Indeed Hiring Lab、求人掲載賃金の最新動向を調査。日本の求人掲載賃金は2024年に大きく上昇し、物価上昇に追いつく動き。
広範囲の職種で前年比4%超の伸びを示す一方、2025年に入り上昇率はやや鈍化。
世界No.1求人サイト*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:淺野 健、https://jp.indeed.com 以下 Indeed )は、国際的なエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「日本の求人掲載賃金上昇率の動向:数年にわたる停滞を経て、なぜ2024年に賃金は急上昇したのか」(日本時間5月16日公開)の主要ポイントをまとめました。
■レポート主要ポイント
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2024年にかけて求人上で提示される賃金の上昇率は加速し、2025年に入ると伸びがやや鈍化しているものの、4月時点で前年比3.6%の上昇を示している。
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2022年・2023年は賃金上昇率が物価上昇率を大きく下回る状況が続いていたが、2024年以降は、賃金上昇率が遅れを取り戻し、物価上昇率とのギャップも縮小している。
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職種カテゴリ別に見ると、賃金上昇率が高い職種は一部に限らない状況。前年同月比4%超の職種カテゴリが多数あることから、賃金上昇の動きが幅広い分野に浸透していることがわかる。
■レポート概要
・賃金上昇率は2024年から上昇し続け、2025年に入って緩やかに転じる
Indeed 賃金トラッカーによると、2024年に入ると賃金上昇率は加速し、右肩上がりの伸びを示しています。2025年初頭にはやや鈍化の兆しが見られましたが、4月時点で前年同月比3.6%の伸びが観測されています。
2024年に見られた賃金上昇の加速の背景には、人手不足の継続、インフレに対する労働者・企業意識の高まりがあると考えられます。加えて、春闘をはじめとする賃上げムードの広がりによって、企業が新規採用時に提示する賃金を引き上げざるを得ない状況が強まったことが反映されていると考えられます。

Indeed 賃金トラッカー、すなわちIndeed 掲載賃金上昇率の前年同月比とその3ヶ月移動平均の推移を表す。期間は2019年1月から2025年3月まで。
そして2025年初頭に賃金上昇が鈍化した理由としては、一部企業での採用活動への注力度の低下、賃上げの先行実施が一巡したこと等に加え、国際的な景況感の悪化の可能性に対する警戒感や、国際的な政況に関連した不確実性の高まりなど、様々な可能性が考えられます。また、2024年に急速に進んだ賃金上昇の反動的な調整と見ることもできるため、引き続き動向を注視する必要があります。
・賃金上昇率は物価上昇率に追いつかない状況が続いていたが、2024年以降は遅れを取り戻す動き
日本の賃金上昇率は、2022年と2023年は物価上昇率に追随できず、かつ物価上昇率を大きく下回る状況が続いていました。しかし、2024年に入ると遅れを取り戻し、賃金上昇率が物価上昇率に追いつくような動きを見せていると考えられます。背景として、インフレに伴う労働者の高賃金への関心の高まりや、離職率の上昇を含む労働市場の流動性の高まりにより、企業の賃金上昇圧力が高まりやすい環境になってきたことが挙げられます。また、企業が徐々に価格転嫁を進められたことも、賃金上昇につながっていると考えられます。加えて、春闘を含む賃上げ機運の継続が名目賃金上昇に波及し始め、価格と賃金の相互作用による好循環が徐々に可視化されつつあると見られます。

Indeed 賃金トラッカー(3ヶ月移動平均)、CPI、Core CPIの推移。期間はそれぞれの最新確定年月まで記載(Indeed 賃金トラッカー:2025年3月まで、CPI・CoreCPI:2025年2月まで) 。
・幅広い職種カテゴリで賃金上昇率は高まっている
なお、2025年4月現在、広範囲の職種カテゴリで賃金上昇が見られます。5%台の賃金上昇率を示す職種カテゴリは5つあり、4%台まで広げればさらに8職種カテゴリ、3%台まで広げればさらに8職種カテゴリが入ります。一方で、2019年4月では5%台、4%台、3%台の職種カテゴリが1つずつしかないことに加え、8位以降は1%台の賃金上昇率となり、職種間で偏りがありました。実際に職種間標準偏差も、2025年4月の方が2019年4月よりも小さいことが確認されます。
これらのデータは、現在の高い賃金上昇率は、労働需給が特に逼迫した一部の職種に牽引されているのではなく、労働市場の大半の分野に広く及んでいることを示唆しています。

◾️Indeed Hiring Labについて
Indeed Hiring Labは、世界No.1求人サイト*「Indeed」の国際的なエコノミックリサーチ機関です。
Indeedの保有する豊富な独自データと一般公開されている各種ソースをもとに、労働市場に関するさまざまな調査・研究を実施し、メディア、研究者、政策立案者、求職者、採用企業の皆様に向けて知見を提供。グローバル労働市場に関する革新的なデータインサイトを発信し、仕事の現状について新たな議論が交わされる土壌を作り出します。Indeed Hiring Labの日本向けウェブサイト(https://www.hiringlab.org/jp/)では、日本における労働市場の状況や、仕事探しにおける最新トピック、注視すべき求職者行動などの調査・分析結果をレポートとしてまとめ、有益な情報を発信しています。
*Comscore 2024年3月総訪問数
Indeed (インディード)について
Indeed は、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト(Comscore 2024年3月総訪問数)です。 Indeed には、5億9,500万件の求職者プロフィールがあり、28言語で60か国以上の人々が Indeed で仕事を探したり、履歴書を投稿したり、企業を調べたりしています。 350万以上の雇用主が Indeed を利用して新しい従業員を見つけ、採用しています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
※本プレスリリース、および、調査結果の詳細は、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20250516
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