【調査発表】「大学生の就職活動調査2020」結果を発表!WEB面接が一般化したニューノーマル時代の新卒採用 WEB特有のコミュニケーション課題が学生の入社志望度を下げている実態も明らかに
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を⽀援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:藤島 敬太郎 以下、当社)は、2021年新卒採用選考に参加した全国の大学4年生、修士2年生1,407名に対し、「大学生の就職活動調査2020」を実施し、学生の「WEB面接に対する心象」や「WEB面接特有の事象と志望度・企業イメージへの影響」など、調査結果から見える実態について公表しました。
1.調査背景と結果のポイント
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、多くの企業が採用選考をWEB面接形式で行った2021年卒新卒採用。まもなく本格化する2022年新卒採用においても、多くの企業が選考にWEB面接を導入することが予想されます。WEB面接に対して学生がどのような意識を持っているか把握し、企業の採用担当者が気をつけるべきことを明らかにすべく、本調査を実施しました。
■調査結果より一部抜粋 ※調査の詳細は、「3. 調査結果と考察」を参照ください 。
2.WEB面接を行う場合の3つのポイント
<調査担当研究員のご紹介>
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HR アセスメントソリューション統括部 アセスメントサービス開発部
サービス開発G 研究員 山村優奈
本調査において、WEB面接の経験がある学生は8割を超えていることがわかりました。地方の学生も受けやすいなどメリットも多く、特に選考の初期の段階での実施に対して支持されているWEB面接ですが、面接官の反応や態度によっては志望度や企業イメージにネガティブな印象を与えることも明らかになりました。
では、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
調査結果から見えた、WEB面接を行ううえで具体的に大事にしたい3つのポイントをご紹介します。
1.学生の不安を和らげる場づくり
前提として、面接官自身が余裕を持ってWEB面接に臨めるよう、事前にシステムに慣れておくと良いでしょう。その上で、お互いの音声や画像が問題なく見聞きできているかを確認する・「カメラ目線を無理に意識しなくて良い」と伝える、途中で通信障害が起きたときの対処方法等、WEB面接の冒頭で学生が感じやすい不安を取り除き、安心して会話ができる場づくりを心がけましょう。
2.伝わっていることを伝える
カメラに視線を合わせる・うなずきや相槌などを対面時よりも大きく意識的に行うといったことも大切ですが、「自分の発言を受けて、掘り下げて聞いてくれている」と感じられるようなコミュニケーションをとることが最も重要です。これは、対面においても重要なポイントですが、面接官の反応が見えづらい中で、「学生時代に力を入れたことは?」「なぜ取り組もうと思ったのですか?」などと質問ばかりされてしまうと、学生は「自分の話を理解してくれているだろうか、熱意が伝わっているだろうか」と対面面接以上に不安に思うでしょう。「●●にとても熱心に取り組んだのですね。なぜそこまで打ち込めたのだと思いますか?」など、話してくれたことに触れながら具体的に聞いていく対話を増やすことができると、学生も「話が伝わっているな、理解してくれているのだな」と安心して会話を進めることができます。
3.通信トラブルが発生したときこそ十分な配慮を
機会の公平性を確保するという意味でも、通信トラブルが発生し、面接の実施や継続が困難となった際の対応には十分な配慮が必要です。例えば、通信障害などの機器のトラブルが選考に影響しないと伝え安心してもらう、最終的に十分な時間をかけて面接ができなかった場合には、別途日程をもうけるなど、応募者の心象も考慮した対応方法を予め決めておくとよいでしょう。
上記のとおり、WEB面接では応募者の不安を和らげるコミュニケーションや、話を理解していることを言葉や態度で意識的に示すなどの配慮を心がけていただくとよいでしょう。そのような配慮・場作りをして初めて、本質的な双方向のコミュニケーションのある面接ができると考えています。
3.調査結果と考察
●2021年卒新卒採用におけるWEB面接の浸透度(図表1・2)
・本選考で面接経験のある学生のうち、約81%がWEB面接を経験。
・1次面接で「WEB面接経験あり」と回答した学生は80%以上。選考が進むにつれ「WEB面接経験あり」と回答する学生の比率は減少するが、最終面接においても「WEB面接経験あり」と回答する学生が60%以上いた。
・本選考で面接経験のある学生に「WEB面接と対面面接どちらが好ましいか」聞いたところ、1次面接では「対面面接を支持する学生」よりも、「WEB面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。
・一方で、3次面接以降は「WEB面接を支持する学生」よりも「対面面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。
⇒選考が進むに従い、対面でのコミュニケーションを好む学生が多くなる傾向が見られる。
選考段階の初期では、学生は面接などの選考プロセスを複数社・同時並行で進めるケースも多く、経済的・時間的な効率を優先する人が多いことが背景にあると考えられます。
一方で、選考の最終段階では対面形式を望む学生が増えています。企業で働くイメージを具体化するためにオフィスや社員の雰囲気も含めて理解したいという声や、最終段階では自分の熱意を対面で直接伝えたいというコメントも見られることから、選考が進むにつれて感覚的に得られる情報も含めて双方の理解を深めようとする意向が感じられます。
●WEB面接に対する学生の心象(WEB・対面面接両方経験ありの回答傾向)(図表4 赤枠部分)
・経験の有無が面接形式に対する心象に影響を与える可能性があることから、「WEB・対面面接両方経験あり」と回答する学生のWEB面接に対する心象を調査したが、図表3と同じ結果がみられた。
・「WEB面接の方が好ましい理由」として挙げられていることは、「心理的な負担の少なさ」「時間・交通費の節約」「新型コロナウィルス感染症への懸念」の3点にほとんど集約された。
・また、「WEB面接の方が好ましい」と回答した学生の中には、「最終面接の段階では対面面接が良い」と回答する人もいた。
<図表5 定性コメント(WEB面接のほうが好ましい理由)>
○心理的側面
・WEB面接は自宅で受けるため、緊張せず、リラックスして臨むことができる
・満員電車に乗って企業に向かったり、移動中のスーツのシワを気にする必要もなく
また面接開始直前まで対策ができ、面接に対してエネルギーを無駄なく注げる
○経済・効率的側面
・移動時間や交通費がかからない
・WEB面接上の方が効率もいい
・複数の企業を同時に受けることができたり、地方の企業の面接を受けたりすることができる
・地方の学生にとっては交通費、宿泊費がかかるため、対面面接は負担が大きい
○社会的側面
・新型コロナウィルス感染症に対する懸念
●定性コメント(対面面接のほうが好ましい理由)(図表6)
・「対面面接の方が好ましい理由」として挙げられていることは、「コミュニケーションのしやすさ」「会社に対する理解の深まり」の2点にほとんど集約された。
・特に「選考の初期段階ではWEB面接でも良いが、最終面接の段階では対面面接が良い」という意見が多く見られた。
<図表6 定性コメント(対面面接のほうが好ましい理由)>
○コミュニケーションのしやすさ
・気持ちや雰囲気、熱意が伝わる
・対面面接の方が話しやすいし得意だから
○会社に対する理解の深まり
・選考が進むにつれ、その企業への志望度も高くなるからこそ、社員の人柄や雰囲気を直に感じたい
・対面面接でないと相手のことをお互いによくわからないと思うので、選考が進むに従って
徐々に対面にシフトしていくべきだと思う
・選考の始めの段階では対面面接でなくとも、交通費や移動時間等を考慮すると、企業側も学
生側も互いにWEB面接の方が効率的だと思う。しかし、最終面接はやはり双方にミスマッ
チがないか確認する場面でもあるため、対面面接であった方が良いように思う。
・最後までWEB面接で直接合わないのは不安
●WEB面接特有の事象と志望度・企業イメージへの影響(図表7)
・「面接官の反応が薄く、話の内容や熱意がきちんと伝わっているか不安になった」という事象が最も志望度・企業イメージにネガティブな影響を与えていることがわかった。
【研究員の考察コメント】
面接形式(WEB・対面)は志望度に影響しないと答えた学生が半数以上であった一方で、WEB面接中のできごとが企業の志望度に影響していることがわかりました。企業側はWEB面接中に生じる通信不具合への対応や、「自分の話がちゃんと伝わっているのだろうか」といった学生が抱く不安への配慮がしきれず、志望度や企業イメージを下げてしまっていた可能性があります。
また、学生は自分が働くイメージを具体化するための情報を欲する傾向があります。特に就職活動のオンライン化が進む中では、企業は採用活動全体を通して、働くイメージを具体化するための機会や情報提供を意識的に行うことが求められているといえます。
<参考>
●定性コメント(志望度が上がったできごと)
○面接官のコミュニケーションの姿勢
・WEBということに配慮して相槌をしっかりしてくれた。大きめにリアクションをしてくれて安心して話すことができた。
・話すタイミングが同じになった際、「失礼しました。話を続けてください」と話を最後まで聞いてくれた。
○迅速かつ安心感のあるトラブルシューティング
・こちらの通信環境に触れて、万が一の対応を事前に知らせてくれた。
・回線トラブルで面接ができなかった時、日程を調整してもらった。不具合が起きたときすぐに対処してくださった。通信障害などの機器のトラブルは選考に影響しないと伝えてくれた。
・私の方が接続エラーになって、戸惑った時に落ち着いてください、大丈夫だからと優しく声をかけてくださった。
○場づくりへの配慮
・面接が始まるときに「WEB接は何回目?」「なかなか慣れないよね」など緊張をほぐしてくれる言葉がかけられた。
・タイムラグによるズレがあるけど、気にしなくていいと言ってくれた。
・WEBでも対面でも特に選考基準の変化はないと言われた。
・「WEBでの実施となってすみません、カメラの調達など大変だったでしょう。」と労いの声をかけられたときに、実際webカメラの調達に苦労したこともあり嬉しく思った。
○働く環境の様子
・面接官の家族の声が聞こえた時に、在宅勤務かつ家族との時間がとりやすいことが分かり、志望度が上がった。
・面接官が自宅から面接して下さっているのがわかり、社会情勢を考慮している会社なんだと感じ、入社後に同じような情勢になってしまった時の事を想像でき、安心感が得られた。
・PCのカメラを通して社内を見せてくださった。
○柔軟な対応
・対面の予定だったが、県外在住の旨を伝えるとオンラインに変えてくれた。
●定性コメント(志望度が下がったできごと)
○面接官のコミュニケ―ション
・面接官が遅れてログインしてきたのに、謝罪がなかった。
・通信トラブルで挨拶が遅れたとき、きちんと挨拶して下さいと注意された。こちらが悪いように言われたのは心外だった。
・目線や沈黙などの間合いがとれないと、不安になる。
・話しているのに全員下を向いていたり、腕組みをしたりしているところが真剣に聞いてくださってないような感じになり、志望度がかなり下がった。
・目線がずっと合わなかったり、ただただずっと頷いていたりする人は本当に話を聞いているのか、不安になった。
・こちら側にはカメラを付けろといったのに、面接官はカメラをつけなかった。
○場づくり
・WEB会議の1画面に面接官5人が並んでいて、威圧感を感じた。
・相手が集中していないことが伝わってきた。視線を逸らし、何かを見てると画面越しによく分かった。
・URLが開始直前に送られてくる。声がほとんど聞こえない。
・他の就活生と他の面接官が面接をする音が聞こえた。
・自分が話しているにもかかわらず、スマホのバイブ音がしょっちゅう鳴っており、そのたびに画面を確認している様子がすべて画面越しで見えていた。
○トラブルシューティング
・通信の不具合が生じた時に、こちらの環境のせいのような言い方をされた。
・面接官が、WEB面接ツールに不慣れであった。
・トラブルが起きた際に面接がとても雰囲気が悪くなり、面接も予定より早く終わってしまったことがあった。
・接続の問題なのか分からなかったが、面接官が事前に用意されていたWEB面接用のシステムにログインできず、急遽電話(音声のみ)の面接となった。声色のみでしか面接官の反応が分からないため、不安になった。 また、その状況で受けた面接で落とされた時は気持ち的にも複雑でやりきれなかった。
4. 調査概要
●調査名 :大学生の就職活動調査2020
●調査主体:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
●調査期間:2020年7月10日~2020年7月13日
●調査対象:全国の大学4年生または修士2年生
●有効回答者数:1407名
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、多くの企業が採用選考をWEB面接形式で行った2021年卒新卒採用。まもなく本格化する2022年新卒採用においても、多くの企業が選考にWEB面接を導入することが予想されます。WEB面接に対して学生がどのような意識を持っているか把握し、企業の採用担当者が気をつけるべきことを明らかにすべく、本調査を実施しました。
■調査結果より一部抜粋 ※調査の詳細は、「3. 調査結果と考察」を参照ください 。
- 本選考で面接経験のある学生のうち、約81%がWEB面接を経験。(図表1)
- 選考が進むにつれ、各フェーズにおいて「WEB面接経験あり」と回答する学生の比率は減少するが、最終面接においても「WEB面接経験あり」と回答する学生が60%以上いた。(図表2)
- 1次面接では「対面面接を支持する学生」よりも、「WEB面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。一方で、3次面接以降は「WEB面接を支持する学生」よりも「対面面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。(図表3)
⇒ 選考が進むに従い、対面でのコミュニケーションを好む学生が多くなる傾向が見られる。 - 経験の有無が面接形式に対する心象に影響を与える可能性があることから、「WEB・対面面接両方経験あり」と回答する学生のWEB面接に対する心象を調査したが、図表3と同じ結果がみられた。(図表4)
- 「WEB面接の方が好ましい理由」の上位は、「心理的な負担の少なさ」「時間・交通費の節約」「新型コロナウィルス感染症への懸念」の3点に、一方で「対面面接の方が好ましい理由」の上位は、「コミュニケーションのしやすさ」「会社に対する理解の深まり」の2点にほとんど集約された。(図表5・6)
- WEB面接においては、「面接官の反応が薄く、話の内容や熱意がきちんと伝わっているか不安になった」という事象が最も志望度・企業イメージにネガティブな影響を与えていることがわかった。(図表7)
2.WEB面接を行う場合の3つのポイント
<調査担当研究員のご紹介>
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HR アセスメントソリューション統括部 アセスメントサービス開発部
サービス開発G 研究員 山村優奈
大手飲食チェーン店での店長経験を経て、株式会社リクルートマネジメントソリューションズに入社。現在は採用領域のサービス・トレーニング開発、WEB面接に関する調査・研究などを行っている。
本調査において、WEB面接の経験がある学生は8割を超えていることがわかりました。地方の学生も受けやすいなどメリットも多く、特に選考の初期の段階での実施に対して支持されているWEB面接ですが、面接官の反応や態度によっては志望度や企業イメージにネガティブな印象を与えることも明らかになりました。
では、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
調査結果から見えた、WEB面接を行ううえで具体的に大事にしたい3つのポイントをご紹介します。
1.学生の不安を和らげる場づくり
前提として、面接官自身が余裕を持ってWEB面接に臨めるよう、事前にシステムに慣れておくと良いでしょう。その上で、お互いの音声や画像が問題なく見聞きできているかを確認する・「カメラ目線を無理に意識しなくて良い」と伝える、途中で通信障害が起きたときの対処方法等、WEB面接の冒頭で学生が感じやすい不安を取り除き、安心して会話ができる場づくりを心がけましょう。
2.伝わっていることを伝える
カメラに視線を合わせる・うなずきや相槌などを対面時よりも大きく意識的に行うといったことも大切ですが、「自分の発言を受けて、掘り下げて聞いてくれている」と感じられるようなコミュニケーションをとることが最も重要です。これは、対面においても重要なポイントですが、面接官の反応が見えづらい中で、「学生時代に力を入れたことは?」「なぜ取り組もうと思ったのですか?」などと質問ばかりされてしまうと、学生は「自分の話を理解してくれているだろうか、熱意が伝わっているだろうか」と対面面接以上に不安に思うでしょう。「●●にとても熱心に取り組んだのですね。なぜそこまで打ち込めたのだと思いますか?」など、話してくれたことに触れながら具体的に聞いていく対話を増やすことができると、学生も「話が伝わっているな、理解してくれているのだな」と安心して会話を進めることができます。
3.通信トラブルが発生したときこそ十分な配慮を
機会の公平性を確保するという意味でも、通信トラブルが発生し、面接の実施や継続が困難となった際の対応には十分な配慮が必要です。例えば、通信障害などの機器のトラブルが選考に影響しないと伝え安心してもらう、最終的に十分な時間をかけて面接ができなかった場合には、別途日程をもうけるなど、応募者の心象も考慮した対応方法を予め決めておくとよいでしょう。
上記のとおり、WEB面接では応募者の不安を和らげるコミュニケーションや、話を理解していることを言葉や態度で意識的に示すなどの配慮を心がけていただくとよいでしょう。そのような配慮・場作りをして初めて、本質的な双方向のコミュニケーションのある面接ができると考えています。
3.調査結果と考察
●2021年卒新卒採用におけるWEB面接の浸透度(図表1・2)
・本選考で面接経験のある学生のうち、約81%がWEB面接を経験。
・1次面接で「WEB面接経験あり」と回答した学生は80%以上。選考が進むにつれ「WEB面接経験あり」と回答する学生の比率は減少するが、最終面接においても「WEB面接経験あり」と回答する学生が60%以上いた。
●WEB面接に対する学生の心象(選考段階別)(図表3)
・本選考で面接経験のある学生に「WEB面接と対面面接どちらが好ましいか」聞いたところ、1次面接では「対面面接を支持する学生」よりも、「WEB面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。
・一方で、3次面接以降は「WEB面接を支持する学生」よりも「対面面接を支持する学生」の割合のほうが大きかった。
⇒選考が進むに従い、対面でのコミュニケーションを好む学生が多くなる傾向が見られる。
【研究員の考察】
選考段階の初期では、学生は面接などの選考プロセスを複数社・同時並行で進めるケースも多く、経済的・時間的な効率を優先する人が多いことが背景にあると考えられます。
一方で、選考の最終段階では対面形式を望む学生が増えています。企業で働くイメージを具体化するためにオフィスや社員の雰囲気も含めて理解したいという声や、最終段階では自分の熱意を対面で直接伝えたいというコメントも見られることから、選考が進むにつれて感覚的に得られる情報も含めて双方の理解を深めようとする意向が感じられます。
●WEB面接に対する学生の心象(WEB・対面面接両方経験ありの回答傾向)(図表4 赤枠部分)
・経験の有無が面接形式に対する心象に影響を与える可能性があることから、「WEB・対面面接両方経験あり」と回答する学生のWEB面接に対する心象を調査したが、図表3と同じ結果がみられた。
●定性コメント(WEB面接のほうが好ましい理由)(図表5)
・「WEB面接の方が好ましい理由」として挙げられていることは、「心理的な負担の少なさ」「時間・交通費の節約」「新型コロナウィルス感染症への懸念」の3点にほとんど集約された。
・また、「WEB面接の方が好ましい」と回答した学生の中には、「最終面接の段階では対面面接が良い」と回答する人もいた。
<図表5 定性コメント(WEB面接のほうが好ましい理由)>
○心理的側面
・WEB面接は自宅で受けるため、緊張せず、リラックスして臨むことができる
・満員電車に乗って企業に向かったり、移動中のスーツのシワを気にする必要もなく
また面接開始直前まで対策ができ、面接に対してエネルギーを無駄なく注げる
○経済・効率的側面
・移動時間や交通費がかからない
・WEB面接上の方が効率もいい
・複数の企業を同時に受けることができたり、地方の企業の面接を受けたりすることができる
・地方の学生にとっては交通費、宿泊費がかかるため、対面面接は負担が大きい
○社会的側面
・新型コロナウィルス感染症に対する懸念
●定性コメント(対面面接のほうが好ましい理由)(図表6)
・「対面面接の方が好ましい理由」として挙げられていることは、「コミュニケーションのしやすさ」「会社に対する理解の深まり」の2点にほとんど集約された。
・特に「選考の初期段階ではWEB面接でも良いが、最終面接の段階では対面面接が良い」という意見が多く見られた。
<図表6 定性コメント(対面面接のほうが好ましい理由)>
○コミュニケーションのしやすさ
・気持ちや雰囲気、熱意が伝わる
・対面面接の方が話しやすいし得意だから
○会社に対する理解の深まり
・選考が進むにつれ、その企業への志望度も高くなるからこそ、社員の人柄や雰囲気を直に感じたい
・対面面接でないと相手のことをお互いによくわからないと思うので、選考が進むに従って
徐々に対面にシフトしていくべきだと思う
・選考の始めの段階では対面面接でなくとも、交通費や移動時間等を考慮すると、企業側も学
生側も互いにWEB面接の方が効率的だと思う。しかし、最終面接はやはり双方にミスマッ
チがないか確認する場面でもあるため、対面面接であった方が良いように思う。
・最後までWEB面接で直接合わないのは不安
●WEB面接特有の事象と志望度・企業イメージへの影響(図表7)
・「面接官の反応が薄く、話の内容や熱意がきちんと伝わっているか不安になった」という事象が最も志望度・企業イメージにネガティブな影響を与えていることがわかった。
【研究員の考察コメント】
面接形式(WEB・対面)は志望度に影響しないと答えた学生が半数以上であった一方で、WEB面接中のできごとが企業の志望度に影響していることがわかりました。企業側はWEB面接中に生じる通信不具合への対応や、「自分の話がちゃんと伝わっているのだろうか」といった学生が抱く不安への配慮がしきれず、志望度や企業イメージを下げてしまっていた可能性があります。
また、学生は自分が働くイメージを具体化するための情報を欲する傾向があります。特に就職活動のオンライン化が進む中では、企業は採用活動全体を通して、働くイメージを具体化するための機会や情報提供を意識的に行うことが求められているといえます。
<参考>
●定性コメント(志望度が上がったできごと)
○面接官のコミュニケーションの姿勢
・WEBということに配慮して相槌をしっかりしてくれた。大きめにリアクションをしてくれて安心して話すことができた。
・話すタイミングが同じになった際、「失礼しました。話を続けてください」と話を最後まで聞いてくれた。
○迅速かつ安心感のあるトラブルシューティング
・こちらの通信環境に触れて、万が一の対応を事前に知らせてくれた。
・回線トラブルで面接ができなかった時、日程を調整してもらった。不具合が起きたときすぐに対処してくださった。通信障害などの機器のトラブルは選考に影響しないと伝えてくれた。
・私の方が接続エラーになって、戸惑った時に落ち着いてください、大丈夫だからと優しく声をかけてくださった。
○場づくりへの配慮
・面接が始まるときに「WEB接は何回目?」「なかなか慣れないよね」など緊張をほぐしてくれる言葉がかけられた。
・タイムラグによるズレがあるけど、気にしなくていいと言ってくれた。
・WEBでも対面でも特に選考基準の変化はないと言われた。
・「WEBでの実施となってすみません、カメラの調達など大変だったでしょう。」と労いの声をかけられたときに、実際webカメラの調達に苦労したこともあり嬉しく思った。
○働く環境の様子
・面接官の家族の声が聞こえた時に、在宅勤務かつ家族との時間がとりやすいことが分かり、志望度が上がった。
・面接官が自宅から面接して下さっているのがわかり、社会情勢を考慮している会社なんだと感じ、入社後に同じような情勢になってしまった時の事を想像でき、安心感が得られた。
・PCのカメラを通して社内を見せてくださった。
○柔軟な対応
・対面の予定だったが、県外在住の旨を伝えるとオンラインに変えてくれた。
●定性コメント(志望度が下がったできごと)
○面接官のコミュニケ―ション
・面接官が遅れてログインしてきたのに、謝罪がなかった。
・通信トラブルで挨拶が遅れたとき、きちんと挨拶して下さいと注意された。こちらが悪いように言われたのは心外だった。
・目線や沈黙などの間合いがとれないと、不安になる。
・話しているのに全員下を向いていたり、腕組みをしたりしているところが真剣に聞いてくださってないような感じになり、志望度がかなり下がった。
・目線がずっと合わなかったり、ただただずっと頷いていたりする人は本当に話を聞いているのか、不安になった。
・こちら側にはカメラを付けろといったのに、面接官はカメラをつけなかった。
○場づくり
・WEB会議の1画面に面接官5人が並んでいて、威圧感を感じた。
・相手が集中していないことが伝わってきた。視線を逸らし、何かを見てると画面越しによく分かった。
・URLが開始直前に送られてくる。声がほとんど聞こえない。
・他の就活生と他の面接官が面接をする音が聞こえた。
・自分が話しているにもかかわらず、スマホのバイブ音がしょっちゅう鳴っており、そのたびに画面を確認している様子がすべて画面越しで見えていた。
○トラブルシューティング
・通信の不具合が生じた時に、こちらの環境のせいのような言い方をされた。
・面接官が、WEB面接ツールに不慣れであった。
・トラブルが起きた際に面接がとても雰囲気が悪くなり、面接も予定より早く終わってしまったことがあった。
・接続の問題なのか分からなかったが、面接官が事前に用意されていたWEB面接用のシステムにログインできず、急遽電話(音声のみ)の面接となった。声色のみでしか面接官の反応が分からないため、不安になった。 また、その状況で受けた面接で落とされた時は気持ち的にも複雑でやりきれなかった。
4. 調査概要
●調査名 :大学生の就職活動調査2020
●調査主体:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
●調査期間:2020年7月10日~2020年7月13日
●調査対象:全国の大学4年生または修士2年生
●有効回答者数:1407名
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