万年筆の胴軸製造で1929年創業、現在は精密樹脂加工を本業とする『株式会社オーエム』。"大切にしているものを主役にする"ニュープロダクトをひっさげ「東京インターナショナル ギフト・ショー」に出展!
株式会社オーエム は2025年2月12日(水)〜2月14日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」に「足立ブランド」として出展します。
「使う人の暮らしや人生に寄り添うものを作りたい」。そんな発想から生まれたプロダクト。そこにある思いや、「足立ブランド」加入によって確立された"提案型町工場"というスタイルに関して、専務取締役の大村賢二氏に話を伺いました。
創業95年。新たに開発した自社プロダクト
エボナイト樹脂を切削(せっさく)加工し、万年筆の胴軸を製造することから始まった『株式会社オーエム』。樹脂加工を本業とする創業95年を迎えた会社です。そのオーエムが2024年、新たな自社プロダクトを開発しました。そのひとつがこちら。
一体何に使うものか、分かりますか?
答えは・・・
メガネスタンド!!
毎日使う愛用のメガネを置いておけるものです。『オーエム』が得意とするアクリルと、試行錯誤の末に見つけた人工大理石を精密加工し、接着剤は使わず、互いに圧入させて製作しています。
製品開発を担ったのは専務取締役の大村賢二さん。
「私はメガネが好きなのですが、家で外した後など、そのメガネ自体を飾って見られるスタンドがなく、それならば自社で作ってみようと考えました」
普段使いのメガネから老眼鏡まで、どんなメガネでも置けるように形状に工夫を重ねました。
「年齢によって使い方も変わっていくメガネですが、どんなメガネになってもいつもそばに置いておけるように」という思いがそこにあります。
大切にしているものを主役にするスタンド
「大切にしているものを主役にできるスタンド」。
そこから発想が広がり、メガネスタンドのほかにも次々に商品が完成しました。
・リングやピアスなどを置けるアクセサリートレイ(fungus dimple/ファンガス・ディンプル)
・ポストカードや名刺などを立てられるカードスタンド(fungus slit/ファンガス・スリット)
・アロマの香りをスティックで拡散させるディフューザー(fungus plash/ファンガス・プラッシュ)
いずれもメルカリ・オンラインショップで販売され、価格は8,800円〜9,900円(送料込み)です。
シリーズ名の「fungus(ファンガス)」とは、キノコや菌類のこと。試作品をたくさん並べて見たとき、たくさん生えるキノコの森のように見えたことと、キノコが派生していくようにラインナップを増やし、海外での展開も目指したいとこの名前をつけたそうです。
「使う人の暮らしや人生にそっと寄り添うものを作りたいと考えていました。婚約指輪や結婚指輪を置いたり、家族写真や子どもの写真を飾ったり、ディフューザーは一輪挿しとしても使えますから、母の日のカーネーションを活けていただくのもいいかもしれません」
寸法精度10ミクロンの精密加工技術
もともと万年筆の胴軸製作から始まった『オーエム』ですが、その後、切削技術を活かした絶縁性のプラスチック加工で電話交換機のジャック製造を受注するようになりました。
そして現在は、銀行ATMや医療機器などで使われる樹脂製の内部機械部品、店舗の陳列などで使うアクリル製の什器(じゅうき)やケースなど、企業から個人まで幅広いニーズに応えるもの作りを行っています。寸法精度10ミクロン台での精密加工ができることが『オーエム』の強みです。
デザイナーとコラボした新しいもの作り
また、自社開発プロダクトは「fungus(ファンガス)」以前から行ってきました。
代表的なものは「btrail(ビートレイル)」。
これは長年の樹脂加工で培った職人技を駆使し、溝のついたブロックを組み合わせ、上から落とした玉が下まで落ちる道を工夫して作り上げる知育玩具です。大村さんが参加した異業種交流会で知り合いになったデザイナーとのコラボで生まれました。
ほかにも電源不要のスマホ用スピーカー「bomboo(バンブー)」、アクリルの美しさをそのまま引き出した「アクリルトレイ」などを製品化してきました。
アメリカで機械工学を学んだ、次の4代目
精密樹脂加工の受注を本業としながら、新しい事業に挑戦する大村氏は2008年に入社しました。現在の社長である大村初男さんは父親で、『オーエム』の3代目です。大村さんはいずれ事業を継承し4代目になる予定です。
大村氏は生まれも育ちも足立区千住。高校卒業後、大学進学を考えた時「日本の大学だと遊びまくってしまう。英語もマスターしたい」と考え、アメリカへ渡ります。最後はイリノイ州にあるブラッドリー大学機械工学部を卒業し、日本に帰国して『オーエム』に入社しました。
「アメリカでは初め、情報工学でプログラミングを専攻していました。でもやはり、手を動かし、何かを作る方が好きだなと気付き、途中から機械工学専攻に変えました。大学4年の時には、仲間と一緒に1968年製のアストンマーチン車のエンジンをキャブレターから電子制御に変える改造プロジェクトをしたりしました。大変でしたが、今ではいい思い出です」
技術力+営業で「提案型町工場」に
『オーエム』入社後の3年間は、製作の現場で技術を身に付けていきました。その後は営業担当として外に出て、新規顧客開拓を行うように。初めに技術を身に付け、樹脂素材や加工法の知識も蓄えていたおかげで、顧客に対して提案型の営業を行うことができたといいます。今では『オーエム』は「提案型町工場」を打ち出しています。
「私が営業を始めた頃、足立区内の会社との取引がほとんどなく、足立区にどんな会社があるのかほとんど知りませんでした。飛び込み営業で近くの同業会社を訪問した際、『足立ブランド』のことを教えていただきました」
もともと「足立区への(会社の)貢献度が低い」「自社の技術力を足立区から発信したい」と考えていた大村さんは足立ブランド認定に申請を行い、2016年に認定されました。また、「⾜⽴ブランド」の若⼿経営者グループである「あだちブランドyouth(ユース)」にもすぐに入りました。
「そこからは一気に仲間が増えた、という感じです。実際、ユースの活動では合宿があったり、ボウリング大会があったり、仲が良くなる機会がたくさんありました。いろいろな繋がりが広がり、『btrail』のデザインはstudio cohakuの濱西さん、今回の『fungus』のデザインはKaB DESIGNさん、どちらも足立区内のデザイン事務所に依頼をしています」
また足立区にある6大学の地域連携活動の一環として、大学生の工場見学を受け入れたり、デザイン系の大学生の卒業制作を手伝う機会などもできたそうです。
fungusのラインナップを増やし、世界展開も
会社としてはあと5年で100周年を迎えることに。創業の時から守られてきた「品質」「信頼」「技術」を受け継ぎ、それを進化させていきますが、大村さんはさらに自社ブランドの世界展開も視野に入れています。
「2025年には『fungus』のラインナップをさらに増やすつもりです。今はJETRO(日本貿易振興機構)にも相談をしています。(2024年)10月には中国で行われている国際見本市に出展して、反応を確かめたりもしています」
顧客に納品した時に「ありがとう」と言われることが一番の喜びだという大村さん。
「お客様も、従業員も幸せになれる経営をこれからも続けていきます」と話していました。
2025年2月12日(水)〜2月14日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」内の「SOZAI展」コーナーに「足立ブランド」で出展します。
株式会社オーエムの美しいプロダクトに触れて、ぜひあなたの"大切にしたいもの"を再確認してみてください。
企業情報
株式会社オーエム
会社名:株式会社オーエム
住 所:東京都足立区一ツ家3-24-23
電話番号:03-3884-1333
代表者:大村 初男
事業内容:
・樹脂精密切削加工
・樹脂接着加工
・樹脂曲げ加工
・樹脂プレス加工
・フィルム材抜き加工
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『株式会社オーエム』は、この「足立ブランド」認定企業です。
取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。
足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト
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