ランスタッド調査で、日本の専門職市場:エンジニアリングの設計・開発、経営幹部の需要は「前年比7倍」と前例のない上昇
ランスタッドは日本の「エンジニアリング」と「会計・財務」職種についてのマーケット&サラリーレポートを同時公開 働き方の柔軟性の欠如や東京一極集中の課題も浮き彫りに
総合人材サービスを提供するランスタッド株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役会長兼CEO 道上 淳之介、代表取締役社長 猿谷哲)は、10月29日よりインダストリアル・エンジニアリング職(以下エンジニアリング))と会計・財務職に関する最新のマーケット&サラリーレポートを公開いたします。本レポートは、労働力不足の深刻化や急速なデジタル化などの社会課題に直面するこれらの職種・業界の人材動向、報酬水準、働き方のトレンドを詳細に分析したものです。先週公開したIT職に関するレポートに続き、日本のプロフェッショナル人材の採用マーケット動向を分析したもので、企業の担当者にも、該当職の働き手にも参考になる内容となっています。
■DXとスキル変革の必要性
分野を問わず、デジタル技術の進化に対応するための人材とスキルへの需要が高まっています。
スキルのデジタル変革 (DX): コミュニケーション、プレゼンテーションスキル、AI、データサイエンス/アナリティクスといったスキルがより重要になっていることが共通して指摘されています。
高度な専門知識の需要: 特にテクノロジー、金融、マーケティングといった分野で、ハイブリッドな勤務モデルや柔軟な勤務形態への移行が、ワークライフバランスの向上を求める声に応える上で人材獲得の鍵となっています。
■従業員の離職要因と働き方ギャップ
人材の獲得と定着に関しては、報酬以外の要素、特に「柔軟性」が日本特有の決定的な課題となっている点が共通しています。従業員の離職理由に関する調査データによると、グローバル全体と比較して、日本では「勤務地の柔軟性の欠如」が第1位(39%)となっており、働く場所を選択できるかどうかが現代の日本の従業員にとって最も大きな影響を与える要因であることが浮き彫りになっています。また、日本の労働者はグローバル平均と比べて非常に慎重で安定志向のアプローチをとる傾向がある一方で、リモートワークなど勤務地の柔軟性を同時に重要視している点も特徴です。

■報酬の地域格差
インダストリアル・エンジニアリング分野と会計・財務分野は、いずれも報酬水準が東京に一極集中し、他の地域と明確な格差が生じているという共通点があります。両分野ともに東京が最も高い報酬水準を提供しており、特に高報酬の戦略職においてその傾向が顕著です。具体的には、「エンジニアリングディレクター」や「工場長」といった高位職では年収1,900万円を超える水準です。会計・財務分野のFP&A(財務計画・分析)ディレクタークラスなどの高位職は東京に集中しており、他地域と比較して際立って高い給与水準が提示されています。報酬面では東京への一極集中が顕著で、FP&A(財務計画・分析)ディレクタークラスでは年収2,520万円を超える高水準となっています。
■エンジニアリング業界:DXと設計・開発職の爆発的な需要増
インダストリアル・エンジニアリングおよび製造業は、、インダストリー4.0として知られる広範なデジタル・トランスフォーメーションを推進する政府の方針もあり、進化の時を迎えています。持続可能性確保のためのグリーンテクノロジーへの戦略的投資(特に電気機械セクター)や、AI・IoTを活用した「スマートファクトリー」化によるサプライチェーンの最適化(DX)が主要トレンドです。採用市場は極めて活発で、特に設計・開発職の求人は2025年上半期にかけて一時700%を超える急激な増加予測もあり、需要が集中しています。世界トップシェアを誇るロボット工学では、労働力不足を補う「協働ロボット」の導入が加速しています。報酬は東京が最も高く、勤務形態については、リモートワークが一定割合(22~27%)で認められている一方、ハイブリッドワークの選択肢は1%未満と低い点が特徴です。
■会計・財務職種:デジタル化と戦略的人材(FP&A)への需要集中
金融・会計分野は、保守的な企業文化などによる魅力低下や日本語人材の縮小といった課題に直面し、DXと競争激化を背景に中途採用が活発化しています。フィンテックやデータ分析関連のデジタル人材の需要が非常に高いほか、生成AIの導入も急速に進んでおり、80%が導入を検討しています。人材面では、税務や監査といった専門知識を持つ人材が不足しており、特に組織の戦略計画に関わるFP&A(財務計画・分析)部門のプロフェッショナル需要が2023年後半から高止まりしています。金融機関ではコミュニケーションなどのソフトスキル不足も深刻です。この状況に対応するため、中途採用の強化、フィンテック企業との提携、出向による社内育成といった戦略的な人材確保とスキル開発が急務となっています。
■ランスタッド株式会社 プロフェッショナルタレントソリューション事業本部 プロフェッショナル事業部 チームマネージャー 石井 光一郎のコメント
現在の日本のエンジニア市場は、企業がポジションを埋めきれない「売り手市場」が続いています。高い給与を得るには、どの業界に身を置くかという「業界の選択」が最も重要です。特に20代から35歳未満の若手人材は、目先の年収だけでなく、先端技術に携わるなど30年先を見据えたキャリア戦略を考えてほしいと思います。顧客と社内をつなぐFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)の需要は非常に高く、生産技術者などは定量的な成果が求められます。キャリアの価値を会社に委ねず、自身で担保する選択が長期的な成功の鍵になるでしょう。

■ランスタッド株式会社 プロフェッショナルタレントソリューション事業本部 プロフェッショナル事業部チームマネージャー 岡﨑 海渡のコメント
現在、経理やFP&Aのメンバークラスは候補者不足から採用競争が激化し、年収が上昇傾向にあります。高報酬を得るには、単なる実務だけでなく、会社の業績に貢献できる「ビジネスパートナーシップ」の視点が不可欠です。特に、日本の税制など専門知識と英語力を兼ね備えたバイリンガル人材は非常に希少価値が高く、シニア層でも採用が決まるケースがあります。報酬面だけでなく、在宅勤務などの「働き方の柔軟性」も人材獲得・定着の重要な鍵となっていますが、企業側は公平性の観点から出社回帰のポリシーを曲げにくいジレンマも抱えています。転職理由としては、昇進の停滞や、上司・働き方の変化が主な動機となっています。

■ ランスタッド 日本のインダストリアル・エンジニアマーケット&サラリーレポート2025

■ ランスタッド 日本の会計・財務マーケット&サラリーレポート2025

【調査方法の概要】 本調査は、人材の供給状況、需要、年俸、市場競争力(求人倍率)について、二次調査データ(求人サイト、プロフェッショナルネットワーク、LinkedIn、転職サイト等)及び労働市場分析会社Lightcast、給与データ会社Salary Expertなどの外部データ源を用いて評価・検証されました。
■ ランスタッドの会社概要
[社 名] ランスタッド・エヌ・ヴィー
[設 立] 1960年10月
[代 表] サンダー・ヴァント・ノールデンデ、ホルヘ・バスケス
[所 在 地] オランダ
[従業員数] 41,400人
[売 上] 3兆9,782億円(241億2,200万ユーロ) 2024年度実績(12月決算)
(人材サービス業として世界最大※¹)
[資 本 金] 6,816億1,436万円(41億3,300万ユーロ) 2024年12月末時点
[事 業 所] 世界39の国と地域
[事業内容] 総合人材サービス
[URL] https://www.randstad.com/
(1ユーロ164.92円換算/ 2024年12月末時点)
※¹ Staffing Industry Analysts 2025、人材サービス企業売上ランキングより
■ ランスタッドについて
ランスタッドは、世界で最も公平で専門性を備えた人材サービス会社になるというビジョンを掲げる人材業界のグローバルリーダーです。人材不足の世の中にあっても、人材に寄り添う真のパートナー(Partner for talent)として、4つの専門分野(オペレーショナル/ プロフェッショナル/ デジタル/ エンタープライズ)を通じクライアント企業が成功するために必要な、高品質で多様性に富んだ柔軟な労働力の実現を支援します。また人々が有意義な仕事につき、それぞれが適切なスキルを身につけ、職場に目的と居場所を見出す手助けをします。ランスタッドが創造する価値を通じて、誰もにとってより良い、より持続可能な未来の実現に貢献します。
オランダに本社を置くランスタッドは、39の国と地域(市場)で事業を展開しており、約40,000人の社員が働いています。2024年には、170万人の人々の就職を支援し、241億ユーロの収益を上げています。ランスタッドN.V.はユーロネクスト・アムステルダムに上場しています。詳細は、ウェブサイトをご参照ください。 www.randstad.com
■ Award/表彰ほか
・LGBTQI+に関する取組み評価指数「PRIDE指標」の最高位「ゴールド」を4年連続受賞
・ランスタッドNVとしてダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス(DJSI)
プロフェッショナルサービス部門 10年連続選出(人材サービス企業として唯一)
・「がんアライアワード2024」でブロンズを初受賞 (2024年12月)
・「D&Iアワード2024」より最高評価のベストワークプレイスに3年連続認定 (2024年12月)
■ ランスタッドのホワイトペーパーとコンテンツ
・ランスタッド・エンプロイヤーブランドリサーチ2025(下記のリンクよりダウンロードいただけます)
https://services.randstad.co.jp/download/form/rebr_jp2025
・ランスタッドワークモニターレポート2025(下記のリンクよりダウンロードいただけます)
https://services.randstad.co.jp/download/form/workmonitor2025
・ランスタッド法人向けブログ「WorkforceBiz」 https://services.randstad.co.jp/blog
・ランスタッド個人向けコンテンツサイト「キャリアHUB」 https://www.randstad.co.jp/careerhub/
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