~ よりよい「食」を目指し、新しい世界を築き上げた作品や個人を顕彰 ~第14回辻󠄀静雄食文化賞/専門技術者賞 贈賞式開催
書籍『古くて新しい 日本の伝統食品』、谷口英司氏(「Cuisine régionale L'évo」オーナーシェフ)が受賞
公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団は、2023年8月21日(月)14:00より、辻調理師専門学校 東京にて、
第14回辻󠄀静雄食文化賞贈賞式を開催いたしました。
第14回辻󠄀静雄食文化賞の本賞には、モノとして存在するだけでは失われてしまう伝統食品の数々を言語化し、写真とともに再現可能な形で伝えた伝統食の百科事典とも呼べる、陸田幸枝氏の著書 『古くて新しい 日本の伝統食品』(柴田書店)が、そして専門技術者賞には、高度な技術を持つ料理人が自然の中に分け入り、その環境を学ぶことによって、料理の表現が大きく開花することを示して見せた、「Cuisine régionale L'évo」オーナーシェフ 谷口英司氏が選定され、同財団より表彰を受けました。
名 称: 第14回辻󠄀静雄食文化賞 贈賞式 日 時: 2023年8月21日(月) 14:00~16:00 場 所: 辻󠄀調理師専門学校 東京 (東京都小金井市貫井北町4-1-1) 出席者: ■第14回辻󠄀静雄食文化賞 受賞作 『古くて新しい 日本の伝統食品』著者 陸田 幸枝氏、写真家 大橋 弘氏 ■第14回辻󠄀静雄食文化賞 専門技術者賞 「Cuisine régionale L'évo」 オーナーシェフ 谷口 英司氏 ■辻󠄀静雄食文化賞 選考委員会 石毛 直道 (選考委員) 門上 武司 (専門技術者賞小委員会委員) ■主催代表 辻󠄀 芳樹 (公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団代表理事) 主 催: 公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団 後 援: 学校法人辻󠄀料理学館 辻󠄀調理師専門学校 |
第14回辻󠄀静雄食文化賞 受賞作・受賞者コメント
<第14回 辻󠄀静雄食文化賞>
■陸田 幸枝氏 ・ 大橋 弘氏/『古くて新しい 日本の伝統食品』著者・写真
「伝統食品は、微生物の存在を誰も知らない大昔から、日常を支える食として各家庭で作られてきました。生産者を訪ねると、皆さんは必ず、「『自然』のことだからね」とおっしゃる。伝統食品を作るのは、人間が無理に進めるものではない。自然と一体化した行為だと。生産現場では、何度も天候に一喜一憂したのを思い出します。伝統食品は、ときに過酷な気候で作られたものもあり、それを長年大事に食べてきて、変わらぬ製法が何百年も守られてきました。ただ製法は守れても、環境が変わって原材料がとれなければ、どうやっても作れないのです。昔ながらの製法を守る人がいて、その真価を理解する人がいてこそ、未来へ橋渡しできる。その役割を、料理人が担えると思います。この本を何十年後かに読んだ人が、「昔の人はすごいね」と言ってくれたら、著者としてこんなに嬉しいことはありません。」
【贈賞理由】
モノとして存在するだけでは失われてしまう伝統食品の数々を言語化し、写真とともに再現可能な形で伝えたことは、大きな文化的意義を持つ。時間をかけた取材だけが可能にした記録を集大成した本書は、伝統食の百科事典とも呼べるもので、高く評価できる。
*本書の元になった「月刊 専門料理」の連載は、1990年代から雑誌「サライ」に連載された記事に基づき、「サライ」の連載自体は「サライ ムック」(小学館)や『伝統食礼讃』(アスペクト)などの形でも刊行されているが、刊行後時間がたっており、今回改めて編纂したことに大きな意義があると評価した。
【作品について】
日本の風土の中で育まれてきた伝統的食品をたずねて各地を旅し、丹念な取材を行って、その歴史や成立ち、製法を、製造工程を含む多数の写真とともに紹介している。取り上げた食品は、漬物、乾物、大豆加工品、すし、塩蔵品、練り製品、調味料など100種ほどにのぼり、あく抜き、乾燥、発酵、燻煙など、季節ごとに手に入る野菜、穀類、果物や魚介を、保存可能で美味しい食品へと変化させるための多様な知恵と技が一冊に集約されている。
<第14回 辻󠄀静雄食文化賞 専門技術者賞>
■谷口 英司氏 /Cuisine régionale L'évo (キュイジーヌ・レジョナル・レヴォ)オーナーシェフ
「このような大変な賞をいただけたのは、村の方々や僕たちの周りにいる生産者や器などの作家さんの支えがあってこそだと思っています。たくさんのことを地元の方から教えていただき、それを今まで自分が培ってきた料理に落とし込むことは楽しいですし、すごく勉強になりました。まだまだ自分の知らないことや経験していないことはありますが、それが必ず料理人の力になると信じています。もっともっと自分たちの目で見て経験を積みながらレストランを作っていきたい。地方で頑張ることで日本の魅力を地方から発信できるように自分たちも精進して、若い人にも伝えていきたいと思います。」
【贈賞理由】
ガストロノミーレストランが地方からさらに僻地へと移動する傾向が世界的に認められる中で、谷口シェフは、高度な技術を持つ料理人が自然の中に分け入り、その環境を学ぶことによって、料理の表現が大きく開花することを示して見せた。「レヴォ」は、土地と高い技術力を掛け合わせることで、その場所に新たな価値を生み出すガストロノミーレストランの先駆的事例といえる。
Cuisine régionale L'évo (キュイジーヌ・レジョナル・レヴォ)
https://levo.toyama.jp/restaurant/
〒939-2518 富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地
辻󠄀静雄食文化賞とは・・・
日本の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指した目覚しい活動を通じ、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し、これに賞を贈るもの。また特別部門として専門技術者賞を設け、調理や 製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰する。辻󠄀調グループ創設者・辻󠄀静雄の食文化普及の活動を記念し、またその志を受け継ぎ、食文化の多様で豊かな発展に寄与することを目的として、2010年に辻󠄀調グループ創立50周年記念事業として創設された。以後、毎年実施。
(公式サイト) https://tsujishizuo.or.jp/award/
第14回辻󠄀静雄食文化賞 選考委員会 (敬称略)
委員長: 鹿島茂(フランス文学者)
委員: 石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)
湯山玲子(著述家、プロデューサー)
辻󠄀芳樹(辻調グループ代表、辻󠄀調理師専門学校校長)
八木尚子(辻󠄀静雄料理教育研究所副所長)
第14回辻󠄀静雄食文化賞 小委員会 (敬称略)
委員: 門上武司(「あまから手帖」編集顧問)
君島佐和子(フードジャーナリスト)
柴田泉(フードジャーナリスト)
戸田顕司(日経ナショナル ジオグラフィック 社長補佐)
長沢美津子(朝日新聞編集委員)
林由香(株式会社KADOKAWA 海外事業局 海外事業総括部 編集)
山田健(サントリーホールディングス株式会社 サスティナビリティ経営推進本部チーフスペシャリスト)
淀野晃一(柴田書店編集委員)
山内秀文(元辻󠄀静雄料理教育研究所研究顧問)
八木尚子(辻󠄀静雄料理教育研究所副所長)
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