「つつむ」に想いを込めて―パッケージングでブランディング!!足立の老舗『パッケージアート株式会社』がオリジナルパッケージ製作ガイドの公開延長を決定!
足立ブランド認定企業のパッケージアート株式会社が2025年4月以降の新年度もオリジナルパッケージ製作ガイドを公開することが決定しました。あなたの商品のブランディングにぜひご活用ください。

足立区で70年以上続く包装資材メーカー『パッケージアート株式会社』(東京都足立区本木東町、代表取締役小林正彦)は、ECサイトで7,700点以上の規格品を展開し、独自の提案型ビジネスモデルで成長を続けています。三代目の小林正彦社長は「『つつむ』は単なる包装ではなく、商品の価値を引き出すアート」と語り、伝統と革新のもの作りに挑戦しています。

▎「もったいない」が原動力に――事業承継までの道のり
「子どもの頃から段ボール加工の音や職人との交流が日常でした。その思い出が詰まった場所を守りたい」『パッケージアート株式会社』の代表取締役、小林正彦氏はそう語ります。
明治大学文学部演劇学科を卒業後、別の道へと踏み出した小林氏でしたが、土地の切り売りで運転資金を捻出する実家の状況を目の当たりにし、24歳で家業を継ぐことを決意しました。
「家業を継ぐよう言われたことは一度もなく、私自身も継ぐつもりはありませんでした。しかし知り合いから『せっかくある環境を活かさないのはもったいない』と言われたことをきっかけに、創業50年の歴史を持つ会社を失うことへの『もったいない』という想いが強まっていきました」


会社の再建に当たって、小林氏が真っ先に取り組んだのは先代の経営理念の理解でした。80代の最古参スタッフや二代目である父、正人氏との対話を通じて見えてきたのは、4つの柱でした。
「社名の意味」
「作って売るという両輪」
「変化し続け永続すること」
「人として成長すること」
これらは明文化されていませんでしたが、会社の根幹として息づいています。
特に『パッケージアート』という社名には深い意味が込められていました。1975年の社名変更時、先代は段ボールを単なる製造・販売品としてではなく、パッケージそのものを「アート(主に技術の意)」として捉えることの重要性を説いていたのです。
▎ギターケースが切り開いた新時代
しかし、事業承継そのものよりも、会社の状況を立て直す方が先決でした。取引先の廃業や顧客離れが続き、会社の資金繰りは逼迫。新規顧客開拓も停滞していました。加えて、家族経営特有の課題も浮き彫りになりました。
「会社の未来を描ける希望が無く、組織として一体感を持って動くことが難しく、誰もが責任を負わない状態になっていた」と小林氏は振り返ります。そんな中でブレイクスルーとなったのが、インターネットを活用した販売チャネルの拡大でした。
最初は周囲から「こんなもの売れるわけない」と懐疑的な目で見られたそうですが、しかし、この決断は的中しました。約1年かけて少しずつ成果が表れ始め、新しい収入源として確立。当時は社長であった正人氏(父親)はラインナップを拡充すべく、商品開発などのアイデア面で小林氏をサポート。会社に新しい事業を立ち上げることに成功したのです。
現在では7,700点以上のアイテムを展開するまでに成長し、顧客からも高い評価を得ています。




この成功体験は、小林氏を新しい市場拡大へ向かわせる原動力になりました。小林氏の自信だけでなく、社内が活性化していく状況に社員も変化。当初は懐疑的だった人々も次第に協力的になっていきました。結果を出す……これにより小林氏が社員たちに認められる流れを創り出したのです。
同社の代表的な商品が「ギター梱包用段ボール」です。

EC販売開始当初、何を売るべきか模索していた時期に開発された商品で、小林氏自身の音楽活動経験と段ボール加工の技術が結びついて生まれたもの。まさに『パッケージアート』でしか生まれない商品です。
2006年の販売開始以来、累計売上6,000万円を超えるロングセラー商品に成長。現在は4サイズのラインナップを揃え、海外輸出対応の8mm厚タイプも開発するなど、進化を続けています。
このギター梱包用段ボールは、単なるヒット商品以上の意味を持っています。ギターは企業のシンボルとしても活用されています。求人ページに、この商品の画像を掲載したところ、楽器経験者や音楽愛好家からの応募が増えるなど、採用面でも思わぬ効果をもたらしました。


▎「つつむ」で未来をつくる――足立から世界へ
「パッケージは、商品の価値を最大限に引き出す表現手段です」
そう語る小林氏が目指すのは、単なる資材販売の枠を超えた価値創造です。「“つつむ”を通じて、日本の生産性と魅力を引き出し、未来を創る」この理念のもと、同社は顧客のニーズに寄り添った提案型ビジネスを展開しています。
例えば、「箱が欲しい」というざっくりした要望に対し、用途や目的を丁寧にヒアリングし、最適な提案を行えるのが同社の特徴です。



当初はトライ&エラーを重ねたそうです。そうしたノウハウを積み上げる中で、ようやくエラーのないプロセスが構築できつつある、と自信を見せます。ただし、こうしたエラーから学んだことで、クライアントに対して的確なヒアリングが行え、また最適な形状や素材が提案できるようになりました。

また、データ分析に基づく経営判断も導入しています。顧客データの分析から、中価格帯以上の商品、特に1万円前後の高単価商品向けのパッケージ需要との相性の良さが判明。この知見を基に、ターゲット市場を明確化し、コンテンツマーケティングにも活用しています。
「価値の高い商品には、それにふさわしいパッケージが必要です。そしてパッケージはブランドの価値も高めてくれるもの、そう考えています」
現在「はじめてのオリジナルパッケージ製作ガイド」が公開中です。
https://www.packageart.co.jp/custom-made-guidebook/
オーダーメイドに不安がある方へ向けて作成した小冊子(PDF)が大好評のため、来年度も公開継続が決まりました。パッケージであなたの商品のブランディングをお手伝いさせてください。
▎プロフェッショナル企業への変換
現在、組織作りの面でも改革を進めています。「5S活動」を導入し、単なる清掃活動ではなく、課題発見力と考える力を育成することを目的として取り組んでいます。「掃除しながら、危険はないか、改善の余地はないかをチェックする。それが“5S”の本質です」と小林氏。
そして、特筆すべきは、情報共有を徹底し、属人化を防ぐ取り組みです。個人の能力が飛び抜けていても、その人がいなくなれば事業が立ち行かなくなってしまいます。瞬間的にテクニックは落ちてしまうかもしれませんが、全員が等しい能力を維持できる方が企業としては安定します。現在は技術の標準化とナレッジの共有を進めています。




地域との関係も大切にしています。
2017年から参加している「足立ブランド」事業を通じて、地域企業とのネットワークを構築。また、小林氏の母校である本木小学校の児童の職場見学を受け入れるなど、地域に根ざした活動も展開しています。
「ある幼稚園から『色付きの発泡スチロールが欲しい』という依頼を受けました。用途を確認すると子供の遊び道具として使いたいということがわかりました。より安全性が高く丈夫なポリエチレン素材を提案し、採用されました」
70年以上、親子3代にわたって事業を続けてきたパッケージアートにとって、足立区は単なる事業拠点ではありません。製造業の街として誇りを持つ足立区の活性化にも熱い思いを持っています。
近年、近隣企業の廃業が相次ぐ中、「技術や実績を持ちながらも、その価値が十分に評価されないもどかしさ」を感じてきた経験から、地域の製造業の価値を広く発信していきたいと考えています。

創業75周年を迎える2027年に向けて、小林氏は新たな挑戦を考えています。
「これまで築いてきた基盤を踏まえた自社ブランドの確立。そして顧客・地域社会の発展に貢献できるサービスを展開し追求していきます」と意気込みを語ります。
また、「各自が高いレベルのプロフェッショナル企業への変換」という目標も掲げています。
「“つつむ”という行為には、商品を物理的に保護するだけでなく、その価値や魅力を最大限に引き出す力があります」
『パッケージアート』は、その名の通り、包装を芸術の域まで高めることで、日本のもの作りの未来を切り開こうとしています。小林氏の挑戦は、次の四代目に引き継がれる日まで、まだまだ続きます。

企業情報
パッケージアート株式会社
会社名:パッケージアート株式会社
住 所:東京都足立区本木東町16-5
電話番号:03-3840-4425
代表取締役:小林 正彦
創 業:1952年
事業内容:段ボール製造、オリジナルパッケージの企画
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『パッケージアート株式会社』は、この「足立ブランド」認定企業です。
取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。
足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト
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