日立ハイテクの特許「半導体の自動検査を実現する電子顕微鏡」が令和7年度関東地方発明表彰で「文部科学大臣賞」「実施功績賞」を受賞
デジタライズドアセットとして電子顕微鏡の展開をさらに拡充し、Lumadaを活用したデジタルサービスの提供を推進
株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク、株式会社日立製作所のコネクティブインダストリーズセクター所属)は、このたび、半導体計測技術に関する特許「半導体の自動検査を実現する電子顕微鏡」(特許第7098743号、発明の名称:荷電粒子線システム、以下、本発明)について、公益社団法人発明協会が主催する令和7年度関東地方発明表彰の「文部科学大臣賞」および「実施功績賞」を受賞しました。
日立ハイテクは本発明の受賞を契機として、Lumadaを活用した高度なデジタルサービス提供のベースとなるデジタライズドアセットとして電子顕微鏡の展開を加速していきます。
本発明は、さまざまな物質の原子レベルの微細構造を観察・分析できる透過電子顕微鏡(TEM*1)に搭載され、観察時の調整作業を自動化することにより観察の高効率化に貢献しています。特に、微細化・三次元化が進む半導体デバイス製造の検査業務において、安定した高精度な自動検査を実現しました。なお、本発明はTEM以外にも応用できるものであり、半導体関連技術の研究開発のみならず、先端材料開発やライフサイエンス分野に向けた電子顕微鏡の開発と製品化を今後も進めていきます。
*1 TEM(Transmission Electron Microscope):薄膜上に加工された試料に対して電子ビームを照射し、透過した電子ビームを元に試料の微細構造を観察する装置
本発明の詳細
近年、半導体デバイスは私たちの暮らしに不可欠となり、常にさらなる性能の向上が求められています。性能向上を実現するため、デバイス構造の微細化・三次元化がますます重要となる中、製造工程においては、0.1nm以下の精度で内部構造を精密に検査する手段としてTEMが活用されています。
半導体デバイスの検査工程においては、多くの試料を高速かつ高精度に検査することが求められますが、TEMはユーザーによる手動での精密な調整が必要であり、スピーディーな検査は困難とされていました 。また、形状や構造のスケール、材料の種類や観察条件ごとにそれぞれ調整を行うため、調整具合が変動しやすく、安定した検査の実現には熟練した技術が必要とされていました。
本発明はTEMによる観察像の特徴を精密に解析することにより、装置内の電子ビームの形状(フォーカスおよび非点収差)を高精度に評価することを可能にし、安定して高精度な自動調整および、検査作業の効率化を実現しました。また、本発明は観察対象の種類、構造の大きさによらず安定した検査が可能であることから、連続して大量の観察が必要となる自動検査において高い信頼性と精度を両立することができます。
日立ハイテクは長年にわたり、本発明をはじめ半導体デバイスの計測・検査に関する技術開発に取り組んでおり、半導体メーカーのデバイス開発・製造を支え、情報化社会の発展に大きく貢献してきました。今後もさまざまな技術をもとに、微細化が進む半導体デバイスの製造工程の管理をサポートし、安定供給と生産歩留まりの向上に貢献していきます。

日立ハイテクが所属する株式会社日立製作所のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせたデジタルサービス「HMAX Industry」を、成長産業へ水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力しています。日立ハイテクは、CIセクターの一員として、Lumada 3.0を体現する「HMAX Industry」の提供を通じて、フロントラインワーカーの現場を革新します。
日立ハイテクについて
日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供しています。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売しています。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、解決策を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。(2025年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は7,565億円)
詳しくは、日立ハイテクのWebサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。
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