横須賀で農業・漁業の課題解決に挑む「食の循環がわかる街」横須賀の農業・漁業を取り巻く課題を解決するプロジェクト
これまでの活動を踏まえたトークセッションイベントを開催
1.トークセッションイベント概要
(1)開催日時:2022年6月28日(火)13:15~15:45
(2)場所:まなびかん 横須賀市生涯学習センター<住所:神奈川県横須賀市西逸見町1-38-11ウェルシティ市民プラザ内>
(3)目的:「異」なる人々が地域活性化を軸に協働し、交わりあうことの「価値」、その結果発掘された横須賀という地域でのビジネスの可能性を半年間のプロジェクトを通じた成果とその過程を紹介・共有すること
(4)トークセッションタイトル:「地域実業家×異業種で拓く横須賀の農・漁のみらい」
(5)トークセッションテーマ:
・秘めたポテンシャルを活かし、横須賀の「食」のイメージを向上させるには
・作ってもお金にならない状況が発生している農作物の「定価」を作るには
(6)登壇者
・パネリスト:たのし屋本舗・下澤敏也氏、鈴也ファーム・鈴木優也氏、NTT東日本プロジェクトメンバー 等
・全体進行・モデレーター:JMAMおよびKAKEHASHIのスタッフ
2.トークセッション模様 ※トーク内容は抜粋掲載
(1)主旨説明
・JMAM 新事業開発部 部長 川村泰朗氏
「ことこらぼの目的は、都市圏の企業人が地域の当事者と共に、課題解決の取り組みを通じて、双方のクリエイティビティを刺激し、イノベーションのきかっけをつくること。同質性・画一性の「日常」と異質性・多様性の「非日常」を往来することで価値観を揺さぶり、往来する学びを通じて、自ら問を立てる力を養ってもらうことにあります。」
・KAKEHASHI 代表理事 高橋正和氏
「熱い想いを持つ人の想いをつなげる架橋となることでその想いを実現していき、世の中をもっと良くしていくことをKAKEHASHIのビジョンとして活動している。横須賀市は住民税が減少し、一方で社会福祉の費用は増える中、従来のやり方では地方自治体は変わらない。であれば、想いを持つ人が活躍できる横須賀にして変えていきたい。今回は単なるワーケーションでなく、6ヶ月の間、企業のプロジェクトメンバーが横須賀に来て、地域で一緒に新たなビジネスを生み出すことに意味があり、その成果に期待しています。」
・NTT東日本 神奈川事業部 企画部長 川嶋克之氏
「NTT東日本は、世間から電話・インターネット通信の会社と思われている。でも、事業収入の約3割は地域企業へのソリューション提供が占め、その中に地域課題解決に資する活動がある。自身の部下が越境学習による地域課題解決活動を通じて大きく成長したが、個人の成長に留めず地域活性化に寄与できると考え、プロジェクト参画を決めました。今回の成果を踏まえ、今後も何かしらの形で二期・三期と継続していきたいと考えています。」
(2)テーマ1:秘めたポテンシャルを活かし、横須賀の「食」のイメージを向上させるには
・NTT東日本 プロジェクト参加メンバー
「(このチームの特徴は?)はこのチームメンバーは年代も幅広く、意見が偏らず、多角的に意見交換ができたのが良かった。」
「(活動の取り組み内容は?)下澤さんと会話を踏まえ、多岐に亘る事業を展開している中で、メッシュ・コンセプトに取り組んでいる。現状は、お客様から見て各店舗やサイトが独立しているが、生産者の想いを中心としたストーリーや誇りを「YOKOSUKAプライド」として理解・認知してもらうことで、店舗や商品を横断的につながり、事業が発展すると考えました。」
「(メッシュ・コンセプトに至った経緯は?)下澤さんと会話している中で「武器は揃った」と言われ、現状整理すると生産から加工、飲食店まで事業展開されていた。であれば、今あるものを活用して成果を発揮できる方向性として、コンセプトを軸にしたメッシュ展開がうまれた。」
「(活動の工夫は?)限られた活動期間で各店舗の現状把握をするには、セオリーであるスタッフとの関係構築・現地視察・入念なヒアリングではなく、40件超の仮説をぶつけながら1件10分の議論でプラス思考のアイデア・考えを積み上げていったこと。その結果、下澤さんの考えや取り組みを理解し、感じとることができた。」
「(象徴的なアクティブ活動は?)40件超の仮説を深掘りに際しては、東京大学の研究所まで足を運び、くずの野菜を粉砕・圧縮して、家の建材活用するアイデアを視察にも行きました。また、神奈川水産技術センターには、ウニの餌に野菜を活用できないかも聞きに行った。」
「(現場の課題はどこに?)メッシュのタッチポイントになる場所・行動は、下澤さんの店舗にあると考え、フィールドワークを開始した。その店舗に来たお客様が、別の店舗・商品に興味を持ってもらうための仕掛け検討するために、スタッフと会話をして、お客様目線で実際に利用・購入行動をしてみた。」
「(具体的な施策展開は?)店舗内では、視覚効果が有効であると考え、サイネージによるプロモーションアイデアがでた。サイネージは高価な物も多いが、iPhone撮影した動画を活用できる、安価で自走で持続可能な仕組みを見つけてきてプロトタイプを作り上げることができた。サイネージ画像からQRコードを活用してLINEを連動させる等、活用の幅もできたことに手応えを感じている。」
「(活動を通じて感じたことは?)本来業務をしていない時は、いつも横須賀のことを考えていた。正直、非常に辛かった。でも、下澤さんのため、横須賀のためと思い考え抜くことは、やりがいもあり、楽しかったです。」
「(今後の抱負は?)今回紹介した内容は、我々が描いている構想の始まりの一歩でしかない。これをチャネル横断・商品横断でメッシュをつなげていき、そこに生産者の想いを浸透させることができるかを今後も考えていきたい。」
・JMAM 新事業開発部 岡田宏一氏
「中間発表会の際には、活動を見ていて、ソリューションを全速力で考えることに集中する傾向にあったので、自身の経験も踏まえ、一度、原点に立ち返り、下澤さんを含めた横須賀の地域課題を泥臭く理解して、解決策を探ることが必要でないかとコメントしました。」
・KAKEHASHI 代表理事 山中靖氏
「検討過程が全てを物語っており、一般的には、ないものに注目されがちだが、今あるものに注目して解決策がでてきたことが嬉しかったし勉強になった。業務の20%の時間とはいえ、これだけの多くの方がプロジェクト参加してくれたことは、間違いなく地域にとっても、下澤さんにとっても推進力になったと考えています。」
・たのし屋本舗・下澤敏也氏
「最初はプロジェクトの話をもらって、どうせ中途半端に終わるだろうと考え、その目線で対応していましたが、メンバーの目の輝きも次第に変わっていき、最終的には限られた時間の中での活動ではあったが、優秀な企業の個が強いメンバーから、多くの目線・ヒントをもらえた。走りながら物事を考え思考錯誤することは自社スタイルともマッチしていたし、自分がボンヤリイメージしていたものを言語化して、サイネージで見える化をしてくれたことに可能性を感じている。自社を通じた先に横須賀を見てもらえていたし、今後も活動を継続してもらうことで、横須賀地域としてのメッシュを共に作り上げていきたいです。」
(3)テーマ2:作ってもお金にならない状況が発生している農作物の「定価」を作るには
・NTT東日本 プロジェクト参加メンバー
「(取り組み概要は?)野菜の定価ということでは「すかなごっそ」等の直売所は自身で価格設定できるが、結局、他野菜と競合することで価格競争が生じてしまう。生産者の収益アップに向けて、生産者が定価設定できる新たな販路を開拓することをテーマに設定。新たな販路のターゲットは横須賀ベース。ベース内の状況は不透明なので、バイリンガルスクールでアンケート調査を実施。結果、野菜も輸入品が多く、鮮度が悪い。わざわざ、ベース外に出て野菜購入している実態も。ポテンシャルを感じつつも、購入するハードルとして、言語・関税・立ち入り制限・3年に1度の人事異動など多岐に亘っていました。そこでECサイトを通じた販売を考えました。」
「(なぜ新たな販路開拓に設定した理由は?)鈴也ファームは品質の良い野菜を生産できる。我々は農業の常識を知らない、でも本業で培った営業スキルはある。それぞれの強みを掛け合わせたときに、販路開拓というアイデアに行き着いた。」
「(横須賀ベースに注目した理由は?)ベース内での販売制約はあるが、ベース内の人々はオンライン通販をしているという噂を聞き、宅配業者が基地内に入っている情報を得たので、ECサイト販売であればチャンスがあると考えました。また、アンケート調査の中で、横須賀地域での交流や商品に関心を示す結果が出たので、その橋渡しをすることをイメージできました。」
「(苦労したことは?)与えられた課題が、業界を変えるような内容だったので、何から手をつけてよいかわからなかった。だから現場体験もしたが、数時間の作業で本当にクタクタになり、農業は肉体労働であることを改めて感じた。また、バイリンガルスクールでのアンケート調査は、基本・英語対応なるので苦戦しましたが、POPを作成したり、気合いと笑顔で乗り越えました。」
「(他のアイデアは?)法人のお客様に野菜販売すること。これまでもレストランへの卸しはしているが、企業内マスとしての社員販売は市場も大きく、共働きも増えている中で、勤務時に野菜購入できればメリットも大きいと考えています。」
「(活動を通じて感じたことは?)NTT東日本の入社動機が、農業ICT普及で農家の魅力を高め、結果的に日本の自給率を高めることであり、入社2年目から農業関係のプロジェクトに関われたことに感謝。活動を通じて、自分の農業への見方・イメージが大きく間違っていたことを気づけたので、今後も自身のキャリア形成に役立てていきたい。」
「(今後の抱負は?)プロジェクト期間内で、地域活性化とは何かを考えてきて、横須賀に住む人、横須賀を知る人達が「横須賀は良い所」と認識することだと思いました。自分が周囲の人に、横須賀の良さ・魅力をアピールしていくことで、横須賀に関心を持ち、足を運び、現地で飲食等を楽しんでもらい、横須賀の地域活性の手伝いをしていきます。」
・KAKEHASHI 代表理事 高橋正和氏
「プロジェクトメンバーには、農業、そして鈴木優也を知って欲しいと助言。相手の事を知らなければ良いアイデアは生まれないから。もうひとつは、現場に行ってもらうこと。デスクワークでデータ収集はできる、ヒアリングで課題を聞くこともできるが、それは既知のもの。自分の感覚から見出した新しい発見をしてほしいと考えていました。」
・鈴也ファーム・鈴木優也氏
「農家は儲からない。野菜に定価がない。コストが高くなっているにも関わらず、50年前からキャベツの値段が変わっていない。この現状を変えたい。提案をもらった横須賀ベースにはアメリカの感覚・価値観で単価が変わることへの可能性を感じていた。プロジェクトメンバーの熱量によって、心を開いて一緒に考えて・動いていこうと揺れ動かされた。メンバーの働きかけで、業界のトップランナーの方々にインタビューでき、得られた助言・刺激は、貴重な財産。この行動力には本当に感心しています。今後も活動を継続してもらえることを期待しています。」
(4)今日のトークセッションを通じて
・【来賓】横須賀市 経営企画部 部長 宮川栄一様
「今回のプロジェクト発表を通じて、人の熱い想い、前向きさが人を動かすことを改めて感じた。下澤さんに声かけした際にも中途半端な取り組みなら協力しないと言われた。横須賀市として関われないが、山中が部下だったこともあり、KAKEHASHIでやるのはどうかと提案した。そして、NTT東日本のプロジェクト参加したメンバーが、横須賀を好きになり、また来たいと言ってくれる。発案者の佐久間さんの想いも含めて、熱い想いが共通していて、この想いが横須賀を良くしてくれると感じました。」
4.今後の予定
本プロジェクトは今回のトークセッションをもって終了しますが、参加者・活動地域・取り組みテーマ・活動パートナー等を変更し、中長期的な取り組みとして今後も継続実施していくことを検討していきます。
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