【ニコニコネット超会議2021・イベントレポート】超将棋「タカラレーベン杯 宝王戦」団体戦優勝は髙見七段・伊藤かりん・畠山大樹の平成軍!

 2021年4月24日(土)~5月1日(土)の計8日間に渡って、インターネットの祭典「ニコニコネット超会議2021」が開催されました。本レポートでは、5月1日(土)18時より実施した将棋企画「タカラレーベン杯 宝王戦」の模様をお届けします。
<イベントレポート>

 今年もニコニコ超会議の定番企画の1つである超将棋が行われた。2018年より協賛しているタカラレーベンの冠をつけた「タカラレーベン杯 宝王戦(ほうおうせん)」を開催。日本将棋連盟公認アプリでもある「将棋ウォーズ」を使い、今回は平成軍と昭和軍に分かれた団体戦が行われた。
 それぞれ大将と副将、先鋒の3名が集い、大将にはプロ棋士、副将は将棋好きの有名人、そして先鋒は超会議開催中に一般参加者による予選を実施し、参加した9,172名の中から平成生まれ、昭和生まれのそれぞれでトップをとった人が参加することとなる。
 司会進行は、プロ棋士であり実況解説のしゃべりにも定評のある藤森哲也五段が担当。最初は一人で回すことに緊張したのか少々硬さが見えたが、対局の解説中は水を得た魚のように饒舌になっていた。
 平成軍は大将が髙見泰地七段、副将が元・乃木坂48のメンバーで将棋親善大使の伊藤かりんさん、そして先鋒は朝日杯でプロ棋士にも勝ったことのあるアマ棋士の畠山大樹さん。残念ながら今回はリモートでの参加となった。
一方、昭和軍は大将が村中秀史七段、副将がアニメ『3月のライオン』で二海堂晴信を演じる声優・岡本信彦さん、先鋒はアマ将棋で静岡県代表を25回も務めている太田博朗(ひろあき)さんの3人。太田さんと畠山さんは2日後のアマ全国大会に2人とも参加するため、対局する可能性もあるという。
 そんなメンバーでの団体戦は、「10分切れ負け」で対局。将棋の公式戦でも早指しはいくつかあるが、持ち時間10分で使い切ると1手30秒、1分単位での考慮時間が何回かあるといったルールが多く、切れ負けはかなり厳しく緊張感は半端ない。
 そして、超将棋ならではなのが、対局者に解説の声が聞こえるという点。通常だと対局室と解説室は別なので、静かな部屋で対局に集中できるが、ここでは解説の話を参考にしたり、逆に惑わされたりと、集中力を少々欠くことになるかもしれない。そんな中でもしっかり読んで勝ちきれるかが見どころだ。

■先鋒戦ユーザー代表・畠山大樹さん×太田博朗さん
 

 最初は、ユーザー代表同士の対局からだ。解説は藤森五段、ゲストは伊藤さんが務めた。
 先手は太田さんで▲2六歩と飛車先を突き、角道を開ける居飛車だが、後手の畠山さんは6手目に△7四歩と藤森五段は「間違ってないよね」と聞くほどの手を指す。中飛車党の伊藤さんは、「これよく指されます。銀が上がってきて嫌なんですよね」と頷くと、太田さんはこの手で少々調子が狂ったのか、△2四歩▲同歩△同飛から角交換され、後手の一手損角換わりの形となり、太田さんが首をひねる仕草を見せる。お互い玉を囲うこともなく、いきなり駒がぶつかり合う状態だ。そして▲5四角△2六飛車に対して、今回のキーポイントとなったのが▲2二歩だろう。このあと、この歩が2筋を制してと金となり、龍を簡単に作ることになる。藤森五段が「蝮のと金」との格言のとおり先手陣を動き回っていった。
 終盤、太田さんも詰めをかける一歩手前までいったものの、畠山さんの攻めは確実に先手の息を止めていき、66手までで後手の畠山さんが勝利。平成軍の1勝となった。
 太田さんは「内容がちょっと残念でした。相手は作戦を準備してきましたね。何を仕掛けてくるかわからない状態での▲2四歩は軽率でした」と完敗を認め、畠山さんは「最初からこの戦法で行くことを考えていた」という。畠山さんの構想は面白く、プロ棋士も唸る畠山さんの確実な攻めが光った対局だった。

■副将戦・伊藤かりんさん×岡本信彦さん
 

 続いては副将戦・伊藤かりんさん×岡本信彦さんの対局。ゲストは髙見七段が務めた。
 将棋ウォーズはお二人ともかなりやり込んでいるようで、伊藤さんは電車での移動中など1日3回はやるとのこと。アマ有段レベルの岡本さんは、1万局以上対局しもっぱら「弾丸」(3分切れ負け)をやっているというかなりのガチ勢。以前から超将棋や将棋電王戦などにもゲストとして参加しており、将棋イベントではすっかりおなじみだ。
 そんな岡本さんも、先鋒で昭和軍が負けてしまい、負けられない戦いに。「謎のプレッシャーを感じてます」との岡本さんに対して藤森五段は「少しプロ棋士の気持ちを味わってもらいたいです」と答えると、岡本さんは「さっきラムネを食べたら味しなかったです」と発言。すると藤森五段は「プロ棋士が夕食休憩で味のしないご飯がわかったんじゃないですか」と絶妙なトークを展開した。
 今回の副将戦は、さすがに棋力の差があるため、伊藤さんは3回まで「棋神」(5手をAIが指してくれる)を使っていいことに。伊藤さんは「ハンデをいただいた安心感とともに、これで負けたときの叩かれ方が怖い」と不安を覗かせる。これに対して藤森五段は「棋神が尽きたらここにリアル棋神がいるので」と髙見七段を推した。
 伊藤さんの先手で対局がスタート。予想通り相中飛車の展開で駒組みが進み、先手伊藤さんは美濃囲い、後手の岡本さんは左穴熊になったところで、伊藤さんが「何をしていいのかわからない」と「棋神」を降臨。ただ、伊藤さんはぶつかることを期待していたのに、自陣を固めていき、髙見七段がいるだけに髙見の囲い(高美濃囲い)に持っていって終了。その後、岡本さんが仕掛けたが、その動きを見て藤森五段は「後手も棋神を使っているんじゃないの?」というほど、プロらしい手を放っていた。
 中飛車だけに5筋を攻めていく岡本さんに対して、防戦の一方になってきた伊藤さんは大きなため息をつきつつ、どんどん時間が削られていく。▲6八銀打ちで飛車角両取りとなった伊藤さんは、2回目の棋神降臨。結局飛車は取られてしまったが、その後の攻めは防いだ。
 先手はなかなか穴熊を攻めあぐね、その間に岡本さんは、プロ棋士が指すような手をバシバシと決めてくる。伊藤さんは、熟考が多くなり残り時間が2分強に。ただ、先手も盛り返し穴熊を攻めて金を奪取。ここで3度目の棋神降臨したところ、持ち駒の金2枚を自陣の受けに投入してしまった。
 髙見七段が「大山先生のような金の使い方」と称したが、伊藤さんは持ち駒を使われかえって混乱。残り時間1分を切り焦ると、2二角成と穴熊に飛び込むが、その後が続かず110手までで伊藤さんの切れ負けとなった。ただ、時間切れにならなくても、詰み筋なので、どちらにしても負けていた。
 プロ棋士がその強さを認めるほど、岡本さんの攻めはうまかった。伊藤さんは「相中飛車だと、どこから攻めていけばいいのかわからなくて、棋神にお願いしたら、高美濃囲いにして」と嘆いたが、岡本さんは「かなりいい勝負になり、伊藤さんがかなり強いということがわかりました」と相手の健闘を讃えた。

■大将戦・髙見泰地七段×村中秀史七段
 

 1勝1敗となり最後は、プロ棋士どうしの対局。ゲストは岡本さんが務めた。
 対局に際し村中七段は「高美濃囲いは弱いとさっきコメントにあったので、高美濃囲いにしようかな」と言うと、髙見七段は「相居飛車かと思ったら、高美濃囲いするということで、振り飛車されるのかと思うと怖いです」とすでに心理戦に突入。髙見七段の先手でスタートした。
 
 宣言通り後手の村中七段はゴキゲン中飛車の展開に。これに対して、先手髙見七段は角交換してしっかり丸山ワクチンを施す。これを見て岡本さんは「中飛車で丸山ワクチンのあとの展開があまり知らないので、このあとの展開を知りたいですね」と言うと藤森五段は「村中さんからお手本のような中飛車を見せてくれるはず」と村中七段にプレッシャー。村中七段は笑顔で指し続けていた。
 一方、髙見七段はどうやら高美濃囲いを目指している様子。ただ、村中七段も△2二飛車と振って、高美濃囲いに行くと見せかけるなど、展開が読めず。結局は髙見七段が本物の高美濃囲い(髙見の囲い)を完成させた。
実況席では解説の声が対局場に聞こえていることをいいことに、プレッシャーを掛け続ける藤森五段。岡本さんとの掛け合いも面白く、一見遊んでいそうな駒を指摘すると「プロの将棋に遊び駒はない」と藤森五段が断言。二人にプレッシャーを掛けていった。
 さらに、後手が2分を切るとさらに藤森五段は煽った。「時間切れそうじゃないですか。絶対切れません」とプロは必ず詰ますと宣言。岡本さんは「アマだと切れちゃうんですよね」と相づちをいれると、「絶対切れない」と追い打ちをかける。
 二人とも持ち時間2分を切ってからの攻防は目まぐるしく、頭の回転の速さに脱帽。結局119手まで髙見七段の勝利。後手村中七段の持ち時間は残り4秒だった。
 10分切れ負けという厳しいルールの中「公式戦で見られるくらいの一局になりました」
と藤森五段が称するほどの厳しい展開で、かなり美しい棋譜に仕上がったはず。髙見七段は「緊張もあったが、お二人が楽しそうで、楽しむ気持ちでやりました」とあまりプレッシャーにはなっていない様子。一方、村中七段は「端的に言って、藤森さんのポジションで仕事を受ければよかった(笑)。高美濃をディスりながら使ってくるとは思わなかった」と大将役のプレッシャーを嘆いていた。
 これだけ外野がうるさくても集中して将棋が指せるというのが、ホントのプロの姿なんだろう。今回の団体戦は、平成軍が2勝1負けで勝利したが、対局はもちろん実況もかなり面白かったので、見損ねた人はぜひタイムシフトで見てほしい。


番組の詳細はこちら → https://chokaigi.jp/2021/plan/shogi.html
視聴URL → https://live.nicovideo.jp/watch/lv330881232


開催概要
ニコニコネット超会議2021 Supported by NTT


【開催日時】2021年4月24日(土)~5月1日(土)
【主催】ニコニコ超会議実行委員会
【会場】ニコニコ公式サイト・総合TOP( https://www.nicovideo.jp/
【ニコニコネット超会議 公式サイト】 https://chokaigi.jp/
【Twitter公式アカウント】 https://twitter.com/chokaigi_PR
【テーマソング】「しろくろましろ」 作詩・作曲:松岡充/歌:「シロクマ」小林幸子×松岡充

■協賛・出展一覧
【超特別協賛】NTT
【特別協賛】#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜 / JRA 日本中央競馬会 / スズキ株式会社
【協賛】サッポロ 「濃いめのレモンサワー」(超乾杯協賛) / JNCA(協賛) /
シアー株式会社(ボカコレステーション番組協賛) / 大和証券グループ(超演奏してみた協賛) /
株式会社タカラレーベン(超将棋協賛)
【超声優祭協賛】ディズニープラス
【The VOCALOID Collection 協賛】東武トップツアーズ株式会社
【特別出展】一般社団法人日本eスポーツ連合
【出展】茨城県 / 岩手県 / オーイズミ・アミュージオ / 株式会社KADOKAWA /
文通もできる総合アイドルプロジェクト「フロムアイドル」(松竹)

■メディアパートナー
InterFM897 / MTV / JFN / Twitter / Twitch / テレビ朝日ミュージック / ファミ通ドットコム

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会社概要

株式会社ドワンゴ

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業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー
電話番号
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代表者名
夏野 剛
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1997年08月