【社会課題に光を当てるSIL】QO、認知症をテーマに当事者と生活者の距離をつなぐ調査を実施
~ 83.8%が認知症になるのは怖いと回答し、初期症状が物忘れだけではないことを知る人は25.4%に留まる ~
人と社会のために問いを探究する、リサーチとプランニングの会社であるQO株式会社(代表取締役社長:恒藤優/本社:東京都中央区、以下「QO」)は、社会課題に光を当てるSocial Issue Lab(以下、SIL)の一環として、「認知症」をテーマとした調査レポートと、調査を踏まえ着目した生活者の生声をまとめたソーシャルレターを発表しました。

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調査レポート・ソーシャルレター(4.49MB)
【調査背景】
SILは、調査の力で社会の「声なき声」を拾い、社会課題を知るきっかけを届ける研究機関として、QOが培ってきたリサーチ技術や知見を社会に還元することを目的に2023年より活動を開始。これまで「ジェンダーギャップ」「震災支援」「防災・減災」「環境問題における揺り戻し」「性的マイノリティ」「平和」など、幅広いテーマで調査・発信を行ってきました。
今回SILでは、2025年には日本の65歳以上の約5人に1人*1が認知症になると見込まれるこの課題をテーマに取り上げます。
「認知症」は誰もが関わる可能性があるにもかかわらず、正しい知識やご本人・ご家族が抱える不安や負担への理解は十分とはいえません。
本調査では、認知症に関する知識やイメージ、ご本人とご家族が抱える不安や周囲の理解との乖離などを明らかにすることで、認知症を恐れる社会からともに生きる社会へ向かう議論のきっかけを届けます。
*1参照元:厚生労働省 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料 内の「資料-2参考2」
【主な結果内容(一部抜粋)】
— 認知症に関する知識の実態 ・・・ 図1,2
— 認知症に対するイメージ ・・・ 図3,4
— 認知症のご本人やご家族の抱える負担 ・・・ 図5,6
— ご本人・ご家族から見た認知症と関係の変化 ・・・ 図7
■調査結果の詳細
— 認知症に関する知識の実態
「早期発見が大切」「投薬治療で進行を遅らせられる」と知る人は3〜4割。
一方で、“初期症状は物忘れだけではない”と理解する人は4人に1人に留まる。
・初めに、認知症に関する事柄をどの程度知っているかを尋ねたところ、各項目で知っていると回答した割合はいずれも半数以下にとどまりました。さらに予防・治療に関する項目「認知症は早期発見が大切であること(42.3%)」「投薬治療をすることで進行を遅らせることができる(36.2%)」「生活習慣病の予防が認知症の発症リスクを低下させる(31.3%)」も3〜4割と、知識の浸透が十分ではないことがうかがえます。
また、「認知症の初期症状は物忘れや認知機能の低下だけではない」の項目を知っていると回答した人は、全世代では2割強に留まり、比較的スコアの高い60代(27.7%)、70代(28.4%)でも3割をわずかに下回る程度で、加齢との違いが認識されていない実態も明らかになりました【図1】。

・認知症の症状として半数以上が知っていると回答したものは、「記憶障害(53.8%)」「徘徊(53.0%)」があります。一方で、認知症になるご本人が自覚する初期症状といわれている「疲れを感じやすくなる(20.7%)」「何かをすることが億劫になる(29.0%)」「外出をすることが面倒になる(28.5%)」はいずれも2~3割とそのほかの症状に比べて認知が進んでいない様子がうかがえます【図2】。

— 認知症に対するイメージ
「周囲に迷惑をかける」「怖い」「人生が真っ暗になる」のイメージが上位に並ぶ(7~8割)
“恐れ”や“恥”が、社会全体に強く残る。
・次に、認知症に対するイメージを尋ねると、「周囲に迷惑をかけるのが申し訳ない(85.4%)」「認知症になるのが怖い(83.8%)」「自分が認知症になったら人生が真っ暗になる(73.6%)」が7~8割で上位に並び、自責の念や絶望感などのイメージを抱く人が多いことが明らかになりました。
・さらに「家族が認知症になったら周囲に知られたくない(47.2%)」と回答した人も5割に迫り、周囲の目を気にする様子もみられました【図3】。

・認知症や認知症の方に対するイメージを、また、もしも自分が認知症になったらどのように感じると思うかを自由回答でも尋ねました。結果からは、「誰しもがなりうる」といった受け止める声も一部みられましたが、一方で「イメージがつかず接し方が分からない」「何もできない」など、どうしていいか分からない困惑や諦めに近い心情も多く確認できました。
・自分が認知症になった場合でも同様に、「気のせいじゃないかと確認しそう」「周りの人に申し訳ないので関わりを断ちたい」といった声があがり、認知症を受け止めきれない気持ちや絶望感が垣間見える結果になりました【図4】。

— 認知症のご本人やご家族の抱える負担
ご自身が抱えるものは恐れや不安、ご家族が抱えるものは葛藤や不安が強い
・ご自身やご家族が認知症になったことで、悩んでいることや不安に感じていることについても自由回答で尋ねました。
・ご本人が認知症になったことで感じる悩みや不安は、「周囲に迷惑をかけることへの不安」「病気が進行することで、できないことが増えたり、自分らしくなくなってしまうことへの恐怖」などがあげられました。
・ご家族が認知症になったことで感じる悩みや不安は介護に関するものが多くあがり、「どこまで認知症の症状が進むのか?漠然とした不安」「今していることが正しい、本人にとって良い事なのか悩む」など、認知症のご本人と向き合う中での負担や認知症の進行に関する不安、介護の方針について葛藤する声などがみられました【図5】。

「どうせ認知症だから」「もっとこうしてあげればいいのに」
決めつけや偏見が、本人・家族双方の孤立を深めている
・ご自身やご家族の認知症に関して周りの方からされて嫌だと感じたことを伺うと、「どうせ認知症だから」などの決めつけの言動や「もっとああしてやればいいのに」といった無責任なアドバイスを受けた経験を持つ人が見られ、社会全体の理解不足が認知症を患う方またそのご家族の孤立や負担を助長していることがうかがえました【図6】。

— ご本人・ご家族から見た認知症と関係の変化
自身の考えや家族関係の変化トップは「介護がいつまで続くか分からない」不安(8割強)
「周囲から十分な理解や協力が得られない」など周囲の理解不足の割合も半数を超える
・ご家族が認知症になったことによる関係の変化を伺うと、「家族のことを段々と忘れていく不安(77.7%)」「同じことを繰り返し尋ねられることによる疲労感(76.6%)」といった不安感や、「介護がいつまで続くか分からない(83.9%)」「自分の時間や趣味が制限される(74.8%)」といった介護がご自身の生活の中心になる負担が7割を超え、ご家族の抱える不安や負担は多岐にわたることが分かりました。
・また「周囲から十分な理解や協力が得られない(53.6%)」「家族が介護をして当たり前とみなされるプレッシャー(52.6%)」など周囲の理解不足も半数以上が感じています【図7】。

ソーシャルレター
認知症と聞いて思い浮かべるのは、不安や恐れかもしれません。
けれども、それは特別な誰かの出来事ではなく、誰もが関わり得る日常の一部です。今回のソーシャルレターでは、生活者だけでなく当事者や家族の声に耳を傾けながら、誰もが自分らしく暮らし続けられる社会へそのきっかけを届けます。
ソーシャルレターはこちら: ソーシャルレター(1.10MB)
■調査概要
調査対象者:全国の20-79歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :①生活者一般 : 2,000人
②ご本人が認知症または軽度認知障害の方 : 111人
③同居しているご家族が認知症または軽度認知障害の方 : 274人
割付方法 :①生活者一般 : 令和2年国勢調査の性年代構成比に基づいて割付し、世の中の縮図を再現
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2025年10月6日(月)~10月9日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル
調査内容 :・生活者と認知症の距離
・生活者の抱く認知症へのイメージ
・認知症のご本人やご家族の抱える負担
・ご本人やご家族から見た認知症と関係の変化
l Social Issue Lab「SIL」の研究活動
・第1弾_ガールズ、ジェンダーギャップ:https://www.q4one.co.jp/news/20231011_2.html
・第2弾_生活者が向き合う震災支援のリアル:https://www.q4one.co.jp/news/20240311.html
・第3弾_防災格差、防災あとまわし社会:https://www.q4one.co.jp/news/20240809.html
・第4弾_誹謗中傷:https://www.q4one.co.jp/news/20241202_2.html
・第5弾_環境問題:https://www.q4one.co.jp/news/20250310.html
・第6弾_性的マイノリティ: https://www.q4one.co.jp/news/20250606.html
・第7弾_平和: https://www.q4one.co.jp/news/20250724.html
【QO株式会社 会社概要】
QO 株式会社は、人と社会のために問いを探究する、リサーチとプランニングの会社です。
博報堂のストラテジックプラニングの知見と、マクロミルのデータアセットおよびリサーチケーパビリティを掛け合わせたJV 企業として、マーケティング機会の発見、戦略策定、コンセプト開発、施策実行のPDCA まで一連のマーケティング活動に伴走します。
代表取締役社長:恒藤優
本社:東京都中央区京橋2-7-19 京橋イーストビル9F
設立:1965年6月
事業内容:リサーチソリューション事業、マーケティングプランニング事業
コーポレートサイト:https://www.q4one.co.jp/
【本件に関するお問い合わせ先】
QO株式会社 広報室
MAIL:corporate.info@q4one.co.jp
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