「企業の障害者雇用における合理的配慮」に関する調査結果を発表

~企業の半数以上が、合理的配慮における専門人材や社内周知・理解不足等で「課題が大きい」と実感~

パーソルダイバース株式会社

総合人材サービスのパーソルグループ傘下で障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡部 広和)は、企業の障害者雇用担当者に対し「企業の障害者雇用における合理的配慮に関する調査」を実施しましたので、結果を発表いたします。

<合理的配慮の把握・提供の課題と、合理的配慮の取り組みの負担>(パーソルダイバース調査)

調査結果詳細 URL: https://persol-diverse.co.jp/research/report011/

【主なトピックス(調査結果概要)】

1. 合理的配慮の把握、確認方法:採用プロセスでは「面接時に確認する」(76.1%)、「人材会社等からの情報を利用する」(70.7%)が多く、入社後では9割以上の企業が「定着面談、定期面談」によって確認している。

2. 合理的配慮の提供内容(身体障害、精神障害):精神障害者に対しては「業務面の配慮」(就業環境や業務内容、業務量など)や「人的サポートの配慮」(上司や同僚、人事部からのサポート)において、身体障害者より多く行われている。

3. 合理的配慮の提供による成果:最も評価したのは「雇用の安定・定着」(63%)、次いで「適材適所の配置の際の判断、適切な雇用管理」(48.8%)。一方、最も評価が少なかったのは「戦力化・活躍」(27.6%)となった。企業は合理的配慮が雇用管理や雇用の安定に役立っていると考えているが、戦力化や活躍への影響はあまり感じていない。

4. 合理的配慮実施の課題:合理的配慮の実施に対し、54.9%の企業が課題が大きいと実感している。(「大変大きい」17.2%と「やや大きい」37.7%の合計値)。従業員数が多い企業ほど課題を実感している傾向が見られた。課題の内容としては専門人材や社内周知・理解の不足、合理的配慮に該当するかどうかの判断が難しい、などが多かった。

■調査結果詳細

1. 合理的配慮の把握、確認方法:

採用プロセスでは、企業の76.1%が「面接時に応募者に直接尋ねる」方法で情報を得ており、次いで70.7%の企業が「人材紹介会社からの書類や情報」を利用している。一方で「募集、採用活動時には特に収集していない」は3.4%にとどまり、企業の多くは入社前においては何かしらの手段で合理的配慮の把握を行っていることが分かる。

<採用決定までの合理的配慮の把握方法>(パーソルダイバース調査)

入社後については、90%以上の企業が「定着面談や定期面談」を通じて合理的配慮を確認していることが分かった。定期面談においては配属先の部署が多く、必要に応じての面談の場合は、人事部が行っているケースが多い。支援機関など外部機関による面談は、定期面談・随時面談が30%代で、7割は社内で実施している様子が伺える。

面談を「行っていない」と回答した企業を従業員別でみると、従業員100人以下の企業は24.1%にのぼる一方、1,000人以上規模の企業は0.9%にまで減少する。従業員規模が大きいほど、面談が実施されていることが分かる。

また、面談以外で合理的配慮の把握のために実施していることでは、「社内の医療従事者(産業医や保健師など)への相談窓口の設置」が49.5%と最も高かった。

                  

2. 合理的配慮の提供内容(身体障害、精神障害):

身体障害と精神障害それぞれについて、提供されている配慮の内容を調べたところ、精神障害者に対する配慮がより多く行われているものがあることが分かった。具体的には、業務面での配慮においては「業務指示の工夫」の実施率が18.6ポイント、「障害特性に合わせた業務の創出、業務量の調整」も13.7ポイント高かった。また人的サポートにおいては、「上司、同僚からのサポート」が9ポイント、「人事部からのサポート」も8.6ポイント、身体障害者に対する配慮実施より高かった。この結果から、精神障害のある社員を雇用している企業は、業務内容から指示、マニュアルの作成から人的サポートなど、身体障害より積極的に合理的配慮を実施していることが伺える。

障害種の区別なく、最も低い内容が「キャリア形成に関する配慮」で、身体障害・精神障害ともに20%代だった。従業員規模別でみても低い結果となり、キャリア形成のための配慮提供に積極的な企業はまだ少ない様子が伺える。

<合理的配慮の提供状況>(パーソルダイバース調査)

3. 合理的配慮の提供による成果:

合理的配慮の成果として最も多くの企業が評価した成果は「雇用の安定・定着」(63%)、次いで「適材適所の配置や適切な雇用管理」(48.8%)となった。一方で、最も少なかったのは「戦力化や活躍」で27.6%となっている。これは企業が、合理的配慮の成果として、まず雇用の安定や定着があり、その先に「戦力化・活躍」や「就労意欲の向上」があると考えられる。そのため、合理的配慮が雇用管理や雇用の安定に役立っていると考えているものの、戦力化や活躍に対する影響はあまり感じていないと思われる。

なお、「成果と言えるまでの事例に至っていない」と回答した企業も19.2%存在した。

<合理的配慮の成果>(パーソルダイバース調査)

4. 合理的配慮実施の課題:

合理的配慮の課題について聞いたところ、「課題は大変大きい」と答えた企業は17.2%、「課題はやや大きい」と答えた企業は37.7%で、合計54.9%が課題を感じていることがわかった。一方で「課題はない」と答えたのは6.7%で、93.3%の企業が何らかの課題を抱えていると考えていることが分かった。

一方で、合理的配慮の取り組みにあたっての負担に関しては、82.8%の企業が、「負担は許容できる範囲である」と回答している。合理的配慮の提供は「負担以上の効果がある」と回答した企業は、9.8%だった。

<合理的配慮の把握・提供の課題と、合理的配慮の取り組みの負担>(パーソルダイバース調査)

なお、この合理的配慮の課題について従業員規模別で聞いたところ、100人以下では44.8%、100人以上~300人未満では41.2%、300人以上~500人未満では48.3%、500人以上~1,000人未満では53.2%、1,000人以上では71.1%と、従業員規模が多いほど、「課題は大変大きい」「課題はやや大きい」と感じる企業の割合が高くなる傾向がみられた。従業員規模が多いほど合理的配慮の実施機会が増え、その結果として多くの課題が出てきているものと考えられる。

課題の具体的な内容としては「社内の障害者雇用に関する専門人材の不足」(48.7%)が多く、次いで「社内に障害者雇用に関する専門人材の不足」(43.0%)と、社内体制に関する課題が多くみられた。

また合理的配慮に該当するかどうかを判断するのが難しいと答えた企業は40.1%に達している。これは、合理的配慮の内容が適切かどうか、企業が提供すべき合理的配慮の範囲かどうかを判断できないケースが一定数あることを示している。

<合理的配慮の把握・提供の課題の具体的な内容>(パーソルダイバース調査)

■調査結果考察

パーソルダイバース株式会社

人材ソリューション統括本部 

人材ソリューション本部 

人材紹介事業部ゼネラルマネジャー

鈴木 紀子

 

今回の結果によると、多くの企業が合理的配慮を実施しているものの、過半数を超える企業がその提供に「大きな課題がある」と回答しています。また、19.2%の企業は、現状の合理的配慮の取り組みが、成果につながっているとは言えないと感じています。合理的配慮は障害者が職場で安心してはたらき、企業人材として貢献するうえで不可欠ですが、課題が多いことが浮き彫りになりました。

“合理的配慮”は本来「reasonable accommodation」、つまり、「業務を円滑に進めるための必要な対処」を指します。これは、障害のある社員を戦力とし、企業の成果につなげることが目的です。単に「気を遣う」ものではなく、業務において重要な役割を果たすことが本来の意味です。

一方で、合理的配慮の成果で「戦力化・活躍」を選択した企業においては、必要な対処を知るための面談、実装に向けての相談先として外部機関との連携をするなど、情報を正しく知ることで成果を得ておられることもわかりました(※)。自社のノウハウでは対処できない課題については、外部の知見や支援、他社の取り組み等を活用することが有効です。

障害のある社員の業務を事業の成果としていく、その土台となる合理的配慮は、これからの障害者雇用の成功には欠かせません。私たちパーソルダイバースはこれからも、企業の雇用課題と向き合い、ご支援を続けてまいります。

(※:詳細につきましては、調査結果詳細ページをご覧ください)

■調査概要

調査名称

企業の障害者雇用における合理的配慮に関する調査

調査手法

自社会員を用いた、インターネットによるアンケート調査

調査対象者

dodaチャレンジ法人向けメールマガジンに登録している、企業の障害者雇用に取り組む担当者 297名

調査対象者の内訳

事業形態:

一般企業266社(89.6%)/公的機関7社(2.4%)/特例子会社24社(8.1%)

業種:

建設業16社(5.4%)/製造業64社(21.5%)/電気・ガス熱供給・水道業2社(0.7%)/運輸業、郵便業14社(4.7%)/卸売業17社(5.7%)/小売業11社(3.7%)/金融業、保険業28社(9.4%)/不動産業13社(4.4%)/専門・技術サービス業(法律、税務、測量など)16社(5.4%)/飲食サービス業1社(0.3%)/その他サービス業63社(21.2%)/医療、福祉12社(4.0%)/公社、官公庁、学校9社(3.0%)/その他31社(10.4%)

従業員規模:

40人未満2社(0.7%)/40人以上100人未満27社(9.1%)/100人以上300人未満85社(28.6%)/300人以上500人未満29社(9.8%)/500人以上1,000人未満47社(15.8%)/1,000人以上5,000人未満78社(26.3%)/5,000人以上10,000人未満15社(5.1%)/10,000人以上14社(4.7%)

本社所在地:

北海道4社(1.3%)/東北2社(0.7%)/関東188社(63%)/東海39社(13%)/北陸1社(0.3%)/近畿47社(16%)/中国2社(0.7%)/四国1社(0.3%)/九州12社(4%)/沖縄1社(0.3%)

調査期間

2025年2月4日~2月11日

実施主体

パーソルダイバース株式会社

調査結果詳細URL

https://persol-diverse.co.jp/research/report011/

■パーソルダイバース株式会社について<https://persol-diverse.co.jp/

パーソルグループの特例子会社として、「障害者雇用を成功させる。そして、その先へ。」をミッションに、障害者の多様なはたらき方とはたらく可能性の創出に取り組んでいます。グループ内外の企業や地域と連携した 多様な業務受託サービスを展開するほか、国内最大級の求人・登録者数を持つ障害者のための転職・就職支援 サービス「dodaチャレンジ」、就労移行支援事業所「ミラトレ」「Neuro Dive」の運営や、企業の雇用課題を支援する「障害者の人材紹介」「障害者雇用コンサルティング」などのサービスを提供しています。

「PERSOL(パーソル)」についてhttps://www.persol-group.co.jp/

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げる ことで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。 さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の 誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

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会社概要

URL
https://persol-diverse.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区港南1-7-18  A-PLACE品川東 6F
電話番号
-
代表者名
渡部 広和​
上場
未上場
資本金
4500万円
設立
2008年01月