再春館製薬所、化粧品特有の“難分解性”廃液をエネルギー転換する共同実証実験をWatasumi社と開始
防腐剤・油剤・粉体—。業界の常識を覆す化粧品廃液の完全分解・資源化という難題に挑戦
株式会社再春館製薬所(本社:熊本県上益城郡益城町、代表取締役社長:西川正明、以下 再春館製薬所)は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のスタートアップであるWatasumi株式会社(本社:沖縄県国頭郡恩納村、CEO:David Simpson、以下 Watasumi)と、共同実証実験を開始したことをお知らせします。
本連携では、Watasumiが有する微生物燃料電池の技術を活用し、これまで処理が困難とされてきた防腐剤や多種多様な油剤、粉体を含む高濃度な化粧品廃液を分解すると同時に、バイオガスや電気等の再生エネルギーを創出。これにより、事業活動における環境負荷の抜本的な低減と、化粧品業界の持続可能な未来に向けたサーキュラーモデルの構築を目指します 。

■ 共同実証実験に至る背景と目的
化粧品業界では、製造ロスなどが産業廃棄物となり、環境負荷とコストが課題となっています。特に、品質保持に不可欠な防腐剤や機能性を高める油剤・粉体(酸化チタン等)は微生物による分解が極めて難しく、単純な排水処理ができない大きな要因となっていました。
再春館製薬所は創業以来、「人間も自然の一部」という漢方理念に基づき、「自然との共生」を追求しています。今回の取り組みは、この理念をより一層高いレイヤーで実践するものです。技術的な難題に挑戦し、廃棄物を価値ある資源に変えることで、環境との共生をより強固に実現することを目指します。
■ 共同実証実験の概要
共同パートナーであるWatasumiは、OISTの研究成果を基に設立されたスタートアップです。 同社の技術は、微生物の力で高濃度の有機排水を分解しながらエネルギーを回収するという独自のものです。Watasumiの技術は、これまで比較的単純な組成である飲料などの廃水処理で実績を重ねてきました。今回の実験は、成分が極めて複雑で“難分解性”の化粧品廃液を対象とする、世界の中でも先進的な挑戦となります。
同取り組みは2026年7月より、ラボスケールでのテストを開始します。対象には、各製品のBOD/COD(生物化学的/化学的酸素要求量)測定を経た再春館製薬所の主力製品「ドモホルンリンクル」(2026年1月リニューアル予定の新処方を含む)の廃液を使用。化粧品特有の様々な成分に対し、本技術がどこまで有効性を発揮できるかを検証していきます 。
■ 今後の展望
今回のラボテストで得られる知見は、難分解性の化粧品廃液のエネルギー転換という、これまで化粧品業界の大きな壁であった課題を乗り越えるための重要な一歩となります。この成果を基にパイロット実験へと進み、化粧品業界全体のサステナビリティを大きく前進させる革新的なモデルとして確立していく予定です。
■ 両社からのコメント
株式会社再春館製薬所 ポジティブエイジ統括本部 経営責任者 井手 芳信:
理念の実現に向け、大きな一歩を踏み出せたと感じています。化粧品特有の複雑な成分の処理という高いハードルに対し、Watasumi社の革新的な技術と私たちのものづくりの知見を掛け合わせ、業界の未来を明るく照らすサステナブルなモデルをこの熊本の地から発信してまいります。
Watasumi株式会社 CEO David Simpson氏:
自然由来の成分を大切にされている再春館製薬所様と協業できることを光栄に思います。飲料などの廃水と比較して格段に複雑な化粧品廃液の処理は、我々の技術にとっても大きな挑戦ですが、だからこそ成功した際のインパクトは計り知れません 。この共同実証を通じて、持続可能な社会の実現に貢献できると信じています。
【再春館製薬所について】
再春館製薬所は 1932 年に熊本で創業。「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」を主とした、漢方理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品の製造・販売を行う漢方の製薬会社です。「自然とつながり、人とつながる明日を」という理念を掲げ、「人間も自然の一部」という発想で選び抜いた植物の力を、製薬会社の技術で最大限に引き出して人の力に活かすものづくりを通し、「自然・人・社会の循環」を目指します。2016年の「平成28年熊本地震」でその名が全国に知られることになった熊本県益城町に本社を構える企業として取り組む復興支援の側面も持つ、全国初の「価値観」をもとに事業者・返礼品をセレクトした自社運営ポータルサイト「再春館製薬所 ふるさと納税サイト」の展開や「自然からの恵み」への“恩返し”につながる、自然との共生・サステナビリティ活動など、さまざまな形で理念の実践を追求しています。
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