長年食されてきた植物の力:メリンジョ由来ポリフェノールが 肥満および2型糖尿病の症状を改善

―グネチンCによる脂肪×肝への“二刀流”作用で効果を発揮―

国立大学法人熊本大学

●インドネシアで食用されてきた植物「メリンジョ」由来ポリフェノール、グネチンCが、肥満マウス において体重および空腹時血糖を有意に改善しました。

●脂肪組織ではPPARγ–DsbA-L経路を活性化し、アディポネクチン(APN)の高分子量多量体化を促進しました。

●肝臓ではSirt1を介してFGF21を誘導し、グネチンCによるSirt1活性化はレスベラトロールより強力であることが確認されました。

●脂肪組織と肝臓の双方に作用し、APNとFGF21を同時に高める天然由来成分として、グネチンCは代謝性疾患に対する新たなアプローチの可能性を示しました。

【概要説明】

熊本大学大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター(薬学系)の首藤剛准教授および大学院薬学教育部博士課程の岸本朋樹氏らの研究チームは、株式会社山田養蜂場との共同研究として、インドネシア原産の植物「メリンジョ(Gnetumgnemon)」の種子から得られるポリフェノール「グネチンC」に、肥満および2 型糖尿病の改善作用があることをマウスモデルで明らかにしました。
本研究では、高脂肪食で肥満状態となったマウスにグネチンC を4 週間投与し、体重、脂肪蓄積、空腹時血糖の改善効果を確認しました。その背景には、脂肪組織におけるアディポネクチンの高分子量多量体化を促すPPARγ–DsbA-L 経路の活性化、ならびに肝臓でのSirt1 依存的なFGF21 産生の増加が関わることを突き止めました。
FGF21 は、肝臓から分泌され、脂肪細胞のβKlotho とFGFR1 を介してAPN 活性をさらに高める「正のフィードフォワードループ」を形成することも示唆され、これらの機序も関わり、結果として、APN とFGF21 を同時に活性化し、全身の代謝バランスが改善されることが示されました。
この結果は、複数臓器を標的とする天然物治療の可能性を示す重要な成果です。本研究の成果は、Springer Nature の「Scientific Reports」(本年11月25日(日本時間)オンライン)に公開されました。

お問い合わせ

熊本大学大学院生命科学研究部附属

グローバル天然物科学研究センター

大学院薬学教育部 遺伝子機能応用学研究室

担当:首藤剛 (准教授)

電話: 096-371-4407

e-mail: tshuto@gpo.kumamoto-u.ac.jp

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業種
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本社所在地
熊本県熊本市中央区黒髪2-39-1
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096-344-2111
代表者名
小川 久雄
上場
未上場
資本金
-
設立
1949年05月