2026年度 日本食品科学工学会「論文賞」を受賞 咀嚼シミュレーター「MOG®」の開発により、ヒトの咀嚼過程におけるクッキーの“口どけ感”の可視化を実現
株式会社J-オイルミルズ(東京都中央区、代表取締役社長執行役員 CEO:春山 裕一郎)と大阪大学大学院工学研究科 東森充教授の研究グループは、「人工咀嚼※1過程におけるクッキーの経時的状態変化」に関する共同研究の成果が評価され、2026年8月26日(水曜日)~28日(金曜日)に開催されている第73回日本食品科学工学会(主催:公益社団法人日本食品科学工学会)において、2026年度日本食品科学工学会「論文賞」を受賞しました。当社は、風味・食感を演出するノウハウの蓄積や、科学的根拠のデータベースの構築などを通じて、「おいしさデザイン®」の進化を目指しています。本研究はその取り組みを支える研究成果の一つです。

本研究では、液体添加機能を搭載した咀嚼シミュレーター「MOG®」を開発し、クッキーのように咀嚼時に唾液を必要とする食品が、ヒトの咀嚼を模した条件で、時間とともにどのように変化するかを可視化しました。従来の評価装置では捉えにくかった咀嚼中期から後期の「口どけ感※2」に関わる変化について、咬合力などの力学データとクッキー断片群の画像データを組み合わせることで、評価指標として活用できる可能性を示しました。
J-オイルミルズでは、本研究を当社製品の販売拡大や油脂製品・テクスチャー素材※3(でんぷんなど)の開発につなげるほか、食品評価の質向上に貢献するため様々な業界との連携を進めてまいります。当社の使命である「おいしさデザイン®」で「食べる」と「つくる」の課題に向き合い、より良い社会の実現に貢献してまいります。
■日本食品科学工学会について
日本食品科学工学会は、食品科学工学に関する研究の発表、連絡、連携および促進をはかり、研究成果の普及、情報提供を通じて、科学・技術・文化の発展と国民の食生活の向上に寄与することを目的として、1953年に発足した学術団体です。約2,000人の会員および約180の賛助会員で構成されています。
2004年度に創設された同学会の「論文賞」は、日本食品科学工学会誌に掲載された年間論文の中から、編集委員会の厳正な審査を経て選ばれた論文(各年度原則2件)に授与されるものです。2026年度は約40件の掲載論文の中から、当社を含む計2件が受賞しました。
■研究の背景
当社は「おいしさデザイン®」を使命として掲げており、油脂製品のほか、テクスチャー素材の製造、販売も行っています。でんぷんは食感をコントロールすることで、おいしさの向上や保存安定性の向上などに役立っています。
食品のおいしさには味や香りだけでなく、歯ごたえ、弾力、舌触りなどの食感が大きく影響しており、食感を定量的に評価することは食品開発において重要です。しかし、従来行われてきた食品の硬さや弾力を測定する力学試験では咀嚼初期(数噛み目まで)の物性しか計測できないため、ヒトの咀嚼過程で変化するさまざまな食感が評価できない課題がありました。
そこで当社と大阪大学大学院工学研究科は、食品評価において重要な咀嚼の全工程、すなわち「食べ物を歯で噛む」「すりつぶす」「舌で唾液と混ぜ合わせる」「整えてまとめる」という一連の過程を再現・評価するため、2018年から共同研究を開始しました。
本共同研究では、従来の装置では再現が難しかった咀嚼の最終工程である「整えてまとめる」機能を持つ咀嚼シミュレーター「MOG®」を開発しました。さらに2025年には、液体※4を加える機能を新たに搭載しました。これにより、クッキーのような低水分食品が口の中で唾液と混ざり、時間とともにまとまりながら変化していく過程を、ヒトの咀嚼過程を模した条件下で再現できるようになりました。
その結果、従来の装置では評価が難しかった咀嚼中期から後期の“口どけ感”に関わる変化を、咬合力などの力学データと、クッキー断片群の画像データの両面から捉えることが可能となり、食品評価への応用可能性を示しました。
なお、咀嚼シミュレーター「MOG®」による咀嚼再現の様子は、以下の動画にて公開しています。
※1 食物を口に取り入れてから食べ物を飲み込みやすいように歯で食物を咬み、口の中で唾液と混ぜながら食塊(飲み込みやすい食べ物の塊)を作る一連の動作
※2 咀嚼中後期で感じるクッキー咀嚼物のペーストの粘度が低下し、大きく溶けたように感じる感覚と定義
※3 当社が「TXdeSIGN (テクスデザイン)」シリーズとして展開している、植物素材と独自技術を組み合わせた従来の素材では実現が難しかった新たなテクスチャーを創出する素材
※4 本研究では水を添加
■受賞論文について
・論文名:人工咀嚼過程における力学的・幾何学的計測によるクッキーの経時的状態変化の可視化
・著者名:加藤 優侑1、柴田 曉秀1、橋本 和紀2、長畑 雄也2、東森 充1
1:大阪大学、2:株式会社J-オイルミルズ
・掲載誌:日本食品科学工学会誌 第72 巻 第10 号 387-402 頁
ご参考(関連プレスリリース等)
・2025年6月9日発表
咀嚼シミュレーターに液体添加の新機能を搭載 ヒトの咀嚼の再現性向上、クッキーの“口どけ感”を見える化 -「おいしさデザイン®」を体現した研究が前進 –
・2024年3月26日発表
世界初!咀嚼ロボットを開発 ヒトの咀嚼の仕組みを再現し、食品の評価に活用 大阪大学大学院工学研究科との共同研究が学術誌「日本機械学会学術誌」に掲載
・2026年7月1日発表
食の課題解決に向けたBtoB向けお役立ちサイト「おいしさデザインラボ®」を開設 ~油脂とスターチ(でんぷん)を融合した「おいしさデザイン®」提案の発信拠点に~
株式会社J-オイルミルズ
株式会社J-オイルミルズ(東証プライム市場、証券コード2613)は2004 年に製油業界の3社が統合して誕生した、味の素グループの食用油メーカーです。 JOYL「AJINOMOTO ブランド オリーブオイル」をはじめとする油脂製品を主力とし、特に業務用油脂では高いシェアを誇ります。マーガリン類、油糧(ミール)、スターチ、機能性素材など幅広い事業を展開しており、プラスチック使用量を6割以上(※注)削減した紙パックの食用油シリーズやCFP(Carbon Footprint of Products)マークを取得した業務用の長持ち油「長徳®」シリーズなど、植物由来の原料から価値を引き出し「おいしさ×健康×低負荷」の実現を目指しています。
詳細については https://www.j-oil.com/ をご参照ください。
(※注) 当社計算。従来のプラスチック製の同容量帯容器と比較した場合。
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