赤ちゃんの頭のゆがみ、適正診療の「標準化」へ 医師・助産師・弁護士・シンガポールの専門医が東京に集結
ー 第7回位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会を開催。産後ケアの法的リスクからグローバル連携まで、多職種プロフェッショナルの知見を凝縮 ー
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)は2025年12月14日(日)、「第7回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」を開催しました。本研修会は一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が定める認定研修として実施し、近年注目を集める「産後ケアと頭のかたちにおける法的リスク」や「シンガポールとの国際連携」を主要テーマに据え、研修内容を一新。当社製ヘルメットを扱う医療機関に限らず、全国各地から医師、助産師、法曹関係者など80名を超える専門家が参加し知見を深めました。
│研修会の主な内容
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【法的リスク】説明と記録、リスクマネジメントの整理
佐藤総合法律事務所の佐藤弁護士が登壇し、説明・同意の考え方、記録の残し方、留意点、研修参加の必要性を実務に即して共有しました。
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【海外の知見】シンガポールKKHの取り組みを共有
KK Women’s and Children’s Hospital(KKH)新生児科のDr. Kavitha Sothirasanを招聘し、英語で講演いただきました。PlagioCentreの運用や治療の進め方、シンガポール国内の実態等が示されました。
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【多職種の議論】予防指導と受診導線の共通理解
SIDS予防のための仰向け寝推奨と、頭蓋変形予防の両立、保護者への説明のあり方等を多職種で整理しました。

│開催概要
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名称:第7回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会
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日時:2025年12月14日(日)13:00~17:15
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会場:ビジョンセンター東京八重洲
│プログラム
ベーシックコース
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位置的頭蓋変形を取り巻く社会的背景
細野 茂春先生(練馬光が丘病院 小児科) -
位置的頭蓋変形の機序
草川 功先生(0歳からの頭のかたちクリニック 小児科) -
位置的頭蓋変形の予防
江藤 宏美先生(長崎大学 助産学)
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位置的頭蓋変形の診断
五味 玲先生(0歳からの頭のかたちクリニック 小児脳神経外科)
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位置的頭蓋変形の治療
広川 大輔先生(神奈川県立こども医療センター 小児脳神経外科)
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位置的頭蓋変形に関する法的課題
佐藤 明夫弁護士(佐藤総合法律事務所)
アドバンスコース
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頭部データ解析の誤差
梶田 大樹先生(0歳からの頭のかたちクリニック 形成外科)
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頭蓋骨縫合早期癒合症に対する縫合切除術およびヘルメット治療の現状
栗本 路弘先生(あいち小児保健医療総合センター 小児脳神経外科)
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位置的頭蓋変形に関する法的問題
佐藤 明夫弁護士(佐藤総合法律事務所) -
ヘルメット治療終了後に再度増悪を認めた斜頭症の一例
湯川 知秀先生(PASSOクリニック 小児科)
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斜頭症の発生メカニズムに関する研究
吉田 丈俊先生(富山大学附属病院 新生児科)
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A Multidisciplinary Service for The Management of Positional Plagiocephaly and Brachycephaly in Singapore
Dr. Kavitha Sothirasan(KK Women’s and Children’s Hospital 新生児科)
│社会的背景と研修会で扱った論点
本研修会では、病的頭蓋変形と位置的頭蓋変形の基本的理解(機序、予防、診断、治療)に加え、近年の社会的背景も整理しました。SIDS予防の基本とされる指導との関係、保護者への説明・情報提供のあり方など、現場で判断に迷いやすいポイントを、医師、助産師、弁護士の視点から共有しました。報道等で取り上げられている産後ケアと頭のかたちをめぐる訴訟事例も背景として扱い、研修への参加、適正な説明と記録、紹介体制の整備が重要であることを確認しました。
関連ニュース:「助産師指導で頭部変形」女児と両親が高知市提訴 4243万円賠償請求
◼︎海外におけるヘルメット治療についての最新情報の共有
国際的な知見の共有として、KKH新生児科Dr. Kavitha Sothirasanを招聘し、講演いただきました。講演では、KKHでの位置的頭蓋変形の多職種診療体制と運用、当社製ヘルメットを用いたシンガポール国内における頭蓋矯正治療の実態が示され、世界の診療現場におけるプロトコルの検討・均てん化に資する示唆が共有されました。
当社は、KKH現地スタッフが来日し当社での研修を行った経緯も踏まえ、人的交流や知見共有を通じた連携を継続してまいります。
<KKHとの連携に関するプレスリリース>
◼︎当日の様子
















│講師・座長からのコメント
【筆頭講師】

五味 玲先生
0歳からの頭のかたちクリニック東京日本橋院長 外科責任者
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会 副理事長
前自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児脳神経外科 教授
位置的頭蓋変形に対するヘルメット矯正療法は、取り扱う医療機関も提供するメーカーも増えてきた一方、様々な問題も指摘されついには法的問題も現れました。病態と予防法の正確な理解と、適正な診断・治療が必須であるといえます。
ジャパン・メディカル・カンパニーは、2022年から同社のヘルメット治療を行う場合のトレーニングとして「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」を開催しており今回で7回目の開催となりました。
今回ベーシックコースでは「病態・予防・診断・治療」という位置的頭蓋変形に関して必要な項目を系統的に学べる内容とし、さらに「社会的環境・法的課題」も加え、今後の普遍的な研修会の基盤といえる構成になったと思います。
2023年12月の第3回から開催している「アドバンスコース」では、頭部データの数値的解析、頭蓋縫合早期癒合症のヘルメット治療、斜頭症発症のメカニズム等の発表があり、様々な新しい発見を提供していただけました。さらに、シンガポールで同じヘルメットでの治療を開始したKK Women’s and Children’s HospitalのDr. Kavitha Sothirasanからシンガポールでの取り組みをご紹介いただき、とても楽しく有意義な研修会となりました。

細野 茂春先生
地域医療振興協会 練馬光が丘病院 小児科部長(新生児)
一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構 代表理事
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会 代表理事
前自治医科大学附属さいたま医療センター 副センター長 小児科・周産期科教授
「乳児の頭部変形に関する係争事案」が9月23日の高知新聞に掲載されて以降、はじめての研修会であった。そのため従来の受講対象である頭蓋変形の診断治療に関わっている医療従事者の枠を広げ、新生児・乳児の保健指導や健診業務を行っている保健師・医師および担当機関である行政の事務官等にも有意義な講習となるよう講演項目を刷新した。
今回、7回目になる研修会では、従来の予防・診断医加えて、頭蓋変形という病態に対してわが国では脳神経外科・形成外科がヘルメット矯正療法という治療を行う外来の開設から始まり、本来、疾病の予防・改善のための指導といった小児科医の基本的診療がなされてこなかったと、日本での疫学調査が不十分であることという歴史的背景の解説が行われた。また係争事例から見えてくる問題点についての弁護士からの解説もいただいた。
わが国に、従来の疾患に対する対応と同じ予防・健診・治療という概念を根付かせる一歩となる講習会となった。
【アドバンスコース座長】

高橋 義行先生
名古屋大学大学院医学系研究科小児科学 教授
赤ちゃんの頭蓋健診では「頭蓋縫合早期癒合症」に代表される「病的頭蓋変形」と、子宮内、出産時、向き癖など外部からの圧力による「位置的頭蓋変形」を鑑別し、それぞれの適切な治療のために、担当医師や看護師の自己研鑽とより良い体制づくりが大変重要です。今回のアドバンスコース研修では、臨床現場での興味深い症例の紹介や、訴訟例を受けてどのような対策が必要なのかといった有意義な議論ができました。赤ちゃんの頭の形に悩んで受診されるご家族に対して自信をもってご説明できるような最新の知見をアップデートしていただけたのではないかと思います。
ヘルメット治療はまだ本邦では新しい治療であるため、適切な医療の提供には診療体制の整備と知見の積み重ねが必要な課題です。引き続き本研修会がその一助となることを願っております。

吉本幸司先生
九州大学大学院医学研究院 脳神経外科 教授
今回のアドバンスコースでは、ヘルメット治療に用いる頭部3Dデータ解析の計測誤差に関する統計結果が示され、測定には不可避な誤差が存在することを前提とした臨床判断の重要性を再認識しました。
頭のかたち専門外来の増加に伴い「頭蓋骨縫合早期癒合症」が早期に発見されるケースが増えています。これを受け、縫合切除術とヘルメット治療を併用する手法が導入されるなど、同疾患への治療戦略も変化してきています。
一方で、術後のヘルメット療法に関しては、適応や効果において未解明な点も残されており、今後の症例蓄積と知見の集約が待たれるところです。
│研修会を受講した参加者の声

黒川寿美江先生
日本助産師会 専務理事
位置的頭蓋変形症研修のベーシック、アドバンスコースに参加させていただき有意義な学びができました。頭蓋骨縫合早期癒合症や水頭症との鑑別の重要性、アドバンスコースでは先生方から症例やデータを出していただき、ヘルメット療法も含め、位置的頭蓋変形症はこれから知見を積み重ねていく領域であることがわかりました。
時代や育児環境の変化に伴い育児方法も少しずつ変わっています。人工乳育児が増えると母乳育児に比べて、子供の抱かれる時間は少ない傾向になりますし、SIDS予防のためにあおむけ寝が推奨されますが、位置的頭蓋変形症予防のためには、助産師の子供の月数に合わせた育児指導が必要です。
子供の体位交換やタミータイム方法の正しい知識の普及と、心配の強い保護者には適切な時期に受診を勧めるなど、適切な指導のためには助産師の知識の更新は重要です。

古賀寛史先生
国立病院機構別府医療センター 小児科部長
初めて位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会に参加しました。乳児の頭蓋変形について基礎的な知識だけではなく、海外の実情や最新の臨床研究報告まで学ぶことができました。乳児頭蓋変形に関連する医療訴訟が国内で散見されますが、弁護士の講師から臨床医の立場で注意すべきポイントを説明してもらいました。予想以上に幅広い内容でした。さらに現地開催であったため、これから診療連携するであろう脳神経外科や小児科の先生方にお会いすることもできました。いずれも他の学会や研究会では得ることが難しい経験のように感じます。
ヘルメット療法に関する医療の質や安全性を担保するために、この研修会の必要性を実感しました。

牧野敬史先生
熊本市民病院 副院長 脳神経外科
熊本市民病院では2022年9月に「頭の形外来」を開設し、毎月第2・第4火曜日に診察を行っています。脳神経外科部長・田尻征治先生を中心に、身体診察の後、必要に応じて頭蓋縫合早期癒合症の鑑別目的でのレントゲン検査を実施し、義肢装具士の協力のもとSmartSocによる形状評価を行うことで、ヘルメット治療へとつなげてきました。毎回多くの患者さんが受診され、県内でも頭蓋変形に対する関心の高さを実感しています。
今回の研修会参加を通じて、頭蓋形状異常の要因や関連する社会的課題について新たな知見を得ることができ、大変有意義でした。現状では、熊本県内での本疾患の認知は一部の小児科医にとどまっています。今後は、より多くの小児科医、さらに助産師の方にも周知が行き渡るよう、県内での研修会の開催など啓蒙活動にも努めてまいりたいと思います。

吉田丈俊先生
富山大学附属病院 周産母子センター長/教授
「第7回位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」に参加し、極めて有意義な時間を過ごすことができた。今回は助産師に関する訴訟事例を受け、弁護士の先生が講師として登壇され、医療現場では日頃接する機会の少ない法的観点からの講義を拝聴できたことは、臨床に携わる者として大変示唆に富むものであった。
私自身は頭蓋変形の発生メカニズムについて発表の機会を頂き、脳神経外科や放射線科など異なる専門分野の諸先生方から多角的かつ建設的なご助言を賜り、本研修会に参加した意義を改めて実感した。加えて懇親会においては、分野や立場を超えた率直な意見交換がなされ、学術的のみならず人的交流の面においても極めて充実した研修会であったと感じている。

佐久間潤先生
公益財団法人湯浅報恩会 寿泉堂綜合病院 病院長
今回も、当院「赤ちゃんのあたまのかたち外来」の看護師、医療アシスタントとともに参加しました。ベーシックコースでは、位置的頭蓋変形の社会的背景、発生機序、予防、診断、治療、法的課題まで、幅広い講義を聴くことができ、納得する部分と眼から鱗が落ちるような新しい視点や知見を得ることができました。アドバンスコースも、まさにアドバンスな内容の発表ばかりで、特に圧迫側の頭皮からの骨への血流供給に関するご研究には感銘を受けました。
知識の確認とともに最先端のトピックスを学ぶことができ、会を重ねるごとに進化(深化)した研修会となっていることを実感しました。診療科や職種、病院の垣根を越えての情報共有や議論ができる貴重な研修会で、明日からの診療に早速フィードバックしたいと考えています。

Dr. Kavitha Sothirasan
Department of Neonatology
KK Women’s & Children’s Hospital
Singapore
本研修会への参加は、私にとって極めて有意義かつ貴重な経験となりました。当該分野の権威ある先生方による講義は、適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療における豊富な臨床経験に裏打ちされた、大変示唆に富む内容でした。さらに、頭蓋病変に精通した多数の専門家と交流する機会を得たことで、乳児頭蓋の特性および効果的な矯正における生体力学的機序(バイオメカニクス)について、より深く理解することができました。
本研修会を通じて、頭蓋変形管理における評価法、治療計画の策定、そして長期予後に関する私の知見が深まったことは疑いようもありません。ここで得られた多くの重要な臨床的知見は、シンガポール初となる頭蓋非対称性の評価・治療に特化した国立専門臨床センターKK Women’s and Children’s Hospital (KKH) PlagioCentre(KKホスピタル 頭のかたち外来)における患者ケアの質向上に、大きく寄与するものと確信しています。
運営社ジャパン・メディカル・カンパニーの運営も極めて円滑であり、知的刺激に満ちた素晴らしい研修会でした。
このような研鑽の場が再び設けられることを切に願うとともに、今後も日本の先生方とジャパン・メディカル・カンパニーとの連携を深めていけることを楽しみにしています。
│修了証書授与の様子
【ベーシックコース】

左より
筆頭講師:細野 茂春先生
熊本市民病院 副院長 脳神経外科 牧野 敬史先生
国立病院機構別府医療センター 小児科部長 古賀 寛史先生
日本助産師会 専務理事 黒川 寿美江先生
筆頭講師:五味 玲先生
【アドバンスコース】

左より
筆頭講師:五味 玲先生
富山大学附属病院 周産母子センター長/教授 吉田 丈俊先生
公益財団法人湯浅報恩会 寿泉堂綜合病院 病院長 佐久間 潤先生
座長:高橋 義行先生
KK Women’s & Children’s Hospital Dr. Kavitha Sothirasan
座長:吉本 幸司先生
筆頭講師:細野 茂春先生
<一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が主催する認定研修について>
本研修会は、日本ヘルメット治療評価認定機構が認定する研修会です。同機構は、乳児の頭蓋健診とヘルメット治療の安全と標準化を目的に、研修・試験、先行施設での実地見学、鑑別診断に必要な設備の保有等の要件を設け、一定の基準を満たす医療機関を認定とする取り組みを進めています。研修会の案内希望は、下記お問い合わせ先まで「研修会の案内希望」と記載のうえご連絡ください。
当社は、赤ちゃんの頭のかたちに悩むご家族に対して、適正な医療を提供するため、今後も日本ヘルメット治療評価認定機構との連携を深めるとともに、研修会やセミナー・情報発信・製品開発等を通じて、適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療の社会的基盤整備と発展に貢献してまいります。
【過去の研修会の様子】
・株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて

ジャパン・メディカル・カンパニーは、最先端の3Dプリンティング技術を用いて、医療のカタチを革新するものづくりベンチャー企業です。
1897年創業の鉄鋼メーカーの大野興業を前身とし、130年にわたり培われたものづくりの技術と精神を基盤に成長を続けてきました。
1999年に積層造形技術(3Dプリント)を駆使したリバースエンジニアリングを導入し、耳小骨などのヒト骨模型の製法で特許を取得。手術前シミュレーション用3D模型の分野で、数々の術前症例模型や教育練習用模型の開発に至りました。現在では脳神経外科・耳鼻咽喉科領域を中心に、手術前シミュレーションや認定医試験等の場面で当社模型を用いたハンズオントレーニング等にご活用いただいています。
2012年には初の国産 頭蓋矯正ヘルメット「Aimet(アイメット)」を脳神経外科医と共同で開発、2018年にジャパン・メディカル・カンパニーとして独立いたしました。
現在は頭蓋矯正用ヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」「Qurum(クルム)」や乳児の頭蓋変形の程度を簡便に計測できる「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」、ヘルメット治療を支援するアプリ等の開発・製造・販売を行い、医療分野における新たな価値創出を目指しています。
ヘルメットを用いた累計症例数は20,000症例以上の実績があり、ヘルメット治療のさらなる認知拡⼤を図るとともに、頭蓋形状矯正という概念そのものと疾病啓発の普及に取り組んでまいります。
■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
■設⽴:2018年5⽉
■代表取締役CEO:⼤野秀晃
■事業内容:医療機器と医療雑品の開発・製造・販売
■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
・本リリースに関するお問い合わせ・ご質問はこちら
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂
TEL:03-5829-8342 / choice@japanmedicalcompany.co.jp
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