インターブランド「Best Global Brands 2020」レポート「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100を発表

・今年で21回目のBest Global Brandsを発表
・Appleが8年連続で第1位、Amazonが第2位、Microsoftが第3位に浮上
・Instagram、YouTube、Zoomが初めてBest Global Brands入り
・Amazonがブランド価値を60%アップさせ、成長率1位
・業種別では、テクノロジー部門が最も高い成長率
・Toyotaは昨年に続き第7位、17年連続で自動車ブランドの最高位
世界最大のブランディング会社インターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2020」(以下BGB 2020)を発表しました。本ランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で21回目となります。時代の不安定性・不確実性がコロナ禍で加速され、本ランキングにも大きな影響を与えています。

ランキングでは、Appleが8年連続で第1位 (ブランド価値 3,230億ドル、前年比 +38%)、同60%アップしたAmazonが第2位(2,007億ドル)、Microsoftが第3位(1,660億ドル、同 +53%)、2013年より第2位であったGoogleは前年比1%ダウンで第4位(1,654億ドル)となりました。また、Samsungが第5位(623億ドル、同 +2%)となり初めてTop5にランクインしました。

ソーシャルメディアとコミュニケーションのブランドが躍進し、Instagram(19位、261億ドル)、YouTube(30位、173億ドル)、Zoom(100位、45億ドル)が初めてBest Global Brandsにランクインしました。また、Tesla (40位、128億ドル)とJohnnie Walker(98位、46億ドル)が、再ランクインしました。

Top5 Growing Brands(最も成長率の高い5ブランド)は、Amazon(前年比+60%)、Microsoft(同+53%)、Spotify(同+52%)、Netflix(同+41%)、Adobe(同+41%)となりました。コロナ 禍の影響によりオンラインサービスブランドが発展を遂げ、2桁成長をしたブランドの6割がサブスクリプションのビジネスモデルを採用しています。また、PayPal(60位、前年比+38%)、Mastercard(57位、同+17%)、Visa(45位、同+15%)も、それぞれブランド価値を高めています。感染拡大の影響から主要な支払方法として電子決済への急速な移行が進んだことや、ロックダウンの中で地元のビジネスをサポートするプログラムを迅速に展開したこと等により、不確実な時代に家計や資本へのアクセスを提供する信頼できるブランドとして飛躍を遂げています。

業種別に見ると、コロナ禍の影響により多くの店舗の閉店を余儀なくされたZara (35位) とH&M (37位) は、それぞれブランド価値が-13% 、-14%と低下し、昨年より順位を下げています。2年連続で成長率がトップであったラグジュアリー業界は、そのブランドのほとんどがブランド価値を下げています。その一方で、コロナ禍で成長した業種の一つは物流です。平均5%の成長が見られ、UPS(24位)、FedEx(75位)、DHL(81位)はすべてブランド価値を上げました。物流ブランドは、世界各地でロックダウンされた人々の生活に欠かせない存在となっています。

テクノロジーブランドの躍進により100ブランドの合計金額価値は2兆3,365億ドルとなり、2019年に比べ9%成長しています。前年比で成長したブランドの成長率は平均14%であるのに対し、テクノロジーとプラットフォームブランドは20%成長しており、100ブランドの合計価値の48%を占めています(2010年は17%)。さらに、Top3のテクノロジーブランドの合計価値は100ブランドの合計価値の30%を占める結果となっています(2010年は16%)。

Key Learnings (考察)
BGB 2020の分析の中で、一つの重要な疑問が浮かびました。どのようにしてブランドは、エコノミックレジリエンス(経済的回復力)を向上させ、個人との信頼関係を築き、人々にとってより良い未来の可能性を高めることができるのでしょうか。以下の3つの重要な項目の連鎖が明らかになっています。
  • Leadership:混乱や混沌の先に、価値のある目的と強力なアンビションを定めることは、ブランドの将来を示す旗印となる。Teslaが掲げたブランドの将来を示す旗印は、当初から需要と支持を呼び起こし、さらに個人投資家の忠実な支持を集め、保持することにより、莫大な流動性資産を得ることに成功しています。
  • Engagement:優れたブランドは、消費者と対話し相互の関係を形作ることによって、消費者がそのストーリーの一部になりたいと思うようにする。Salesforceは、コミュニティに耳を傾け、顧客の成果を共有することで爆発的な成長を遂げました。顧客と絶えず会話を交わすことで、顧客とともに「旅」をしているのです。
  • Relevance:優れたブランドは、消費者を無関心から解放し、消費者の選択を意味のあるものにする。Paypalは、詐欺に関する顧客の懸念を軽減する取り組みを行い、また顧客のお金を安全に保つため、セキュリティ技術に巨額の投資を行うことにより、最も信頼される決済代行ブランドの1つとなりました。不安が高まり、経済の見通しが不確実な時代において、これ以上重要なことはありません。
「Leadership、Engagement、Relevanceは、急速に変化するビジネス環境の中でブランドが前進していく際に一貫して見られる3つのテーマです」とインターブランド グローバルCEOのチャールズ・トリヴェイルは述べています。 「これらは、現在の危機的状態から解き放ち、顧客の信頼とビジネスのレジリエンスを構築するための鍵となります。強力なアンビションを掲げ、勇気と誠実さをもってそれらを追求することにより、ブランドは、私たちが前を向き混乱を理解し、将来を望むことができる、新しい可能性に満ちた10年をもたらします。」
詳細については、https://www.interbrand.com/best-brands/ をご覧ください。

Interbrand Best Global Brands 2020 (1位〜50位)

Interbrand Best Global Brands 2020 (51位〜100位)

成長ブランドに関する分析
Amazon:2位、2,007億ドル(前年比+60%)
2020年、Amazonは設立25周年を迎えました。2020年初め、米国ビジネス誌『FAST COMPANY 』は、「2020年はAmazonが止まらない年になるであろう」と記載しており、驚異のブランド価値60%成長は、まさにこの成功の証です。2002年に80位でランクイン以降上昇し続け、今年初めて2位となりました。この成功の主な理由は、”Customer Obssesion”というAmazonの顧客中心主義にあります。Amazonは、Covid-19の感染拡大に際し、非常に迅速に反応しています。175,000人を新たに雇用しオンラインビジネスを強化、不安を抱える消費者がオンラインでの購入にシフトしたことにしっかりと対応し、より大きな利益を獲得しています。

Microsoft:3位、1,660億ドル(+53%)
クラウドサービス、リモートワークの接続を支援するツールや製品に注力したMicrosoftの戦略は、大きな利益を生んでいます。特に、Microsoft Teamsのようなソリューションは、分散型労働を強いられる時代において、多くの企業にとっての生命線となりました。また、GitHubの買収は実を結び、現在利用者は4,000万人となっています。Microsoftは、生産性とビジネスのプロセスを再考し、Intelligent EdgeとIntelligent Cloud Platformを構築し、パーソナルコンピューティングを推進しています。

Spotify:70位、84億ドル(+52%)
Spotifyは、事業領域を拡張し、Podcastを使い、音楽を聴くプラットホームから、広範囲なオーディオ・エンターテインメント体験にシフトしました。Podcastカタログのコンテンツは、3月の70万余りから、4月には100万を超えました。また、クリエイターツール、Podcastサービス、Podcastのためになるオリジナルコンテンツやメディアスタジオに何度も投資を行うなど、Spotifyは、Covid-19の影響からいち早く脱却し、以前の全世界消費時間まで回復しています。広告収入は減少しましたが、総売上の10%であるため、ビジネスへの影響は最小限に抑えられています。

Netflix:41位、127億ドル(+41%)
Netflixは、2020年に初めて、27か国のTV、ラジオ、野外広告で、グローバルブランドキャンペーンを行い、2020年の第1、第2四半期で、2,500万以上の加入者を獲得しています。この数字は2019年のおよそ一年分(2,800万人)に相当し、加入者の最大市場は、アメリカ、ブラジル、イギリスとなっています。Netflixは、「今日のTOP10リスト」機能を加え、全体の操作を簡単にすることで、UI/UXを改善しました。Netflix Originalの早い制作スピードはブランドの最大の特徴となっており、Peacock (NBCUniversal)やHBO Max (WarnerMedia)のような他のストリーマーは、コロナ禍によりプログラミングの遅れに直面している一方、Netflixは膨大な数の新しいタイトルを世に出すことを実現しています。

Adobe:27位、182億ドル(+41%)
2020年初頭、Adobeは、見た目をフレッシュに保ちつつ、消費者が操作や理解しやすいブランドとして継続するために、ブランドアイデンティティーを何度か更新しています。ロゴは赤の単色にし、より温かくより現代的にアップデートし、Creative Cloudのロゴも一新、その製品全てに新しいコーポレートカラーの赤を使用しています。また、これらデジタルメディア分野のサブスクリプションのセールスによってこの3年間で売上は53億ドルに達しており、製品のポートフォリオをサブスクリプション・モデルに移行したことが成功に寄与しています。特にこのモデルは、景気後退の中でも安定したキャッシュフローを生み出し、マーケティングや新しい顧客を開拓する費用を抑えることに貢献しています。Adobeは、ブランドをより使いやすい体験に進化させ、消費者とスクリーンで長時間を共にすることに成功しています。
 
日本ブランドに関する分析
Toyota:7位、516億ドル(前年比-8%)
ToyotaはCASEの時代に合わせたビジネスモデルの転換を図り、「モビリティカンパニー」へのフルモデルチェンジを宣言、CES2020では「コネクティッド・シティ」プロジェクトを発表しています。業界を超えたアライアンスにより、「人」が中心となる未来の実現に向けた活動を着実に進めています。2020年、愛車サブスクリプション「KINTO」の本格的開発支援の一つとして、ヨーロッパにも展開することを発表、またRAV4は、トヨタ車としては9年ぶりにCAR OF THE YEAR JAPAN 2019-2020を受賞するなど、2019年の第3四半期で売上は前年度を上回り、Toyotaは日本の企業として初めて30兆円企業となっています。

Honda:20位、217億ドル(-11%)
Hondaは、主軸である二輪、四輪事業のビジネスで苦戦する一方で、ラリーやHonda Jetなどでは成功を収め、本田技研工業の直下にR&D部門を移行するなど、事業一体のR&Dに注力しています。Hondaはまた2025年までにヨーロッパで販売されるすべての四輪を電気自動車に置き換えることを宣言しました。「人のココロとつながるクルマ。」がコンセプトのBEV(バッテリー式電気自動車)「Honda e」は、Red Dot Design Awardsで、年間の最高賞であるBest of the Best 2020を受賞。日本で展開された企業TV広告「Go, VantagePoint.」は、YouTubeで視聴回数(1,500万回)を獲得し、消費者との高いエンゲージメントを築いています。

Sony:51位、120億ドル(+14%)
Sonyは、エレクトロニクス企業から創造的なエンターテインメントブランドへのシフトを加速しています。エレクトロニクス事業やゲーム&ネットワークサービス事業に加え、イメージング&センシングソリューション事業が成長をドライブしています。2019年度の見通しは2018年度に及ばないものの、近年の財務業績は安定しており、2020年1月には、ITバブル期以来となる時価総額1兆円の突破も果たしています。Sonyは、コロナ禍において、最前線の医療に従事する人々、遠隔で学ぶ子供や教師、エンターテインメント業界全体に携わる人々を含む、Covid-19の影響を受けた世界中の人々を支援する1億ドルの救援基金を創設するなど社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。

Nissan:59位、106億ドル(-8%)
Nissanは、2019年度通期のグローバル全体需要は、中国市場の減速や、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、第4四半期に各市場が低迷したことを受け、前年比6.9%減の857万台となっています。その状況下において、Nissanは、「事業規模の最適化」「選択と集中」の推進による事業基盤改革と市場をリードしてきた電気自動車と運転支援技術などをベースに、新しいモビリティへのチャレンジを続けています。

Canon:71位、81億ドル(-15%)
Canonは、エントリーユーザー向けのカメラやレーザープリンターの市場縮小の加速が反映され、景気低迷の影響も受け、売上、純利益ともに大きな影響を受けています。またCovid-19の 影響により、オフィス向け複合機とレーザープリンターやカメラ市場はこれまでの縮小傾向がさらに強まっています。インクジェットプリンターは、一部の新興国では減速が見られる中、先進国と中国では在宅勤務や在宅学習向けに需要が高まりつつあります。医療機器は、Covid-19の影響の長期化による移動制限などにより、販売活動が影響を受ける見通しです。

Nintendo:76位、73億ドル(+31%)
コロナ禍で、自宅で過ごす時間が増え、ゲームサービスへの需要が爆発的に高まりました。ゲームとフィットネスを合わせた、NintendoのRing Fit Adventure ゲームは、都市封鎖の間、一時は在庫がなくなり、79.99ドルが250ドルの値がつくほど最も需要が高まったゲームのひとつです。コロナ禍の初期、「あつまれどうぶつの森」は、過酷な状況から逃避できるゲームとして、1,100万人以上がプレイし、世界で一番多く楽しまれたゲームとなりました。

Panasonic:85位、58億ドル(-6%)
Panasonicの業績はコロナの影響を受け減収・減益となりました。しかしながら、新中期経営計画では、「くらしアップデート」を実現する企業という新たな方向性を打ち出し、「基幹事業」、「再挑戦事業」、「共創事業」を中心とする事業ポートフォリオ改革を行い、売上成長と収益性改善を目指しています。B2C事業では、サウンドシステム、ノイズキャンセリングイヤホン、一眼レフカメラなどインスピレーションあふれる製品を開発し、顧客の新たなニーズに対応しています。一方、B2B事業ではToyotaやTeslaとの自動車用電池のコラボレーション、コールドチェーン、プロジェクションマッピング、ファクトリーオートメーションなど社会的に期待される技術を生み出しています。

お問い合わせ 

株式会社インターブランドジャパン  担当:中村正道、山室元史、岡本カヨ、齋藤麻菜美
Tel: 03-5448-1200 Fax: 03-5448-1052 e-mail: ibj-pr@interbrand.com
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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門3-2-2 虎ノ門30森ビル 4F
電話番号
03-6632-5300
代表者名
並木 将仁
上場
未上場
資本金
2000万円
設立
1983年10月