【調査結果】従業員体験が高い企業群の5年累積株主総利回りは205.7%、下位群の約2倍

460万件超の公開データから日経225企業の従業員体験と5年累積株主総利回りの関係を分析

株式会社コーチ・エィ

株式会社コーチ・エィ(東証スタンダード:9339)の研究開発部門であるコーチング研究所は、Welliba GmbH(以下、Welliba社)と共同で、日経平均株価を構成する日経225企業を対象に、従業員体験(Employee Experience、以下「EX」)と企業成果との関係を分析しました。

本調査では、Welliba社が提供するEX分析サービス「EXcelerate」を活用し、460万件超のデータをもとにEXを可視化するとともに、それを構成する24のファクターと企業成果との関係を分析しました。さらに、日経225企業のEXを共通尺度で比較し、2021年から2025年までの5年累積株主総利回り(Total Shareholder Return、以下「TSR」)との関連を検証しました。

なお、本調査の詳細な分析結果はレポートでご覧いただけます。

24のEXファクターごとの特徴や企業成果との関係、さらにケーススタディから見えてきた組織運営やコミュニケーションの特徴について詳しく紹介しています。


| 調査の背景

人的資本経営への関心が高まるなか、企業における「人」に関する情報をどのように捉え、経営や企業価値との関係から読み解くかが重要なテーマとなっています。

なかでも、従業員が企業や職場とのさまざまな接点を通じて得る経験の総体であるEXは、仕事そのものだけでなく、人間関係、組織運営、報酬・待遇、キャリア形成など、多様な要素によって構成される重要な指標として注目されています。

これまで、EXを把握する手法としては、従業員サーベイをはじめとする企業内部のデータを活用する方法が一般的でした。一方で、求人サイトや口コミサイト、掲示板、ニュースなど、企業の外部にもEXに関する情報が数多く蓄積されています。近年では、こうした公開情報を共通の基準で分析することで、企業外部から取得可能なデータをもとにEXを捉え、複数企業を同一の尺度で比較することが可能になります。

このような背景から、コーチ・エィとWelliba社は、EXの特徴と企業成果との関係について知見を得ることを目的に、公開情報をもとに日経225企業を対象とした分析を行いました。

| レポートの概要

本調査では、日経平均構成銘柄になっている企業225社を対象に、Welliba社の「EXcelerate」を活用してEXを分析しました。

EXcelerateは、公開されているオンライン上のテキスト情報をAIで分析し、「事業戦略」「学習・能力開発の機会」「報酬・福利厚生」など、EXを構成する24の観点(EXファクター)から可視化するサービスです。数値として表れる結果だけでなく、その背景にある従業員の体験や認識をあわせて捉えられることが特長です。

本調査では、10万超のウェブサイトから収集した460万件超の公開情報をもとに、各社のTotal EX(24のEXファクターを統合した総合指標)およびファクター別のEXを算出し、日経225企業のEXを共通の尺度で比較しました。さらに、算出したEXと2021年から2025年までのTSRとの関係を分析し、EXと企業成果との関連を検討しました。

また、分析結果の背景をより詳しく理解するため、国内自動車メーカー2社を対象としたケーススタディを実施し、EXファクターと従業員の具体的な声を組み合わせることで、組織運営やコミュニケーションの特徴を読み解いています。

調査名称

日経225企業の従業員体験(EX)データから読み解く、企業価値を生み出す組織の条件

調査対象

2025年末時点で日経平均構成銘柄になっている企業225社

※TSRを用いる分析は、2021年のTSRが存在しない1社を除く224社

分析期間

2025年(EX)、2021~2025年(TSR)

分析手法

Welliba社のEX分析プラットフォーム「EXcelerate」を用い、10万超のウェブサイトから収集した460万件超の公開情報をAIで分析

調査主体

Welliba社、株式会社コーチ・エィ コーチング研究所

 本調査で確認しているのはEXとTSRとの関連であり、因果関係を示すものではありません。

|調査レポートの主なトピックス

  • 従業員体験(EX)が高い企業群は、低い企業群に比べ、5年累積株主総利回り(TSR)が100.7ポイント高い結果に

    2025年のTotal EX(従業員体験の総合指標)をもとに、日経225企業を上位20%、中間60%、下位20%の3群に分類し、2021~2025年のTSRを比較しました。

    その結果、TSRは、Total EX上位20%群で205.7%、中間60%群で192.6%、下位20%群で105.0%となり、上位20%群と下位20%群の間には100.7ポイントの差が見られました。

    また、5年間を通じてEX上位群、中間群、下位群の順にTSRが推移しており、その差は年を追うごとに拡大しました。

  • 従業員から高く評価される体験と、TSRとの関連が見られる体験は必ずしも一致しない ― 8ファクターで有意な正の関連

    日経平均構成銘柄になっている企業225社のEXを24のEXファクターから捉えると、「同僚との関係」「企業ブランドと評判」「仕事の目的・貢献・意義」などが比較的高い水準となりました。

    一方、24のEXファクターとTSRとの関係を分析したところ、有意な正の関連が確認されたのは、「学習・能力開発の機会」「報酬・福利厚生」「事業戦略」「行動につながるフィードバック」「トップダウン・コミュニケーション」「キャリア形成と昇進機会」「仕事の多様性」「役割と責任」の8ファクターでした。これらには、企業の方向性の理解、成長やキャリア、フィードバックやコミュニケーション、役割や仕事のあり方など、日々の組織運営に関わるさまざまなEXが含まれています。

    この結果から、従業員から高く評価される体験と、TSRとの関連が見られる体験は必ずしも一致しないことが分かります。EXを理解するうえでは、全体の水準だけでなく、それぞれのEXファクターに着目することが重要と考えられます。

  • 同じ業界でも、従業員が経験する組織の姿には違いがある

    本調査では、同じ業界に属する日本の自動車メーカー2社を対象に、24のEXファクターと従業員の具体的な声を組み合わせたケーススタディも実施しました。
    分析の結果、両社では事業戦略や役割、フィードバック、業務負荷、柔軟な働き方など、従業員が日々経験する組織や仕事の特徴に違いが見られました。さらに、従業員の声をあわせて分析することで、EXの数値だけでは捉えにくい組織運営やコミュニケーションの特徴も明らかになりました。同じ業界で事業を展開していても、従業員が経験する組織のあり方には企業ごとの個性が表れていることがうかがえます。

|特別寄稿より:投資家は従業員体験をどう見るのか

特別寄稿全文は調査レポートに掲載しています。

本調査レポートでは、調査の監修協力者であるDr. Ben Waberによる特別寄稿を掲載しています。

その中で同氏は、公開データからEXを企業横断で比較できるようになることについて、投資家が注目すべきなのは単なるEXスコアの高低ではないと述べています。企業の戦略が従業員にどのように伝わっているか、フィードバックやキャリア形成の仕組みが機能しているか、そして経営がそうした課題をどのように認識し、対応しているかを見ることが重要だとしています。

本調査監修協力
Dr. Ben Waber(ベン・ウェイバー)

ピープルアナリティクスおよび職場におけるデータ活用の第一人者。

現在、ワークフォースデータ分析を手がけるRevelio LabsのGeneral Managerを務める。MIT(マサチューセッツ工科大学)で博士号を取得し、同大学の客員研究員として活動するほか、一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の名誉理事を務める。これまで、職場アナリティクス企業Humanyzeを共同創業し、社長兼CEOを務めたほか、ハーバード・ビジネス・スクールの上級研究員を歴任。組織や人材に関するデータを活用し、企業の働き方や組織成果を捉える研究・実践に長年取り組んできた。著書に『People Analytics』。近年は、企業外部から取得可能なワークフォースデータや従業員に関する情報を、企業分析や投資判断にどのように活用できるかについても知見を提供している。

|Welliba社について

Welliba社は、行動科学、人を中心に据えたテクノロジー、高度なAI、厳格なデータプライバシー基準を組み合わせ、企業の人材・組織課題を支援するHRテクノロジー企業。数百万件にのぼる公開データを活用して、従業員が自社や職場をどのように捉えているかを可視化・分析。また、企業が従業員体験(Employee Experience)を理解・向上させ、人材の採用、オンボーディング、定着、育成を促進するとともに、より良い事業成果につなげるためのソリューションを提供している。これまでに、UNLEASH Startup Award 2024、HR Excellence Awards(2024年・2025年)など、複数の賞を受賞。2026年には、Fast Companyの「人事領域で最も革新的な企業」において第4位に選出されたほか、Lighthouse Tech AwardのCore HR/Workforce部門で「Best Innovative or Emerging Tech Solution」を受賞している。

|研究メンバー

監修協力のDr. Ben Waberのほか、本調査は下記の研究メンバーで実施しました。

Dr. Jake Mealy(ジェイク・ミーリー)

データ分析と、データから意味のあるストーリーを導き出すことを専門とするデータアナリスト。バイオテクノロジー、営業、マーケティング、HRテクノロジー、People Analyticsなど、幅広い領域で経験を積んできた。Trinity College Dublinで博士号を取得し、IndeedおよびAnalytic Partnersではデータチームを率いた。Welliba在籍時には、Chief Data Solutions Officerとして、AIを活用したPeople Analyticsソリューションの開発を牽引し、そのテクノロジーを通じて、従業員体験が売上や株主総利回り(TSR)といった企業の業績指標とどのように関係しているのかを明らかにする分析に取り組んだ。

株式会社コーチ・エィ コーチング研究所 リサーチャー

入野正嗣、外村一志、椎根小稀

|コーチング研究所について

株式会社コーチ・エィは、人と組織の可能性をひらくエグゼクティブ・コーチング・ファームです。

1997年の創業以来、組織変革やリーダーシップ開発を支援してきました。

コーチング研究所(Coaching Research Institute:CRI)は、その研究開発部門として2007年に設立されました。コーチ・エィが長年にわたり蓄積してきたコーチングの実践データと知見をもとに、リーダーシップや組織、人と人との関係性に関する調査・研究を行うとともに、コーチングの効果や機能に関する実証研究に取り組んでいます。さらに、大学・研究機関や国内外の研究者との連携を通じて知見の探究と発信を行い、その成果を組織変革支援やリーダー育成の実践に活かしています。


| 株式会社コーチ・エィについて

コーチ・エィは、組織変革を実現するエグゼクティブ・コーチング・ファームです。

人と人との関係性に焦点をあて、システミック・コーチング™というアプローチで、組織全体の変革を支援する対話を通じた組織開発を推進しています。

1997年の創業(当時はコーチ・トゥエンティワン)以来、約30年にわたりパイオニアとして日本におけるコーチングの普及・拡大に貢献してきました。クライアントの約8割(売上高比)がプライム市場に上場している大企業です。また、コーチ人材の開発にも力を入れており、今まで1万人以上のコーチを輩出してきました。

2007年にはコーチング研究所というリサーチ専門の部署を構え、世界に先駆けてエビデンス・ベーストのコーチングサービスを提供してきました。豊富なコーチング実績の分析データをもとに、コーチングに関する学術研究や成果の可視化に向けた研究に取り組んでいます。

東京のほか、ニューヨーク、上海、香港、バンコクに拠点を構え、日本企業の海外拠点はもとより、海外現地企業にもコーチングを提供しています。世界的なコーチ養成機関の草分けであるCoach Uを2019年に子会社化するなど、さらなるグローバルネットワークの拡大を図っています。

公式YouTubeチャンネル

『組織変革コーチングのプロフェッショナル集団』

本件に関するお問い合わせ

株式会社コーチ・エィ IR・広報

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会社概要

株式会社コーチ・エィ

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URL
https://www.coacha.com/
業種
サービス業
本社所在地
千代田区九段南九段南2丁目1番30号
電話番号
03-3237-8050
代表者名
纐纈順史
上場
東証スタンダード
資本金
6億3003万円
設立
2001年08月