Indeed、越境仕事検索の動向を調査。「海外から日本」への仕事検索割合、2019年と比較し2024年は上位10カ国・地域全てで減少。米国、ベトナムからは約5割減少。
「日本から海外」への仕事検索割合、2024年は円安に伴いコロナ禍前と同等の水準までに回復。米国へは「ソフトウェア開発」、オーストラリアへは「飲食」の仕事への関心が1位。
世界No.1求人サイト*「Indeed(インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、越境仕事検索の動向(「海外から日本」の仕事検索をしている動向、および「日本から海外」各国の仕事検索をしている動向)を調査しました。
少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴い、人手不足が深刻化してきている日本において、外国人労働者の受け入れは、労働供給を拡大するための一つの手段と言えます。一方、日本国内でのインフレーションの加速による実質賃金の低下や急激な円安の進行により、国内よりもより高い収入が期待できる海外での就労に対して関心を持つ求職者も増加していると考えられます。そこでIndeedは、越境仕事検索(「海外から日本」および「日本から海外」への仕事検索)の動向を明らかにするため、2019年1月~2024年4月のIndeed上での仕事検索データを調査・分析しました。
■越境仕事検索の動向の主要ポイント
【「海外から日本」への仕事検索動向】
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「海外から日本」への仕事検索割合は、2024年4月はコロナ禍前の2019年4月と比較し約3割減少している。国別で見ると2024年(1〜4月)は2019年比で検索割合の上位10カ国・地域全て減少。特に減少割合が高い米国・ベトナムは約5割減少している。
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職種カテゴリ別の関心を見ると、日本の外国人労働者の出身国1位(※1)のベトナムでは、「製造」へのクリック割合が2019年から大きく減少する一方、「ソフトウェア開発」が増加している。
【「日本から海外」への仕事検索動向】
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「日本から海外」への仕事検索割合は、円安の背景もあり2024年4月は2019年同月比1.1倍でコロナ禍前と同等の水準までに回復。年単位で見ると、国別では米国・カナダへの仕事検索割合は減少傾向であるものの、英国・オーストラリアへの仕事検索割合は増加している。
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職種カテゴリ別の関心を見ると、2023年と2024年(1〜4月)は米国では「ソフトウェア開発」、カナダ・英国・オーストラリアでは「飲食」がそれぞれ1位となっている。
■調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント
・円安の影響が従前より強く表れている:「海外から日本」への仕事検索(インバウンド検索)トレンドと、「日本から海外」への仕事検索(アウトバウンド検索)トレンドは、為替推移が安定していた2022年までは正の相関(インバウンド検索とアウトバウンド検索が同じ方向へ動く)が見られたのに対し、2023年以降は負の相関(アウトバウンド検索が増えるタイミングでインバウンド検索が減る)が確認できます。また為替との相関を見ると、2023年以降はインバウンド検索のトレンドと円安は負の相関、アウトバウンド検索のトレンドと円安は正の相関が強くなっています。これらの傾向を踏まえると、円安の影響が従前よりも強くなっており、インバウンド検索の減少、アウトバウンド検索の上昇に繋がっていると言えます。
・関心先の国別に職種の選好が異なることやその変化も要因の一つ:インバウンド検索の減少およびアウトバウンド検索の増加の要因は為替が全てではないということは、分析結果にも表れています。為替以外の要因として、求職者の希望職種や、その就職実現可能性によって関心先が変わることが挙げられます。米国など、円安であっても関心先によっては日本からの求人検索が増えていない状況を一部説明しているものと考えられます。
■越境仕事検索の動向の詳細
【海外から日本への仕事検索動向】
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「海外から日本」への仕事検索割合は、2019年4月と比較し2024年同月は約3割減少。
「海外から日本」への仕事検索割合はコロナ禍を経て回復傾向であるものの、コロナ禍前の水準を下回っています。Indeed上の日本の全仕事検索に占める海外からの仕事検索割合は、2019年4月は0.48%であったのに対し、2024年4月は0.34%と、約3割(29.2%)減少しています。
日本の全仕事検索に占める「海外から日本」への仕事検索割合
また、米州における英語圏の国として米国・カナダ、アジア太平洋地域で英語が使用されているオーストラリア・シンガポール・日本の隣国である韓国の5カ国について、海外から各国への仕事検索割合を調べました。
その結果、米国では2019年4月と比較し2024年4月は海外からの仕事検索割合は減少しています。一方、カナダ・オーストラリア・シンガポール・韓国では海外からの仕事検索割合は、2024年4月はコロナ禍前の水準と同等またはそれ以上となっています。
各国の全仕事検索に占める海外からの仕事検索割合
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「海外から日本」への仕事検索割合は、2024年は2019年比で、日本への仕事検索割合が高い上位10カ国・地域全て減少。特に米国・ベトナムは約5割と大きく減少。
日本への仕事検索割合が高い上位10カ国・地域(米国・韓国・オーストラリア・台湾・カナダ・香港・ベトナム・英国・フィリピン・中国)を年別に見ると、2024年(1〜4月)は2019年と比較して全ての国で日本への仕事検索割合が減少しています。海外から日本への仕事検索のうち最も高いシェア(19%)を占める米国からの検索も大きく減少しており、2024年(1〜4月)の仕事検索割合は2019年と比較し51.2%減でした。海外から日本への検索割合は、2019年と2024年を比較すると29.4%減と大きく減少していますが、これは米国からの仕事検索割合が大きく減少したことによるものと見られます。
また、2019年と比較し2023年はベトナム・フィリピン・中国から日本への仕事検索割合は増加していましたが、2024年(1〜4月)はいずれの国も減少しており、ベトナムは48.2%、中国は32.5%、フィリピンは2.5%の減少となりました。
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「海外から日本」への職種カテゴリ別の関心、ベトナムからの「製造」への関心は大きく減少する一方、「ソフトウェア開発」が増加。
Indeed上で2024年の「海外から日本」への仕事検索割合が最も高い米国と、日本の外国人労働者の出身国上位2カ国のベトナム・中国(※1)それぞれの求職者について、日本の求人への職種別の関心を明らかにするため、求人の職種カテゴリ別のクリック割合を分析しました。各国で2023年にクリック割合が高かった上位職種カテゴリ5つを比較すると、特にベトナムからの職種カテゴリの関心に大きな変化が見られました。ベトナムの「製造」へのクリック割合は2019年は34%であったのに対し、2023年は13%と大きく減少しました。2024年は、1〜4月までの限定的な結果となりますが、12%となっており減少傾向が続いていると見られます。一方で「ソフトウェア開発」への関心は2019年の4%から2023年には7%に増加しており、2024年(1~4月)では11%と増加傾向にあります。米国ではベトナム同様に「ソフトウェア開発」への関心は増加していますが、中国では減少傾向です。
※1:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html
米国・ベトナム・中国からの日本の求人への関心
上位5職種カテゴリ(2023年時点)の、各年のクリック割合
【「日本から海外」への仕事検索動向】
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「日本から海外」への仕事検索割合は、円安を背景にコロナ禍前と同等の水準までに回復。
日本で行われた仕事検索全体のうち海外の仕事が検索された割合は、コロナ禍で日本を含む国と地域で渡航制限が開始された2020年4月以降低調が続いたものの、緊急事態宣言の解除や各国の制限緩和を受け、2021年10月以降から増加傾向となりました。さらに、円安が進行した2022年6月から急激に増加し、2024年4月は2019年同月比で1.1倍となり、コロナ禍前と同等の水準となりました。
日本での全仕事検索に占める、「日本から海外」への仕事検索割合
データは7日移動平均、2019年1月1日-2024年5月8日。季節調整済。灰色線はトレンド線。
破線はコロナの緊急事態が宣言された時期(2020年2月1日)、1ドル130円超が大きく報じられ始めた時期(2022年6月1日)を表す。
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「日本から海外」への仕事検索、米国・カナダへの関心は減少傾向、英国・オーストラリアへの関心は増加。
日本から海外への仕事検索全体に占める関心先上位8カ国(米国・カナダ・英国・オーストラリア・フィリピン・ベトナム・フランス・ドイツ)の仕事検索割合の推移を調べました。コロナ禍後の2022年以降を年単位で見ると、米国は2022年と比較し2023年および2024年(1〜4月)は減少しています。カナダは2022年と比較し2023年は増加しましたが2024年(1〜4月)は減少となっています。一方で英国、オーストラリアは2022年と比較し2023年および2024年(1〜4月)は増加が見られます。
「日本から海外」への全仕事検索に占める、上位8カ国の関心先別検索割合
データは7日移動平均、2019年1月1日-2024年5月8日。季節調整済。
破線はコロナの緊急事態が宣言された時期(2020年2月1日)、1ドル130円超が大きく報じられ始めた時期(2022年6月1日)を表す。
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日本から海外の求人への関心、米国は「ソフトウェア開発」、カナダ・英国・オーストラリアは「飲食」がそれぞれ1位。
日本からの仕事検索割合上位国の米国、カナダ、英国、オーストラリアについて、各国の求人への職種カテゴリ別の関心を調べるため、Indeed上の各国の求人の職種カテゴリ別クリック割合を分析しました。米国、カナダへは「ソフトウェア開発」のクリック割合が高く、特に米国では2019年の7.6%から2023年には8.9%に上昇し、最も関心が高い職種となっています。2024年は1〜4月の限定的な結果ですが、米国の「ソフトウェア開発」のクリック割合は9.4%と引き続き増加傾向にあると見られます。
2023年、2024年(1月~4月)は、カナダ・英国・オーストラリアでは「飲食」が最もクリック割合が高く、特にオーストラリアではクリック割合が2023年は11.8%、2024年(1月~4月)は13.7%と他の国と比較しても高い水準となっています。円安を背景に、オーストラリアへは高収入の仕事を求め、アルバイトとしても比較的就業しやすい「飲食」の仕事を希望する人が多いと考えられます。
日本から米国・カナダ・英国・オーストラリアの求人への関心 上位5職種カテゴリのクリック割合
【「海外から日本」および「日本から海外」への仕事検索の相関と為替の影響】
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「海外から日本」および「日本から海外」への仕事検索は、2023年以降為替の影響を大きく受けている。
「海外から日本」と「日本から海外」への仕事検索の相関と、世界的な為替の影響を調べました。2022年以前は「海外から日本」と「日本から海外」への仕事検索は同じ方向の動きをしており、正の相関となっていましたが、2023年以降は「日本から海外」と「海外から日本」への仕事検索は逆の方向の動きが見られ、負の相関になっています。これは、もともと(2022年以前は)「海外から日本」および「日本から海外」への仕事検索は多様な要因で行われていたと考えられますが、2022年以降に円安が急激に進行したことで為替を要因とした仕事検索が増加し、「海外から日本」への仕事検索が減少する一方、「日本から海外」への仕事検索が増加したためと言えます。
アウトバウンド・インバウンド検索割合、米国日本為替
データは7日移動平均、2019年1月1日-2024年5月8日。季節調整済。
破線はコロナの緊急事態が宣言された時期(2020年2月1日)、1ドル130円超が大きく報じられ始めた時期(2022年6月1日)を表す。
■調査概要
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査期間:2019年1月〜2024年4月(為替影響については2024年5月)
調査対象:
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「海外から日本」への仕事検索:Indeed上で、日本を除く世界各国から行われた、日本の求人検索
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「日本から海外」への仕事検索:Indeed上で、日本から行われた、日本を除く世界各国(Indeedがサービス展開している60以上の国と地域を対象)の求人検索
調査方法:
「海外から日本」への仕事検索
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Indeed上の日本の全仕事検索に占める海外からの仕事検索割合
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Indeed上の米国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、韓国それぞれの国の全仕事検索に占める海外からの仕事検索割合
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Indeed上の日本の全仕事検索に占める出身国別検索割合(日本を除く上位10カ国・地域:米国、韓国、オーストラリア、台湾、カナダ、香港、ベトナム、英国、フィリピン、中国)
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米国・ベトナム・中国からの日本の求人への関心 上位5職種カテゴリ(2023年時点)の、各年のクリック割合
「日本から海外」への仕事検索
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Indeed上で、日本で行われた全仕事検索に占める海外への仕事検索割合
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Indeed上で、日本で行われた海外への全仕事検索に占める、上位8カ国(米国、カナダ、英国、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、フランス、ドイツ)の仕事検索割合
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日本から米国・カナダ・英国・オーストラリアの求人への関心 上位5職種カテゴリのクリック割合
Indeed (インディード) について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者は何百万もの求人情報を検索することができます。約350万の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。また、月間3.5億人以上のユニークビジター**が、Indeedで求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
*出典:Comscore 2024年3月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年10~2024年3月
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