GPCI(世界の都市総合力ランキング)2025で東京がニューヨークを抜き第2位に~都市政策の専門家と不動産業界の経営者が、2026年以降の東京を展望する~
グローバル都市不動産研究所 第37弾(都市政策の第一人者 市川宏雄氏監修)

投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発等を目的に、明治大学名誉教授・森記念財団理事である市川宏雄氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。
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このたび同研究所では第37弾の特別企画として、2025年12月17日に森記念財団 都市戦略研究所が発表したGPCI(世界の都市総合力ランキング)2025のデータをもとに、東京の強み・課題について市川所長とGLM金社長による対談形式で解説します。
【01】東京の世界的評価
金社長:本日はよろしくお願いします。世界経済が不安定な中、東京の都市としての力や不動産市場環境についてお話を伺い、2026年以降の展望を描きたいと考えています。まず、都市としての「東京」について、最近の動向や注目すべきポイントは何でしょうか。
市川所長:よろしくお願いします。今年の大きなニュースは、先日(2025年12月17日)発表された「2025年世界都市ランキング」(森記念財団 都市戦略研究所)において東京が初めて2位に上昇したことです。従来はロンドン、ニューヨーク、東京の順でしたが、今回はニューヨークを抜きました。
東京は先進国で世界最大級の都市圏であり、メガシティ運営のノウハウは他都市には真似できません。都心に複数の拠点(丸の内・大手町、八重洲・日本橋、六本木・虎ノ門、渋谷、新宿、池袋等)が存在し、それぞれ特徴を持つ点もユニークです。また、効率性や安全性、ホスピタリティなど、都市としての総合力が高いのが特徴です。

金社長:今回、東京が2位となった主な理由は何でしょうか。
市川所長:東京のスコアが2年連続で上昇し、逆にニューヨークのスコアが下がったことが大きな要因です。今後はロンドンを抜けるか注目されるでしょう。

金社長:東京は、具体的には、どの項目で評価が上がったのでしょうか。
市川所長:「文化・交流」と「居住」分野での評価向上が大きな要因です。
「文化・交流」分野では、特に観光地・ナイトライフの充実度が上がっており、外国人訪問者数の増加も評価されています。
「居住」分野では、働き方の柔軟性や飲食店の多さが評価されました。
このほか、スタートアップの増加も評価されました。また、企業のサステナビリティ評価や生物多様性といった新しい指標も加わり、環境面での評価も上昇しています。
金社長:今回の大きなポイントとして環境分野の指標が変更されたと伺いました。
弊社も環境認証を取得した物件を開発し、CDPスコアは2年連続でBランクを取得しています。ESGやサステナビリティの観点ではどう見ていますか。

市川所長:環境への取り組みが評価される時代となり、GLMも含め、東京の企業はサステナビリティに積極的です。環境問題に熱心に取り組んでいることは投資家にとっても安心材料となります。ただし、環境だけを優先するのではなく、経済とのバランスが重要です。今後も民間企業の動きが市場を左右するでしょう。

金社長:今後、東京がロンドンを抜いて1位になるために強化すべき指標は何でしょうか。
市川所長:東京が弱いのは「ワークプレイス充実度」、つまりシェアオフィスが少ないということです。また、英語が話せる人材が少ないため「優秀な人材確保の容易性」も課題です。その他、賃金水準を向上することでロンドンとも戦える状況になります。
【02】東京の人口動態と不動産市場の現状
金社長:研究所の第35弾レポートでも分析しましたが、コロナ禍で一時的に減った人口が再び増加傾向にあり、直近の推計人口は1,420万人を突破しています。東京一極集中は続くと見ていますか。

市川所長:東京都の人口はコロナ禍を経て過去最大となり、特に15歳から29歳の若者や外国人が増えています。自然増(出生数)は減少していますが、社会増により都心回帰が進み、東京23区の人口ピークは2035年と予測しています。
金社長:若者と高齢者の増加により、今後相続も含めて東京の土地の売買やバリューアップが進むのではないかと予想していますが、いかがでしょうか。
市川所長:私も同じ意見です。今後10年程度は人口増加と強い都市力により安定した成長が続くと予測しています。また東京の人口のうち2割以上が70歳以上の高齢者とされ、今後相続や土地の売買が活発化し、不動産の流動性が高まる可能性もあります。東京の不動産市場の最大リスクは、大地震や富士山噴火などの自然災害ですが、それに対する準備は世界トップレベルです。さすがに大噴火がいつ起こるのかは分かりませんが、それ以外の要因での大きな崩壊は考えにくいと思っています。
金社長:不動産価格や投資環境についてはどうでしょうか。東京の不動産価格がやや過剰に高騰しているという指摘もありますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
市川所長:東京の不動産価格は世界の主要都市と比べてまだ割安です。コロナ禍でも住宅価格は下がらず、むしろ上昇傾向にあります。オフィスの空室率も低く、投資家からの注目が集まっています。今後も大きく下がる要因は見当たりません。
【03】東京の不動産市場の展望と課題
金社長:今後、東京で注目すべきエリアはありますか。
市川所長:都心中枢部は引き続き安定していますが、開発コストの上昇で中野など一部エリアでは開発が遅延・中止となっています。今後は東京の東や北のエリア、例えば墨田区や江東区、板橋区などに不動産需要が広がる傾向があります。また、ベイエリアの開発や臨海地下鉄新線など、新たなインフラ整備も注目ポイントです。
そのうえで東京全体の開発を見てみると、重心は年々南下しており、日本橋から品川、さらに羽田へと向かう軸で再開発が進行しています。特に品川〜天王洲〜大井町周辺は、羽田へのアクセスの向上を背景に評価が高まっており、今後の成長が期待されます。

金社長:前回、第36弾のレポートでは東京の地価を調査・分析しており、商業地は台東区の浅草周辺、中央区の新富町など、一気に高騰しているエリアの周辺が上がっていることが分かりました。
今後の東京不動産市場について、どのような見通しをお持ちですか。
市川所長:短期的には4~5年は安定が続くと見ています。人口増加や投資マネーの流入も続くでしょう。政治の安定や都市としての魅力は引き続き強みです。
金社長:現場ではここ数年、国内外の機関投資家が東京の不動産に積極的に投資していると実感しています。価格だけでなく金利も低いため、投資資金の回収率が高く、インフレで賃料が上がっていくフェーズになり、今後さらに集まるのではと予想しています。日本の金利が上がったとしても、各先進国の政策金利と同じような条件になり、都市力の強い東京に世界のマネーが継続して集まるのではないかという仮説を立てているのですが、いかがでしょうか。
市川所長:私も同様の見解です。世界経済が不安定である中、日本の政治的・経済的な安定が投資継続の鍵となります。
金社長:東京の魅力はよく理解できました。一方で、東京が抱えている課題やリスクはありますか。
市川所長:当面は、先ほど触れた開発コストの上昇に伴って、一部のエリアで開発の遅延・中止が発生していることでしょう。エリア開発の動向はよく注視しておく必要があります。
2030年以降は労働力不足や世界情勢の変化など新たな課題が出てくる可能性があります。世界情勢の変化については予測しきれませんが、労働力不足の面では、これを補う技術の進化と都市の関係に注目すると良いでしょう。とくにスタートアップの増加にもかかわるので、AIを中心にした技術者がビジネス・生活しやすい環境になっているか、今後の都市力にかかわってくるのではないでしょうか。
金社長:GLMでは、オフィスを中心に中古物件を仕入れて、セキュリティやデザイン性を向上させるバリューアップを数年前から事業化しています。再生事業は機関投資家のニーズもあり、市場性を実感しています。
市川所長:投資の観点だけでなく、入居者の観点でも、中古物件の賃料、デザイン性、そしてセキュリティは、AIを中心にしたスタートアップにとっては魅力でしょう。
順位が下がったニューヨークは物価の上昇に伴って生活しづらくなり、観光客も頭打ちの傾向がありますが、東京は海外の主要都市と比べれば物価が安く、観光客も増えているため、状況が異なります。東京は、自然災害を除けば、大きな不安要因はないと考えています。
金社長:本日は貴重なお話をありがとうございました。今後も東京の不動産市場に大きな可能性を感じました。
市川所長:ありがとうございました。今後も東京都の動向を注視していきたいと思います。

会社概要
会社名 :株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社HP :https://www.global-link-m.com/
所在地 :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
代表者 :代表取締役社長 金 大仲
設立年月日 :2005年3月
資本金 :6億10百万円(2025年6月末現在)
業務内容 :不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、再生、土地企画)
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