「AIは本当に部下になれるのか」──AIのミス、責任は「上司が負うべき」34.4%。AIエージェント導入は33.5%にとどまる

業界別「AIエージェント導入調査」で見えてきた企業とAIの共存モデル

フロンティア株式会社

フロンティア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:高橋 政裕)は、広告・情報通信サービス、機械・製造、食品・外食、教育、医療・ヘルスケア、金融業界で働く経営層・管理職・事業責任者・DX/企画担当者1,020名を対象に、「各業界におけるAIエージェント導入状況・理解度・活用レベル・課題・今後の展望」に関する調査を実施しました。

生成AIの普及により、企業活動におけるAIの役割は急速に変化しています。単なる業務支援ツールではなく、意思決定や顧客対応までを担う"擬似メンバー"としての活用も視野に入るようになってきました。

では、企業の現場ではAIエージェントをどのように捉え、どこまでの業務や判断を任せようとしているのでしょうか。さらに、AIエージェントを人材として扱う際に、評価や責任の所在はどう考えられているのでしょうか。

本調査から見えてきたのは、AIエージェントを"擬似的な部下"として扱う際の、企業の慎重かつ現実的な姿勢です。

【調査サマリー】

  • 導入率は33.5%にとどまるも、実務での活用は着実に進行中

  • AIの判断ミス時の責任は「業務を任せた上司・管理者」(34.4%)が負うべきとの声が最多

  • 企業が最も重視する評価項目は「正確性・ミスの少なさ」(45.9%)と「業務スピード・生産性」(45.0%)

  • 任せてもよい業務は「単純作業・アシスタント業務」(43.6%)「調査・分析」(43.1%)が上位

  • 理想的なポジションは「一般的なアシスタント・サポート役」(32.1%)─意思決定者ではなく「判断を支える部下」へ

AIエージェント導入は33.5%、その背景にある「責任の所在」への慎重姿勢

「働いている企業ではAIエージェントを導入しているか」について尋ねたところ、33.5%が『導入している』と回答しました。

AIエージェントは注目度の高いテーマである一方、実際に導入に踏み切っている企業はまだ限定的であることが示されました。導入にはシステム連携や業務設計、セキュリティ対応など複合的な検討が必要となるため、関心はあっても実行に移せていない企業が多いと考えられます。

1.AIが業務判断を誤った場合、誰が責任を負うべきか?

「AIエージェントが業務判断を誤った場合、主に誰が責任を負うべきか」について尋ねたところ、『業務を任せた人(上司・管理者など)』(34.4%)が最多で、『ケースバイケースで判断すべき』(20.3%)、『AIエージェントの提供企業や開発元』(17.3%)と続きました。

この結果からは、AIエージェントが業務判断に関与する場合であっても、責任の所在を明確に人の側で定義すべきだと考える意識が強いことがうかがえます。

特に「業務を任せた上司・管理者」が最多となったことから、AIエージェントの判断内容そのものではなく、活用方針や業務への組み込みを決定した立場が責任を負うべきだという考え方が、多くの企業で共有されていると考えられます。

一方で、「ケースバイケースで判断すべき」という回答が一定数を占めていることから、AIエージェントの関与度合いや判断プロセスによって責任の所在が変わり得るという曖昧さも残されています。

この結果から、AIエージェント導入の進展に伴い、運用体制やガバナンスの明確化が重要課題になると考えられます。

2. 評価基準は人間と同じ─「正確性」「スピード」「自律性」

AIエージェントを導入済みの企業に「AIエージェントを部下として評価する際、重視する項目」について尋ねたところ、『正確性・ミスの少なさ』(45.9%)が最多で、『業務のスピード・生産性』(45.0%)、『自律性・判断力』(33.0%)と続きました。

企業はAIエージェントに対して、人間と同様の成果指標を求めていることが明らかになりました。「AIだから多少のミスは許容」という甘さはありません。

一方で、3割以上が「自律性・判断力」を評価基準に含めている点は注目に値します。これは、AIエージェントを単なる作業ツールではなく、思考や実務を補完する「判断を担う存在」として見始めている傾向がうかがえます。

今後は、AIエージェントの能力向上とともに、創造性や柔軟性といった定性的な評価軸の導入も進む可能性があります。

3. 「任せてもよい業務」と「任せたくない業務」の明確な境界線

「今後AIエージェントに任せてもよいと考える業務範囲」について尋ねたところ、『単純作業やアシスタント業務(スケジュール調整、リマインドなど)』(43.6%)が最も多く、『調査・分析などの支援業務(マーケット調査、顧客分析など)』(43.1%)、『タスクの自動実行(資料作成、メール送信、データ更新など)』(35.2%)と続きました。

AIエージェントの将来像としては、現在よりもさらに一段階ステップアップした役割を期待している様子がうかがえます。単なる作業代替にとどまらず、分析や改善提案といった判断補助領域への拡張を視野に入れている企業が多いと考えられます。

一方で、経営判断や顧客対応など、人間による最終責任が伴う業務への委任は進んでいません。「どこまでAIを信頼して任せてよいか」という境界線の見極めが、今後の導入拡大に向けた大きな論点となっています。

4. 業界別の導入効果─医療は「意思決定スピード」、製造は「負荷軽減」、教育は「管理の手間増」

AIエージェントを導入している企業に「AIエージェントと働くことで業務にどのような変化があったか」について尋ねたところ、業界ごとに特徴的な傾向が見られました。

主な業界別の変化

【医療・ヘルスケア】

  • 業務の負荷が軽減された(45.2%)

  • 意思決定のスピードが上がった(42.9%)

  • 一部業務の効率化・自動化が進んだ(38.1%)

【機械・製造】

  • 業務の負荷が軽減された(51.9%)

  • 一部業務の効率化・自動化が進んだ(46.9%)

  • 業務の質が向上した(33.3%)

【教育】

  • 一部業務の効率化・自動化が進んだ(42.9%)

  • 業務の負荷が軽減された(40.0%)

  • 業務の質が向上した(40.0%)

  • 指示や管理の手間が増えた(34.3%)

特に注目すべきは、教育業界で「指示や管理の手間が増えた」という声が他業界より高い点。

AIを使いこなすには、かえって人間側の負担が増すケースもあることを示唆しています。

各業界の結果を見ると、AIエージェントによる変化は「一部業務の効率化・自動化が進んだ」や「業務の負荷が軽減された」といった項目が、業界を問わず上位に挙がっており、情報処理や資料作成など、定型的な業務においてAIエージェントの活用効果が実感されやすい状況がうかがえます。

業界によって変化があった業務は異なるものの、全体としては人の判断や専門性を置き換える存在というより、業務を下支えし、余力を生み出す役割として受け入れられている段階にあると言えるでしょう。

5. 理想のポジションは「意思決定者」ではなく「アシスタント」

「今後、AIエージェントが組織で担うべき最も理想的なポジション」について尋ねたところ、『一般的なアシスタント・サポート役』(32.1%)が最多で、『専門性の高い助言役・アナリスト』(21.8%)、『プロジェクトマネージャー』(14.2%)と続きました。

企業はAIエージェントに過度な権限を与えるよりも、まずは業務を支える補佐的・協働的な役割を期待していることが明らかになりました。

「一般的なアシスタント・サポート役」が最多となったことから、AIエージェントを組織運営の中心に置くというより、生産性や判断精度を高める実務パートナーとして捉えていることを示しています。

一方で、「助言役」や「プロジェクトマネージャー」といったレベルの高い工程への関与を挙げる声もあり、AIエージェントにより高度な分析・管理能力を求める動きも見られます。これらは、前述の「分析支援」や「進行管理」への信頼の高まりとも整合しています。

総じて現時点では、AIエージェントを主導的な意思決定者よりも人の判断を補完する協働存在として位置づける傾向が強く、今後の役割拡大は運用成果と信頼の蓄積に伴って段階的に進むと考えられます。

6. 導入の壁は「技術」より「人と組織の準備不足」

AIエージェント未導入企業に「導入にあたっての大きな障壁」を尋ねたところ、技術的課題よりも人材・組織の準備不足が上位を占めました。

業界別の主な障壁

機械・製造:人材のスキル不足(42.3%)

医療・ヘルスケア:人材のスキル不足(41.5%)

金融:人材のスキル不足(38.5%)

広告・情報通信:社内の理解・リテラシー不足(35.7%)、人材のスキル不足(35.7%)

AIエージェント導入の壁は技術的な課題よりも人と組織の準備不足に集中していることがわかります。多くの業界で「社内の理解不足」や「スキル不足」が上位に挙がっており、AIエージェントを使いこなすための教育や体制整備が追いついていない状況です。

一方で、「データ環境やセキュリティの課題」や「導入コストやROIが見えにくい」といった項目は、特定の業界に限らず複数の業界で上位に挙がっており、AIエージェント導入における共通課題となっていることが分かります。

これらを踏まえると、今後は技術導入そのものだけでなく、人材育成・組織文化・プロセス設計を含めた包括的な変革が求められると言えるでしょう。

【まとめ】AIエージェントは「部下」になれるか?企業が描く現実的な共存モデル

今回の調査から見えてきたのは、AIエージェントを"擬似的な部下"として扱う際の、企業の慎重かつ現実的な姿勢です。

  • 正確性と生産性を人間並みに求めつつ、最終責任は人が負う

  • 定型業務や分析支援には積極活用するが、経営判断や顧客対応には慎重

  • 導入の壁は技術ではなく、人材育成と組織文化の準備不足

  • 理想のポジションは「意思決定者」ではなく「判断を支えるアシスタント」

AIは今、"部下"になる手前の段階として、人の判断を補完し、業務を下支えする存在として企業に受け入れられ始めています。

今後は、運用事例の共有や社内教育を通じて理解促進と活用拡大が進む一方で、責任の所在やガバナンスの明確化が重要課題になると考えられます。

【調査概要】

調査名:「各業界におけるAIエージェント導入状況・理解度・活用レベル・課題・今後の展望」に関する調査

調査期間:2025年12月5日(金)~2025年12月9日(火)

調査方法:PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査

調査対象:①広告・情報通信サービス②機械・製造③食品・外食④教育⑤医療・ヘルスケア⑥金融業界で働く経営層・管理職・事業責任者・DX/企画担当者

有効回答数:1,020名(①174名/②185名/③159名/④157名/⑤189名/⑥156名)

調査実施:フロンティア株式会社(https://frontier-gr.jp/)

モニター提供元:PRIZMAリサーチ

ビジネスマッチングサービス『Ready Crew(レディクル)』

今回、「各業界におけるAIエージェント導入状況・理解度・活用レベル・課題・今後の展望」に関する調査を実施したフロンティア株式会社https://frontier-gr.jp/)は、企業と企業をつなぐビジネスマッチングサービス『Ready Crew(レディクル)』を運営しています。

レディクルは、AI導入に関するご相談を多くいただいており実践的な支援が可能です。

ご相談は無料ですので、AI導入におけるお悩みがある企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

■Ready Crew(レディクル)とは

レディクルは、上場企業2,800社の利用実績がある企業と企業をつなぐビジネスマッチングエージェントです。高い傾聴力・提案力を併せ持つコンシェルジュが、システム、プロモーション他、企業のあらゆる発注業務に関わる悩みをヒアリングいたします。伺った内容を元に、レディクル独自のシステムで幅広いネットワークの中から最適な企業をご紹介いたします。受注先のパートナー企業様からのみ費用を頂いており、発注元の企業様からは一切費用を頂いておりません。

レディクルご活用事例

https://readycrew.jp/results/

【会社概要】

社名    :フロンティア株式会社

本社所在地 :東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー14階・15階

代表者   :代表取締役 高橋 政裕

事業内容  :ビジネスマッチングエージェント「レディクル」の運営

創業    :2009年11月

URL    :https://frontier-gr.jp/

【公式SNS】

Facebook  :https://www.facebook.com/ReadyCrew

X      :https://x.com/readycrew1111

LinkedIn   :https://www.linkedin.com/company/78123988/admin/dashboard/

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業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー14階、15階
電話番号
0120-311-532
代表者名
高橋 政裕
上場
未上場
資本金
3000万円
設立
2009年11月