【レポート】インフルエンサー市場5年で2倍に拡大“1億総SNS社会”到来で企業に求められる「認知」から「購買」につなげる信頼構築型マーケティングとは

~高齢化が進む日本で信頼構築の鍵を握るシニアインフルエンサー~

株式会社ミンテルジャパン

 市場調査会社「Mintel Group」の日本法人である株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、ミンテルジャパンレポート「ソーシャルメディア・トレンド(インフルエンサー)日本-2024年」にて、日本のインフルエンサーマーケティング市場を明らかにしました。

※ミンテル、ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構え、美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。2021年より日本市場向けにミンテルジャパンレポートを発刊。

 日本のSNSユーザー数は2027年に1億3000万人を突破し、国民一人あたり1つ以上のSNSアカウントを保有する「1億総SNS社会」の到来が目前に迫っています。しかし、日本の消費者の57%が「インフルエンサーが紹介する商品を購入しない」と回答しており、情報の信頼性への懸念が顕著になっています。また、専門的知見を持つインフルエンサーは消費者からの高い信頼を獲得していることも明らかになりました。企業のインフルエンサー活用において、単なる認知度向上だけでなく、専門性と信頼性に基づいた説得力のある情報提供が購買行動につながる鍵となります。

 特筆すべきは、超高齢社会を迎えた日本における「シニアインフルエンサー」の潜在的可能性です。豊かな人生経験を活かしたシニアインフルエンサーの発信は、企業にとって消費者の信頼を獲得する強力な手段となります。経験から培われた専門知識を持つシニア層の戦略的活用が、今後のSNSマーケティングにおける重要な差別化要因になると予測されています。

 この変革期において「認知」から「購入」へと消費者を導く新たなインフルエンサー戦略の構築が企業に求められています。高齢化が進む日本の特性を強みに変える、専門性と信頼性を核としたインフルエンサーマーケティングの展開が、企業の成長を左右する重要なビジネスチャンスとなっています。

※本リリースの調査結果をご利用いただく際には、必ず【ミンテルジャパンレポート『ソーシャルメディア・トレンド(インフルエンサー)日本-2024年』より】とご明記ください。

ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://www.mintel.com/jp/jr-may-2025-2

「1億総SNS社会」到来 —インフルエンサーマーケット2倍成長の好機と課題
2027年までに1.3億人突破、市場規模は2029年に1,645億円へ

 サイバー・バズの調査では、2024年のインフルエンサーマーケティングの市場規模(年間収支額)は、前年比16%増加し約860億円と見込まれています。同社はこの要因の一つとして、インフルエンサーが作成するコンテンツの、広告主のマーケティング活動の中での役割や価値が高まっていると指摘しています。その他、TikTokに代表される縦型のショート動画が普及したことで、画面のレイアウトの違いを生かした表現も実現しました。このことも市場拡大の追い風となっているようです。

出典: サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ

 インフルエンサーマーケティング関連の市場が今後も継続する中、短期的にはSNSユーザー数も右肩上がりの増加を継続すると考えられます。総務省の「情報通信白書令和5年版」によると、SNS利用者は2027年に1億1,300万人に達し、国民一人当たり1つ以上のSNSを利用することになります。

 一方で、SNSを利用する主なハードウェアであるスマートフォンの利用者人口は、79歳までの人口で既に90%を超えているという調査報告もあります。国民の大半がスマホを保有する状況で、現状からの劇的なスマホ利用者の人口増および、さらなるSNS利用者の増加は見込みが薄く、頭打ちとなる可能性が高いと考えられます。

出典: 総務省「情報通信白書令和5年版」

市場拡大の影で"信頼危機" —消費者の57%が「購入しない」と回答
SNSユーザー増加に反比例する消費者信頼度の実態と背景

 インフルエンサーに対する課題の一つに、投稿する内容の信頼性が挙げられます。世界中でリアルタイムで情報を共有、拡散できるようになり、いちユーザーの投稿が、世界中で一気に広まる「ネットミーム」の誕生も日常茶飯事となりました。
 こうした中、ユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)はインフルエンサーの投稿に関する調査結果を公表し、投稿の正確性に関して警鐘を鳴らしています。世界各国のインフルエンサーを対象に行ったこの国際調査では、約6割のインフルエンサーが、投稿する情報の正確性を確認せずに投稿していました。加えて、情報の信頼性の基準として、「いいね」の数や閲覧数を根拠としているといいます。証拠や文書などの「エビデンスで判断する」との回答は17%にとどまり、インフルエンサーの情報発信の課題として指摘しています。

 インフルエンサーのこうした傾向は、消費者も認識しており、インフルエンサーの信頼感の低さの要因となっています。

 インフルエンサーから何かを購入する際に購入判断に影響する要素を尋ねた結果、日本の消費者の57%が、「インフルエンサーに勧められた製品やサービスは買わない」と回答し、他の選択肢に大差をつけました。このことから、多くの消費者にとってインフルエンサーは、単なる投稿者であり、購入に影響を与えるほどの力を持っていないと言えます。その他の回答には、「自身の興味やニーズに関連していること」、「うまい商品や効果の解説」、「専門知識」などが上位となりました。これらの回答から、消費者は、トレンドに乗ったインフルエンサーよりも「必要な情報を正確に伝えてくれる」ことを重視しています。

調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人

出典: Mintel、2024年7月

 インフルエンサーという存在が認知されるにつれて、自身の趣味やスキルに関する投稿をし、特定の分野の少数の視聴者に熱狂的に支持されるナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサー、ローカルインフルエンサーなども登場しています。動画投稿などで気軽に参入できるためです。彼らは、何百万ものフォロワーを持つ有名なインフルエンサーに比べると知名度は低く、フォロワー数も一般的に数万や数千程度です。
 しかし、特定の分野に関する知識やこだわり、人脈などは、他者が真似できない水準にあることもあり、質の高いコンテンツを提供できる可能性を秘めています。また、日常生活を多くの視聴者に近い立場で配信することもでき、有名なインフルエンサーにはない親しみやすさや、現実的な投稿が支持されることもあります。特定のトピックに関する深い知識を提供できる投稿の場合、同じトピックに関心を持つ視聴者にフォローされ、彼らとのSNS上での双方向の交流を通じて、視聴だけでないエンゲージメントを高めることができます。

 ドイツの場合、消費者の35%は「フォロワー数が多いインフルエンサーは、少ないインフルエンサーよりも信憑性が低いと感じる」と回答しており、フォロワー数が多いことが必ずしも、投稿の信憑性につながっているわけではないようです。

調査対象: ドイツ:インフルエンサーをSNSでフォローしている16歳以上のインターネットユーザー369人

出典: Mintel、2021年9月

ブランド信頼度をKPIに据える新時代
シニアインフルエンサーが開く新たなブランド戦略の扉

 日本の消費者を見ると、インフルエンサーからの購入のハードルが比較的低いとされる若年層、特に18-29歳で購入する際の要素として「信頼できるインフルエンサー」を挙げる回答が男女ともに最も高く見られます。また、「実際に使った感想」を求める回答も多く、商品の紹介だけでなく、ユーザー視点の意見も発信することが、購入の後押しとなりそうです。

調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人

出典: Mintel、2024年7月

 専門知識を持つインフルエンサーは、消費者からの信頼も高い。「レビューが公正」や「知識が豊富」のイメージでは、専門家(医師や学者など)が高い回答を集め、情報発信の質的な面で消費者からの評価が高くなっています。一方、投稿の「センス」や「創造性」では回答が低く、他のタイプと掛け合わせることで、質が高く魅力的な配信を期待できます。

調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人

出典: Mintel、2024年7月(上;下)

 大がかりな機材や資格などが必要とされないインフルエンサーは、参入障壁が低く、気軽に始められることで、様々な人が新規参入を試みています。高齢層のシニアインフルエンサーは、若年層にはない知識や成熟したコンテンツ作りが特徴で、質の高い内容が期待できます。

 アメリカやフィリピンでは、定年を迎えたシニア層が、自身のファッションをSNSに投稿し、注目を集めています。SNSを日常的に利用する若年層に受け入れられ、ファッションブランドのショーに出演したり、アンバサダーとして起用されるケースもあります。インフルエンサーの主な支持層である若年層に向けて、インフルエンサーが活躍する社会への動きも進んでいます。

ビジネスチャンス

 日本では、2023年時点の65歳以上の人口は3,623万人で、高齢化率は約29%となっています。2024年には50歳以上の人口が国民の半数を超え、高齢化が進行しています。また、高齢者のインターネット利用も増加傾向にあります。

出典: 内閣府「令和6年版高齢社会白書

 そして、日本の高齢者層の多くは、既に情報収集の手段の一つとしてオンラインの活用を受け入れています。ミンテルジャパンレポート「シニアのライフスタイル - 日本 - 2024年」でも述べられているように、シニア層(60歳以上)では、商品購入の際に参考とする情報源として、オンラインを挙げる回答は40%前後に達し、最も多い情報源のテレビに次ぐ回答となっています。彼らの直近1年間の支出の変化を見ると、飲食やヘルスケアなどの支出が伸びています。これらに関連する情報の収集においても、インフルエンサーを活用した説得力のある情報が提供された場合、新たな情報源としてインフルエンサーを認知するシニア世代の増加につながるでしょう。

調査対象: 40歳以上のインターネットユーザー1,800人

出典: Mintel、2024年2月

 高齢化が進む日本では、スマホをはじめとしたデジタル機器の操作に習熟したシニア層も増加しています。総務省の「令和4年 通信利用動向調査報告書(世帯編)」では、2022年時点の70代のインターネット利用割合は65%を超え、80歳以上でも33%に上ります。

 このような中で、シニアインフルエンサーも登場し、デジタル化の影響を受けるシニア市場を今後開拓できる可能性があります。当初は、孫や子ども世代との連絡や交流を目的にSNSの利用を始めるケースが多いですが、SNSで日常生活や趣味の様子を投稿することで、家族以外の他者との交流を持つ場として活用しています。

■ミンテル ジャパンレポートについて

新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。

■ミンテル 世界新商品データベース(Mintel GNPD)について

世界86ヵ国の日用消費財の新商品を、原料や訴求内容から検索することができるデータベースです。世界各国に配置されたミンテルの調査員が、日々新商品の収集を行うことで、毎月約4万点の商品パッケージ情報をデータベース化し、GNPDを構築しています。商品のあらゆる情報を掲載しているため、様々な視点から世界の製品トレンド分析を行うことが可能です。

■市場調査会社ミンテルの強み

ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、 ミンテルグローバル消費者調査のデータや各国で独自に行う消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。

■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)

ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。

その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。

≪ご利用条件≫

情報の出典元として【ミンテルジャパンレポート『ソーシャルメディア・トレンド(インフルエンサー)日本-2024年』より】の明記をお願いいたします。

■会社概要

企業名   :株式会社ミンテルジャパン

本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 

       丸の内ビルディング18階

代表    :リチャード・カー

設立日   :2008年03月

事業概要  :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等

WEBサイト:https://japan.mintel.com/ 

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会社概要

株式会社ミンテルジャパン

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URL
https://www.mintel.com/jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 丸の内ビルディング18階
電話番号
03-6228-6595
代表者名
リチャード・カー
上場
未上場
資本金
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設立
2008年03月