「働き方改革」 求められるのは有給休暇の取得しやすさと残業削減
意識調査で性別や雇用形態によるニーズの違いも明らかに
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、自主企画調査「
働き方に関するアンケート」を実施しました。全国の20~69歳の被雇用者(会社員・公務員ら雇用されて働いている人)の男女5662人を対象にしたインターネット調査で、働き方の実態や意識を尋ねたものです。
調査結果のポイント
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考察
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「一億総活躍社会」の実現に向けて、企業文化や生活の在り方を変える「働き方改革」の必要性が叫ばれていますが、この言葉の認知率は全体で約6割にとどまりました。特に若い女性の認知率が低く、現時点では十分に浸透していないことがわかります。
「働き方改革」の内容については、「有給休暇が取りやすくなる」、「残業が少なくなる」、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」、「同一労働・同一賃金になる」といったことが必要であるという意見が多く見られます。一位に挙がった「有給休暇」は、平均付与日数15.4日に対して平均取得日数は9.7日。平均取得率は67.4%ですが、まったく取得できていない人が約1割いるように、取得状況の差が大きいのが現状です。
また、正規社員・職員の男性は残業削減、女性は柔軟な働き方、非正規社員・職員は平等と、性別や雇用形態によって「働き方改革」に必要とする内容は異なっていることが明らかになりました。こうした意識の違いも踏まえて、取り組みを推進していく必要があると考えられます。
分析者: 菊地 麻莉子 (公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
【報道関係のお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
経営企画部 担当:宇和野/萩森
TEL:042-476-5300 FAX:042-476-5303
【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 担当:菊地
TEL:03-5294-8325
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input
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調査結果の詳細
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「働き方改革」の認知率は約6割
雇用されて働いている人(会社員・公務員、正規・非正規含む)に「働き方改革」という言葉の認知を聞いたところ、「聞いたことがある」のは58.6%、「聞いたことがない」のは41.4%でした。
性別で見ると、男性よりも女性の方が「聞いたことがない」と回答している割合が高く、年代別では男女ともに20歳代の認知率が最も低くなっています。
図表1 「働き方改革」の認知率
【問】あなたは「働き方改革」という言葉を聞いたことがありますか。(単一回答)
「働き方改革」という言葉を聞いたことがある人に対して、どの程度知っているかを聞いたところ、「自社では取り組んでおらず、新聞やテレビ、他社の事例を見聞きする程度」が85.8%を占めています。今後自社でも取り組む予定、既に取り組みがなされているという人は、それぞれ10%未満にとどまっています。
図表2 「働き方改革」の認知の程度と自社での取り組み状況
【問】「働き方改革」という言葉を聞いたことがある方にお尋ねします。
どの程度ご存じですか。最もあてはまるものをお選びください。(単一回答)
「働き方改革」に求めるのは、有給休暇が取りやすくなることと残業削減
「有給休暇が取りやすくなる」(57.1%)、「残業が少なくなる」(48.7%)、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」(28.3%)、「同一労働・同一賃金になる」(27.4%)などが、「働き方改革」に主に必要であるとして挙げられています。
性別および雇用形態別に見ると、正規社員・職員の男性では「残業が少なくなる」こと、女性では「有給休暇が取りやすくなる」、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」、「在宅勤務が可能になる(取りやすくなる)」の割合が高くなっています。
一方、非正規社員・職員の場合には、男女ともに「同一労働・同一賃金になる」ことを求める割合が高いことが目立ちます。また、「性別、年齢、障がいの有無などに関わらず活躍できる社会になる」ことを挙げる割合も高く、平等に働ける環境が必要とされていることがわかります。
図表3 必要だと考える「働き方改革」(性別・雇用形態別)
【問】「働き方改革」という言葉を聞いたことがある方にお尋ねします。
あなたが必要と考える「働き方改革」とはどのような内容ですか。あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)
自社で「働き方改革」に取り組む予定、または既に取り組みがなされているという人が必要だと思うことは、「有給休暇が取りやすくなる」(61.0%)、「残業が少なくなる」(56.6%)、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」(39.0%)、「在宅勤務が可能になる(取りやすくなる)」(34.4%)などです。それに対して、職場で取り組んでいる・今後取り組もうとしていることは「残業が少なくなる」(75.8%)が最も高く、次いで「有給休暇が取りやすくなる」(63.4%)となっています。
残業削減は積極的に進められている一方で、就業時間の柔軟性や在宅勤務といった臨機応変な働き方、同一労働・同一賃金、副業の許可などの取り組みにはニーズとのギャップが見られます。
図表4 必要だと考える「働き方改革」と自社での取り組み状況
有給休暇の平均取得日数は9.7日、まったく取得していない人も約1割
過去一年間に有給休暇付与の対象となった人に対し、年度当初の付与日数と実際に取得した日数について聞いたところ、平均付与日数は15.4日、平均取得日数は9.7日でした。取得率を見てみると、「90%以上」有給休暇を取得した人が34.5%と約3分の1を占める一方、「0%」とまったく取得しなかった人が10.3%、「1~30%未満」の人が16.3%と、取得率が低い人も多く見られます。
【問】 過去1年間のあなたの有給休暇取得についてお尋ねします。※概ねで結構です。
代休や特別休暇は含めず「有給休暇」についてのみお答えください。転職をされている方は、現在の会社のことをお答えください。(数値回答)
※前年度からの繰り越し分を含めて取得した場合は【年度当初に付与された日数】を超えても構いません。
図表5-1 有給休暇の付与日数と取得日数
図表5-2 有給取得率
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調査概要
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:インテージ・ネットモニター 全国20歳以上69歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数10,000サンプル うち雇用されて働いている人 5,662人
調査期間:2017年3月30日(木)~3月31日(金)
調査内容:「働き方改革」の認知、働き方に対する意識、有給取得状況 等
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。
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次回は、「子どもに関する地域活動」について、6月末にリリース予定です。
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働き方に関するアンケート」を実施しました。全国の20~69歳の被雇用者(会社員・公務員ら雇用されて働いている人)の男女5662人を対象にしたインターネット調査で、働き方の実態や意識を尋ねたものです。
調査結果のポイント
- 「働き方改革」の認知率は58.6%で、男性よりも女性の認知率が低い。特に20歳代の女性で「聞いたことがある」と回答した割合は43.1%にとどまっている(図表1)。
- 「働き方改革」という言葉を聞いたことがあっても、自分の勤務先で行われている(これから行われる)人は非常に少ない。そのほとんどが、「自社では取り組んでおらず、新聞やテレビ、他社の事例を見聞きする程度」である(図表2)。
- 「働き方改革」に必要と考えることは、性別や雇用形態によって違いが見られる。正規社員・職員の男性は残業削減、女性は有給取得や柔軟な働き方。また、非正規社員・職員の場合は同一労働・同一賃金や平等に活躍できる環境のニーズが高い(図表3)。
- 自社で「働き方改革」に取り組む予定、または既に取り組みがなされている人であっても、必要と考えることと取り組み状況に差が見られる。残業削減は進められている一方で、柔軟な働き方や同一労働・同一賃金、副業の許可などに、ニーズとのギャップがある(図表4)。
- 有給休暇の平均付与日数が15.4日であるのに対し、平均取得日数は9.7日(図表5-1)。「90%以上」取得できている人が34.5%いる一方で、まったく取得できていない人が10.3%おり、取得状況の差が大きい(図表5-2)。
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考察
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「一億総活躍社会」の実現に向けて、企業文化や生活の在り方を変える「働き方改革」の必要性が叫ばれていますが、この言葉の認知率は全体で約6割にとどまりました。特に若い女性の認知率が低く、現時点では十分に浸透していないことがわかります。
「働き方改革」の内容については、「有給休暇が取りやすくなる」、「残業が少なくなる」、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」、「同一労働・同一賃金になる」といったことが必要であるという意見が多く見られます。一位に挙がった「有給休暇」は、平均付与日数15.4日に対して平均取得日数は9.7日。平均取得率は67.4%ですが、まったく取得できていない人が約1割いるように、取得状況の差が大きいのが現状です。
また、正規社員・職員の男性は残業削減、女性は柔軟な働き方、非正規社員・職員は平等と、性別や雇用形態によって「働き方改革」に必要とする内容は異なっていることが明らかになりました。こうした意識の違いも踏まえて、取り組みを推進していく必要があると考えられます。
分析者: 菊地 麻莉子 (公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
【報道関係のお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
経営企画部 担当:宇和野/萩森
TEL:042-476-5300 FAX:042-476-5303
【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 担当:菊地
TEL:03-5294-8325
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input
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調査結果の詳細
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「働き方改革」の認知率は約6割
雇用されて働いている人(会社員・公務員、正規・非正規含む)に「働き方改革」という言葉の認知を聞いたところ、「聞いたことがある」のは58.6%、「聞いたことがない」のは41.4%でした。
性別で見ると、男性よりも女性の方が「聞いたことがない」と回答している割合が高く、年代別では男女ともに20歳代の認知率が最も低くなっています。
図表1 「働き方改革」の認知率
【問】あなたは「働き方改革」という言葉を聞いたことがありますか。(単一回答)
母数:調査時点で雇用されて働いている人(n=5,662)
「働き方改革」という言葉を聞いたことがある人に対して、どの程度知っているかを聞いたところ、「自社では取り組んでおらず、新聞やテレビ、他社の事例を見聞きする程度」が85.8%を占めています。今後自社でも取り組む予定、既に取り組みがなされているという人は、それぞれ10%未満にとどまっています。
図表2 「働き方改革」の認知の程度と自社での取り組み状況
【問】「働き方改革」という言葉を聞いたことがある方にお尋ねします。
どの程度ご存じですか。最もあてはまるものをお選びください。(単一回答)
母数:雇用されて働いている人のうち、「働き方改革」という言葉を聞いたことがある人(n=3,318)
「働き方改革」に求めるのは、有給休暇が取りやすくなることと残業削減
「有給休暇が取りやすくなる」(57.1%)、「残業が少なくなる」(48.7%)、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」(28.3%)、「同一労働・同一賃金になる」(27.4%)などが、「働き方改革」に主に必要であるとして挙げられています。
性別および雇用形態別に見ると、正規社員・職員の男性では「残業が少なくなる」こと、女性では「有給休暇が取りやすくなる」、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」、「在宅勤務が可能になる(取りやすくなる)」の割合が高くなっています。
一方、非正規社員・職員の場合には、男女ともに「同一労働・同一賃金になる」ことを求める割合が高いことが目立ちます。また、「性別、年齢、障がいの有無などに関わらず活躍できる社会になる」ことを挙げる割合も高く、平等に働ける環境が必要とされていることがわかります。
図表3 必要だと考える「働き方改革」(性別・雇用形態別)
【問】「働き方改革」という言葉を聞いたことがある方にお尋ねします。
あなたが必要と考える「働き方改革」とはどのような内容ですか。あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)
母数:雇用されて働いている人のうち、「働き方改革」という言葉を聞いたことがある人(n=3,318)
自社で「働き方改革」に取り組む予定、または既に取り組みがなされているという人が必要だと思うことは、「有給休暇が取りやすくなる」(61.0%)、「残業が少なくなる」(56.6%)、「始業・終業の時間が柔軟に決められるようになる」(39.0%)、「在宅勤務が可能になる(取りやすくなる)」(34.4%)などです。それに対して、職場で取り組んでいる・今後取り組もうとしていることは「残業が少なくなる」(75.8%)が最も高く、次いで「有給休暇が取りやすくなる」(63.4%)となっています。
残業削減は積極的に進められている一方で、就業時間の柔軟性や在宅勤務といった臨機応変な働き方、同一労働・同一賃金、副業の許可などの取り組みにはニーズとのギャップが見られます。
図表4 必要だと考える「働き方改革」と自社での取り組み状況
母数:「働き方改革」という言葉を聞いたことがある人のうち、自社で「働き方改革」に取り組む予定、または既に取り組んでいる人(n=459)
有給休暇の平均取得日数は9.7日、まったく取得していない人も約1割
過去一年間に有給休暇付与の対象となった人に対し、年度当初の付与日数と実際に取得した日数について聞いたところ、平均付与日数は15.4日、平均取得日数は9.7日でした。取得率を見てみると、「90%以上」有給休暇を取得した人が34.5%と約3分の1を占める一方、「0%」とまったく取得しなかった人が10.3%、「1~30%未満」の人が16.3%と、取得率が低い人も多く見られます。
【問】 過去1年間のあなたの有給休暇取得についてお尋ねします。※概ねで結構です。
代休や特別休暇は含めず「有給休暇」についてのみお答えください。転職をされている方は、現在の会社のことをお答えください。(数値回答)
※前年度からの繰り越し分を含めて取得した場合は【年度当初に付与された日数】を超えても構いません。
図表5-1 有給休暇の付与日数と取得日数
母数:雇用されて働いている人のうち、過去一年間に有給休暇付与の対象になった人(n=4,385)
図表5-2 有給取得率
母数:雇用されて働いている人のうち、過去一年間に有給休暇付与の対象になった人(n=4,385)
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調査概要
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:インテージ・ネットモニター 全国20歳以上69歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数10,000サンプル うち雇用されて働いている人 5,662人
調査期間:2017年3月30日(木)~3月31日(金)
調査内容:「働き方改革」の認知、働き方に対する意識、有給取得状況 等
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。
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次回は、「子どもに関する地域活動」について、6月末にリリース予定です。
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