インサイドストーリー:日本のIT業務委託の現状
日本がスキル不足の危機に陥っていることは、すでに周知の事実です。外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:マーク・ブラジ、以下ヘイズ・ジャパン)が毎年発表している「ヘイズ・グローバル・スキル・インデックス」によると、2016年版では日本の人材ミスマッチに関して9.8という評価を受けました。2017年版ではその値が9.9に上昇しています。
また、同年7月にはフィナンシャルタイムズ紙の記事で、労働力不足がさらに厳しさを増して求人倍率が過去43年間で最高値の1.51%に達したことが伝えられました。今年の2月までに、この値は1.59に上昇しています。
また、同年7月にはフィナンシャルタイムズ紙の記事で、労働力不足がさらに厳しさを増して求人倍率が過去43年間で最高値の1.51%に達したことが伝えられました。今年の2月までに、この値は1.59に上昇しています。
周知の事実であるとはいえ、スキル不足はこれからも重大な懸念であり続けます。経済は安定した成長を見せていますが、その状態を続けるためには成果を出す必要があり、その一方で財務省の調査によれば企業の70%が労働力不足に陥っているとされ、こうした点が難題となってきます。この問題に対処すべく政府が勧めている1つの方法は、日本にいる多数のパートタイム労働者および契約スタッフに頼るというものです。ただし、この解決方法には特有の難しさが伴います。
日本では契約労働に対するイメージの問題があり、派遣契約による低賃金の人材として事務、接客、コールセンターといった業務に従事し、権利もほとんど与えられず、さらには条件以下の扱いを受けることも多い存在とみなされることがあります。しかし、こうしたステレオタイプの先を見通す目があれば、レベルの高い業界の高度なスキルを持つスタッフが、キャリアパスとして自ら契約労働を選び、正社員にはできない部分のギャップを埋める仕事をするという傾向が高まっていることがわかます。このことは特にIT業務委託で明白です。
今後訪れる人工知能(AI)およびロボティクスの技術革命を政府が積極的に奨励し、それによってもたらされ得る変化を金融機関が喜んで受け入れようとしている状況のもと、これらの分野の発展によって日本のIT部門は今、世界で大きな注目を浴びています。この領域のそうした注目度の高さから、機械学習や、ビッグデータ(これについてはさらなる革新を促すべく政府がプロバイダーを認定しています)、そして日本にとって驚くべきレベルの注力技術であるブロックチェーンといった急成長部門で、職務を担当できる候補者が必要とされています。
IT業務委託市場で求められる主な職種はプロジェクト変更管理の分野であり、なかでもビジネスアナリストとプロジェクトリエンジニアリングのスペシャリストが必要とされます。また、関連する技術が比較的新しいことから、開発、ネットワーキングインフラ、ネットワークエンジニアリングに関わる職種とともに、テクノロジー監査およびガバナンスを担当する候補者も必要とされます。さらに最近では金融サービス部門でM&A活動が急増し、業界でIT採用レベルが高まっているため、これらの分野で経験を有する候補者の需要があります。
日本のIT業界は世界的な注目を浴びているため、多くの国際企業が日本への進出を計画しており、ヘイズはそれら企業のための人材確保を手掛けています。それらの企業がIT業務委託部門全体にわたって候補者に求めている重要なスキルは、英語に堪能であることです。
EF英語能力指数2017によれば、日本人の英語レベルは調査対象80カ国中37位であり、低下の傾向が見られます。これは国全体で重要なスキルが不足していることを意味し、語彙スキルの必要性がますます明確になっているテクノロジー部門に悪影響を及ぼす状況であることから、適切な候補者を見つけることがさらに難しいものとなります。
さらに英語は十分に堪能であっても、海外経験の不足や、年功序列という日本の企業文化への固執によって、ざっくばらんな働き方が標準となっている多国籍企業では苦戦を強いられる候補者も多くいます。つまり求められているのは、高いスキルのみならず、柔軟性と文化的な順応性とを併せ持つ候補者です。
このように広範囲にわたるIT業務委託の職務で人材を求めている企業は、業務の持続に苦心しており、正社員の採用だけでは必要なスキルの確保が不十分であることに気づきはじめています。
こうしたスキル不足に陥る理由の1つとして、社員を部門から部門へと異動させるという企業文化の傾向を挙げることができます。当然ながら、綿密な組織的知識を得ることには多くの利点がありますが、特殊で研ぎ澄まされたスキルが求められる場合、企業はこれまで育ててきたゼネラリストでは不十分であることに気づきはじめています。一部の大学はこの問題を是正しようと試み、楽天をはじめとする近代化の進んだ企業の一部は雇用モデルを変更したものの、ほとんどの場合、組織は別の選択肢に目を向けなければならず、特により高いレベルのIT業務委託による雇用を求めることになります。
業務委託は自明の解決策のように思われるものの、その成功を妨げる大きな問題の1つとして、日本での契約社員に対する悪い印象が存在します。堅調な業務委託業界が存在する米国や欧州とは異なり、日本では企業にとっても候補者にとっても一様に、業務受託の概念と、前述のような低賃金労働者とを区別するのが難しくなっています。幸い、このような考え方は徐々に変化しつつあります。
ヘイズのIT業務委託チームであるITソリューションズが候補者の業務委託に対する考えを改善する目的で開催しているセミナーやネットワーキングイベントの成果が上がり、豊富な経験をもって市場に参入する候補者の数が増加しています。
これに引き続き過去12カ月間では、企業(とりわけ金融サービスおよびハイテクベンダー部門の企業)において、スキル不足となっている職務を迅速かつ円滑に補充し得る、シニアレベルで高スキルの業務委託候補者がIT分野には数多く存在するということが認識されつつあります。また、これらの企業は、そうした高需要で正社員よりも高いスキルを持つ候補者には相応の報酬が支払われるべきとの考えを持ちはじめており、候補者から見ても業務委託という職務の評価はさらに高いものとなっています。
必要とされるスキルと適応能力を備えた人々にとって、IT部門での業務委託には多くの利点があります。候補者が業務委託という職務を選ぶ一番の理由は、キャリアに途中で変化を与え、新しい専門分野で経験を積むためと思われます。業務委託となる多くの職務において、候補者は(他の領域で不足している部分があるとしても十分な柔軟性を持ってさえいれば)条件を必ずしも100%満たす必要がないため、候補者にとっては製品に関する知識を得るとともに、新しいスキルを獲得して成長させる機会となります。
またさまざまな理由により、終身雇用の立場からはずれていて市場に戻る道を探している候補者や、業務委託で得られる柔軟な立場とワークライフバランスを実現し、さらに健康保険と有給休暇の資格を得て、委託期間延長の可能性も手にしながらキャリアを積んでいる候補者もいます。
どのような理由があるとしても、業務委託を取り巻く認識は候補者と雇用者の双方で向上しはじめているため、両者にとって有益な状況となり得ることにほとんど疑念の余地はありません。そしてスキル不足が日本全体に広がり続け、IT業務委託部門が成長し続ける限り、特によりハイエンドなリクルート市場では、ここ数年間にますます対応が難しくなってきている人材不足の問題に対して、業務委託がその解決策になる可能性があります。
以上が最新の動向です。
ヘイズは、専門性の高いプロフェッショナルを対象に人材紹介サービスを提供しているリクルートメントのグローバル・エキスパートです。
以上
ヘイズについて
ヘイズ(本社:英国)は、今年50周年を迎えたグローバル人材紹介会社で、専門性の高いプロフェッショナル人材を対象としたリクルートメントのエキスパートです。2017年12月31日現在、世界33の国と地域*、256の拠点(総従業員10,800人)において、20の専門分野に特化したハイスキル人材サービスを提供しています。(*日本、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、中国本土、チェコ共和国、デンマーク、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、ロシア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ)
ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(ヘイズ・ジャパン)について
ヘイズの日本法人として2001年に東京で設立されたヘイズ・ジャパンは、3つの国内拠点(東京本社、大阪支店、横浜支店)を有する外資系人材紹介会社です。15の専門分野(経理・財務、金融サービス、デジタル・テクノロジー、ファイナンス・テクノロジー、人事、インフォメーション・テクノロジー、保険、法務、ライフサイエンス、マニュファクチャリング、マーケティング・デジタル、オフィス・プロフェッショナル、不動産、サプライチェーン、営業)に精通した経験豊富なコンサルタントが、「正社員紹介」「契約・派遣社員」「採用アウトソーシング(RPO)」「ITソリューションズ(業務委託)」の4つのサービスを提供し、企業の人材採用と個人のキャリアアップを支援しています。
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