【社会課題に光を当てるSIL】スプリックスと共同で「中学受験のホンネ」をテーマとした調査を実施
―親子の“本音”から見える、中学受験の構造とは―
人と社会のために問いを探究するリサーチとプランニングのQO株式会社(代表取締役社長:恒藤優/本社:東京都中央区、以下「QO」)は、社会課題に光を当てるSocial Issue Lab(以下「SIL」)の一環として、株式会社スプリックス(代表取締役社長:常石博之/本社:東京都渋谷区)と共同で「中学受験のホンネ」をテーマとした調査を実施し、生活者の生声をまとめたソーシャルレターを発表しました。

SILは、調査の力で社会の声なき声を拾い、社会課題を知るきっかけを届ける研究機関です。これまでに「ジェンダーギャップ」や「震災支援」「防災・減災」「誹謗中傷」「環境問題への揺り戻し」「性の多様性」「平和」といったテーマで研究活動に取り組んでまいりました。
近年、学びの環境が早くから多様化する中、中学受験はかつてない熱を帯びています。子どもが毎日のように塾へ通い、親が情報を集め悩みを分かち合う――そうした光景が、中学受験に臨む家庭では日常の一部となっています。しかしその裏側には、競争や大きなプレッシャーが、本来は安心できるはずの家庭にも入り込んでいる現実があります。
また、SNS上では“中受垢”*による「これが中学受験の常識」「〇〇すべき」といった投稿が盛り上がりを見せています。このような過熱ぶりにより、例えば「小3までに小6の内容を習得し小4から塾に通う」「受験サポートのために親が仕事を辞める」といった行動が“当然”とされるなど、子どもや親への過度な負担になりかねない構造とも見てとれます。
本調査では、こうした状況の中で、親と子がどのような思いを抱え、どのように中学受験と向き合っているのかに焦点を当てました。熱を帯びるいまだからこそ、親子それぞれの本音に耳を澄ませ、改めて学びや成長のあり方を見つめ直すきっかけを提供したいと考えています。
*中受垢:中学受験に関して発信するSNSアカウント
◆ 調査結果(一部抜粋)
調査レポート「中学受験のホンネ」
資料はこちら: Social Letter(12.2MB)
中学受験者数は過去40年で3番目の多さ。社会全体の教育意識の高まりが背景に
首都圏模試センターの調査によると、東京圏(一都三県)における2025年の私立・国立中学校の受験者総数は52,300名と、過去40年で3番目に多い結果となりました。受験率も18.1%と過去2番目の高さで、東京圏では5.5人に1人が中学受験を経験していることになります*¹。
本調査では、こうした社会的な動きを踏まえ、実際に受験を経験した親子の意識と本音を深掘りしました。

*1出典:株式会社 首都圏中学模試センター、2025年「1998~2025年入試までの受験者数の推移(私立・国立中学校)」
小学3年生までに6割が受験を意識。未就学児から受験を視野に入れる家庭も
中学受験経験者の61.2%が小学3年生までに受験を意識しており、そのうち11.7%は未就学児の段階から受験を視野に入れていることがわかりました。また、7割弱が小学4年生までに準備を開始しているようです。

「受験結果」に比べて、「過程(受験勉強)」への納得度が低い親子双方の現実。結果の裏に“消化しきれない想い”も
中学受験の納得度について10を最大値として尋ねたところ 、親は過程が7.3、結果が8.2、子は過程が7.2、結果が8.4と、親子いずれも「結果」に比べて「過程(勉強)」への納得度が低いことがわかりました。生声からは「後には引けない」「やってきたことを無駄にしたくない」といった声が寄せられ、受験の構造が親子双方に心理的プレッシャーを与えている様子もうかがえます。

親が抱える後悔
親に対して中学受験に関する“後悔”を尋ねたところ、4人に1人の親が「自分のプレッシャーで子どもがストレスを抱えてしまったこと」を後悔していることがわかりました。 次いで、「子どもの将来に役立つ習い事をやめさせてしまったこと」も約2割の親が後悔していると回答しています。

また、「自身に対する後悔や評価」を聞いたところ、下記のような声が寄せられました。
────────────────────────────────────
・血迷った|成績が下がった時期に、滑り止めよりも低いところをうけるために慌てて見学をしにいった
・数字に追われていた|偏差値や成績の数字に一喜一憂。
・黒子にはなれない。|黒子ではない。やっぱり口が出ちゃう。口を出さない方がいいと思っていても、言ってしまう。思考を誘導する声掛けをしてしまう。反省している。
・母の狂気|夫は一歩引いてみていた、母の狂気という感じだったと思う。振り返ってもそう感じることがいっぱいある。
・中学受験は過熱ぎみ|Xで受験界隈で有名な人を見て、勉強法や志望校など、情報収集をしていた。
情報収集をすることでその情報に煽られた実感もある。
・子どもに言いすぎることについて塾に注意された。|塾から電話がかかってきて、成績のこと言わないでください悩んでます。と言われた。おそらく娘が塾に相談して。
・志望校に色気が出た。|最初は偏差値なんて関係なかったけど、想像より上の学校に届くと思うと色気が出てきた。
────────────────────────────────────

同様に、中学受験に関する「子どもに対する後悔」を聞いたところ、下記のような声が寄せられました。
────────────────────────────────────
・友達に受かったと嘘をついていた。|東京は2校とも受かったとウソを。本人は受かるだろうと思っていたと思うから、トラウマだと思う。
・がんばらせすぎちゃった|中学受験はゴールではない。
・子供の逃げ場がない|学校にも塾にも。食事の量も減っていた。顔も暗い。
・小学生がやることではない。|感情のコントロールもまだ簡単ではない年頃なのに。
・ストレスで子どもが髪を抜いていた。
・姉をかまえなかった後悔|息子優先になってしまい、姉の部活に顔出せなかったので、かわいそうな思いをさせてしまった。
・受験勉強を機に子どもは子ども部屋から出てこなくなった。|部屋にこもって勉強していたので、受験が終わった今も一日中部屋にこもり出てこなくなった。
・燃え尽き症候群になってしまったので、受験させなければよかった。|小6からの勉強で受かってしまい、入学してからの勉強についていけていない。本人は燃え尽き症候群で全く勉強しなくなった。勉強する習慣もついていないので、周りの子がたくさん勉強しているのに大学受験の時に勉強できるのか不安。第一志望には受かったけど、受験させなければよかった。
────────────────────────────────────

子どもの半数以上がストレス増を実感。志望校プレッシャーも50%超
子どもに対して、受験に伴うつらかったことを尋ねたところ、67.0%が「勉強でストレスを感じることが増えた」と回答。また、「志望校のレベルに届かないことへのプレッシャー」を感じると答えた人も50.5%にのぼりました。

親の95%が「関与した」と回答。一方で子どもの半数は「もっと関与してほしかった」
親の95.1%が「中学受験に関与した」と回答する一方で、子どもの50.5%が「もっと関与してほしかった」と回答。親の“サポート”が必ずしも子どもの“支え”として届いていない現状が明らかになりました。

◆ 調査概要
調査対象者:一都三県(東京都/埼玉県/千葉県/神奈川県)の
・中学受験を経験した中学1~3年生+親:103ss
・中学受験を経験していない中学1~3年生+親:94ss
調査方法 :CLT定量調査、ショートインタビュー調査
※ショートインタビュー調査は、CLT定量調査の回答を踏まえ親子20組を抽出
調査期間 :2025年8月23日(土)~24日(日)
調査企画 :QO株式会社
調査内容 :・受験のきっかけと判断プロセス
・受験準備と環境整備
・親子の関わりとコミュニケーション
・子どもの学習意識と体験
・受験期の負担と制約、印象に残ったエピソード
・受験結果と受験勉強に対する評価
・再受験意向や受験に対する価値観
【Social Issue Lab「SIL」】
SILは、調査の力で社会の声なき声を拾い、社会課題を知るきっかけを届ける研究機関です。QOが培ってきたリサーチの技術や知見を社会に届けることを目指して2023年より活動を開始し、これまでに「ジェンダーギャップ」や「震災支援」「防災・減災」「誹謗中傷」「環境問題への揺り戻し」「性の多様性」「平和」などをテーマとした調査レポートやソーシャルレターを発信してまいりました。
URL:https://socialissuelab.com/
【QO株式会社 会社概要】
QO 株式会社は、人と社会のために問いを探究する、リサーチとプランニングの会社です。
博報堂のストラテジックプラニングの知見と、マクロミルのデータアセットおよびリサーチケーパビリティを掛け合わせたJV 企業として、マーケティング機会の発見、戦略策定、コンセプト開発、施策実行のPDCA まで一連のマーケティング活動に伴走します。
代表取締役社長:恒藤優
本社:東京都中央区京橋2-7-19 京橋イーストビル9F
設立:1965年6月
事業内容:リサーチソリューション事業、マーケティングプランニング事業
【本件に関するお問い合わせ先】
QO株式会社 広報室
MAIL:corporate.info@q4one.co.jp
すべての画像
