血清尿酸値が高い2型糖尿病患者における大麦摂取は食生活を変化させ、血清尿酸値を改善する
穀物のリーディングカンパニー株式会社はくばく(本社:山梨県中央市、代表取締役社長:長澤 重俊)は、医療法人健清会那珂記念クリニック(所在地:茨城県那珂市)遅野井健院長および山梨大学生命環境科学部地域食物科学科(所在地:山梨県甲府市)望月和樹教授との共同研究により、低穀物摂取の2型糖尿病患者における大麦摂取は食事の栄養バランスを改善させ、血中尿酸値を改善することを明らかにしました。
本研究は科学雑誌『診療と新薬』(診療と新薬2022, 59, 8, 435-443)に掲載されました。
本研究は科学雑誌『診療と新薬』(診療と新薬2022, 59, 8, 435-443)に掲載されました。
〈研究の背景と目的〉
2型糖尿病患者は高尿酸血症を併発しやすいことが知られているため、その治療には高尿酸血症の予防が求められています。一般的に尿酸値を下げる食事は蛋白質摂取量の低下と低プリン体食品の摂取ですが、近年、最も有効なのは食事のグリセミック指数(1)を下げ、炭水化物の割合を増やすことであると報告されました。
大麦は水溶性食物繊維であるβ-グルカン(2)を多く含む低グリセミック指数の食品であり、糖尿病患者における尿酸値の低下に有益である可能性があります。
そこで本研究では、穀物摂取量が低く、かつ尿酸値が高い2型糖尿病患者において、大麦摂取を含む食事指導が尿酸値にどのような影響を与えかを検討するため、後ろ向きコホート(3)を実施しました。
〈研究方法〉
2021年9月~2022年3月までに那珂記念クリニックを受診した2型糖尿病患者のうち、血清尿酸値が7mg/dL以上であった患者を対象に食物摂取頻度調査を実施しました。調査の結果から、穀物摂取エネルギー比率が50%未満であった17名の患者に大麦摂取を含めた食事指導をし、約3か月間にわたり大麦を摂取してもらいました。その後、再度食事摂取頻度調査を実施し、大麦摂取が尿酸値および食生活にどのような変化を与えたかを検討しました。
〈研究結果〉
① 研究参加者の特徴
本試験の参加者は合計17名であり、うち76.5%が男性でした。さらに参加者集団はHbA1cが比較的良好にコントロールされており(平均6.6%)、一方でBMIは高値を示していました(平均27.8 kg/m2)。
参加者は平均1.8種類の糖尿病治療薬を服薬しており、内訳はメトホルミンが最も多く、以下α-グルコシダーゼ阻害薬、GLP-1 受容体作動薬などが含まれました。
また、参加者を大麦の摂取回数が多い群と少ない群で分けたところ、1日あたりの大麦摂取回数は低大麦群で平均1.1回(8名)、高大麦群で平均2.2回(9名)でした。この2群の患者背景に大きな違いはありませんでした。
② 低穀物摂取の2型糖尿病患者における大麦摂取後は、血中尿酸値を改善しました。
大麦摂取直前と比較して、3か月間の大麦摂取後、血中尿酸値は有意な低下を示しました。また、血中尿酸値の低下は高大麦群で顕著であり、低大麦群でも低下しましたが有意差はありませんでした(図1)。一方でHbA1c、BMIおよび中性脂肪は、大麦摂取前後で有意な変化はみられませんでした。
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
③ 低穀物摂取の2型糖尿病患者における大麦摂取は、食事の栄養バランスを改善しました。
大麦摂取の前後で、総エネルギー摂取量に変化はありませんでしたが、たんぱく質および脂質摂取量は減少傾向に、炭水化物摂取量は増加傾向にありました。さらに大麦摂取後では炭水化物エネルギー比率が有意に増加し、一方で脂質エネルギー比率は有意に減少しました。たんぱく質エネルギー比率に変化はありませんでした(図2)。
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
次に、主な栄養素である穀類、動物性たんぱく質、飽和脂肪酸のエネルギー比率の変化を確認しました。その結果、大麦摂取後に穀物エネルギー比率は有意に増加し、動物性たんぱく質と飽和脂肪酸のエネルギー比率は有意に低下したことが分かりました。さらにこれらの変化は高大麦群で顕著に表れていました(図3)。
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
〈今後の展望〉
本研究では、血中尿酸値の高い糖尿病患者において、大麦の摂取による尿酸値低下を認めました。さらにこの効果は高大麦群において顕著であったことから、1回の食事で大麦を多く摂取するよりも、摂取する回数を多くするほうがより大きな効果が期待できると考えられます。さらに大麦を摂取する回数が増加することは、和食の機会を増やすことにもつながると考えられます。実際に本研究では、大麦摂取後に飽和脂肪酸や動物性蛋白質のエネルギー比率の低下が認められ、食生活が和食スタイルに移行している可能性がありました。
したがって、本研究で得られた結果は、大麦による低グリミセミック指数な食事の効果だけでなく、栄養バランスの取れた食事に移行したことによる効果もあると考えられます。
【用語解説】
(1)グリセミック指数:食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す値。この値が高い食材を食べると食後の血糖値が急上昇し、低い食材を食べると緩やかに上昇する。
(2)β-グルカン:水溶性食物繊維。水に溶けてゲル状になる食物繊維。食後血糖値の上昇抑制効果や腸内環境を整える機能を持つ。
(3)後ろ向きコホート:特定の条件を満たした集団を対象にして診療記録などから過去の出来事に関する調査を行う研究手法。
以来、我々はくばくは穀物とともに歩み、精麦の他、雑穀、和麺、麦茶、穀粉、米を事業として手がけるようになりました。
人類を太古から支えてきた大切な「穀物」を、現代の食卓へもっと多く登場させ、もっと楽しんで食べてもらうこと。それは家族の笑顔が増えること。またそれは家族が健康になることだと考えています。これを実現するために、我々はくばくは「穀物の感動的価値を創造する」ことを社員一丸となって本気で目指して参ります。
(株式会社はくばく 代表取締役社長 長澤 重俊)
社名 : 株式会社はくばく
所在地 : 〒409-3843 山梨県中央市西花輪4629
代表 : 代表取締役社長 長澤 重俊
設立 : 昭和16年4月15日
資本金 : 98,000,000円
事業内容: 食品製造および販売
URL : https://www.hakubaku.co.jp/
2型糖尿病患者は高尿酸血症を併発しやすいことが知られているため、その治療には高尿酸血症の予防が求められています。一般的に尿酸値を下げる食事は蛋白質摂取量の低下と低プリン体食品の摂取ですが、近年、最も有効なのは食事のグリセミック指数(1)を下げ、炭水化物の割合を増やすことであると報告されました。
大麦は水溶性食物繊維であるβ-グルカン(2)を多く含む低グリセミック指数の食品であり、糖尿病患者における尿酸値の低下に有益である可能性があります。
そこで本研究では、穀物摂取量が低く、かつ尿酸値が高い2型糖尿病患者において、大麦摂取を含む食事指導が尿酸値にどのような影響を与えかを検討するため、後ろ向きコホート(3)を実施しました。
〈研究方法〉
2021年9月~2022年3月までに那珂記念クリニックを受診した2型糖尿病患者のうち、血清尿酸値が7mg/dL以上であった患者を対象に食物摂取頻度調査を実施しました。調査の結果から、穀物摂取エネルギー比率が50%未満であった17名の患者に大麦摂取を含めた食事指導をし、約3か月間にわたり大麦を摂取してもらいました。その後、再度食事摂取頻度調査を実施し、大麦摂取が尿酸値および食生活にどのような変化を与えたかを検討しました。
〈研究結果〉
① 研究参加者の特徴
本試験の参加者は合計17名であり、うち76.5%が男性でした。さらに参加者集団はHbA1cが比較的良好にコントロールされており(平均6.6%)、一方でBMIは高値を示していました(平均27.8 kg/m2)。
参加者は平均1.8種類の糖尿病治療薬を服薬しており、内訳はメトホルミンが最も多く、以下α-グルコシダーゼ阻害薬、GLP-1 受容体作動薬などが含まれました。
また、参加者を大麦の摂取回数が多い群と少ない群で分けたところ、1日あたりの大麦摂取回数は低大麦群で平均1.1回(8名)、高大麦群で平均2.2回(9名)でした。この2群の患者背景に大きな違いはありませんでした。
② 低穀物摂取の2型糖尿病患者における大麦摂取後は、血中尿酸値を改善しました。
大麦摂取直前と比較して、3か月間の大麦摂取後、血中尿酸値は有意な低下を示しました。また、血中尿酸値の低下は高大麦群で顕著であり、低大麦群でも低下しましたが有意差はありませんでした(図1)。一方でHbA1c、BMIおよび中性脂肪は、大麦摂取前後で有意な変化はみられませんでした。
図1.大麦摂取による血清尿酸値の変化
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
③ 低穀物摂取の2型糖尿病患者における大麦摂取は、食事の栄養バランスを改善しました。
大麦摂取の前後で、総エネルギー摂取量に変化はありませんでしたが、たんぱく質および脂質摂取量は減少傾向に、炭水化物摂取量は増加傾向にありました。さらに大麦摂取後では炭水化物エネルギー比率が有意に増加し、一方で脂質エネルギー比率は有意に減少しました。たんぱく質エネルギー比率に変化はありませんでした(図2)。
図2. 大麦摂取による三大栄養素のエネルギー比率の変化
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
次に、主な栄養素である穀類、動物性たんぱく質、飽和脂肪酸のエネルギー比率の変化を確認しました。その結果、大麦摂取後に穀物エネルギー比率は有意に増加し、動物性たんぱく質と飽和脂肪酸のエネルギー比率は有意に低下したことが分かりました。さらにこれらの変化は高大麦群で顕著に表れていました(図3)。
図3. 大麦摂取による主な栄養素のエネルギー比率の変化
(出典: 診療と新薬2022, 59, 8, 435-443より引用して作図)
〈今後の展望〉
本研究では、血中尿酸値の高い糖尿病患者において、大麦の摂取による尿酸値低下を認めました。さらにこの効果は高大麦群において顕著であったことから、1回の食事で大麦を多く摂取するよりも、摂取する回数を多くするほうがより大きな効果が期待できると考えられます。さらに大麦を摂取する回数が増加することは、和食の機会を増やすことにもつながると考えられます。実際に本研究では、大麦摂取後に飽和脂肪酸や動物性蛋白質のエネルギー比率の低下が認められ、食生活が和食スタイルに移行している可能性がありました。
したがって、本研究で得られた結果は、大麦による低グリミセミック指数な食事の効果だけでなく、栄養バランスの取れた食事に移行したことによる効果もあると考えられます。
【用語解説】
(1)グリセミック指数:食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す値。この値が高い食材を食べると食後の血糖値が急上昇し、低い食材を食べると緩やかに上昇する。
(2)β-グルカン:水溶性食物繊維。水に溶けてゲル状になる食物繊維。食後血糖値の上昇抑制効果や腸内環境を整える機能を持つ。
(3)後ろ向きコホート:特定の条件を満たした集団を対象にして診療記録などから過去の出来事に関する調査を行う研究手法。
- はくばくについて
当社の社名「はくばく」は白い大麦という意味です。創業社長である祖父が「もっと麦ご飯を喜んで食べてもらいたい。」という思いから、大麦を一粒一粒半分に割って黒い筋を目立たなくした製品を開発しました。
以来、我々はくばくは穀物とともに歩み、精麦の他、雑穀、和麺、麦茶、穀粉、米を事業として手がけるようになりました。
人類を太古から支えてきた大切な「穀物」を、現代の食卓へもっと多く登場させ、もっと楽しんで食べてもらうこと。それは家族の笑顔が増えること。またそれは家族が健康になることだと考えています。これを実現するために、我々はくばくは「穀物の感動的価値を創造する」ことを社員一丸となって本気で目指して参ります。
(株式会社はくばく 代表取締役社長 長澤 重俊)
社名 : 株式会社はくばく
所在地 : 〒409-3843 山梨県中央市西花輪4629
代表 : 代表取締役社長 長澤 重俊
設立 : 昭和16年4月15日
資本金 : 98,000,000円
事業内容: 食品製造および販売
URL : https://www.hakubaku.co.jp/
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