会社員のウェルビーイングとエンゲージメントに関する2万人調査を実施
~【慶應義塾大学 前野隆司教授監修】企業規模や職種、世代、出社頻度等で差~
1.調査趣旨と結果概要
(1) 調査趣旨
日本では少子化が進展する中、人手不足や人材獲得競争が激化するとともに、働き方や就労意識の多様化が起きており、企業に求められる人材マネジメントのあり方が大きく変わりつつあります。また、従業員のウェルビーイングや所属企業および仕事へのエンゲージメントが、人的資本経営の重要指標として注目を集めるようになっています。
このような背景を踏まえ、日本企業における従業員のWB、WEなどと、従業員の認識、人事施策、企業文化、パフォーマンス行動との関係を探るため、会社員約2万人を対象としたアンケートを実施しました。アンケート項目については、WBやWEと、従業員の認識、人事施策、企業文化等との関係に関する多数の先行研究・文献をもとに設計しました。
なお、本調査の企画・実施・分析においては、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、武蔵野大学ウェルビーイング学部長である前野 隆司氏に監修を依頼しました。別添の詳細レポートでは、調査結果の概要および結果に関する前野教授の見解を紹介しています。
(2) 調査結果のポイント
WBを属性別に比較すると、有意に高水準である属性は、「従業員規模5,000人以上の企業に在籍」「専門職」「20代および60代」「高い世帯年収」「少ない転職回数」「週1回以上の出社頻度(ただし毎日出社ではない)」でした【図表1】。
また、WEが高水準な属性はおおむねWBと同様の傾向でしたが、「転職回数の多寡によってWEの差はない」「月1回以上の出社頻度である層がWEは高水準(ただし毎日出社ではない)」等が異なる特徴としてみられました【図表1】。
【図表1】 WB・WEの属性別平均値(7件法, n=20,600)
因子間の構造では、理念・方針理解や(直属)上司のリーダーシップを起点に、さまざまな因子を経由してWE・組織コミットメント(情緒的コミットメント)に正の影響をもたらし、それらがパフォーマンス尺度やWBにつながっていく構造が明らかとなりました【図表2】。
【図表2】 主要な因子を用いた共分散構造分析結果
*共分散構造分析は構成概念(本調査では因子と呼称)間の因果関係を調べる手法であり、因子間の影響の向きを矢印で表現しており、矢印上に記載した数値がパス係数(因子間の影響の強さ)に当たる
熟達行動(与えられた職務の着実な遂行)→適応行動(環境変化に合わせた対応)→プロアクティブ行動(将来を見越して変化をもたらす目的で起こした主体的な行動)と、従業員の主体性や影響範囲が広がると関係の強い因子が変化することが分かりました。具体的には、プロアクティブな行動ほど、「心理的資本(エフィカシー* )」「明確なキャリア志向」との関係性が高まり、逆に「LMX(上司・部下関係)」との関係性は低くなりました【図表3】。
*エフィカシー:自己効力感
【図表3】 パフォーマンス尺度3種を目的変数とした重回帰分析結果
本調査の詳細は下記ページに掲載のレポート「会社員のウェルビーイングとエンゲージメントに関する2万人調査結果」をご確認ください。
https://www.murc.jp/library/report/cr_240521/
2.調査概要
調査対象 | 日本国内の企業に在籍する正社員 |
実施時期 | 2024年2月 |
調査手法 | インターネットによるアンケート回答 |
有効回収数 | 20,600人 |
調査項目 | ・回答者属性(業種・従業員規模・職種・年代) ・ウェルビーイング(人生満足度尺度他) ・エンゲージメント(ワーク・エンゲイジメント、組織コミットメント) ・パフォーマンス尺度(熟達行動、適応行動、プロアクティブ行動) ・先行研究に基づく、仕事・組織に関するさまざまな因子 |
回答者の属性
■ クレジット表記について
本調査結果の引用に際しては、必ず下記クレジットを明記してください。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「会社員のウェルビーイングとエンゲージメントに関する2万人調査」
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像