2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査
学生の志向は“安定”דアグレッシブ”、「自分がその会社で働くイメージを持てるか」が決め手に
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、2025年度卒(以下、「2026年卒」)として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生1,008名に対して「2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」を実施し、その調査結果を公表しました。・
【エグゼクティブサマリ】
二面性のある価値観が鮮明に:“安心感”重視の一方で、“アグレッシブさ”を求める気持ちも
・ 働く上で重視したい社風は『協調/調和』。12年前と比較して選択率が増加し、安心感のある環境を求める傾向が強まっている(図表1)
・仕事に求めることは「安定」が1位、過去10年で最も高い選択率。一方、過去数年で「チャレンジ」「理想」「競争」などアグレッシブさを感じさせる要素の選択率も高まっている(図表2)
企業選びの基準が変化:応募のきっかけは多様に、決め手は“自分が働くイメージを持てるか”に
・企業に応募するきっかけ1位は「興味のある仕事・職種だった」。2022年卒以来、「勤務地」および「知人の勧め」「斡旋・リクルーター」「先輩社員の紹介」の選択率も上昇(図表3)
・内(々)定受諾の最終的な決め手は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が昨年同様1位。昨年まで2位の「社員や社風が魅力的」は大きく順位を下げ5位に(図表4)
情報開示の進展:学生の8割が就職活動中に“職場のリアル”を把握
・「社内の人間関係・職場の雰囲気」を知ることができた割合は2025年卒に比べて増加し、約8割に(図表5)
1. 調査担当のコメント
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 主任研究員
飯塚 彩(いいづか あや)
今回の調査では、2026年卒の就職活動の特徴を捉えるとともに、過去10年~12年の変化に注目しました。以下、特徴的だった結果について解説します。

二面性のある価値観が鮮明に:“安心感”重視の一方で、“アグレッシブさ”を求める気持ちも
安定志向の強さは、働く上で重視したい社風(図表1)として「理想に向かう情熱と意欲」「厳しさと競争を通じた成長」といったハードな組織は好まれず、「相互の思いやりとあたたかさ」や「オープンなコミュニケーション」、「強い連帯感とチームワーク」のある『協調/親和』的な組織が支持されていること、仕事に求めること(図表2)として「安定」が過去10年で最高の選択率で1位となっていることにあらわれています。また、企業への応募のきっかけ(図表3)として「勤務地」を選択する人が7割を超え、内(々)定受諾の最終的な決め手(図表4)にも「勤務地」「福利厚生」「業績の安定性」が上位に並ぶなど、就職活動全体を通じて働く環境・条件を慎重に検討しようという姿勢がみられます。経年でも「企業の規模が大きい」「労働時間や勤務スタイルに魅力がある」「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」を決め手とする人が増えており、働く環境に関する不確定要素を排除しようとする考えが強まっているといえます。
他方、仕事に求めること(図表2)の推移をみると、近年「チャレンジ」「理想」「競争」の選択率が上昇傾向にあります。単に安心できる環境に身を置くだけでなく、その中で思い切った行動をとり、成長していきたいという心情が垣間見えます。
企業選びの基準が変化:応募のきっかけは多様に、決め手は“自分が働くイメージを持てるか”に
価値観の変化とともに、学生の企業選びの観点も変化しています。
まず、応募のきっかけ(図表3)としては、2022年卒以降、「知人から勧められた、教えてもらった」「斡旋会社やリクルーターで紹介を受けた」「先輩社員から紹介を受けた」の選択率が増加傾向にあります。要因として考えられるのは、パンデミック下でのデジタル化の進行と企業の採用意欲の高まりが相まって、学生へのアプローチ方法が増えたことです。さらに、採用活動が早期化する中、学生側もやみくもに就職活動を行うのでなく、自分に合う企業と早く出会いたいという考えを強めていることも関係していると考えられます。
また、内(々)定受諾の決め手(図表4)としては、前述のとおり、自分自身の働く姿をイメージでき、安心できるかが重視される傾向にあります。対して、企業の魅力といえる「社員や社風」「企業理念やビジョン」「製品・サービス」といった要素は選ばれにくくなっています。中でも選択率の低下が顕著なのは「社員や社風が魅力的である」ですが、学生が就職活動中に知りたかったこと(図表5)に関する設問をみると、「人間関係・職場の雰囲気」は上位に挙がっています。また、「人間関係・職場の雰囲気」を実際に知ることができた人の割合は昨年と比べて上昇しており、企業としても力を入れて発信していることがうかがえます。これらの調査結果から推測されるのは、「社員や社風」は最終的な決め手から、早い段階で学生を惹きつけ、企業を絞り込む要素へと変化しているということです。背景には、インターンシップなどのキャリア形成支援プログラムの普及や、広報手段の多様化の影響があると考えられます。
本調査結果が、企業の採用活動のあり方や、学生とのよりよいコミュニケーションを考える手がかりとなれば幸いです。
2. 調査の結果
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『協調/調和』の社風が支持を集める。過去12年で安心感のある環境を求める傾向が強まっている(図表1)
・2026年卒が働く上で重視したい社風トップ3は「相互の思いやりとあたたかさ」「オープンなコミュニケーション」「強い連帯感とチームワーク」で、いずれも『協調/親和』のカテゴリー。
・一回り前の世代にあたる2014年卒の結果と比較すると、『協調/親和』の方向へとグラフが張り出し、「理想に向かう情熱と意欲」「変革と新たな価値の創造」といった『創造/開拓』カテゴリーにある要素は減少。
⇒オープンであたたかい、安心感のある環境を求める傾向が強まっていることがうかがえる。
図表1 働く上で重視したい社風
Q:あなたは、どのような組織風土・文化のもとで働きたいと思いますか。各要素について、重視している度合いに最も近いものを1つ選んでください。(上位3つまで選択)

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「安定」志向が過去10年で最も高い水準。一方でアグレッシブさを求める気持ちも高まる(図表2)
・仕事に求めることの1位は「安定」、次いで「貢献」「成長」がほぼ同水準で並ぶ結果となった。
・「安定」は過去10年で最も高い選択率に。「貢献」「成長」はパンデミックの影響が大きかった2021年卒前後で比較すると減少傾向。
・また、過去数年「チャレンジ」「理想」「競争」といったアグレッシブな要素の選択率が上昇する傾向もみられる。
⇒まず安定した環境を確保することが前提。その上で、貢献・成長し、思い切ってチャレンジし理想や競争を追い求めたいという気持ちがある。
図表2 仕事に求めること
Q:あなたの「仕事に対する価値観(仕事にどのようなことを求めるか)」について、特に重要だと思うもの上から3つを選択してください。 ※志望している、または入社予定の企業についてではなく、あなた自身の考えに近いものを回答してください。※あてはまるものがない場合でもお気持ちに近いものをお選びください。


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企業に応募するきっかけ1位は「興味のある仕事・職種だった」。2位の「勤務地」は 2022年卒以来、選択率の増加が続く。応募のきっかけは多様に(図表3)
・学生が企業に応募する動機の1位は「興味のある仕事・職種だった」。
・次点は「勤務地」で、2022年卒以来、選択率が増加している。
・また、2022年卒以降、「知人から勧められた、教えてもらった」「斡旋会社やリクルーターで紹介を受けた」「先輩社員から紹介を受けた」の選択率も増加傾向にある。
⇒パンデミックを契機にデジタル化が進み、働く場所に対する感覚が変化している。また、企業から学生へのアプローチ方法が多様化し、応募のきっかけが広がっていることがうかがえる。
図表3 学生が企業に応募するきっかけ
Q:あなたが働く予定の(もしくは働く可能性の最も高い)会社についてお伺いします。その会社の本選考にエントリーするきっかけとなった事柄は何でしたか。各要素について、あてはまる度合いに最も近いものを1つずつ選んでください。
(「多少影響があった」「直接影響している」の合計・2026年卒の選択率降順)


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内(々)定受諾の最終的な決め手は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が1位。昨年まで2位の「社員や社風が魅力的」は5位に(図表4)
・内(々)定受諾の最終的な決め手は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が1位。
・「勤務地」「福利厚生」「業績の安定性」など働く環境・条件に関する項目の選択率が伸びた結果、昨年まで2位の「社員や社風が魅力的」は5位となった。
・パンデミック前後の変化としては、「社員や社風が魅力的」の選択率の大幅な低下に加え、「企業理念やビジョンが魅力的」「製品・サービスが魅力的」の選択率低下、「企業の規模が大きい」「労働時間や勤務スタイルに魅力がある」「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」の増加がみられる。
⇒自分がその会社で働くイメージを具体的に持てること、不確定要素が少ないことが最終的な決め手となる傾向がある。
図表4 学生の内(々)定受諾の最終的な決め手
Q:あなたが入社を決めた企業の内(々)定を承諾した理由はどのようなことでしたか。以下のそれぞれについて、あてはまると思うものを最大3つまで選択してください。また、なかでも最も重要だったものを1つ選んでください。(グラフは「もっとも重要だったもの」)


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「社内の人間関係・職場の雰囲気」を知ることができた割合は2025年卒に比べて増加し、約8割に(図表5)
・「実際に知ることができた割合」をみると、「具体的な仕事内容」は90.0%と非常に高い。
・「社内の人間関係・職場の雰囲気」も79.5%と、2025年卒の75.1%から増加。
⇒インターンシップなどのキャリア形成支援プログラムの普及、広報手段の多様化などの影響によって、学生がリアルな情報を得やすくなっているものと考えられる。
図表5 学生が知りたかった情報・知ることができた情報
Q:以下の各項目のうち、就職活動中に強く知りたいと思っている(思っていた)情報を教えてください。


3. 調査概要
調査名:2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査
調査対象:2025年度卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生
調査期間: 2025年6月27日~7月16日
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,008名
リクルートマネジメントソリューションズについて
ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな 課題に向き合い続けています。
●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス
また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。
※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp
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