グラント・特許・論文におけるキーワード出現頻度からみた「メタバース」、すでに基礎研究段階は過ぎ、社会実装段階へシフト
アスタミューゼ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 永井歩)は、自社のイノベーションデータベースの解析から、メタバースに関わるさまざまな注目キーワード(decentralized, cyber-physical 等)の出現頻度が急速に増加傾向にあり、あわせてデータ種別ごとの統計分析からメタバースの分野が基礎研究段階から社会実装段階へとシフトしつつあること、さらに萌芽領域においては深掘り研究が進んでいることを明らかにしました。その分析内容と結果について今回ご報告します。
アスタミューゼでは、技術とそれを生み出す人物(イノベータ)のデータから中長期的にプレイヤーチェンジを起こす可能性のある動きを特定し、その解析結果にアナリストの考察を加えた「未来予測」手法を提供しています。当レポートでは「未来予測」手法により導き出された未来を領域ごとにご紹介します。
メタバース元年:web3経済が始まる
ここ最近、3D仮想空間であるメタバース(metaverse)が話題に上らない日はありません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるデジタルツイン(ミラーワールド)がリアルワールドのVR化であるのに対し、メタバースはリアルの鋳型を必要としない仮想世界です。PCの画面上だけのリモート会議と異なり、メタバース会議では、仮想空間の中に各自がアバターを使ってあたかも現地にいるかのように一堂に会して議論したり旅行やライブイベントなどに参加したりできるのです。
メタバースはXR(VR/AR/MR)のほか、テレイグジスタンスやホログラフィ、空間投影も使いますし、CPS(cyber-physical system)やデジタルツインといったリアルワールドとバーチャルワールドを行き来する多元的並行世界でもあります。
さらに、メタバースでは、ブロックチェーン応用技術である暗号資産(仮想通貨)やNFT(non-fungible token; 非代替性トークン)、DeFi(Decentralized Finance; 分散型金融)をマネタイズ手段として使うことで、ゲームやアート、エンタメだけでなく、さまざまなビジネスや研究開発・モノづくりなどの生産活動、社会活動(政治や社会貢献等)を展開できる可能性が広がっています。
※解析手法の概要は以下リンク参照。
https://www.astamuse.co.jp/news/2022/0316/
今回解析した特許、グラント、論文の具体的な事例を紹介することで、さらに詳しく説明したいと思います。ここで紹介するのは今回の解析結果のごく一部であり、メタバースの未来を網羅したものではありません。
トークン経済・サイバー資本主義
ブロックチェーンを利用したDeFi(分散型金融:ディーファイ)は、すでにスマートコントラクトとしてモバイル決済などにも利用されていますが、メタバース構築が進むと、暗号資産やNFTを含むトークン発行による価値交換が一般化し、トークンで出資者を集め、トークン価値向上で時価総額を上げていく新しいトークン資本主義に基づく企業が次々に生まれる可能性が考えられます。
事例1は、トークンに、コンプライアンスを促進するためのルールセットを含み、仲介者を必要としない自律分散的な金融取引を目指した米国特許です。
https://www.astamuse.co.jp/report/2022/220624-metaverse/
メタバースの未来展望
2007年ごろには今のメタバースとあまり変わらない仮想現実世界のビジョンができていました。
当時より遥かに進化した情報通信・デジタル化技術によって多人数が同時アクセスできるストレスがより少ないVR空間ができていること、さらに、コロナ禍の影響もあって、世界中の人々がリモート環境でのコミュニケーションにある程度慣れていることなどが重なり、いよいよ、メタバースの時代が始まったということが実感できます。
セキュリティやリテラシーの問題が大きな懸念事項としてありますが、これ自体は人類が人類である以上なくなる問題ではありません。いかにレジリエントな(弾力性・回復力のある)仕組みを作っていくかが重要と言えます。万が一、騙されたとしても被害が最小限ですぐに修復可能な仕組み、いわば、集団免疫的な仕組みをメタバースに組み込むことも大きな課題になるかもしれません。
今回のメタバースの未来推定・萌芽探索の中で強く示唆されるのは、知覚の刺激や関心の誘発などによるエンゲージメントの強化と、社会課題解決の促進という流れです。
大きくて重いHMDがメタバース発展の障害になるという意見もありますが、網膜投影グラスやウェアラブル脳インターフェース、ヒアラブル多言語処理AIなどの応用により、今後数年以内に解決される問題と思われます。
アスタミューゼでは、新規事業開発や企業の中長期の経営計画策定、研究開発計画の立案などに際し、データドリブンでより解像度の高い未来予測/把握をご提供いたします。
アスタミューゼ「未来予測」に関するリリースは以下です。
アスタミューゼ株式会社 広報担当 E-Mail: press@astamuse.co.jp
https://www.astamuse.co.jp/contact/
メタバース元年:web3経済が始まる
ここ最近、3D仮想空間であるメタバース(metaverse)が話題に上らない日はありません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるデジタルツイン(ミラーワールド)がリアルワールドのVR化であるのに対し、メタバースはリアルの鋳型を必要としない仮想世界です。PCの画面上だけのリモート会議と異なり、メタバース会議では、仮想空間の中に各自がアバターを使ってあたかも現地にいるかのように一堂に会して議論したり旅行やライブイベントなどに参加したりできるのです。
メタバースはXR(VR/AR/MR)のほか、テレイグジスタンスやホログラフィ、空間投影も使いますし、CPS(cyber-physical system)やデジタルツインといったリアルワールドとバーチャルワールドを行き来する多元的並行世界でもあります。
さらに、メタバースでは、ブロックチェーン応用技術である暗号資産(仮想通貨)やNFT(non-fungible token; 非代替性トークン)、DeFi(Decentralized Finance; 分散型金融)をマネタイズ手段として使うことで、ゲームやアート、エンタメだけでなく、さまざまなビジネスや研究開発・モノづくりなどの生産活動、社会活動(政治や社会貢献等)を展開できる可能性が広がっています。
進化を続けるインターネット環境は、Web1.0(据置サーバーと静的ウェブ)からWeb2.0(クラウドとインタラクティブウェブ・SNS)、そして今、Web3.0(web3)の時代が始まろうとしています。アスタミューゼの定義する「未来を創る成長領域136」の中にも「100. Web3.0・メタバース・NFT」が含まれています。web3には未だ明確な定義はありませんが、AIやIoT、XR、ブロックチェーン等の先端技術が有機的に一体化し、Society5.0や都市OSとも連携する世界観であり、メタバースに極めて親和性の高い概念です(ただし、すべてのメタバースがブロックチェーンやNFTを組み入れているわけではありません)。
今回、弊社イノベーションデータベースの解析から、メタバースに関わるさまざまな注目キーワード(decentralized, cyber-physical 等)の出現頻度が、近年急速に増加傾向にあること、また、データ種別ごとの統計分析から、グラント>特許>論文の順にそれらキーワードの増大が見られることが分かりました。このことから、この分野が基礎研究段階から社会実装段階へとシフトしつつあること、さらに萌芽領域においては深掘り研究が進んでいることがうかがえます。
そして、そこから見えてきた「メタバースの未来」の一端を、ご紹介しましょう。
※解析手法の概要は以下リンク参照。
https://www.astamuse.co.jp/news/2022/0316/
メタバースで始まる未来
今回解析した特許、グラント、論文の具体的な事例を紹介することで、さらに詳しく説明したいと思います。ここで紹介するのは今回の解析結果のごく一部であり、メタバースの未来を網羅したものではありません。
- トークン経済・サイバー資本主義
- セキュリティ、メディアリテラシー
- マーケティング
- ソーシャル・ウェルビーイング
トークン経済・サイバー資本主義
ブロックチェーンを利用したDeFi(分散型金融:ディーファイ)は、すでにスマートコントラクトとしてモバイル決済などにも利用されていますが、メタバース構築が進むと、暗号資産やNFTを含むトークン発行による価値交換が一般化し、トークンで出資者を集め、トークン価値向上で時価総額を上げていく新しいトークン資本主義に基づく企業が次々に生まれる可能性が考えられます。
事例1は、トークンに、コンプライアンスを促進するためのルールセットを含み、仲介者を必要としない自律分散的な金融取引を目指した米国特許です。
事例2は、今後VR空間で増えると予想される取引上のトラブルに備え、特に契約時の意思決定能力の評価法を研究した日本のグラント(科研費)の例です。こうした研究を基礎に、意思決定力や判断力の向上を図るVRゲームが作成されるかもしれません。
「セキュリティ、メディアリテラシー」、「マーケティング」、「ソーシャル・ウェルビーイング」の各分野の詳細説明と事例については下記を御覧ください。
https://www.astamuse.co.jp/report/2022/220624-metaverse/
メタバースの未来展望
2007年ごろには今のメタバースとあまり変わらない仮想現実世界のビジョンができていました。
当時より遥かに進化した情報通信・デジタル化技術によって多人数が同時アクセスできるストレスがより少ないVR空間ができていること、さらに、コロナ禍の影響もあって、世界中の人々がリモート環境でのコミュニケーションにある程度慣れていることなどが重なり、いよいよ、メタバースの時代が始まったということが実感できます。
セキュリティやリテラシーの問題が大きな懸念事項としてありますが、これ自体は人類が人類である以上なくなる問題ではありません。いかにレジリエントな(弾力性・回復力のある)仕組みを作っていくかが重要と言えます。万が一、騙されたとしても被害が最小限ですぐに修復可能な仕組み、いわば、集団免疫的な仕組みをメタバースに組み込むことも大きな課題になるかもしれません。
今回のメタバースの未来推定・萌芽探索の中で強く示唆されるのは、知覚の刺激や関心の誘発などによるエンゲージメントの強化と、社会課題解決の促進という流れです。
大きくて重いHMDがメタバース発展の障害になるという意見もありますが、網膜投影グラスやウェアラブル脳インターフェース、ヒアラブル多言語処理AIなどの応用により、今後数年以内に解決される問題と思われます。
【参考】人工感覚器の革新 「補う」から「身体拡張」へ(朝日新聞GLOBE+) https://globe.asahi.com/feature/11034212 |
<著者:アスタミューゼ エグゼクティブチーフサイエンティスト 川口伸明(薬学博士)>
さらに詳しい分析は……
アスタミューゼでは、新規事業開発や企業の中長期の経営計画策定、研究開発計画の立案などに際し、データドリブンでより解像度の高い未来予測/把握をご提供いたします。
アスタミューゼ「未来予測」に関するリリースは以下です。
データ解析による「未来予測」の新手法の提供を開始 https://www.astamuse.co.jp/news/2022/0316/ |
【本件に対する問い合わせ】
アスタミューゼ株式会社 広報担当 E-Mail: press@astamuse.co.jp
https://www.astamuse.co.jp/contact/
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