「獣害対策」を「地域経営」の戦略課題へ。獣害対策を起点にした「統合型生態系管理システム」による地方創生支援サービスを開始
― 大学発・獣害対策テックのうぃるこ×ローカルベンチャー育成のエーゼログループ×建築・都市・ランドスケープデザインのフジワラボ、3社の連携によって、データ・人材・空間デザインをワンストップで提供 ―

ローカルベンチャー育成を軸に人材を起点とする地方創生支援を展開している株式会社エーゼログループ(本社:岡山県西粟倉村、代表取締役CEO:牧 大介、以下「エーゼログループ」)は、獣害対策テックによって獣と人の共存を目指す株式会社うぃるこ(本社:新潟県長岡市、代表:山本 麻希、以下「うぃるこ」)と、建築・都市・ランドスケープデザインを手掛ける株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ(FUJIWALABO)(本社:東京都渋谷区、代表:藤原沙良、以下「フジワラボ」)と提携し、『獣害対策を起点にした「統合型生態系管理システム」による地方創生支援サービス』を全国の自治体向けに開始いたします。
シカ、イノシシ、クマなどの獣害の深刻化は、農作物被害や人身被害にとどまらず、地域コミュニティの疲弊、担い手不足、耕作放棄地の増加といった「地方の構造的課題」と直結し、その中で過疎化・高齢化の悪循環は急加速しつつあります。多くの自治体が対策に苦慮する背景には、環境省・農林水産省・総務省など省庁ごとに予算や施策が分断される「縦割り行政の壁」と、対策を推進する「専門人材の不足」という二重の課題が存在します 。
私たちは、獣たちを含む多種多様な命への畏敬の念をいただきながら、データと科学的知見に基づく獣害対策を実施し、かつ獣害対策を入口とするデータ、技術、人材の蓄積によって、統合型生態系管理システムの構築を進め、さらにそれを基盤とする自然資本産業の育成、さらには人と野生動物の共存圏を再設計する「空間デザイン」につなげていくということを目指します。
これにより、獣害対策を「コスト」として処理する対症療法から脱却し、国の推進する「ネイチャーポジティブ」 の実現にも貢献する、「自然資本」を活かした持続可能な「地域経営」モデルへの転換を図ります。 そして、それを担う「生態系管理」という新しい職業の創造を目指します。
◾️サービス内容
本サービスでは、獣害対策を入口に「地方創生」を進めるため、次の3つの柱で取り組みを展開します。この3本柱を一体的に整備することによって、統合型生態系管理システムが構築され、その運用によって自然資本産業の育成ができると考えています。
① データ蓄積と活用による野生動物の密度管理
長岡技術科学大学発ベンチャーである「うぃるこ」の専門チームが、センサーカメラで取得したデータを元にRAI(撮影頻度指数)を活用して野生動物の生息状況の把握と分析を行います。
RAIを生息密度を示す主要指標として活用し、その増減のトレンドを継続的に把握することで、地域での適切な生息数を見出します。これにより、自治体職員が政策判断を下すための、中立的かつ科学的なデータ基盤を構築します。

② 獣害専門人材の発掘・育成と事業創造支援
岡山県西粟倉村に本社を置き、地域における起業家型人材の発掘・育成に取り組んできた「エーゼログループ」が、総務省の「地域おこし協力隊制度」 などを活用し、対策の持続的な担い手となる専門人材(行政職員・地域人材)を発掘・育成します。
獣害対策における基礎トレーニングは「うぃるこ」と連携して実施し、その上で、体系的な研修とOJTを通じて、行政職員・地域人材が自立的に対策を担える体制づくりを進めます。
また捕獲・防除だけでなく、ジビエ加工・ツーリズムなど、多様な形で地域の“新しい仕事”の創出を目指し支援いたします。

③ 統合型マスタープランによる共存圏の再構築
農業と観光、教育を融合させたサステナブルな「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」 のランドスケープデザインを手掛けた「フジワラボ」が、集落構造や土地利用を見直し、人と野生動物の生活圏や行動動線が交わらない適切な距離で共に生きられるよう、宅地、農地、森林、河川・水路等を統合した土地利用計画(統合型マスタープラン)を策定します。これにより、耕作放棄地の再利用や景観再生を進め、観光や教育にもつながる“未来の里山”づくりを目指します。

▼5年後の自治体での目標

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項目 |
目標値 |
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農作物被害額 |
着手時期から50%削減 |
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生息密度指標(RAI) |
着手時より「撮影回数が減っていく状態」を確認すること(=野生動物の出没が減り、生息密度が適正化されつつある状態) |
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データ化率 |
100% |
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育成人材 |
各自治体9名超(うち3〜5名が高い技術で捕獲・管理を担うレベルへ) |
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新事業創出 |
各自治体3件超 |
科学的なデータ管理、人材育成、空間デザインを一体化し、
「獣害対策から地方創生へ」つながる持続的モデルの確立を目指します。
◾️サービス提供事業者
株式会社うぃるこ ( https://www.wilco.company/ )
(本サービスでの役割:科学的野生動物のモニタリング、RAI解析、データ基盤設計)
長岡技術科学大学の山本麻希准教授 が率いる野生動物管理工学の専門家集団として、全国の自治体と連携し、センサーカメラを用いた野生動物のモニタリングやRAI(撮影頻度指数)を活用した分析など、科学的手法に基づく獣害対策で全国トップレベルの知見を有しています。
データを地域住民の方々にわかりやすく共有し、集落ごとの合意形成を支援すること、また地域で継続的に個体数管理を担う捕獲人材を育成できる点も特徴です。
本サービスでは、RAI(撮影頻度指数)による科学的な個体数管理を導入し、被害・出没データをもとにした効果検証とPDCA運用の仕組み化を担当します。



株式会社エーゼログループ ( https://a-zero.group/ )
(本サービスでの役割:全体統括・人材育成・事業創出支援)
「未来の里山」モデル を実践し、ローカルベンチャー育成を軸に地域資源や人のつながり を生かした地方創生モデルを全国に展開しています。
本サービスでは、自治体・住民・専門家の橋渡し役として全体マネジメントを担い、地域おこし協力隊制度などを活用した地域人材の育成と自立支援、また獣害対策から派生する新たな地域ビジネス(ジビエ・ICT・ツーリズム等)の創出支援を行います。
またエーゼログループでは、2016年からジビエ加工事業を立ち上げ、加工施設の建築、運営を行い、シカについては近隣地域の猟師の方と連携し年間600頭を加工流通販売しています。
シカの捕獲駆除は、作物被害を背景に獣害対策として進んできましたが、同社ではただ殺すのではなく、資源として、そして一つの命いただくことを念頭に加工販売しています。
また、捕獲されたシカが山林に放置されることから熊が肉食化するということも最小限に抑えようと取り組んでいます



株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ( https://fujiwalabo.com/ )
(本サービスでの役割:統合型マスタープラン設計)
「KURKKU FIELDS(千葉県木更津市)」や「obama village(鹿児島県霧島市)」など、自然環境や地域文化、人の暮らしをつなぐ空間デザインを得意とする、建築・都市・ランドスケープを横断・統合的にデザインする設計事務所です。
本サービスでは、地域ごとの集落・環境構造の調査を行った後、森林・農地・集落・河川・水路等を統合した空間デザイン(統合型マスタープラン)を検討し、緩衝帯や遊歩ゾーンを設けるなど、人と野生動物が適切な距離で共存できる空間デザインを策定します。
統合型マスタープランによる景観・生態系サービスの再構築を通じて、観光や環境教育などへの波及効果も生み出します。



◾️本サービスによせるメッセージ(株式会社エーゼログループ 代表取締役CEO 牧 大介)
近年、シカやイノシシなどによる農作物被害は、全国で年間160億円を超え、 クマによる人身被害は深刻さを増し、命を守るために緊急対応が必要な状況です。そこには、捕獲数を増やしても被害が減らないという構造的な課題があり、狩猟者の高齢化や人手不足も深刻化しています。
私たちは、「獣=悪」とは考えていません。
野生動物もまた、山や森の循環を支える大切な存在です。
この危機を機会と捉え、“人と自然がともに生きるための仕組み”を整えていくことを目指しています。
また、今回の取り組みでは「獣害対策」を地方創生の一環として位置づけたいという強い想いがあります。
これまでも国の制度や補助金は存在してきましたが、省庁ごとの縦割りの中で完結し、十分な予算が確保されにくい実態がありました。

その背景には、野生動物保護政策のバランスや、現場で培われてきた知見が共有されにくいという課題もあります。
一方で、今回連携する、うぃることの議論を通じて、獣害や野生動物に関する科学的知見はすでに多く蓄積されていることもわかりました。
こうした知見と現場の経験をつなぎ、国が優先度を高く位置づけ、各省庁横断で進められる「地方創生」の枠組みの中で獣害対策を戦略課題として位置付けていくことが重要だと考えています。
本事業の最大の強みは、この『縦割り』を、3社の専門性で『横断』できる点にあります。野生動物の専門知を持つ「うぃるこ」、人材育成や地方創生の実践を重ねてきた「エーゼログループ」そして、地域の空間設計と景観再生の知見を持つ「フジワラボ」。
この3社が連携することで、人と野生動物の共存圏が再構築され、未来の里山を実現できると信じています。またこのチャレンジは、獣害対策を含む「生態系管理」という新しい職業を創造していくことにもなると考えています。
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