【管理職意識調査】目標達成できる管理職には共通の傾向あり
①プレーヤー業務よりマネジメント業務に重心 ②仕事報告以外の対話時間 ③自己研鑽にも注力
累計13,000社320万人以上に人材育成サービスを提供する株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)は、2021年8月3日~2021年10月11日の期間で、1,715 人の管理職を対象に「管理職意識調査」を実施し、その結果を公表しました。
働き方改革、withコロナ、SDGsなど、企業を取り巻く環境がこの数年で激変しています。新しい技術や市場の早い変化に対応するため、定型的な業務や前例踏襲型から、プロジェクト単位で臨機応変な判断が必要な進め方が求められる場面も多くなりました。
このような状況でも成長し成果を出している組織において、管理職は何を心がけ、どのように行動しているのでしょうか。当社が提供する管理職向け研修の受講者1,715人の管理職に管理職意識調査を実施しました。本アンケート結果が、組織づくりや次世代の幹部社員・管理職育成に悩む経営者、人事担当者にとって、有益な情報となれば幸いです。
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調査結果の概要
1. 目標達成している管理職ほどプレーヤー業務より「マネジメント業務」に重心がある
2. 部門目標や部門計画を「毎年達成している管理職」の約7割が「部下の成長」を実感
3. 管理職と部下の「対話時間」が多いほど「部下の成長度」も高い傾向
4. 管理職の5~6割が「部下の育成」に悩み、必要なのは「リーダーシップ」「人材マネジメント」スキル
5. 「自己研鑽」に時間を費やす管理職ほど目標達成度が高い
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調査結果の詳細
1. 目標達成している管理職ほどプレーヤー業務より「マネジメント業務」に重心がある
まずは管理職の仕事においてプレーヤー業務とマネジメント業務の比率を目標達成度と合わせて見ていくと、毎年目標達成している管理職は「マネジメント中心(18.7%)」と「ややマネジメント寄り(16.4%)」で35.1%の方がマネジメント業務に重心を置いていることが分かりました。
これに対し、「残念ながら部門目標や部門計画を達成したことがない」と答えた管理職では、「マネジメント中心(7.2%)」「ややマネジメント寄り(15.2%)」の合計22.4%にとどまり、毎年目標達成している管理職と12.7ptの差が見られました(図1)。
全体として、目標達成度が高い管理職ほどマネジメント業務の割合が高くなる傾向が見られます。
2. 部門目標や部門計画を「毎年達成している管理職」の約7割が「部下の成長」を実感
管理職の方の部門目標や部門計画の達成度と部下の育成に関する質問では、「毎年、部門目標や部門計画を達成している」と答えた管理職では、「非常に成長している(4.5%)」と「成長している(64.8%)」を合わせて約7割の方が部下の成長を実感していることが明らかになりました。
一方、「残念ながら部門目標や部門計画を達成したことがない」を選んだ管理職では、「非常に成長している(2.4%)」「成長している(34.1%)」を合わせて4割弱。「毎年は部門目標や部門計画を達成できていない」と答えた管理職では、両者の間となる「非常に成長している(3.2%)」「成長している(56.0%)」の計6割の方が部下の成長を実感しています(図2)。
管理職の目標達成度と部下の成長には正の相関関係があると推察されます。
3. 管理職と部下の「対話時間」が多いほど「部下の成長度」も高い傾向
目標達成度が高い管理職ほど部下の成長を実感している傾向が見られました。では、部下とのコミュニケーション
時間と部下の成長度合いには、どのような関係が見られるのでしょうか。
仕事の報告以外のコミュニケーションについて、月間でどのくらい部下との対話時間をもっているのかを尋ねたところ、部下の成長度合いにかかわらず月間5時間程度以下を選んだ管理職が6割以上を占めました。
ただ、その中で部下の成長について「わからない」を選択した管理職は56.7%が「~1時間」と回答。「成長していない」から「非常に成長している」まででは最大でも35.3%であったのに対して、突出する結果となっています。反対に、部下が「非常に成長している」を選んだ管理職では「21時間~」という回答が14.0%を占めました。「わからない」から「成長している」までを選んだ管理職においては4%未満であることと比較すれば、大きな割合です(図3)。
部下の成長には、管理職が仕事の報告以外のコミュニケーション時間を確保すること、必要な範囲でなるべく多くの時間を費やすことがポイントになると考えられます。
4. 管理職の5~6割が「部下の育成」に悩み、必要なのは「リーダーシップ」「人材マネジメント」スキル
管理職の目標達成には、部下の成長だけでなく管理職自身のスキルアップも欠かせません。実際、管理職の悩みを3つまでの複数回答で尋ねた質問では、管理職の経験年数にかかわらず「部下の成長」が約5~6割を占めており、管理職に共通する悩みとなっています。同時に、「チーム・部門の運営」も約3割の方に選ばれ、第2位でした(図4)。
これに対応するように、「管理職として身につけたい知識・スキル」を尋ねた質問では約半数の方が「リーダーシップ(51.5%)」「人材マネジメント(50.7%)」を選択しています。第3位もコミュニケーション力と深い関係
にある「論理的思考力(42.0%)」でした(図5)。
5. 「自己研鑽」に時間を費やす管理職ほど、目標達成度が高い
では、スキルアップについて管理職は自己研鑽にどのくらいの時間を費やしているのでしょうか。
部門目標や部門計画を達成したことがない管理職では「時間をあてていない」が26.4%だったのに対し、毎年目標達成している管理職で「時間をあてていない」を選んだのは13.3%。目標を達成したことがない管理職より13.1pt少ない結果でした。月間11時間以上を費やしていると答えたのは、目標を達成したことがない管理職で8.0%、2~3年に1回は達成している管理職で12.6%、毎年目標を達成している管理職で21.1%です。さらに目標達成度が高い管理職ほど自己研鑽の時間をより多く確保していることが推察されます(図6)。
さらに、具体的にどのような自己研鑽をしているのかを複数回答で尋ねたところ、毎年目標達成している管理職は、そうでない管理職よりも「書籍を読む」割合が高く、4割超を占めました。逆に自己研鑽について「何もしていない」を選んだのは「達成したことがない」と答えた管理職が最も多くなっています(図7)。
まとめ
今回の調査から、環境の大きな変化が続き先の見通せない状況においても、部門目標や部門計画を毎年達成している管理職には、いくつかの共通する傾向が見られることが分かりました。
第一に、毎年目標を達成している管理職は、業務におけるマネジメントの割合が比較的高い傾向がありました。「ややマネジメント寄り」「マネジメント中心」という回答は35.1%、「マネジメント半分プレーヤー半分」まで含めれば過半数が含まれます。このことから、毎年目標達成している管理職の多くの方が、業務の半分以上をマネジメントに割いていることが分かります。
第二の傾向は、毎年目標を達成している管理職には、部下の成長を実感している方が多いということです。部下の成長については、管理職の年数に関わらず約半数の方々が悩みの1つとして挙げました。そうした中で、毎年目標を達成している管理職の方の多くが部下の成長を実感できているのは、部下との対話時間と関係があるかもしれません。部下の成長度は仕事の報告以外の対話時間と正の相関関係にあることが本調査で示されています。部下との必要な対話時間を確保することで成長をサポートし、実際に部下が成長して部門の目標も達成しやすくなるといった好ましい流れができていると推察されます。
第三の傾向は、毎年目標を達成している管理職は自己研鑽にかける時間が比較的多いことです。39.8%の方が月間6時間以上を自己研鑽にあてており、さらに月間11時間以上をあてている方に限っても21.1%いました。目標を達成したことがない管理職の8.0%、2~3年に1回は目標を達成している管理職の12.6%と比較すると大きな差です。部下だけでなく管理職自身もスキルアップを図ることが、目標達成に必要な知識やスキル向上につながっていると考えられます。
本調査の結果から、部門の目標達成につながるマネジメント力を持つには、管理職自らの自己研鑽にかける時間を確保し継続的にスキルアップするとともに、プロジェクトチーム全体で目標達成できるよう、メンバーをしっかり巻き込んでいくことの重要性が示唆されました。定期的なコミュニケーションによって部下との良好な関係を築きながらメンバーそれぞれの特性を理解すること、そして適切な指導を通じて部下の能力開発をサポートすることが、これからの管理職により求められていくと推察されます。
調査レポート https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20220331.pdf
調査対象者 | 当社が提供する管理職向け研修の受講者 |
調査時期 | 2021 年 8 月 3 日~2021 年 10 月 11日 |
調査方法 | Web・マークシート記入式でのアンケート調査 |
サンプル数 | 1,715人 |
属性 | (1)年代 ①男性:85.1%(1,460人) ②女性:14.5%(249人) ③不明:0.3%(6人) (2)業種 ①農業,林業:0.1%(1人) ②鉱業,採石業,砂利採取業:0.1%(2人) ③建設業:9.3%(160人) ④製造業:20.8%(357人) ⑤電気・ガス・熱供給・水道業:2.0%(34人) ⑥情報通信業:14.3%(246人) ⑦運輸業,郵便業:3.2%(55人) ⑧卸売業,小売業:12.5%(215人) ⑨金融業,保険業:4.5%(77人) ⑩不動産業,物品賃貸業:3.7%(63人) ⑪学術研究,専門・技術サービス業:3.7%(64人) ⑫宿泊業,飲食サービス業:0.9%(16人) ⑬生活関連サービス業,娯楽業:0.7%(12人) ⑭教育,学習支援業:0.3%(6人) ⑮医療,福祉:1.9%(33人) ⑯複合サービス事業:1.7%(29人) ⑰サービス業(他に分類されないもの) :12・4%(212) ⑱公務:0.1%(2人) ⑲その他:6.7%(115人) ⑳わからない:0.9%(16人) (3)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:6.9%(119人) ②51人~100人:14.4%(247人) ③101人~300人:46.6%(800人) ④301人以上:31.1%(533人) ⑤不明:0.9%(16人) |
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「管理職意識調査」】と明記ください
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株式会社ラーニングエージェンシー |
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