【中小企業の物価高への対応を調査】物価高によるマイナス影響を受けている中小企業は約8割!不十分な「賃上げ」の原因を中小企業の声から紐解く
~BLUE REPORT 9月号を発行~
『「新しいあたりまえ」で、新しい世界を創るFORVAL』を理念に掲げる、次世代経営コンサルタント集団である株式会社フォーバル(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中島 將典、以下「フォーバル」)が運営するフォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業の物価高への対応について調査した「BLUE REPORT 9月号」を2024年8月30日(金)に発行しました。
今回のレポートの目的『物価高による中小企業の影響と今後の対策』
政府が2023年6月に公表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において「持続的で構造的な賃上げ」の実現を指摘し、その後は政府から経済界に対する賃上げの要請の機会が増えました。そして2024年の春季労使交渉(春闘)ではベア(基本給のベースアップ)が平均5.1%となったように、経済界全体でもこの問題意識が共有され、賃上げに向けた取り組みが積極的に進められています。
このような状況の中、中小企業を取り巻く経営環境は決して楽観視できるものではありません。また、賃上げに向けた資金確保のためには、コスト増加分を反映した価格転嫁が避けることができないのが現状です。本レポートでは、近年の物価高による中小企業への影響やその対策、また従業員の賃上げ実施状況などに関して行ったアンケート調査の結果を報告するとともに、今後の対策についても検討を進めます。
●本レポートの詳細は、こちらをご参照ください。
URL:https://www.forval.co.jp/consulting/pdf/bluereport_mini_202409.pdf
サマリー
■物価高は76.6%、円安は49.9%の企業が影響を受けている
・「マイナスの影響を受けている」、「ややマイナスの影響を受けている」を選択した企業が76.6%にのぼり、中小企業の半数以上にマイナスの影響を与えていることがわかった。
・一方で、円安は「マイナスの影響を受けている」、「ややマイナスの影響を受けている」のいずれかを選択した企業は49.9%であった。また、報道で世間を賑わしている物価高や円安による中小企業への影響は、物価高の方が影響を受けている企業が多い結果となった。
■物価高への具体的な対策の1位は価格転嫁
・物価高に対する対策を「実施している」と回答した企業に聞いたところ、最も多かったのは「価格転嫁」で251回答で、続いて「固定費の見直し」で113回答、「生産性の向上」が78回答との結果であった。
■賃上げを実施している企業は56.0%
・賃上げの実施状況を聞いたところ、「実現できている」、「物価上昇を上回るほどではないが、賃上げは実施した」2つを合わせ56.0%と、約半数の企業が賃上げを実施していた。
調査結果 (抜粋)
■物価高は 76.6%、円安は49.9% の企業が影響を受けている
まず物価高の影響については「マイナスの影響を受けている」、「ややマイナスの影響を受けている」を選択した企業が76.6%にのぼり、中小企業の半数以上にマイナスの影響を与えていることがわかった。一方で、円安については、 「マイナスの影響を受けている」、「ややマイナスの影響を受けている」のいずれかを選択した企業は49.9%となり、日々、報道で世間を賑わしている物価高や円安による中小企業への影響は、物価高の方が影響を受けている企業が多い結果となった。
なお、今回の物価高、円安を業種で絞って見てみると、製造業では「マイナスの影響を受けている」、「ややマイナスの影響を受けている」を合わせた結果が、物価高の影響については87.8%、円安の影響は61.8%となり、いずれも全体よりも影響が大きいこともわかった。業種により受ける影響は異なることが推察される。
■物価高への具体的な対策の1位は価格転嫁
次に、物価高に対する具体的な対策について調査した。前ページで物価高への対策を「実施している」と回答した企業に聞いたところ、最も多かったのは「価格転嫁」で251回答で、次いで「固定費の見直し」で113回答、「生産性の向上」78回答の結果となった。 次に、物価高の対策として最も多かった、価格転嫁について回答者全体で質問した結果である。最も多い回答は、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れ、協議に応じてもらった・もらっている」となり半数近くを占めた。一方で、「協議に応じでもらえたなかった」と回答した企業が5.6%、「協議を申し入れることができていない」と回答した企業が17.0%と、約2割が価格転嫁を試みるも難しい状況であった。中小企業の価格転嫁・取引適正化対策は政府から強く要請されているが、発注側事業者に理解されていない側面も見えた。
商品やサービスの値上げ予定についても聞いたところ、「ある」と「既に直近で値上げをしている」を合わせて約7割に上り、価格転嫁よりも進んでいる状況である。
■賃上げを実施している企業は56.0%
2023年11月に公正取引委員会等によるガイドライン「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が策定され、中小企業における労務費上昇分の確保に向けて、円滑な価格転嫁ができるようにするための環境整備が国を挙げて進められている。東京商工会議所が実施した「中小企業の賃金改定に関する調査」※では、2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は74.3%と7割を超えていたが、本調査では実際にどの程度進んでいるのかを調査した。
本調査の対象の中小企業に対し、賃上げの実施状況を聞いたところ、「実現できている」、「物価上昇を上回るほどではないが、賃上げは実施した」2つを合わせ56.0%と約半数の企業が賃上げを実施していた。一方、「賃上げを実施していない」企業は43.9%で、この中には賃上げが不要な企業が含まれていることも推察される。また、もちろん企業によっては賃上げの額や率、賃上げを開始した時期についても大きく異なることが考えられるが、いずれにしても、本調査時点では賃上げを実際に進めているのは約半数という現状である。
※出典:東京商工会議所ホームページ( https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1203144 )
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