大企業の次は公務員の働き方改革!あと3年で公務員に「ジョブ型雇用」が浸透していく理由とは
〜あしたのチーム、「公務員の働き方改革」に関する最新レポートを発表〜
人事評価サービスを提供する株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長:髙橋恭介、以下あしたのチーム)は、「公務員の働き方改革」に関するレポートを発表いたしましたので、お知らせいたします。
- あしたのチーム「公務員の働き方改革」に関する最新レポート:https://www.ashita-team.com/news/20200803-2/
- 公務員の優秀人材は安定から成果志向へ
公務員は、大企業とともに日本型雇用システムが継続されています。しかし、そもそも大企業の人事制度はこの2、3年で変わってきています。日本式の「メンバーシップ型雇用」、いわゆる終身雇用を前提とした年功序列型賃金制度と学卒一括採用からの脱却です。
この日本型雇用システムは約60年間続いてきました。大企業と公務員は安定というバッジとともに憧れの対象であり、特に公務員は、リーマンショック以降は結婚したい職業の上位にいます。こうして、かつての一億総中流社会が構築されていった背景には、公務員と大企業による日本型雇用システムがありました。しかしそれが今、大企業の変革により曲がり角に来ています。
結果、一流大学を出た若手の公務員は、民間企業の同世代がうらやましく見えている、あるいは見えてくると予想します。なぜならここ数年で、民間企業の平均給与が20代においては上昇傾向にあるからです。これは大企業が脱年功給で、チャンスがあればどんどん出世できるようになっていることも関係しています。しかし公務員は旧態依然としており、結果、民間企業のほうが魅力的に見えています。定額で使い放題という意味で「サブスク公務員」化していますが、大企業でも「サブスク大企業就業者」ともいえる状況にありました。それが大企業も働き方改革となり、相対的に公務員は劣後してきています。2020年6月に当社が自治体職員向けに実施したアンケートにおいても、72%が人事評価制度に満足しておらず、その理由は「評価と報酬の関連性が持てていない」ということにありました。このように、公務員の代表である自治体職員において、評価と報酬は大きなテーマとなっているのです。
一方、大企業も、公務員の転職市場の受け入れ先にエントリーするようになってきています。その結果、優秀な20代の公務員は日本型雇用システムから脱し、成果型賃金制度の世界に行くというケースが出てきています。パラダイムが変わりました。公務員の人事制度が変わらなければ、優秀な人材が採用・定着できない。だからこそ、今変革が迫られています。
- 公務員の働き方改革に立ちはだかる法律の壁
公務員の人事評価制度に関しては、2014年の法改正にともなって導入されました。しかしこれは、報酬制度や賃金制度には踏み込まれず、あくまで目標管理のことを指しています。つまり評価自体が賞与連動、基本給連動、といった報酬制度とは関係がありません。賃金制度は法律に守られており、現状マイナス査定はできません。これが大きな障壁となっています。
この問題には実例があります。弊社の顧問であり、元衆議院議員の中田宏氏がかつて横浜市長だったときに、人事評価制度をまずは基本給に連動しようと提案しました。しかし調べた結果、法律によってマイナス査定ができないことがわかりました。しかも、格差が出るからやめたほうがいいなど、多くの議会の反発がありうまくいきませんでした。そこで、法律の範囲内の枠をフル活用し、一定の役職レイヤーに応じて成果型の報酬制度を設けました。その結果、現場の仕事に対する生産性は、一気に上がったのです。
中田氏に聞けば、生産性を上げるにはモチベーションが必要だと。特にこれからの日本をつくっていく若い人材には官民関係なく、頑張った人が報われる組織にしていかないと、行政は改善されていかないのではと危惧していると言っています
年功序列型賃金制度と学卒一括採用。この日本型雇用は、戦後を経験して焼け野原から高度経済成長期に作られたひとつの社会システムでしかありません。長い歴史から見れば、1960年から1990年ごろでのバブル崩壊までの30年間しか通用しなかった物差しとして考えられます。しかし、一方でそれは強烈な成功体験でした。したがって、平成の30年間もこのシステムが運用されていました。年功序列型賃金制度は、一人一人を評価する必要がなく、管理する側の運用が楽なシステムです。しかし時代は変わり、ついに変革のときが訪れました。
- 横並び大国日本は“火事場の馬鹿力”で変わる
中田氏のように、幹部陣から行えば裾野が広がっていきますし、まずは昇進から取り組もうということになるでしょう。小さなインセンティブを各自治体に醸成していきながら、やがて評価が給与や賞与に反映された成果型制度へとつなげていく方法が現実的です。
大企業の変革はいよいよ狼煙を上げたわけですが、このスピードと公務員に適応されるスピードはニアリーイコールだと考えています。これから大企業における人事評価制度がどこまでスピード感をもって導入されるかをみれば公務員も分かります。大手メーカーやメガバンクを含め、「ジョブ型雇用」が一気に導入検討されています。横並び大国日本では、前例が出た瞬間に「取り残される」危機感が醸成され、スピード感をもって浸透していくでしょう。
「ジョブ型雇用」の移行について、当初は最低でも10年、下手をすれば30年かかるかと言われていましたが、今回のコロナショックにより急展開し、3年である程度完了すると考えています。そして、不可逆的に「ジョブ型雇用」への移行は進むと思います。なぜなら現在の不安定な状態は、裏を返せば何かを変えようとするタイミングでもあるからです。危機的状況にならないと、人はなかなか動けません。そして危機の時は“火事場の馬鹿力”とあるように、平常時以上のパワーが発揮されます。
- 転職=負けではなくなる。価値と勝ち方が多様化する時代へ
また、教育に対する考え方も変わるでしょう。これまでは大学を頂点とした偏差値ピラミッドでしたが、緩やかに崩壊すると思います。ゼロ歳児からの幼児教育の考え方から変わるはずです。これにはAIの登場も関係しています。知識のインプットで大企業に入れば安泰だという、人生の成功のマイルストーンが崩れると、一流大学に入ること以外のメリットも見出されます。
テレワークで地方の高卒者が専門分野で大成することは容易に考えられます。あるいは、オンラインで中学からプログラムを学び、高校には行かずともスーパーエンジニアになるという事例も出てくるでしょう。画一的な集団管理型の人事制度が、偏差値社会や集団的な教育システムを生んでいます。ここに風穴があくことで日本全体にダイバーシティが浸透し、結果的には健全な競争、言うなれば敗者復活が可能になる。だれもが目標に挑戦できる健全な社会が実現すると思います。
強者が富を再分配できる仕組みが長く続いていた世界でいえば、大学名や偏差値で人にふるいをかけ、ひと握りの大企業が優秀人材の雇用を吸収していった時代であり、その成功プロセスは必然でした。100人の枠に10万人の応募があった際、わかりやすい大学名だけを並べて上位だけを選考に進めていけば、優秀人材を獲得できる確率論としては正解だったわけです。確かに効率的ではありますが、その延長線上にあったものは集団管理です。
これは野球のスカウトでいえば、たとえば人気球団は地方大会まで目を配らなくても、甲子園だけ注目していればスター選手に巡り合えるという図式と近いかもしれません。しかし価値が多様化し、勝ち方も多様化した結果、偏差値だけではない教育プロセスが必要になるのです。
AIの浸透が進むこれからの時代は、情報処理能力だけでは不十分で収入も上げられません。ITの進化で情報編集やクリエイティビティが求められるようになり、教育プログラム全体も変わっていくでしょう。しかしこれこそが、満員電車に乗って背広で通勤するという海外から見た典型的な日本人像からの脱却であり、あるべき姿なのではないかと思います。
- 株式会社あしたのチーム会社概要
本社所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX11F
事業内容 :・報酬連動型人財育成プログラム「ゼッタイ!評価®」
・人事評価クラウド「あしたのクラウド™HR」
・人事評価制度を無料で構築するプラン「ゼッタイ!評価®ZERO」
・社長コーチングプログラム「あしたの履歴書®」
資本金 :5億9,010万円(資本準備む)
設立 :2008年9月25日
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