AI・ディープラーニングを活用して材料の開発期間を大幅に短縮
~ ケモインフォマティクスを自社開発、物性計算の速さは従来に比べ数千倍に ~
従来、新規材料の開発では多くの場合、実験の初期段階で文献や経験に基づき、一定の予測を行ってから実験と測定を繰り返す手法が行われてきました。また量子化学計算(※3)によるシミュレーションやケモインフォマティクスを用いて予測する場合は、通常は物性の計算やデータの入力規則である記述子(※4)の作成が必要となります。これには量子化学計算やケモインフォマティクスの深い知識や経験が求められます。
今回、レゾナックの計算情報科学研究センターが開発したケモインフォマティクスアプリは、過去の材料開発から蓄積された計算及び実験データを活用したディープラーニング技術を利用しており、量子化学計算(※2)に比べて数千倍速く物性の予測を行えます。加えて、ユーザーインターフェースはシンプルで直感的に扱えるWebアプリケーションとなっています。このため、ケモインフォマティクスの経験が浅い実験者でも、日常的に使う分子の描画方法で簡単に分子データを入力でき、実験者自身で物性の予測や材料の事前設計が可能になりました。
当社では、今後も情報科学技術を活用することで、半導体材料をはじめとしたスピードが求められる材料の開発期間短縮に取り組んでまいります。
※1 「情報化学」と呼ばれる研究分野(本文にある「情報科学」とは別)であり、過去の累積データをもとに作成した予測モデルを利用することで、未知の化合物の構造や物性などを予測する。実験条件の提案や、薬品や材料の分子探索などに利用される。近い言葉にマテリアルズインフォマティクスがあるが、ケモインフォマティクスが主に分子や化合物レベルの情報を扱うのに対し、マテリアルズインフォマティクスは主に物質や材料レベルの情報を扱う。
※2 コンピュータに量子化学計算をさせた場合との比較。
※3 分子シミュレーション技術の一つ。分子の電子状態を計算することで、分子構造や物性値を理論的に解析する手法。
※4 化合物の化学的特徴について部分構造の特性や物理化学的性質などを数値化してあらわしたもの。
※5 SP値=溶解度パラメータ値。凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値で、溶媒の溶解挙動を示す数値。
※6 HOMO=Highest Occupied Molecular Orbital、LUMO=Lowest Unoccupied Molecular Orbitalの略。電子を持つ分子軌道の中で最もエネルギーが高い軌道がHOMO、電子が入っていない軌道で最もエネルギーの低い軌道がLUMO。
以上
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