拡大する大学入試「女子枠」 高校生の受け止めは?~2年前より「賛成」が減少。背景には狙いやメリットのアピール不足か~

学校法人 河合塾

学校法人河合塾は、導入が拡大している大学入試の「女子枠」について、高1・2生を対象としたアンケートを昨年11月に実施しました。前回23年1月の調査と比べ、「女子枠に賛成」の回答が約9ポイント減少する結果となりました。女子枠の拡大が進む一方で、高校生からの支持に伸び悩みが見られ、ギャップを感じさせる結果です。

■過半数は賛成だが、入試における「平等」「差別」への根強い懸念も

アンケートは高1・2生を対象に24年11月に行ったオンラインのテストイベント参加者に実施。

「工学部など女子比率の少ない学部に女子枠を導入する取り組みをどう受け止めますか?」という質問に対し、賛成は56.0%、反対は44.0%という結果になりました。23年1月に行った同じ質問に対し、賛成と回答した方の比率が9ポイント減少し、反対が増加しました。

アンケート概要

調査対象 :全国の高校1年生・2年生

回答数 :3,762件

回答方法 :Webアンケート。テストイベント「大学
入学共通テストトライアル」参加者から回答を募集)

回答期間 :2024年11月3日~12月10日

※前回実施について
  2023年1月の同種テストイベントで実施。

  回答数 :2,412件

賛成・反対の理由を分析したところ、賛成と答えた方からは、「理系に女性が増えることで多様な視点が生まれる」、「女性の活躍の場が広まる」といった「視点」「活躍」「公平」等の観点からの回答が寄せられましたが、その数は100件強でした。


一方、反対と答えた方からは、「入試は男女平等であるべき」、「(女子枠により)かえって男女差別になるのでは」といった「平等」「差別」「公平」の観点からの回答が500件近く寄せられました。

回答では「賛成」が過半数を占めたものの、「入試形式」としての女子枠に関心が集まり、女子枠が掲げる理念や狙いが、当事者である高校生に十分に伝わっていない現状が浮き彫りとなりました。

理系女子の増加によるトータルメリットのアピールを ━━ 河合塾研究員コメント 

河合塾教育研究開発本部・主席研究員の近藤治は、「心情的に男女差別や不平等感を感じる生徒が多いようだが、ジェンダーをはじめさまざまなバイアスにより女子が進学しづらかった学部を受験しやすい環境を作った点で女子枠には意義がある。今出ている不満や不安は、入口である入試でのみ女子枠がクローズアップされているからではないか。大学は入学後や卒業後も含めて女子の増加によるトータル メリットをもっとアピールする必要がある」と、分析します。

注目を集める女子枠の報道や、ジェンダーに関する資料のひとつとして本調査結果をご活用ください。弊塾近藤への取材も歓迎します。どうぞよろしくお願いいたします。

近藤治 主席研究員

[参考資料] 3分早わかり、女子枠のいま

1.女子枠とは?

出願者を女子に限定した入試制度で、主に理工系学部に見られます。以前から名古屋工業大学などで行われていましたが、24年度から東京工業大(現東京科学大)が導入したことを契機に全国で拡大。導入は総合型・学校推薦型選抜*に限られ、2・3月に行われる学力試験が中心の一般選抜への導入大学はほとんどありません

*総合型・学校推薦型選抜:結果が年内に出ることが多いため年内入試とも呼ばれる。志望者の適性や意欲を見るため、志望理由書や活動報告書といった書類や、小論文、面接などで多面的に評価。これに加え、国公立大では共通テストの受験を課すケースが多い

2.拡大が進む女子枠

24年度から女子枠の導入が大きく拡大。今年度も千葉大や神戸大などが新規実施し、国公立大学では30校で行われています。一方、志願者が募集人員に満たないケースや、志願者全員合格といったケースも見られ、大学によって志願動向に差があります

  国公立大学 女子枠実施大学数

3.今後の展望~拡大する女子枠。男子枠を導入する大学も~

今後も女子枠の拡大は見込まれます。26年度入試では、京都大学、大阪大学、広島大学などで新規実施の予定です。現状で 実施の無い男子枠は、同じく26年度入試から東京家政学院大学が導入予定です。

一方で、アンケート結果にもある通り、その狙いやメリットが理解されていないケースも考えられ、女子枠・男子枠の導入する際はより丁寧な説明が求められます。

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URL
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業種
教育・学習支援業
本社所在地
愛知県名古屋市千種区今池2-1-10
電話番号
-
代表者名
河合 英樹
上場
未上場
資本金
-
設立
1933年11月