況が悪くなったと感じる人の割合も他の世代より高いです。ミンテルが行った調査によると、このような状況はイギリスやドイツのX世代でも同様でした。

調査対象: 米国:18歳以上のインターネットユーザー2,000人

出典: Kantar Profiles/Mintel、2024年10月(インフレに対する心配経済状況

 また、ドイツのX世代にとって、生活における最優先項目は体調と家計を良好な状態に保つことです。健康でないと働いて収入を得られませんし、病気になると医療費がかかるからでしょう。調査項目の選択肢に「財産を所有する」という項目もありますが、下位。財産を持つ以上に、現在の家計をなんとかやりくりしていく方が優先のようです。

調査対象: ドイツ:X世代のインターネットユーザー592人

出典: Lightspeed/Mintel、2021年2月

 日本の場合、消費者のインフレに対する懸念の度合いを見ると、全体的に懸念はあるものの、アメリカの消費者ほど強くはないようです。しかし、X世代は若い世代と比べるとややインフレの影響を強く感じて備えようとする傾向が見られます。

調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年5月

 インフレに備える傾向が強いX世代は、家での飲食に最も優先的にお金を使います。以下、外食、旅行、ヘルスケアと続きます。X世代はZ世代やミレニアル世代ほどには服・アクセサリーや美容などの見た目には優先的にお金を使いません。また、ベビーブーマー世代と比べると旅行の優先度が低いようです。

調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,336人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月

親世代と比べ、40~50代の健康状態が悪化傾向?

健康面での不安が台頭!老いに迫られるX世代

 X世代は中高年に入って体力の衰えを感じる人が多くいます。実は、X世代は親世代より健康ではないという調査結果もあります(全般的な健康状態の悪さ、長期的疾患、高血圧など)。長寿になったからと言って、健康年齢も長くなっているわけではないのです。これは、食生活と運動不足が関連している可能性が高いと考えられます。

 X世代の消費者自身も、食生活と運動が必要という自覚はあるようです。彼らは健康面で、よい食事、体重の管理、運動を特に重視しています。高齢社会となった今、シニアになる前から健康であり続けるための心がけが必要でしょう。

調査対象: 米国:X世代のインターネットユーザー724人

出典: Kantar Profiles/Mintel、2023年3月(体が以前より動かない健康における優先事項

 ほぼ更年期にあたるX世代女性は、体力不足を感じている人が日本において7割を占めます。X世代の優先的出費事項のトップは、家での食事ですが、X世代女性が家での飲食の次に優先的に出費するものがヘルスケアです。同世代男性や他世代女性と比べても重視度が高いようです。

調査対象: X世代の女性インターネットユーザー500人;18歳以上のインターネットユーザー2,336人

出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年11月(X世代女性体力不足の懸念世代性別ヘルスケア

サンドイッチ世代であるX世代に向けたサービスの事例

 家庭や社会で責任を負うX世代は忙しいと感じています。 特に18歳未満の子供と暮らす人は、くつろぐ時間や睡眠の時間が足りないと感じる傾向が強いです。 次のグラフで、掃除、食事、日用品の買い物などの割合が比較的低いのは、自分のくつろぐ時間などを犠牲にしてこれらのことを家族のためにしているからだと考えられます。また、ミンテルがアメリカで行った調査結果からも、18歳未満の子のいる人は時間とお金どちらかと聞かれれば、時間を重視する傾向がより明確に見られます。

調査対象: ドイツ:X世代のインターネットユーザー592人;米国:X世代のインターネットユーザー724人

出典: Kantar Profiles/Mintel、2021年2月2023年3月

高齢の親の世話を助けるサービスもX世代の時間を節約する(海外の事例)

 X世代は高齢の親の世話もしています。こうした親の世話を助けてくれるサービスがあると、X世代はかなり楽でしょう。

 アメリカのWellthyは家族のための医療ケア、宅配サービス、支援グループ探し、養護施設を探す支援などを提供しています。個人単位でも会社単位(従業員の福利厚生の一環として)でも申し込めます。

 Yakult Koreaは都市部に住む消費者が注文した飲料を、離れた高齢の親に配達する際、配達員が高齢の親の状態を確認し、必要に応じて住民に代わって医療支援を求めるプログラムを導入しています。

日本で見られるX世代の親の世話を助けるサービス

日本のX世代も他国と同様にいろいろな面で親の世話をしており、そうしたX世代の親の世話を支援するサービスが生まれています。特にX世代が親と離れて住んでいて頻繁に親の様子を確認できない場合に役立つサービスを本レポートではご紹介しています。

・電球のオン・オフで異常を検知

 クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プランは、ヤマト運輸のネットワークとIoT電球「ハローライト」を組み合わせたサービス。電球のオン・オフで異常を検知し、設定したメールに通知。通知先からの依頼に応じてヤマト運輸のスタッフが訪問します。

・センサーとテレビの電源状態で異常を検知

 みるモニは、人感センサーや温湿度センサーによる環境検知に加え、テレビの電源状態を定期的に検出し、クラウドに記録していくことで、日常生活を見守るシステム。クラウドに記録された各種ステータスをスマーフォンなどでチェックできます。

■ミンテル ジャパンレポートについて

新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。

■市場調査会社ミンテルの強み

ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、 ミンテルグローバル消費者調査のデータや各国で独自に行う消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。

■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)

ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。

その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。

≪ご利用条件≫

情報の出典元として【ミンテルジャパンレポート『X世代へのマーケティング - 日本 - 2025年』より】の明記をお願いいたします。

■会社概要

企業名   :株式会社ミンテルジャパン

本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 
       丸の内ビルディング18階

代表    :リチャード・カー

設立日   :2008年03月

事業概要  :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等

WEBサイト:https://japan.mintel.com/ 

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会社概要

株式会社ミンテルジャパン

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URL
https://www.mintel.com/jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 丸の内ビルディング18階
電話番号
03-6228-6595
代表者名
リチャード・カー
上場
未上場
資本金
-
設立
2008年03月