〈2025年度第1回 中小企業経営実態調査〉人的資本経営について「知らない」企業が6割超、また、「取り組めていない」企業も6割以上。
~人的資本経営への投資が業績に影響があると考える企業は約8割と大きなギャップがある現状~
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」を実施しました。

近年は従業員の持つ能力や知識を、単なるコストではなく「資本」として捉え、その価値を最大化することで企業の成長を期す「人的資本経営」に注目が集まっています。この手法には「人を大切にする」経営視点が欠かせません。企業が自社のみならずステークホルダーも含めた人権への配慮を行うことは、人的資本経営の推進にも深く関連しています。今回、こうした背景を踏まえ、中小企業の人的資本経営の認知度や取り組みについて調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
①人的資本経営を「知らない」企業が6割超、また、「取り組めていない」企業も6割以上
近年、「人的資本経営」大切さに注目が集まる一方で、中小企業での認知・実践は、昨年よりは高くなっているものの依然として低水準である
②人的資本経営に取り組むうえでの課題のトップは「時間がかかる」が過半数を占め、次いで「費用」、「人材不足」など社内リソースの制約が顕著
社外の知見や支援制度の導入が今後の鍵に
③それでも約8割が「人的資本経営への取り組みは業績に影響あり」と回答。
従業員の満足度や組織の生産性や創造性の向上等、人的資本経営が今後の成長戦略における
重要テーマとしての期待が高まる
【アンケート概要】
・調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間:2025年7月8日~2025年8月8日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数:932人
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。

Q1.人的資本経営についてどの程度知っていますか。(n=940)
Q2.貴社では、人的資本経営に関する取り組みを行っていますか。(n=940)
中小企業の経営者を対象に人的資本経営についての認知度を問う設問では、「聞いたことはあるが、よく知らない」(30.9%)、「知らない」(31.7%)と約6割以上の方が知らず、人的資本経営の認知度は依然として低いことが明らかになりました。さらに、他の人に説明できるほどの理解があると答えたのはわずか8.0%に留まっています。
また、人的資本経営に関する取り組みの実施状況については、「あまり取り組めていない」(37.0%)、「全く取り組めていない」(26.1%)と、実に6割以上の企業が取り組みを行っていないことがわかりました。
近年、従業員の能力や知識を単なるコストではなく「資本」として捉え、その価値を最大化するという人的資本経営の考え方が企業成長の鍵として注目されています。しかし、中小企業においては昨年(※)よりは高くなっているものの、認知度・実践度が依然として低く、人的資本経営の理解促進と実務支援が課題となっています。
(※)ブルーレポートmini 2024年3月号
https://gdx-research.com/wp-content/uploads/2024/02/bluereport_mini_202403.pdf
人的資本経営の認知度:「知っており、他の人に説明できる」は3.8%
人的資本経営の取り組み状況:「あまり取り組めていない」「全く取り組めていない」合わせて78.8%



Q3.人的資本経営に取り組むにあたり、貴社で感じている課題を教えてください。(n=257)
Q2で人的資本経営に取り組んでいると回答した経営者に取り組むにあたっての課題を尋ねた質問では、「時間がかかる」(50.0%)という回答が半数を占め最も多く、次いで「費用が掛かる」(31.9%)、「社内にできる人材がいない」(28.7%)、「効果を把握できていない」(22.4%)が続きました。また人材不足に関連し、「社内で相談できる相手がいない」(8.7%)という回答も見られ、人的資本についての取り組みを行うにあたっての時間や費用だけでなく、人材不足といった社内リソースの不足が顕著に現れる結果になりました。
この結果により、時間や費用の工面だけでなく、外部知見の活用や支援制度の導入が人的資本経営を取り組むための今後の鍵といえます。


Q4.人的資本経営を行っていきたいと回答した方にお伺いします。
人的資本経営を行っていきたい理由として、あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)(n=603)
Q5.人的資本経営に関するなにかしらの投資を行うことで、業績にどの程度影響があると思いますか。(n=257)
人的資本経営を行っていきたい理由について尋ねた設問では、「従業員のエンゲージメントや働きがいを高めたい」(61.7%)、「優秀な人材の採用・定着を強化したい」(61.7%)と半数以上を占める結果となりました。次いで、「人材育成やスキル開発を戦略的に進めたい」(41.3%)、「組織の生産性や創造性を高めたい」(40.5%)が挙げられ、従業員のスキルや育成とともに働きがいといった従業員自身の満足度を高めることにより、会社全体の生産性を上げたいというような理由が明らかになりました。
また、 Q2で人的資本経営に取り組んでいると回答した経営者に、人的資本経営に関するなにかしらの投資を行うことで、業績に影響があるかどうかどう考えるかを問うと、「非常に大きな影響があると思う」(20.5%)、「ある程度の影響があると思う」(59.4%)と約8割が影響があると考えていることがわかりました。
この結果から、中小企業経営者は、人的資本経営への投資により業績に影響があると考え、従業員の満足度向上と組織の生産性、創造性の向上を実際に期待していると推察できます。今後、課題として挙げられた時間や費用、人材を緩和し、外的知見や支援環境が整うことによって、人的資本経営が取り組み始めやすいものになるでしょう。



フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサル
ティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリ
サーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携
し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベ
ントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント
本レポートでは、中小企業の人的資本経営についての認知度、そして人的資本経営の課題とともに実施した際に期待することを調査しました。人的資本経営の認知度は、37.4%、そして取り組み状況としては27.2%と昨年よりは数値が上がっていますが、世間では注目されている一方で実際の認知度と実施度について依然としてギャップがあることが明らかになりました。
取り組みを行う上で期待することとして、多く挙がったのが従業員の満足度向上と組織の生産性の向上ですが、課題として時間・費用・実施可能な人材という点が挙げられています。人的資本経営に投資することでの影響は、約8割があると回答していることから、外的知見や支援制度の整備により、中小企業の人的資本経営への取り組みが踏み出しやすくなる環境を作っていくことが大切と言えるでしょう。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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