今、港区で選ぶべきマンションとは? 在庫データから見えた『価値が残るマンション』の条件

マンションリサーチ株式会社

港区では築浅マンションの在庫が急増している

出典:福嶋総研

港区の中古マンション市場を築年別に分析すると、2024年7月以降、築年の新しいマンションの在庫が急激に増加していることが分かります。港区全体の在庫が増えているというよりも、特定の築年帯のマンションが市場に滞留し始めている点が、現在の市場を理解する上で重要なポイントです。

さらに詳細に分析すると、在庫が増加しているマンションには共通した特徴があります。それは、「タワーマンション」と「大規模マンション」が中心であるということです。

港区内の2006年以降に竣工したタワーマンションでは、約46%が在庫増加傾向にあります。また、タワーマンションを除く100戸以上の大規模マンションでも約36%が在庫増加傾向となっています。

つまり、供給戸数が多く、価格帯が非常に高いマンションほど市場に残りやすくなっているという状況が見えてきます。

これらのマンションは港区を代表するランドマーク的な存在であり、国内の富裕層だけでなく海外投資家からも高い注目を集めてきました。再開発やブランドイメージを背景に価格が大きく上昇し、「港区を買う」という象徴的な投資対象として認識されてきた物件が多く含まれています。

その結果、価格形成が実需だけではなく投資・投機マネーの影響を強く受ける市場となり、現在ではその反動として在庫の積み上がりが見られるようになっています。

 

築古マンションは依然として高い流動性を維持している

一方で、築年の古いマンションの動きを見ると、全く異なる市場が形成されています。

旧耐震基準のマンションでは、2023年以降むしろ在庫が減少し、その後も低い水準で安定的に推移しています。築古マンションであるにもかかわらず流動性が失われていないことは、港区という立地が持つ需要の強さを示しています。

一般的には築年数が古いマンションは敬遠されやすいと考えられますが、港区では事情が異なります。築古マンションは築浅物件と比較して価格が抑えられており、「港区に住みたい」という実需層にとって現実的な選択肢となっています。

近年は新築マンション価格や築浅中古マンション価格が急激に上昇したことで、多くの購入希望者が予算内で購入できる物件を探すようになりました。その結果、築古マンションへ需要がシフトし、一定の流動性が維持されていると考えられます。

また、築古マンションは投資対象になりにくいという特徴もあります。短期間で大幅な値上がりを期待する投資家よりも、自ら居住することを目的とした実需層が中心となるため、市場価格も比較的安定しやすい傾向があります。

つまり港区では、「築古だから売れない」のではなく、「価格とのバランスが取れているため売れる」という構図が成立しているのです。

価格調整は港区全体ではなく一部のマンションに集中している

こうした築年別の動きを比較すると、現在港区で起きている価格調整は、市場全体に広がっているわけではないことが分かります。

調整の中心となっているのは、築年が比較的新しく、高価格帯で、さらに港区を象徴するようなブランド性を持つマンションです。

このようなマンションは再開発やブランドイメージなどを背景に国内外から投資資金が流入し、短期間で価格が大幅に上昇しました。実需による価格形成だけではなく、「さらに値上がりする」という期待が価格を押し上げる局面も少なくありませんでした。

しかし、どの市場にも価格には需要が受け入れられる限界があります。

価格が実際の利用価値や所得水準を大きく上回るようになると、購入できる層は急速に減少し、市場は徐々に流動性を失います。その結果、売り物件が市場に滞留し始め、値下げや価格調整が発生するようになります。

現在の港区市場は、まさにその局面に差しかかっていると考えられます。

一方で、港区内のすべてのマンションが同じ状況にあるわけではありません。価格帯や築年、規模、購入層によって市場環境は大きく異なり、「港区だから危ない」「港区だから値下がりする」と一括りに評価することは適切ではありません。

市場は物件ごとに二極化が進んでおり、個別分析の重要性はこれまで以上に高まっています。

1983年~2000年築マンションは安定した市場を形成

1983年から2000年築のマンションの在庫推移を見ると、在庫はやや増加しているものの、その増加ペースは非常に緩やかです。

特に2006年以降築マンションと比較すると、在庫水準ははるかに低く、大きな市場の変調は確認できません。

この年代のマンションは、港区というブランド立地を享受しながらも価格が築浅マンションほど高騰しておらず、実需と投資需要のバランスが取れています。

そのため価格変動も比較的小さく、市場参加者が幅広いことから流動性も維持されやすい特徴があります。

価格だけが先行して上昇した築浅マンションとは異なり、利用価値と市場価格のバランスが取れていることが、この年代のマンション市場を安定させている要因と考えられます。

建築工事費と供給量から見る「価値ある築年」

以下のグラフは、港区における新築マンションの供給戸数と建築工事費デフレーターの推移を示しています。

出典:福嶋総研

建築工事費デフレーターとは、建築コストが物価変動を考慮した上でどの程度上昇しているかを示す指標です。現在は建設資材価格の高騰、人件費の上昇、慢性的な人手不足などが重なり、建築工事費デフレーターは非常に高い水準となっています。

つまり、現在はマンションを建設するためのコストが歴史的にも高い局面にあるということです。

一方、2000年から2006年頃を見ると、建築工事費デフレーターは現在より低い水準で推移しており、それにもかかわらず新築マンションの供給棟数は非常に多くなっていました。

供給量が多いということは、デベロッパー同士の競争も激しかったことを意味します。競争が激しい市場では、設備仕様やデザイン、共用施設、管理品質などで差別化を図る必要があるため、マンションそのものの品質向上が進みやすくなります。

さらに建築コストが現在ほど高くなかったことから、コストを品質向上へ振り向ける余地も大きく、結果として現在でも高い評価を受けるマンションが数多く供給された時代でした。

現在のように建築コストが高騰すると、分譲価格を抑えるために専有面積の縮小や仕様の見直しが行われるケースも増えています。そのため、「築年が新しいから必ずしも品質が高い」とは言い切れない時代になっています。

港区市場を中長期的な視点で考えると、2000年から2006年頃に供給されたマンションは、流動性・立地・品質・価格のバランスに優れた希少なストックとして、今後さらに市場から評価される可能性があります。

築年だけでは資産価値は判断できません。供給された時代背景や建築コスト、競争環境まで含めて分析することで、本当に価値のあるマンションが見えてくるのではないでしょうか。

 

筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室 

不動産データ分析責任者

福嶋総研

代表研究員

福嶋総研代表研究員。早稲田大学理工学部卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。

福嶋総研 公式ページ

https://mansionresearch.co.jp/fri/

メルマガ配信申込フォーム

https://forms.gle/bQizYbozk35QoMJ67

【マンションリサーチ株式会社その他サービスURL】

■全国14万棟 分譲マンション価格相場公開サイト『マンションナビ』

https://t23m-navi.jp/

■不動産データクラウド

https://fudosan-data.jp/

■ロボ査定

https://robosatei.jp/

■分譲マンション、土地、戸建てデータ販売

https://mansionresearch.co.jp/re-data/

【不動産市場解説動画チャンネル】

https://www.youtube.com/@mansionresearch/videos

【マンションリサーチ株式会社について】

マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。

会社名: マンションリサーチ株式会社

代表取締役社長: 山田力

所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階

設立年月日: 2011年4月

資本金 : 1億円

すべての画像


会社概要

マンションリサーチ株式会社

31フォロワー

RSS
URL
https://mansionresearch.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区神田美土代町5−2 第2日成ビル 5階
電話番号
03-5577-2041
代表者名
山田 力
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2011年04月