「収入が同等以上なら地元に戻りたい」地方出身ドライバー5割、“地元を離れて働く物流人材”への支援、東北では78%が「なし」人材定着や女性流出への課題意識にも地域差が
~【物流2024年問題から1年】物流業界の働き方に関する実態調査・第三弾『地方での就労・定着』、“地元に戻りたくても戻れない”ドライバーの本音と地域格差が明らかに~
ノンデスク事業者向けの人材採用システム『クロスワーク』を提供するX Mile株式会社(読み:クロスマイル、本社:東京都新宿区、代表取締役:野呂 寛之、以下『当社』)は、物流業界の働き方に関する実態調査「クロスワークしごと白書2025」の第三弾として、『地方での就労・定着』に関する独自調査をこの度、発表しました。本調査は、全国の物流事業の経営者・役員185名と、トラックドライバー720名(*)の計905名を対象に実施した独自アンケートの調査結果をまとめたものです。
※クロスワークは、物流・建設・製造特化の採用支援サービスです。

■総括:地方で“働き続ける”ために必要なこと
今回の調査では、地方における就労と定着を支えるサポート体制の脆弱性が浮き彫りとなりました。特に東北地方など一部地域で見られる支援の不足は、従業員の転職や離職を招く要因となりかねず、喫緊の課題としてサポート体制の強化が求められます。
さらに、地域間でサポート体制に格差が存在するだけでなく、若年女性の人口流出に対する認識にも大きな温度差が見られ、地方の雇用・定着問題はより複雑な様相を呈しています。
今後は、地域の実情に合わせたきめ細やかなサポート戦略と、人口流出の四根本的な要因への対策を講じることで、持続可能な地域社会の実現を目指す必要があります。
次回の「クロスワークしごと白書2025」第四弾では、女性ドライバーの働き方とその実態にフォーカスし、物流業界が抱える新たな課題と、その先にある可能性を現場の声とデータから読み解いていきます(6月予定)。
▼第三弾の全文は下記よりダウンロードが可能です。
※本調査のデータ転用・引用時は必ず下記の記載をお願いいたします。
出典:クロスワークしごと白書2025(https://x-work.jp/journal/driver-working_03)
◾️主なトピックス・
1) 地方出身ドライバー(n=439)のホンネ:地元に戻る条件ランキングTOP10
・トップ3は「収入が同等以上」「希望する職種の求人がある」「生活費・住居費の安さ」
2)地元を離れて就職・転職する従業員サポートに顕著な地域差:東北では支援が大幅に遅れ、中部・近畿・北海道は充実
・地方就職者に対する支援、東北78.6%が「何もしていない」…未経験者に対する育成支援の遅れも顕著
・中部・近畿・北海道では未経験者に「社会保険完備」「資格取得支援制度」「有給休暇の取得促進」など充実した取り組みを導入
3)首都圏・地方ともにドライバーの7割が「転職希望」共通の理由は「給与への不満」
・「一都三県在住・同地出身」ドライバーでは73.3%が、「地方出身・地方在住」ドライバーでは67.1%と、7割のドライバーが転職を希望
・転職希望する理由の最多は共通して「低賃金」、地方では評価・仕事内容への不満も
4)人材確保の観点で「女性人口流出への危機感」を問うも地域差が顕著:四国・中国 の5割が深刻な問題と認識、一方東北は5割が無関心層か
・四国・中国はいずれも5割程度が危機感を抱く一方、東北では「何も感じない・わからない」が最多
・「女性が活躍できる場」への期待は北海道0%、関東22.8%と地域によって大きな差
5)ドライバー採用、地域で異なる一手:ハローワーク頼み、紹介重視、デジタルツールの活用に地域差
・中国地方は、いずれの採用手法も「利用していない」が最多
・採用媒体の選定理由の多くは「無料」「費用の安さ」。一方で「口コミ」を通じて信頼性や実績を確認する層も
■詳細
1) 地方出身ドライバー(n=439)のホンネ:地元に戻る条件ランキングTOP10
現在の居住地とは異なる地域にお住まいのドライバーの方に、「地元に戻って働く」際に求める条件を尋ねたところ、最も多かったのは「現在と同等以上の収入があること」で52.6%を占めました。次いで、「希望する職種の求人があること(44.2%)」、「生活費の安さ(31.0%)」、「住居費の安さ(30.3%)」が上位にランクインするなど、“経済的条件”を重視する傾向が明らかになりました。

しかし、「地元への愛着(13.7%)」や「家族が近くに住んでいること(12.5%)」といった“情緒的な要素”は、経済的な条件と比較して低い結果となりました。これは、地方での就職という現実的な選択において、安定した収入や生活環境が、故郷への想いよりも優先される傾向があることを示唆しています。
2)地元離れて働く従業員へのサポート、地域で顕著な差:東北が支援が大幅に遅れ、中部・近畿・北海道は育成支援が充実
地方から都市部などへ出て就職を希望するなど、地元から離れて就職する求職者への採用後の支援について、物流事業者に質問したところ、「特に何もしていない」という回答が4割強という結果となりました。この結果は、地元を離れて物流業界へ就職する際のハードルを高める恐れがあり、人材確保に向けた新たな取り組みが業界全体に求められています。

エリア別に見ると、「サポートなし」と回答した割合が最も高かったのは東北地方で78.6%と、8割近くに達しました。同様に、四国や九州でも5割を超える結果に。

一方で、「交通費の補助・支給」や「住宅手当の支給」といった経済的な負担を軽減するサポートは比較的多く見られるものの、その支給額や対象範囲は限定的な場合が多く、地方からの就職希望者にとって十分な支援とは言えない現状が伺えます。
加えて、未経験者に対する受け入れ支援の遅れも顕著であり、「特に何もしていない」と回答した事業者の割合が最も高かったのは東北地方(50.0%)でした。

対照的に、中部・近畿・北海道では、社会保険完備に加え、業務に必要な大型免許やフォークリフト等の資格取得支援制度の導入、有給休暇の取得促進など、充実した取り組みが見られました。
▼中部地方

順位 |
事例 |
割合 |
---|---|---|
1 |
資格取得支援制度の導入(大型免許、フォークリフト免許など) |
46.9% |
2 |
社会保険完備 |
40.6% |
3 |
有給休暇の取得促進 |
37.5% |
4 |
先輩ドライバーによる丁寧な同乗研修制度の実施 |
34.4% |
5 |
運転手当や安全運転手当など各種手当の充実 |
31.2% |
※回答の上位5を表したグラフ
▼近畿地方(5位は同率)

順位 |
事例 |
割合 |
---|---|---|
1 |
社会保険完備 |
48.3% |
2 |
資格取得支援制度の導入(大型免許、フォークリフト免許など) |
31.0% |
3 |
有給休暇の取得促進 |
27.6% |
4 |
慶弔見舞金や社員割引制度の導入 |
20.7% |
5 |
荷物の積み下ろしや固定方法など、実務研修の充実 |
17.2% |
5 |
特に取り組みは行っていない |
17.2% |
※回答の上位5を表したグラフ
▼北海道(2~5位は同率)

順位 |
事例 |
割合 |
---|---|---|
1 |
社会保険完備 |
42.9% |
2 |
資格取得支援制度の導入(大型免許、フォークリフト免許など) |
28.6% |
2 |
有給休暇の取得促進 |
28.6% |
2 |
運転手当や安全運転手当など各種手当の充実 |
28.6% |
2 |
交通法令や安全に関する定期的な研修 |
28.6% |
※回答の上位5を表したグラフ
この地域間における支援体制の格差は、地方の物流業界における人材確保の難易度をさらに高める要因となる可能性があり、全国的な水準の底上げと、地域の実情に応じた柔軟な支援策の導入が急務と言えるでしょう。
3)首都圏・地方ともにドライバーの7割が「転職希望」共通の理由は「給与への不満」
トラックドライバーの転職意向を居住地・出身地別に分析した結果、「一都三県在住・同地出身」のドライバーでは73.3%、「地方出身・地方在住」のドライバーでは67.1%と、いずれも7割が転職を希望していることが明らかになりました。

首都圏と地方で転職希望者の割合に大きな差は見られないものの、共通して、「給与の低さ」が転職希望理由の最多を占めています。
一都三県に居住または同地出身のトラックドライバーの転職希望理由を見ると、拘束時間の長さ(16.0%)や体力的なきつさ(10.7%)といった労働環境の厳しさが上位を占めています。

一方、「地方出身・地方在住」のドライバーは、体力的なきつさだけでなく、やりがいが見いだせない、スキルが活かせないといった仕事内容への不満や昇進・昇格、評価制度への不満などが上位に挙げられました。この結果は、都市部では厳しい労働条件が、地方では仕事への充足感やキャリアパスへの不満が、それぞれドライバーの転職を後押しする主要因となっていることを示唆しています。
4)人材確保の観点で若年女性流出への危機感に地域差:四国・中国・近畿で深刻、東北は無関心層も
地方の若い女性の人口流出(地元離れ)に対する認識を地域別に分析した結果、四国・中国・近畿地方では「深刻な問題」としての危機感が特に高く、4~5割を占める結果となりました。これらの地域では、将来的な活力低下や担い手不足への強い懸念が背景にあると考えられます。

対照的に、東北地方では半数が問題意識を感じていない、または認識できていないという結果となり、問題の切迫感の低さや情報へのアクセスの課題などが示唆されました。
「女性が活躍できる場の増加が若者の地元残留につながる」という期待感については、関東地方が最も高く、次いで中部地方、四国地方、近畿地方が続きました。

一方、九州地方、北海道、中国地方、東北地方ではこの期待感が低い傾向が見られました。
さらに、人口流出問題においては女性だけでなく男性の流出も問題視されており、特に九州地方(42.9%)と四国地方(33.3%)でその傾向が顕著でした。大都市圏である関東地方でも男性の流出が一定程度認識されています。一方、中部地方(21.9%)、北海道(14.3%)、近畿地方(13.8%)、中国地方(12.5%)、東北地方(7.1%)では男性の流出に対する危機感は比較的低い結果となりました。
地方の人口流出問題に対する認識と対策意識には、地域ごとに大きな温度差が見られることがわかります。
5)ドライバー採用、地域で異なる一手:ハローワーク頼み、紹介重視、デジタルツールの活用に地域差
事業者への調査から、ドライバー採用におけるオンライン・オフライン双方の手法において、地域ごとの利用傾向と特色が明らかになりました。
オフライン採用:ハローワークと紹介制度に地域差
対面など直接的な採用手法(オフライン)の利用実態を見ると、東北地方と北海道ではハローワークの利用率が非常に高く、ドライバー採用における主要なチャネルとなっています。一方、九州地方と中国地方では半数以上の事業者がハローワークを「利用していない」と回答しており、地域によってハローワークの重要度に差があることが示唆されます。

また、従業員からの紹介制度の活用度合いにも地域差が見られました。北海道と九州地方では「利用していない」割合が非常に低く、紹介制度が活発に機能していると考えられます。対照的に、四国地方と中国地方では紹介制度の利用が進んでいないようです。
オンライン採用:中国地方でデジタル手法の利用控えめ
求人サイトやSNS、自社のホームページといったデジタルな手法(オンライン)の利用傾向を見ると、中国地方はいずれの手法においても「利用していない」割合が非常に高いことが特徴的です。これは、中国地方のドライバー採用において、オンラインに依存しない独自の戦略が存在する可能性を示唆しています。

一方、関東地方ではこれらのオンライン手法の利用が進んでおり、地域によってデジタルツールの活用度に差が見られます。
選定理由は「無料」と「口コミ」:実績と信頼を重視する採用
オンライン・オフラインの手法を問わず、各手法の選定理由として「無料で利用できる」「口コミがいい」といった回答が多く挙げられました。この結果から、事業者は知名度よりも、コスト効率の良さや実際に効果があったという実績、信頼できる情報源からの評価を重視して採用手法を選んでいる傾向が明らかになりました。
地域別(東日本・西日本)採用手法の利用実態の比較
東日本と西日本のエリア別に採用手法の利用実態を比較調査。オンラインの採用手法において、東日本では、ドライバーの採用において「費用」が重要な要素として認識されつつも、媒体の種類によっては「認知度」や「利用者の多さ」といった影響力をより重視する傾向が見られました。

一方、西日本では、総合求人サイトから自社ホームページに至るまで、掲載費用や無料での利用といったコスト要因が、媒体選択における最も重要な判断基準であることがわかります。

この地域差の背景には、両地域の経済状況や企業の規模、それぞれの採用戦略の違いなどが影響していると考えられます。特に、西日本において顕著に見られる費用重視の傾向は、採用コストの抑制に対する強い意識を反映していると言えるでしょう。
続く、オンラインの採用手法について、東日本のいずれの媒体も選定理由は「無料」「費用の安さ」が上位を占める中、一部「特に理由なし」「口コミがいい」なども挙げられました。

西日本においては、東日本同様に「無料」「費用の安さ」が選定理由として多い一方で、過去に利用実績があることから、ドライバーの採用が必要になったタイミングで再度同じ媒体を利用するといった傾向もみられました。

これらの結果から、採用活動における費用対効果の追求は共通認識であるものの、東日本ではより多様な要素を考慮した媒体選定が行われる傾向が見られました。一方、西日本では、実績のある低コスト媒体への集中と、新規媒体への慎重な姿勢が示唆されると言えるでしょう。
次回の「クロスワークしごと白書2025」では、4弾として女性ドライバーの働き方とその実態にフォーカスし、物流業界が抱える新たな課題と、その先にある可能性を現場の声とデータから読み解いていきます(6月予定)。
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■調査概要
・調査期間:2025年3月12日〜2025年3月21日
・調査方法:インターネット調査、ウェブアンケートによる調査
・調査対象:全国20代以上の男女
└物流事業者の経営者・役員の方185名
└当社求人・転職サイト『クロスワーク』の会員登録者720名のトラックドライバー*
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▼第三弾の全文は下記よりダウンロードが可能です。
https://x-work.jp/journal/driver-working_03
本リリースの引用・転載時には、必ず下記の記載をお願いいたします。
・出典:クロスワークしごと白書2025(https://x-work.jp/journal/driver-working_03)
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■関連する調査リリース
・第一弾:【物流2024年問題から1年、現場と経営の実態調査<第一弾>】「物流関連二法」の施行目前、業界が直面する変化と課題とは?3人に1人のドライバーが「収入減」、残業時間「月10時間未満」が最多
・第二弾:ドライバー不足6割超の一方、2割が退職理由を「把握できていない」希望通りの育休取得約1割、若者の定着離れも加速。全国905名の声から読み解く物流現場のリアル
■X Mile株式会社 会社概要
会社名:X Mile株式会社(クロスマイル)
代表者:代表取締役CEO 野呂 寛之
所在地:
・東京オフィス(本社):東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア W7F
・大阪オフィス:大阪府大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第三ビル4F
・福岡オフィス:福岡県福岡市中央区大名1-8-6 HCCビル5F
・名古屋オフィス:愛知県名古屋市中区丸の内1-10-29 白川第8ビル 5F
・広島オフィス:広島県広島市南区京橋町1-7 アスティ広島京橋ビルディング1・2F
・札幌オフィス:北海道札幌市中央区南2条西8-3-1 大光ビル2F
設立 :2019年2月
資本金:1億円
HPサイト:https://www.xmile.co.jp/
■サービス概要
(1)HRプラットフォーム (働き手不足を解決)

クロスワークは、物流・運送・建設特化の人材採用システムです。登録者数は全国に70万人を超え、取引事業数は20,000社以上。上場企業含め、大手グループ様の導入実績があります。また、ドライバーや施工管理、整備士など職種に特化した人材紹介サービスも提供しており、即戦力人材の確保に役立つサービスを展開しております。
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HP:https://www.xmile.co.jp/service/xwork/detail
(2)ノンデスク産業向けSaaS・プラットフォーム (労働生産性の低さを解決)

運輸業界では社会問題化する日本最大のドライバー不足と同時に「多重化下請け構造」や電話・紙・FAXを中心とした「低い労働生産性」など、多くの解決すべき業界課題が存在しています。クロスマイルは、それらをソフトウェアによって解決し、事業者の売上最大化・コスト改善を図ることで、インフラ産業である運輸業界を支えています。
▼物流業界向け経営・業務支援サービス「ロジポケ」
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