【災害発生時の自治体の課題 2024】能登半島地震後、迅速で正確な情報収集のためのデジタル活用が不可欠に
8割以上が「災害現場の状況を把握するのにSNS情報は有効」と回答する一方で、デマ情報への懸念も
防災テックベンチャーの株式会社Spectee(所在地:東京都千代田区、代表取締役:村上 建治郎、以下「Spectee」)は、自治体で防災・災害対応に関連する業務従事者1000名超を対象に「災害時における自治体の課題」に関する意識調査を行いました。
2024年1月1日、石川県能登半島を襲った最大震度7の地震。内陸の直下型地震では最大級と言われる大地震となり、さらに非常に大きい断層が一気に動いたことから津波も発生して甚大な被害をもたらしました。また、8月8日に宮崎県で震度6弱を観測した地震も記憶に新しく、日本全土で防災対策の強化が求められています。
Spectee は全国の自治体や多くの民間企業にAIリアルタイム防災・危機管理サービス『Spectee Pro』を提供しており、自治体で防災・災害関連業務に従事する方々を対象に「災害時における自治体の課題」に関する調査を行いました。
昨年7月に行った調査では、3割近くが災害発生時の初動対応への対策ができていないという回答結果になり、課題が浮き彫りになりました。前回調査から約1年が経ち、能登半島地震を受けて災害対応への意識は変わったのでしょうか。
<調査結果ハイライト>
▼能登半島地震を受けての意識の変化
情報収集・共有手段が変わったとの回答が7割弱に。実際に対応変更した割合は約半数、災害対応の変更を『検討しているが行っていない』割合も約3割。
▼災害発生時に直面する課題や住民からの要望とは?
防災・災害担当者の5割強が『迅速な情報収集・提供』を掲げるも、デジタル活用は4割に留まる。住民からは『正確で迅速な情報提供』が5割超で最多。
▼デジタルを活用した災害対策の進捗状況
二分化となる結果に。進まない原因は予算・人材不足。
▼災害時にSNS情報を活用する場合の問題点とは?
8割がSNS情報は有効だと応えるも、真偽の判断への懸念は6割弱。
<調査概要>
調査概要:「災害時における自治体の課題」に関する調査
【調査期間】2024年8月2日(金)~2024年8月5日(月)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,001人
【調査対象】自治体で防災・災害対応に関連する業務従事者と回答したモニター
【調査元】株式会社Spectee(https://spectee.co.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
■能登半島地震を受けての意識の変化:情報収集・共有手段が変わったとの回答が7割弱に
はじめに、「あなたはこれまでに地震・水害などで避難指示が出された災害現場での活動経験がありますか?」と質問したところ、
『経験はまったくない(38.1%)』と答えた方が最も多く、『災害派遣(応援)職員として対応経験がある(30.6%)』、『被災自治体として対応経験がある(19.7%)』『現地視察に行ったことがある(11.6%)』と続きます。
半数の方が災害現場での対応経験があると回答する一方で、約4割はまったく経験がないこともわかりました。
また、今回の調査では、能登半島地震を受けての意識変化や、対応の変更についても聞きました。
能登半島地震後、全ての項目において一定の意識変化が見られましたが、特に「情報収集・共有手段」について7割弱(約66%)も意識が変わったと回答しています。また、避難所の運営・避難者情報の管理についても約半数(51.9%)は意識が変わったと回答しました。
次に、各項目について能登半島地震後に、具体的にどの程度変更されたのか伺いました。
「情報収集・共有手段」については約半数の方が、能登半島地震をきっかけに対応を変更したと回答しました。一方で、全項目において『検討しているが行っていない』と回答した方が約3割いる結果となり、改善が必要と認識しているものの変更を進められていない方も一定数いるようです。
■災害発生時に直面する課題、住民からの要望とは?:5割強が『迅速な情報収集・提供』や『正確な情報の収集』を掲げるも、デジタル活用は4割に留まる
次に、災害が発生したときに直面する課題について詳しく聞きました。
「災害発生時に直面する課題は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『迅速な情報収集・提供(57.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『人員不足(55.7%)』『正確な情報の収集(53.0%)』となりました。
5割以上の方が迅速かつ正確な情報収集について、課題を感じているようです。
では、情報収集・発信の課題に対してどのような対策をとっているのでしょうか。
前問で「迅速な情報収集・提供」「正確な情報の収集」と回答した方に「災害時の情報収集・発信の課題に対してどのような対策を行っていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『関係各所との連携を含めた訓練の実施(61.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『職員の現地への迅速な派遣(45.7%)』となりました。
4割近い方が『デジタルツールの導入(44.4%)』『SNSを活用した情報収集・発信(38.9%)』などのデジタル活用を挙げる一方で、上位は訓練や現地への職員の派遣などアナログな対策となりました。
また、災害時に、住民からはどのような要望が多いのでしょうか。
「災害発生時、住民からはどのような要望を受けますか(受けそうですか)?(複数回答可)」と質問したところ、『正確で迅速な情報提供(52.0%)』と回答した方が最も多く、次いで『インフラ(電力・通信・道路・水道)の整備・確保(48.9%)』『避難所の開設と場所の情報提供(48.4%)』となりました。
インフラの整備や確保に加え、災害に関するさまざまな情報発信を望んでいるようです。
自治体が考える課題と住民の要望、どちらも「災害時の情報収集・提供」という点で一致していると言えます。
■デジタルを活用した災害対策の進捗状況:二分化となる結果に。進まない原因は予算・人材不足。
人員不足も叫ばれる中、災害時の情報収集・提供には「デジタル活用」が不可欠です。
昨年7月に行った調査では、3割の方が「あまり取り組めていない」「全く取り組めていない」と回答しました。1年が経ち、進捗状況はどのように変化したのでしょうか。
「災害対応のデジタル活用についての状況を教えてください」と質問したところ、『あまり進んでいない(40.6%)』『ある程度進んでいる(40.0%)』『まったく進んでいない(11.1%)』『かなり進んでいる(8.3%)』という回答結果になりました。
半数以上の方が「進んでいない」と回答しており、災害対応のデジタル化に積極的に取り組めている自治体は少数であることがわかります。
「進んでいない」理由としては、『予算がない(26.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『デジタルを活用できる人材がいない(17.4%)』『運用に落とし込むのが難しい(15.5%)』となっており、予算や人材の確保といった基盤を作ることが重要になってきそうです。
災害対応の効率化を図るにも、最初は金銭面や人への投資が必要となるため、補助金などの活用も視野に進めることが望ましいと思われます。
■災害時にSNS情報を活用する場合の問題点とは?:8割がSNS情報は有効だと答えるも、真偽の判断への懸念は6割弱
迅速な情報収集に繋がる対策のひとつにSNS活用が挙げられますが、自治体の防災・災害担当者はSNS情報をどのように見ているのでしょうか。
2021年1月に行った調査では、8割以上の方がSNS情報の有用性を感じると回答しました。
3年以上経ち、変化はあったのでしょうか。
「災害現場の状況を把握するために、SNS情報は有効だと思いますか?」と質問したところ、今回も8割以上の方が『はい(86.1%)』と回答しました。
次に、「SNS情報を活用する場合の懸念点はなんですか?」と質問したところ、『情報の真偽の判断(55.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『情報過多(19.6%)』『情報の検索や収集方法(12.8%)』という回答結果になりました。
能登半島地震においては、SNSは情報収集や安否確認手段として寄与していた一方で、救助活動を妨げるようなデマ情報も問題となりました。
実際に、災害時の情報収集手段としてSNSは有効だと感じている方が多い一方で、5割以上の方が、情報の真偽についてどのように判断するべきか懸念していることが明らかになっています。
災害時に自治体が情報の正確性を判断するのは難しい場合もあるため、SNSを活用した情報収集ツールの導入を検討するのも良いかもしれません。
【まとめ】2024年、災害時の課題は「迅速で正確な情報収集」。しかしデジタルの活用が進んでいない自治体が5割以上。
能登半島地震をきっかけに「情報収集・共有手段」など災害対策への意識が変わったと多くの方が答えた一方で、約半数以上が具体的な対策の変更を進められていないことが明らかになりました。
災害時に発生する課題としては「迅速な情報収集・提供」「正確な情報の収集」など、やはり「情報収集方法」について課題を感じている方が依然として多いようで、住民からの要望も「正確で迅速な情報提供」という声が最多であることから、より速く正確な情報を集めるためにデジタルの活用が必要不可欠であると言えます。
その中でも、SNS情報はよりリアルでスピーディーであることから、有用性を感じているものの、デマ情報など情報の真偽についてどのように判断すればいいのかなど、懸念点も浮き彫りになりました。
地震のみならず大雨による河川の洪水や土砂崩れなど、災害のリスクがさらに高まっている今、デジタルを活用した災害対策を進めていくことが求められているのではないでしょうか。
災害や緊急時の危機管理・BCP 不確実な時代のリスクへの備えに「Spectee Pro」
今回、「災害時における自治体の課題」に関する調査を実施したSpectee(スペクティ)では、自治体や多くの民間企業にAIリアルタイム危機管理サービス『Spectee Pro』を提供しています。
■『Spectee Pro』について
『Spectee Pro』は、SNSや気象情報、自動車のプローブデータ、全国1万台以上の道路・河川カメラなどを解析し、世界で発生する災害や危機を、迅速に収集、可視化、予測できるAIリアルタイム防災・危機管理サービスです。
お客様が必要な情報をリアルタイムに通知、独自開発のAI技術やマップ機能などを活用して、正確かつ整理された情報を瞬時に入手することができ、災害対応やBCPを目的に民間企業・自治体などのお客様にご利用いただいています。
『Spectee Pro』サービスサイト:https://spectee.co.jp/service/spectee/
■「Spectee Pro」のできること
①デマ・フェイク・誤情報等への対応
SNS投稿は、AI解析と人によるダブルチェックを行い、デマ情報を排除したうえで、正確性の高い情報をリアルタイムに配信します。
②欲しい情報のみを瞬時に把握
エリア(市区町村単位)や100以上のカテゴリ(事象・対象等)で情報を絞り込むことができ、整理された必要な情報だけを瞬時に把握することが可能です。
③リアルタイムで拠点周辺状況を音声・メール・スマホアプリに通知
事象発生時には音声アナウンスやメール、スマホアプリにも通知され見逃すことはありません。拠点登録機能を使えば、登録しておいた拠点の周辺で起きた事象を瞬時に知ることができます。
④被害状況可視化、起こり得る発生リスク予測
SNS情報やライブカメラ、気象情報、交通情報等を解析し地図上に表示します。
被害状況を可視化することで、リスクを回避するための的確な初動対応をとることができます。
■『Spectee Pro』活用事例
現在は、全国の都道府県庁など自治体をはじめ、民間企業のBCPやサプライチェーンのリスク管理領域で広く活用されています。
①自治体の災害対応に
自治体内で発生した災害・火災の情報を瞬時に把握し、迅速な意思決定の実施、適切な対策の検討に活用いただいています。
大分県様:https://spectee.co.jp/case/oita-prefecture/
②民間企業のBCP(事業継続計画)に
グループ関連拠点の登録とキーワード検索機能で、影響があるリスク情報を収集し、災害時、事業への影響を迅速に把握することが可能です。海外の危機情報も取得できるため、海外拠点のリスク管理にも活用いただいています。
NTT西日本様:https://spectee.co.jp/case/nttwest/
③製造業のサプライチェーンリスクマネジメントに
拠点登録機能により、サプライヤー周辺で起こる危機をリアルタイムに察知することができ、製品への影響や納期の遅れ等を迅速に把握することが可能です。
大手自動車部品メーカー様:https://spectee.co.jp/case/case8/
料金表・資料のダウンロード:https://spectee.co.jp/download/
株式会社Spectee
「”危機”を可視化する」をミッションに、SNSや気象データ、カーナビ情報、道路・河川カメラなどのデータから災害やリスク情報を解析し、被害状況の可視化や予測を行っています。
AIリアルタイム防災・危機管理サービス『Spectee Pro』は、世界で発生する災害や危機を、迅速に収集、可視化、予測することができ、災害対応や危機管理などを目的に、全国の自治体、報道機関、インフラ会社、メーカー、物流、商社などに導入いただいています。契約数は2024年7月に1000を突破しました。
また、製造業向けのサプライチェーン・リスク管理サービス『Spectee Supply Chain Resilience』は、サプライチェーンを見える化するとともに、サプライヤー周辺で起こる危機を瞬時に覚知し、被害状況や製品への影響、納期の遅れなどを迅速に把握することが可能になります。
<会社概要>
本社:〒102-0076 東京都千代田区五番町 12-3 五番町YSビル 3階
代表者:代表取締役 CEO 村上 建治郎
設立:2011年11月11日
公式サイト:https://spectee.co.jp
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